一回投稿し直してます。
「やっほ~、待った?」
「いいや、俺たちもちょうどアイテムの整理が終わったところだ」
キリトがユートとシアにメッセージを送って数分。町中にある地下ダンジョン入り口の墳墓前にシアが現れた。その服装も雰囲気も数十分前に分かれた時と全く変わらない。
どこか飄々とした、つかみどころがないとはまた違ったその雰囲気。何を考えているのかいまいちわからない。
キリトは実はシアのことが少し苦手だ。別にシアの性格が悪いわけでも、キリトと相性が悪いわけでもない。ただ、なんとなく苦手。
キリト自身、シアが悪い人ではないのはわかっている。普段から、年下である自分やアスナを気遣ってくれてるのなんとなくわかる。ただ、2人だけで話をするとなるとどうしてもぎくしゃくとしたものになるしできる限りそんな場面は避けたい。
「ちょっと待って」
普段シアは圏内では武器をインベントリ内に仕舞って行動している。それはキリトの片手剣やアスナの細剣とは違い、シアのメイン武器である槍の大きさに起因する。
単純な体積こそユートの使う両手剣には劣るが長さは圧倒的に勝る。それゆえに普段のパーティーメンバー4人の使う武器の中で中で最も取り扱いが悪く。ソードアート・オンラインが始まって1週間ほどは様々な場所にガタンダタンとぶつけていた。
1週間ほどたった後、圏内では武器を仕舞うようになったのでアスナは知らないその光景を思い出し、キリトは少し懐かしい気持ちになる。
操作を終え、少量の光と共にシアの左手には、槍が握られていた。だがその形状は普段キリトも見慣れている穂先として獣の角が括り付けられた槍ではなく。それと比べるとずいぶんと短い鉄製の。短槍ともいえるようなものだった。
「その槍、どうしたんだ? 確か長槍スキルと短槍スキルは別だったと思うけど。まさか両方鍛えてたとか?」
ソードアート・オンラインのシステムにおいて片手剣と両手剣が区別されているように、長槍と短槍も別種類の武器となっており、そのスキル熟練度も使用できるソードスキルも違う。
そしてキリトは、攻略する中でシアが短槍を握っっているとこなど見たことがない。
「ああ、これね。実はこの長さでギリギリ長槍扱いなんだよね。知り合いのリヨンって鍛冶師に貰ったんだ」
「でも、鍛冶スキルで作る武器って自分で形を決めれないって聞いたのだけど……」
シアの言葉にアスナが疑問をつぶやく。それはキリトも疑問に思っていた。
ソードアート・オンラインの鍛冶スキルは、主に○○武器作成と○○防具作成、に分かれている。片手剣や短剣などの片手武器、両手剣や槍などの両手武器。そしてナックルなどの特殊武器。防具作成のほうはこの際置いておく。
これらのスキルを習得したプレイヤーが鍛冶場などの特定の場所で鉄などの素材を溶かし、それを金槌で何度か叩く。そのような過程を通して作られるプレイヤーメイドの武器なのだがその形は作ってみなければわからない。
武器種は事前に決められ、刀身の色などは素材から引き継がれることが多いのだが、細かい装飾や長さ大きさなどはプレイヤー側では決められない。もしかしたらまだ知られていないだけなおかもしれないが、その要素はベータテストの時から変わらなかった。
だからこそ、ベータテストの時では、剣にほどこされた装飾によりその性能以上に高値で取引されていた武器があることをキリトは知っている。
「両手武器作成スキルの熟練度上げをしてる時たまたま出来たらしくて、ユートが面白がってもらうことになったんだ」
リヨンという鍛冶師は一月ほど前にあった詐欺以降、キリトもアスナも世話になっているので、実際に聞いてみれば詳細がわかるのだろうが、運がいいのかなんというべきか。
「強化してない分、性能は落ちるけど今回はこれ使おうかな」
キリトはベータテストの時からずっと、ソードアート・オンラインの武器作成スキルは自由度が低いと思っていたが、この武器を見た後にはそう思わない。鍛冶スキルもしかしたら思っていたよりも自由度が高いかもしれない。
