ここだけレグルスに兄がいて、幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線   作:ねえ、おなまえは?

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15話 ぬるい友情・無駄な努力・むなしい勝利! いいや、大切な家族愛も、だぜ!

 

 

ぱちり、と目が開く。

 

いつもの僕の部屋だ。

 

 

安心院さんは、僕の前にしゃがんでいて。

 

きみは、まーた死んで。と笑いながらペチンとデコピンをしてきた。

 

 

デコピンをされた部分をぼんやりと無意識に触る。

 

 

 

『……やれやれ』

『彼ら、ものには限度ってものがあるだろ』

 

『少年ジャンプのバトル漫画も真っ青なインフレだよ』

 

 

 

「そうだね」

 

 

 

 

 

「結局、少年漫画が読者に教えてくれるのは」

 

「友情、努力、勝利じゃなく」

 

「最後に勝つのは能力のある奴だという」

 

 

 

 

「極めて残酷な現実だからだ」

 

 

 

 

 

『あは、ははっ…』

『僕は、僕ごときじゃやっぱり無理なのかな』

 

 

『マイナスの僕じゃ、プラスの人たちには、勝てないのかなあ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

 

 

    

 

 

 

 

『僕は』

 

 

 

『僕の大切な弟すら守られないのか』

 

『大切な幼馴染の彼女との約束1つすら守れないのか。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポタ、ポタリと涙が流れ出てくる。

 

彼女はにっこり笑いながら、頬を両手で包んでかわいいポーズをしながら余裕の表情でこっちをじっと見ながら話す。

 

 

 

 

「能力があるから友達ができて」

 

「能力があるから努力ができて」

 

「能力があるから勝利できる」

 

 

 

「そんな救いのない現実を、きみのことを思う僕としては見ていて忍びないんだよ」

 

 

 

 

 

「まあ、僕としてはきみが諦めて」

 

「きみがあんな世界も弟のことなんかも諦めて」

 

「ずっとずっとずっとずっとずっとずうっとここに居てくれたなら」

 

「それはとっても、本当に嬉しいんだけれどなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうせここは夢の中で心の中だ」

 

「きみの本音も弱音も僕しか聴いちゃいないさ」

 

「僕だけが聴く権利がある」

 

「諦めるのも、諦めないのも、きみの選択次第だ」

 

 

 

 

 

「だから格好つけずに」

 

 

 

「『括弧』つけずに言ってごらん?」

 

 

 

さぁ、きみは、どうしたい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は。

 

 

あぁ、僕は。

 

 

      

 

 

 

 

僕はあいつらに勝ちたい

 

格好よくなくても強くなくても

 

正しくなくても美しくなくても

 

可愛げがなくても奇麗じゃなくても

 

格好よくて強くて正しくて

 

美しくて可愛くて奇麗な連中に勝ちたい

 

才能に恵まれなくっても頭が悪くても

 

性格が悪くてもおちこぼれでも
はぐれものでも

 

 

出来損ないでも


 

 

才能あふれる頭と性格のいい
上り調子でつるんでるできた連中に勝ちたい

 

友達ができないままで友達ができる奴に勝ちたい

 

努力できないままで努力できる連中に勝ちたい

 

勝利できないままで勝利できる奴に勝ちたい

 

不幸なままで幸せな奴に勝ちたい!

 

 

 

 

嫌われ者でも!

憎まれっ子でも!

やられ役でも!

 

 

 

"大切な弟を守れるって証明したい!!"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なーんだ、つれないなぁ。

ここに留まってはくれないのか、至極残念極まりないよ。

 

 

 

 

でも、きみの考えだ。それがきみの出した答えだ。

きみにはそれが出来る。

 

 

 

その為の力はきみが持っているのだから。

 

 

だから、また、もがいて、足掻いて、躓いて、ボロボロになってここに来ればいい。

 

僕はいつでもきみを、愛するきみを待っているとも。

 

 

 

さあ行ってきなよ、大丈夫!

