「すまん、セイア......。アタシ、どうかしてたみたいだ......」
「ふっ、気にしなくていいとも。マ......ルイは私を癒してくれただけだろう?お陰で、私の中の暗闇は晴れたとも」
「ありがとう、セイア。そう言ってもらえると、アタシも嬉しいよ。......ところで、今ママって言いそうになった?」
「なってない」
アタシは、セイアの少し赤く染まった頬を突きながらそう弄ってやる。「や〜め〜な〜い〜か〜!」とプリプリ怒るセイアちゃんは、とても可愛くて......ヤバい、気を抜くと”ママモード”に入りそうになってしまう!気をつけねば......!
「おほんっ!さて、ルイ。君のお陰で、私は最後まで諦めない覚悟をした。もちろん、力を貸してくれるだろう?」
「それはいいけど......。私に、未来の物語について聞かないのか?」
「気にはなるが、今はやめておくよ。君の正体についてもね?」
セイアはそう言って、アタシにパチリとウインクを飛ばして続ける。
「それにだ......。未来は希望にも、絶望にも変わっていくものなのだろう?なら私は、仲間と築く希望の光に向かって走り続けるとも。私にここまで言わせたのだから、ちゃんと責任は取り給えよ?」
「ああっ!任せろ!アタシが皆まとめて、癒してやらぁっ!!」
「ふふふっ、期待しているよ。......よし。ルイ、少し私の話を聞いてくれるかい?君の「神秘」についてなんだが」
「アタシの神秘って......。何か知ってるのか!?」
「期待させておいて何だが、私にもハッキリ断言は出来ないんだがね。どうやら、君の神秘には君自身と君の友人が関係しているようだ」
「というと?」
「先ずはマリ、といったかな?彼女の神秘と、ルイの神秘が混ざり合っているね。それと同様に、栗浜アケミ。彼女もだね」
「神秘が......?つまり、アタシのこの力は二人のお陰ってことか?」
「そうではあるが、全てがそうじゃない。元々ルイは昔から、人とは隔絶した能力を持っていたのだろう?そうだな......説明が難しいが、二人の神秘がルイの能力を安定して引き出せるように寄り添い、支えているような感じかな?同時に、彼女たちの特徴を上乗せして引き出せているようだ」
「アタシの中に、二人の神秘が......。そっか。アタシがアタシらしくいられるのは、二人が支えてくれているからなんだな。なんか、擽ったいな......」
マリにアケミ。二人の神秘がアタシの中にか......。うん、胸が熱いな!
「ルイ自身はまるで、光そのものだ。だからこそ気をつけてほしい。......光が強く輝くほどに闇もまた深く、その存在を増すのだからね」
「ああ。肝に銘じるよ」
「よし。では、ルイ?この後はどう動こうか。今、この空間でしかできないことはないかい?」
「そうだな......。こういうのは出来るか?」
この後のことは長くなるから割愛するが、この空間を利用してトリニティとゲヘナの有力者などへ意識を繋いだ。
あと急に飛び出して心配かけたマリと、もしかしたら力になってくれるかもと思いアケミにも繋いだ。感覚としては、あれだ。ニュ●タイプ同士の意識共有空間みたいな感じ?
伝えた内容は簡単に言うと、以下の通りだ。
・アリウスの生徒たちは今回の事件の実行犯ではあるが、黒幕がいること。
・その黒幕は、キヴォトスを混乱に陥れようとしていること。
・アタシと先生はそんな黒幕に洗脳され、無理やり植え付けられた憎しみから彼女たちを救いたいこと。
・黒幕をぶん殴りに行くから、力を貸してほしいこと。
殆どの奴は、いきなりの事に困惑していたが一部の生徒......どっかの団長や、わっぴーシスターなどは快諾。直ぐに動いてくれるそうだ。
ゲヘナの方も、ヒナちゃんを筆頭に協力的だった。ゲヘナ議長?余罪についてコッソリ追求して、快く協力させたよ。
スクワッドや先生も、この現象に凄く驚いてたが同意してくれた。
「さて、こんなものかな?私もこの後、目覚め次第すぐに動き出すよ」
「んじゃ!アタシも殴り込みの前に、先にしたい事をしに行こうかな!」
「したいこと?」
コテン、と首を傾げて尋ねるセイアに、アタシは満面の笑みで答える。
「拗らせ気味の、可愛いお姫様を先に救いに行くのさ!」
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「んぁ......?ここは、テントの中か?」
「目が覚めたかしら、ルイ。さっきの夢?で、いいのかしら?話の内容的に、直ぐに動くのよね?」
「おう。準備ができ次第、元凶を叩きのめしに行く。ヒナちゃんは、少しは休めたか?」
「ええ。お陰で、最高のパフォーマンスを発揮できるわ」
そう言って笑うヒナちゃんは、活力に満ち溢れている。......うん。これ、ベアおばボロ雑巾確定じゃね?
”あのー......お二人とも?目が覚めたんなら、そろそろ私のこと解放してほしいかなーって”
「ん?何だよ先生。アタシの腕の中で眠るのは、不服なのか?」
”いや、決してそんな事はないんだけどもね?流石に生徒たちの前で、この状況は恥ずかしいといいますか......”
「うるせえ。アンタは黙って、アタシの胸に抱かれてりゃいいんだよ」
「な、なあ姫?やはり先生とルイは、いわゆる恋仲というやつではないんだろうか?もしそうなら、このまま側で見ていてもいいのだろうか......?」
「サっちゃん、私達には知らないことが多いでしょ?だから大人同士の行動を参考にして、今後の糧にするのはとても大事なことだと思うんだ」
「いや、絶対アツコがこの状況を楽しみたいだけでしょ......。まあ、気不味くて起きられないから仕方なくはあるよね」
「以外にミサキさんも、こういった事に興味あるんですね......。えへへ......何だか、みんなでイケない事をしてるみたいで、ドキドキしますね?」
”......ほらぁっ!早速、見られちゃってんじゃん!?ルイ、離してよ!?”