いや、普通に考えて完全ランダムな時点で自由度は低いか……。
「何ボーッとしてるのよ、シアはもう行ったわよ」
アスナの声によりキリトは考えるのを辞め顔を上げるが、さっきまでそこにいたはずのシアの姿はなく。声のする方向へ振り返れば。キリトの背後、ダンジョンの入り口でアスナが腕を組み、怪訝な顔をしていて立っていた。
「悪い、すぐ行く」
そうしてキリト達3人はダンジョンに入っていた。このダンジョンの奥地をとあるプレイヤーたちが集合場所にしていたこと、トラップによってはぐれてしまうなどとは、欠片も思わず。
◇◇◇
「おつかレ~」
「おつ」
露店の前でシアと別れて数十分、町を回り、店の商品と値段をメモに取り、シアからもらった串肉の味に顔をしかめながら歩き、約束通り出発点であった場所の反対側。視界の端に浮かぶ、時計を見れば短針が10の数字に重なる頃、町の南にある広場でアルゴと再会を果たした。
「ありがとうなユート、たすかっタ」
「このくらいなら全然いいよ、俺自身、結構楽しかったし」
「そういえばシアはどうしたんダ?」
「ああ、そういえば言うの忘れてた。シアは途中にキリトとアスナに誘われて、3人でダンジョンに行ったんだよね」
「オイラが見かけた時は2人で遺物拾いしてたけド。なるほど、なら今は地下ダンジョンに行ってるのカ」
どうやらアルゴはあの後キリトとアスナを見掛けたらしい。こちには来なかったのか、入れ違いになったのか、俺たちは合わなかったが。それよりもアルゴの言葉の中に初めて聞いた単語があった。
「ん? 遺物ってなんだ?」
「そういえば説明してなっかたナ。第5層のテーマは遺跡なんダ、だから圏内でも圏外でも時々遺物が落ちてル。大体がコインとかガラクタなんだけド、たまに宝石とカ、効果の付いたアクセサリーが出てくることもあるんダ」
「マジで? もっと早く教えてくれたら歩きながら俺も探したのに。なんか損した気分だな」
「うーん、ユートはやめといた方がいい」
「どうして?」
「そもそも遺物はあんまりいいものがないんダ、コインや宝石は換金してスズメの涙程度にしかならないし、たまにアクセサリーが出るって言っても性能はビミョーだ。それにベータテストの時はこれにハマった奴が何人もいテ、そいつらは攻略そっちのけで遺物探しをしてタ。ユートは遺物探しハマりそうだしやめといた方が良イ」
「なんだそれ? 攻略そっちのけで夢中になるって、そんなに面白いもんなのか?」
「オイラもベータテストの時、一回やったことがああるんだけド、やってると止まらないんダ、オイラはそのスパイラルから何とか抜け出せたけド、ここでヒロワーになった奴は数知れなイ」
「スパイラルって、麻薬じゃあるまいし。てか、ヒロワーってなに?」
「ヒロワーってのはベータテストの時、攻略を辞めてここで遺物拾い専門になったプレイヤーたちのことダ、ほかのプレイヤーは彼らのことを敬意を込めてヒロワーって読んでタ」
「それほんとに敬意込められてる? 蔑称じゃね」
こうやって話しながらもアルゴは自分のメモと俺が書いたメモとを見比べて何やら考えている。おそらく次に出すガイドブックの内容についてなのだろうが、俺よりもずいぶんと年下だろう。
「アルゴはすごいな」
「なんだヨ急に」
「アルゴは週一ぐらいでガイドブック出してるじゃん、情報は一から自分で調べて原文も自分で考えて、ほかのプレイヤー達のためにいつも駆け回ってる」
「褒めたってなにも出ないゾ」
「すごい奴にすごいって言ったらだめなのか?」
「別にこれはオイラがやりたくてやってるんダ。それにこの程度、オイラ以外でもできることがほとんどダ」
「いやムリムリ」
アインクラッドの情報を集めてガイドブックを作るなんてアルゴに合う前までは考えても見なかった。そもそもあの時はみんな自分のことで必死だったんだ。聞かれれば答えるだろうが、見ず知らずの誰かのためにガイドブックを作るなんてアルゴ以外は考えてすらいなかった。
まあ俺が知らないだけでアルゴ以外にもいたかもしれないが。