刹那の時間だからね、弟くんはまだ殺されていないよ、と背中を押される。

 

 

 

 

 

きみらしく生きて、周りにたくさんの過負荷を振り撒いて、押し付けておいで!と言われ、マイナスとしての僕と元の"僕"の本質を取り戻して、ドアへ手をかけて外に出る。

 

 

 

 

 

そうだ、その為に色々やったんじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

何回死んだって、ヘラヘラ笑って、弟も救って、誰も死なない世界を、理不尽を、不条理を、不合理をみんなに押し付けてやるとしよう!!

 

 

 

さぁ誰が良いのか悪いのか、善か悪か、どちらが正しいのか間違いを犯しているのか混乱と波乱を起こしに、場の全てを掻き乱しに行くぞお!!

 

 

 

また来るんだぜ、チュ、とさりげなく投げキッスをされたので、『ありがとう』と手を振る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラインハルトとエミリアは、彼が首を落とされて確実に死んだことを確認した。

 

エミリアは、敵だったとはいえ、人の死に、酷くショックを受けながらも、この戦いを終わらせる為にラインハルトと共に身構えるレグルスの元へ歩みを進めようとした、その時だった。

 

 

 

 

ぱしゃり、と氷の溶ける音がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あーあ』

 

『勘弁して欲しいなあ』

 

 

『死ぬのだけは本当に嫌なんだよ』

 

 

 

『いくら「大嘘憑き」があるとはいえ、ちょっと面倒な奴に会わなくちゃいけないから』

 

 

 

 

 

 

 

『「大嘘憑き」!』

 

『僕の絶命を』

 

『なかったことにした!』

 

 

 

 

 

ゆるりと、ちょっとした困ったことがあったかの様に、何てことはないかの様に、先程まで聞こえていて、でも、もう聞こえなくなったはずの、ゾッとする声がした。

 

 

2人は驚愕し、すぐさま、スバルの方へ飛び退いて体勢を整える。

 

 

 

 

死人が、生き返るなんて、ありえない。

いや、不死鳥の加護があれば生き残れるが、彼にはそんな加護は、何の加護も、唯の1つもついていなかった。

 

はずなのに、何で、生き返って……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『僕がどーして生きてるとか、死んでるとかさー』

 

『別にいーじゃんどっちでもー』

 

『さっさとやって終わらそうよみんな』

 

『こんな時間だし?』

 

『本当はもう帰って寝たいのに』

 

『君たちの道楽にこうやって付き合ってあげてるだけ感謝してくれないかなー』

 

 

"生き返りたて"でだらだらと気怠げに喋る僕に、僕が復活したという驚きや恐怖よりも、エミリアとラインハルトの感情は、怒りが勝った様だった。

 

 

 

 

 

「あ、あなた!どうして、スバルにあんな酷いことをして、スバルの視力を奪っておいてそんなことが言えるの!?」

 

 

 

 

『おいおい逆恨みはよせよ』

 

『僕の方こそ君たちに殺されかけたんだぜ?』

 

『というか殺されたよね。』

 

 

 

 

 

『僕は被害者だ』

 

 

互いに見つめ合い、片方は不敵に笑顔を浮かべ、もう片方は極限まで怒りが張り詰めている。

 

次、どちらかが口を開いた瞬間に再び激戦が繰り広げられることが容易に予想できる静寂の中、それがついに溢れそうになったその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、おっ!!何だ!?急に訳が分かんねえ!っけど、見える、視力が元に戻った!」

 

 

 

 

 

スバルの歓喜と困惑が混じった声がする。

 

慌ててスバルの元へと駆けつける2人。

 

 

 

スバルちゃんは僕に向かって指を指して、お前、さっきはなかったことにしたら戻らないって言っていたよな!?と大きな声で騒いでいる。

 

 

 

 

『おいおい』

 

『人のこと、指差しちゃあいけないんだぜ、スバルちゃん』

 

 

『やっほー』

 

『3分前ぶりだね』

 

『元気にしてたー?』

 