「は、はあ?べ、べべべべ別に、先生とは付き合ったりとかしてないし?や、だからって先生とそういう関係になりたくないとかじゃなくて......!」
”あ、私知ってる。このパターンは暫く、どうしようもないやつだ......”
ーーー閑話休題ーーー
「うしっ!休んだお陰で、調子は整ったな!最高の状態で、ベアおばを殴れるぜ!!」
「べ、ベアおば......。あんなに恐ろしかったマダムをそう呼ばれると、何だか寧ろ笑えてくるな......」
「まあ確かに、正確な年齢は分かんないけどさ。いい年こいた大人が”生徒会長”なんて名乗ってんだよ?恐怖から解き放たれた今となっては、滑稽すぎて寧ろ憐れみを覚えるよ......」
「ミサキさんが辛辣ですぅ......。で、でも確かにそう言われると「うわ、キツっ......」て、思っちゃいますね......」
「私達の若さに嫉妬してるんじゃないかな?」
”......うん。君らの今までを考えると、それくらい言いたくなるだろうけど。結構、辛辣だね君ら......”
先生はサオリ達の会話を聞いて、頬を引くつかせている......。ううん......。しっかり癒したと思ったけど、やっぱりこの子らに根付いた闇は深そうだなぁ......。
ま!それは置いといてっと!
「サオリ!ちょい、こっち来てみ?」
「うん?どうした、ルイ......て、うわぁっ!?」
「よっ......と!みんな、ちょっと野暮用済ませてくる!戻るまでに、しっかり準備終わらせとけよー!」
「待て、ルイっ!ちゃんと説明をぉぉぉぉぉ......!?」
アタシはサオリを担ぎ上げ、先生たちにそう言い残してあるところへ向かって爆走する。
「ありゃ、サっちゃんが拐われちゃった。......さ、みんな?言われた通りに準備を手早く終わらせようか」
「そうだね」
「了解ですっ!」
「そうね。なら私は一度、風紀委員に合流するわ。セナ、貴女も来てくれる?」
「分かりました。では、私の車に乗ってください」
”......え?もしかして、ついていけてないのって......私だけ?”
私の漏らした呟きは、誰の耳にも届かなかった......。
**********************
......薄暗い牢の中で、私は考えていた。
(どうして、こうなったんだろう......?)
始まりは確かーーー。
「ーーーノックして、もしもーしっ!!」
「キャアーーーッ!!??え!?誰っ!?てか、何!?何が起きたのっ!!??」
轟音とともに、私の牢の壁をぶち抜いてやって来た不審者に私は目を白黒させて驚く。
え?ていうか、待って?今の流れって、私の回想シーンに入る流れだったよね!?ねえっ!?
「こ、ここは......?っ!?聖園ミカっ!?」
「ふえ......?あ、貴女は!錠前サオリっ!?」
混乱する私の名前を呼ばれて、その人物を見る。
そこには絶対に居るはずのない、私を
「......なんで貴女がここに居るのかな?」
「い、いや、私にも何が何だか......」
「よし、お前ら挨拶は済んだな?」
壁をぶち抜いた人物......えっと、誰?え、ホントに誰?
「えっと......?」
「あ、挨拶がまだだったな。私は癒夜志ルイ、通りすがりの添い寝屋だ。お前も後で癒すから、覚えておけ!」
その名乗りに私は、サオリへ視線を送る。するとその視線に気づいたサオリは、苦笑しながら目を逸らす......。
......え?私、どうなるの?
「ルイ。そろそろ説明してほしい。なぜ、私を聖園ミカの所へ連れてきたんだ?」
「......それはな?」
サオリがルイと名乗った人物に説明を求めると、物々しい雰囲気を醸し出しながら口を開く。
ま、まさか!用済みになった私を、始末しに来たとかじゃないよねっ!?
「サオリもミカも、お互いに思うところがあるだろ?だから、今から二人には殴り合ってもらいます!」
「......は?」
「え?私とサオリが殴り......なんて?」
「ふっ......。お互いに思うところがあっても、うまく言葉にできない事ってあるだろ?」
「まあ......?」
「ある、かなぁ......?」
目の前の人物......ルイは私達の言葉を聞いて、ニッコリ笑うとサムズアップをして口を開く。
「そんな時は、拳を交えるのが一番だ!拳を通じて互いの気持ちは通じ合う!これぞ、まさに青春!......だろ?」
......私とサオリは、ルイの言葉を聞いて互いに見つめ合い、目で会話する。
”......ねえ?あの人、マジ?”
”......マジ、だろうなぁ。なんというか、すまない......。決して、悪い人ではないんだ......”
”うん......。それは何となく感じるけど、どうしよっか?この状況......”
”......取り敢えず、ルイを説得しよう”
”分かった。じゃあ、まずはーーーーーー”
こうして私とサオリはアイコンタクトを取り合うと、ルイの説得を開始した。
......あれ?何気に殴り合うより、凄くお互いの気持が理解できてなかったかな?私たち?
ーーールイの説得が終わる頃には、私とサオリには奇妙な連帯感が出来ていて、どちらともなく手を取り合いましたとさ。
こうして原作とは違い、サオリとミカの仲は平和的に深まったとさ。めでたしめでたし。