「やっぱ俺らのパーティーに入らない?」
「何度も言ってるだロ、オイラは特定のパーティーに入らないって。じゃないと——」
「みんなの情報屋になれないからだろ。——はあ、この問答も何回目だろうな」
「わかってるならなんで聞くんだ」
「そりゃあアルゴがいつも一人だから。俺が手伝ってる時はともかくアルゴは普段ソロだろ? この前、キリトが遭遇したPKプレイヤーと言い、最近色々と物騒になってきた。それにこれから階層が高くなれば、その分モンスターのレベルも上がっていく。アルゴのガイドブックはもう攻略組にとって必須なんだ。だから死なれると困る」
まだ一桁代の階層で、戦うモンスターもそこまで手ごわくなっているわけではないが、まだ4回しか戦っていないとは言え階層ボスは毎回ベータテストとは仕様が変わっているらしい。それに俺とシアが第1層で遭遇したホーンベアーのように、ベータテスト時と変更され強化されたモンスターはいるはずだ。
「それに年下の女の子が一人で戦ってるのを心配するのは普通だろ」
アルゴの年齢は聞いたことがない、前に聞いたことがあったのだがその時ははぐらかされてしまった。
だがその雰囲気からして確実に学生だろう。本人はキリトに対してオネーサンを自称しているが、多分キリトやアスナの同年代。まだ中学生あたりじゃないだろうか。
「オニーサンは心配です」
ちょっとふざけて言うがこれは本心だ。俺自身これまで何度も1人だったら死んでいたと思うようなこともあった。だからアルゴには出来たら、余り1人で抱え込むようなことはしてほしく無い。
アルゴからは返事が来ない、いつも被っているフードの奥、その表情は対面に立っている俺ですら覗かなければ見ることは出来ない。
俺の言葉から数秒、いやそこまではたっていない。俺の緊張がそうさせるのかやけに長い沈黙の中、アルゴの上半身が震えだした。
「ニャッハッハッハッハ」
「どうした?」
「ニャハハハハ——」
「まじでどうした?」
アルゴ、まさかの爆笑である。何が彼女のツボにはまったのか、もしくは逆鱗にでも触れてしまったのか、大爆笑である。ただ笑いながらも指が虚空を滑っている。何やらコンソールを操作しているようだ。
「あ~笑った。一日で何度もこんなに笑うなんて——」
「そんなに? 俺、変なこと言ったかな。」
「そうだナ、まあアーちゃんにも何度か言われたし、シアにも1回だけ誘われタ。キー坊もああ見えて結構心配性というか、みんな同じようなこと言うんだナ」
アルゴはその言葉と共に操作をし終えたのか指を下ろし後ろに数歩下がった。俺の耳にはピコンといった具合の通知音が響く。
正確には俺だけに聞こえる音なので響くという表現は違うのだろうが。まあそれはいい。
視界を下げたそこ、普段コンソールを操作する位置に浮かんでいたのは、アルゴからのディエル申請だった。
「これは前にアーちゃんにもいたんだけどサ、ユートたちが思ってるよりおいらはずっと強いよ」
指を動かしコンソールを操作する。指先が【Yes】の触れるのと同時、カウントダウンが始まりだした。
5
「別に俺はアルゴが弱いとは思ってないよ」
4
「まあ、負けるつもりはないけどな」
3
「ならオイラが勝ったら何をしてもらおうかナ~」
2
「ま、俺ができる範囲でなんでもしてやるよ」
1
ディエルの決着まで書くつもりだったけど無理でした。不甲斐なし。
せめて二週間に1話は書きたいな。
「Echoes of Aincrad」の試写会
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行きたい
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興味はある
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行かない
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知らなかった