『僕なんかの言うことを簡単に信じちゃうのも、ほんっとーに素直でいいね』

 

 

 

『さて種明かしだ。』

 

『これは『「安心大嘘憑き」』!なかったことにした対象を3分で元に戻るようにしたものさ!どうだい?お手軽だろ?』

 

『視界が戻ってよかったねっ!』

 

  

『どうだい?3分後の世界は美しいだろう?』

 

 

 

手を広げて、にっこり笑う僕を、3人がじっと見つめる。

 

 

 

 

『あ、僕の気配が戻らないのは「安心大嘘憑き」じゃなくて本当の話だよ』

 

 

『でもまあ、流石に最愛の弟にも気付かれないのは寂しいからね』

 

『「虚数大嘘憑き」』を使うよ。』

 

『なかったことを、なかったことに出来る僕の最高で最低な力!これで気配を"なかったこと"にした事実を"なかったこと"にした!』

 

 

『どう?レグルス、僕のこと、分かる?』

 

 

こくこくと頷くレグルスを見てよかった、と抱きしめて、安心する。

 

これ自分に使うの初めてだったからちょっと不安だったんだよね。

 

 

他のモブでは勿論、沢山沢山沢山沢山沢山沢山、目一杯試したさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あー、なんかさあ、目が見える様になってよかった〜とか、ほっこりした空気になっている所、悪いんだけれど。

 

 

ところでさ、と、笑顔から真剣な表情になって切り出す。

 

 

 

『ほらあのおっきい氷柱のことなんだけれど』

と教会の方へ顔をゆったり向ける。

 

 

 

 

 

『僕はあれを見たんだけれどさあ』

 

『氷漬けにされた花嫁さんたち』

 

『神聖で、とっても美しくって綺麗だったなあ』

 

 

 

 

『でもさあ』

 

『あぁ、あんな、あんな酷いこと』

 

『惨たらしいこと』『惨憺たること』

 

『冷酷で』『残忍で』

 

『非道で』

 

『暴虐の限りを尽くしたことを出来るだなんて、僕には恐ろしくて考えられないよ!』

 

『彼女たちは無抵抗で死を迎えたんだ』

 

『あぁ』

 

『何て、かわいそうに!』

 

 

 

 

 

 

『まあでもどーせ仮死状態でしょ?』

 

『詰めが甘いね、もし僕が助け出していたら、レグルスの権能は続いていたんだから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ところで』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『仮死状態の人って』

 

『いつまで"仮死"でいられるのか』

『いつから"完全な死"になるのか』

 

『どれくらいの猶予があるのか、君たちは知ってる?』

 

 

『僕は』

 

『さ』

 

『知っているよ』

 

 

 

 

『だから"こんなこと"している暇、あるのかなあ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酷く恐ろしい現実を突きつけられた気がした。

 

こいつに気を取られて、意識を向けさせられてどれくらいの時間が経ったのだろう、仮死状態とはいえ、長く見積もって5、6分が限界なんじゃないか?

 

 

そんなの、とっくに過ぎてしまっている。

 

 

まずい、あの作戦の時には、エミリアにそんな酷なことをさせるつもりはなかった。

 

エミリアは、私、わたし、殺すつもりなんてない、救ってあげたかっただけなの、みんなもそれを望んでいて、それで、それで、と呟いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はにぱーっと笑顔に戻ってみんなを安心させる様に話す。

 

 

 

 

『まあ、僕が教会に行った時に彼女たちの命を、なかったことにしてあげたからとっくの昔に安らかに眠っていると思うけどねっ』

 

 

 

『だから、それを僕の「虚数大嘘憑き」を使ってなかったことにすればみーんな争う必要なんてなくて、嫌な気持ちになることなんてなくなるよ!』

 

 

 

『そうさ!』

 

 

『誰も死ぬことなんてないんだ!』

 

 

 

 

 

 

『僕が居たことが、よくなくて、よくなくなくて、よかったね!』

 

 

 

 

 

レグルスの横に戻って、にぱにぱと笑顔を振り撒きながらそのまま軽い調子で話を始める。

 

 

 

 

 

 

お前、本当に何がしたいんだ、とスバルくんが半ば呆れた様に、振り回されすぎて疲れた様子で投げかけてくる。

 

 

 

『だーかーらー』

 

『最初から言っているじゃん』

 

'"僕は本当に弟を助けたいだけなんだって"

 

 

『殺し合いみたいなさ』

 

『血生臭いことは苦手なんだよねー』

 

 

『だから』

 

『さあ』

 

『仲直りしよう!』

 

手を広げて、あなたのことを受け止めます、とでもいう様なポーズで笑いかけるが、あれれ。めちゃくちゃ怒っているなあ。

 

何でかなあ。

 

 

 

スバルにあんな酷いことをしておいて、貴方よくそんなことを言えるわね!と怒るエミリアを、ぐるぐるとした底の見えない瞳で、じっとりと見つめ、静かに制する。

 

 

 

 

 

 

 

 

『あのさぁ』

 

『さっきも言ったじゃないか。』

 

 

『彼の目は治って万々歳!』

 

『それにさ』

 

『そんなことして!』

 

『とかって怒るけれど』

 

 

『よく思い返してみてほしいなあ』

 

 

 

『"僕から先に"手を出したことなんて一度もないだろ?』

 

 

『瓦礫から僕が出てきた時も、平和的に解決しようと持ちかけた時も、僕が死んだ時だっていつも君たちが先に僕を攻撃していただろ?』

 

 

 

 

『だからこれって立派な正当防衛だよね。』

 

 

 

『僕はそもそも君たちと戦う気はないって言っていたじゃない』

 

 

『それなのにさあ』

 

『あんな風に攻撃されちゃあ、こっちだって死にたくないし』

 

 

『大事な弟は絶対に死なせたくもない』

 

 

 

 

 

 

『もちろん花嫁さんたちにも、君たちにも、誰にも死んでほしくないんだ!』

 

 

 

 

 

『僕の目的は戦いを止める、時間稼ぎをすることなんだから』

 

 

 

『その為には』

 

 

 

『まず君たちを僕たちと対等な関係に引き摺り下ろさなきゃ意味がない』

 

 

 

 

『ある意味僕は勝っちゃ駄目とさえ言える』

 

 

 

『必要以上に相手を傷つけても駄目だ』

 

 

『争いが激化する結果にならないよう』

 

『それなりに非殺傷主義を貫く必要がある』

 

 

 

 

 

 

『最後にみんなが笑顔でいられたら』

 

 

 

 

 

『それこそ僕の勝利だぜ』

 

 

 

 

 

 

『花嫁さんたちは解放して、その命が消えたことをなかったことにあげるよ。』

 

 

『かわいい女の子を泣かせる趣味はないからね』

 

『君たちも花嫁さんたちに死んでほしくなんてないだろう?』

 

 

 

 

 

 

それは、確かにそうだけどよ、とスバルは苦い顔をする。

 

 

 

 

『代わりに、そうだな』

 

『じゃあ』

 

『スバルちゃんたちが僕と友達になってくれるなら』

 

 

 

『具体的には』

 

『僕たちが投降して』

 

『きみたちの旅に僕たちを同行させてくれるなら』

 

 

『僕がまるっと全部なかったことにしてあげていーよ!』

 

『あははっ』

『君たちについて行ったら楽しいことになりそうだ』

 

 

 

『それにさあ』

 

『そもそも僕たちがこんな風に争う理由なんて僕たちが投降したら何もないじゃないか』

 

 

 

 

『そんなことより仲良くしようよ』

 

『いろいろ行き違いもあったけど』

 

 

 

『僕たちはきっととても良い友達同士になれると思うんだ』

 

 

 

 

 

『今までいっぱい意地悪してごめんね』

 

 

 

 

 

 

"それもこれも全部弟を守りたいが為だったんだよ"

 

 

 

こてん、と首を倒して、人当たりのいい笑顔を浮かべて、お祈りする様に手を組む。

 

 

 

 

『そもそもさ、僕とレグルスを制御するなんて、閉じ込めて捕まえておくなんて、抑え込むなんて、殺すなんて無理な話でしょ?』

 

 

 

『でもだいじょーぶ!』

 

 

『僕は僕の力を君たちと弟の身を守る為に使うよ!』

 

 

『レグルスのことは僕が責任を持ってきちんとみておくからさ』

 

 

 

 

 

 

『そーれ!』

 

『「脚本作り」!』

 

 

 

手に持っていた螺子が剣の様に伸びて、そしてそれをレグルスに音もなく一瞬の間に突き刺す。

 

 

痛みはないから安心だね、みんな、もちろんレグルスを入れたみんなが驚いた表情を浮かべてこちらを見ている。

 

 

『これでレグルスの能力や考え方は僕とおんなじ最底辺まで引き下げられた、権能もまともに使いこなせないと思うよ』

 

『だからそうそう悪いことなんて出来ないよ』

 

 

『ごめんね、レグルス。急にこんなことしちゃって。でも大切な君を守る為でもあるんだ、どうか分かってほしいな』

 

 

頭を下げると、レグルスは、驚いたけれど、それって言い換えれば僕は兄さんとおんなじになれる、本当の本当にお揃いになれたってことだよね?

じゃあ、問題なんてない、赦してあげるよ、と笑っていた。

 

 

 

やっぱりレグルスも"こっち側"で、嬉しいな!

 

 

 

 

 

 

 

 

喋り続けているあいつらを差し置いて、ラインハルトは伝心の加護で彼は確かに本心で言っている、嘘をついていないと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弟を助けたい、一緒に居たい、大切にしているというのは現実と虚構の曖昧な、掴みどころのないあいつの言葉の中にあるほんの一握りの本音なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

その時、気まずそうにエミリアが、おずおずと口を開く。

 

「あの、レグルスのお兄さんって、あなただけ?花嫁さんたちが言っていたお兄さまって、あなたのこと?」

 

 

いやん!!恥ずかしい、僕がお兄さまなんて呼ばれていたの何で知っているんだろ。

 

そーだよ!と返す。

 

 

 

「そうしたら、うん、私は花嫁さんたちの言っていたことを信じてみる。いい人だって、言っていたし、実際にお兄さんから手を出したって事実がないのは確かなことだわ、私から謝りたい。争っていたとはいえ、色々、傷つけてしまって本当にごめんなさい」

 

『なーんだそんなこと!謝らないで!全然気にしないでよ、大丈夫だぜ、エミリアちゃん!』

 

 

 

エミリアたん……と呟いた後、お前のこと、それからレグルスのこと、直ぐには信用しねぇからなとスバルが釘をさす。

 

 

ぱあっと周囲に花が舞い散る様な純粋な笑顔で、泣きながらの笑顔でそんなこと当たり前だし、勿論そんなこと気にしないよ、全然いーよ!と伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『分かってくれたみたいで嬉しいなっ!』

 

『これでこの戦い!引き分け以外の決着はなくなりました』

 

 

『あ』

 

 

『それではみなさんご唱和ください』

 

 

 

 

 

 

『現実なんてぜーんぶ虚構でしかなかった!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教会に戻って、彼女たちを氷から助け出す。

 

絶命をなかったことにして、それから。

 

 

 

意識が戻った彼女たちは、レグルスが生きていることにキレて、暴言を吐きながら殴る蹴るの大騒動だった。

 

もちろんレグルスは権能が復活したんだけれど、でも能力が僕と同じくらいに下がっていたから完全には権能が機能しなくて、これまで愛し愛されていると思っていた彼女たちにボコボコにされて、もみくちゃにされてへなちょこな悲鳴をあげているのを見てみんな呆れて、笑っていた。

 

 

 

 

『さあ、レグルス。ゼロからのスタートになるけれど、いや、マイナスからのスタートだね、ここから始めよう!』

 

 

これはそんな最低で最悪な双子の、悲劇と喜劇の物語、理不尽と不条理にまみれた、勝てない僕の、譲歩してもらえたいつも通りの勝てない物語でした!

おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

味方に回った途端すげー良いやつ感がでて、頼りになるし、その変化にビビる一行と兄さんを取られない様にがるるるって威嚇するレグルスとか、やっぱ檻に入れられてたり残飯とか食べていた昔があるからこそ今のあったかいお布団とか美味しいご飯が更にありがたく思えるよね、とかで兄さんの過去についてえ、やばない、兄さん不憫特性なんじゃね?激重過去持ちじゃない?ってなる一行とか、死んでも死んでも死ねないことについて死んでいる間に面倒なやつに会うって誰のこと?って聞かれてもあー、彼女は…いや、幼馴染ちゃんじゃあないよ、うーん、腐れ縁というか…まあ、ねではぐらかす兄さんに拗ねるレグルスとか、死に戻りもきついけど死ねないのもその時のやばい状況を自分でどうにかしなきゃいけないのか、助けを求める暇もないのかと思ってなんか仲間意識が高まるスバルくんとか、家事全般こなせるし料理美味いし、所作ととのっているしで何もんなんだと思われて問われ昔、売り飛ばされて屋敷勤していたんだよ、主人が変態で僕女の子が着る服きせられちゃってさーって言って笑う兄さんとまじかよ、良いと悪いニュースどっちも聞かされている気分になる一行とか、兄さんが自分より背の高いレグルスの頭撫でているの見て、スバルが何の気無しに兄さんの頭を撫でたらなんかきゅるんってしてすげー可愛いし、レグルスはブチギレるしでわちゃわちゃするのとか、スバルとかエミリアたんが風邪引いた時に治してあげたり、敵を殲滅したり、運動神経がはちゃめちゃに良いと思ったらドジっ子だったり、頼りになるけどどこか危なっかしい兄さんを見てみんなでほっこり、しんみり、笑顔になったり、レグルスと居る時にパンドラ様と遭遇して、事象の書き換えと僕の能力めっちゃ似てるじゃん!ってなって、あらあら、お揃い、ですね、うふふとなっているのをやめろやめろ!!とプンプンするレグルスとか、インフィニティーハートで心臓が増えて、僕の方の心臓にレグルスの小さな王が制限付きで寄生できる様になって、ようやくあの時の約束をはたせたね、ほらおにーちゃんの言ったとおりでしょー?ってされてすごい喜ぶレグルスとか、魔女のお茶会になんか紛れ込んじゃって、ダフネとかはなんか食べても食べても死んだら元に戻るからお気に入り認定されたり、エキドナはどうなっているのかしりたがってあれもこれも試したいってわちゃわちゃしたりしていたら、安心院さんが突然現れて彼は僕のもの!って激おこでリップサービスでめちゃめちゃキスされてスキル移されたり、テュフォンがアクニンかどうか裁いたら、禊ちゃん的には罪の意識も何もないから平気なんだけれど、前世の僕の意識では、安心院さんのこととかで囚われさせているのは自分だからなあと罪の意識があるもんだから、耐えたあと、ヒビが入って砕けはする。痛くはない。スバル→バルみたいにあだ名をつけたいのに名前がなくてつけられなくて、むーってして結局お兄ちゃん呼びになるとか。てか名前ないから、一行でもお兄ちゃん呼び広まりレグルスが僕の!!兄さん!!!!だぞ!!!!!って抱きつきながら叫んだりするところとか、ベストペインで無理やり身体能力上げて、とーん、とーん、とーんっと飛んで、あれ、音が、遅れて、聞こえる、よ!!って亜音速で敵をぶちのめすお兄さんを、みたい、みたいよ。




ひとまず完結です、お付き合いいただきありがとうございました!
短編をちょこちょこ投稿していこうかな、と思います。
いつも応援してくださっている方、新しく感想をくださった方に感謝を申し上げます。
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