「やあこんばんは、ごめんけどちょっといいかい?聞きたいことがあって。……ちなみにきみって元ベータテスター?」
この仮想世界がただのゲームの世界から、命を懸けたサバイバルの舞台へと変化し、俺ははじまりの町に初めてできた友をクラインを置いてきてた。
何とか暗くなる前に村につき、村の中心にある最も大きな建物、村長の家でこの村の村長と会話してフラグを立てた。そうしてこの村にある宿のことを考えながら手t物から出るとちょうどそこには男が二人立っていた。
一人は両手剣使い、もう一人は槍使いだろう。大剣使いは身長が高く、短く切った黒髪にラグビー選手のようながっしりとした体格の男。槍使いの方は、おそらくリアルの色とは違うのだろうが水色に染めた長髪をポニーテールのように後ろでまとめた、身長は俺と同じか少し高いくらいの細身の男だった。
「いやごめんね、もう暗くなってるってのに、俺ら二人とも初心者でもしこの世界に詳しかったりしたらちょっとだけでも教えてくれないかな」
両手剣使いの男は軽く手をあげながら、俺に話しかけてきたわけを話してきた。お互いに初心者ながらあの事件の後、すぐに行動できそしてここにたどり着いていることに俺は心の中で感心した。
「あ、そうだった、自己紹介してなかったな。俺はユートでこいつはシア、呼び捨てで構わない」
丁寧なのか乱雑なのかさっきから言葉月が安定しないこの男は親指で自らを指しユートと名乗り、そしてもう一人の方シアを人差し指で差した。
「ああ良いぜ、俺は元ベータテスターで他のプレイヤーよりもこのゲームには詳しい自信がある。橘氏もなんだしあそこで食べながら話さないか」
そういって俺は村長の家の向かい側にある、一階がレストランになっている宿屋を指さした。
「え、あれって北西ゲートって名前なの?俺ずっと西門って言ってたわ。まさか方角すら違うとは。あっははは」
普段俺はあまり初対面の人とはあまり会話をしないたちなのだが今日は、クラインの事もあってかユートとシアに対して本当に多くのことを語った。
話の終わりにフレンド申請をしてメッセージを送れるようにする。
「じゃあいったんこれでお別れだ、何かあったらメッセージを送ってくれば知ってる範囲でなんでも答えるから言ってくれ。……それじゃあまたどこかでな」
そうして俺はそのまま二階の宿を借りてその部屋に入っていった。彼らの目的地は別にある、それに俺も明日は朝一から行動するつもりだからここで当分お別れだろう。生きていればもしかしたらまた会うこともできるかもしれない、いやまた会うことを願おう。
そうして俺は普段の、この仮想世界に閉じ込められるまでの就寝時間よりもだいぶ早くにベットに潜り込み、仮想世界での眠りに落ちた。
彼の名前はキリトというらしく元ベータテスターだった。こちらから突然話しかけたにも拘わらず質問にも答えてくれて本当に助かった。
俺たちは運が良いらしい。キリトは元ベータテスターの中でも攻略の前線に立っていたプレイヤーでこの世界に詳しい、それになぜだかは知らないがすごく親切にいろいろと教えてくれた。この町の事だとかこの階層のボスだとか、その中でも重要なのが第1層で受けれるクエストの情報だった。
キリトが言うにはこの町ホルンカは俺たちにとってそこまで重要じゃないらしい、この町で受注できるクエストの報酬に《アニールブレード》という片手剣があり、それを求めてキリトはこの町に来たそうだ。俺たちはは二人とも片手剣は使わないし必要ない。だから俺たちにとってこの町はそこまで重要ではないそうだ。まあここでキリトにあって色んなことを教えてもらえたんだから、今日この時間この町に着てよかった。俺たちの掛けは大勝利に終わったのだ。
キリトと別れ、俺たちは宿を借り、俺の部屋で明日からの予定を考えていた。この宿なのだが最初は2人部屋にしようかとも思っていたが思ったよりも宿代が安かったので1人一部屋にした。部屋自体あまり広いわけではないがまあ今日は少し話して寝るだけなのでそこまで気にはならない。
「でだ、明日は朝一で出発して倉庫の掃除のクエストを受けよう」
ベットに座り、対面の椅子に座るシアに話しかける。俺たちの服装は初期装備のシャツとズボンそのままだ。あれだけ走ってそして戦闘もしたのだから汗や砂ぼこりで汚いと思うかもしれないがここは仮想世界、どうやらソードアート・オンラインには汚れという概念はないらしい。
「あ~たしか一日一回受けれてそこそこのコルとランダムなアイテムがもらえる〜ってやつね」
「そう、ひとまずはキリトが言ってた《グレートソード》が出るまで毎日やるとして、クエストにどれくらい時間がかかるかはわからないけど終わり次第、できたら明日のうちにシアの槍も取りに行こうか」
キリトから教えてもらった二つのクエスト、一つはこの町の入り口、俺たちが入ってきた方とは反対側の道をまっすぐ行くと在る牧場の倉庫で受注できるクエスト。内容はさっき言った通りと、はじまりの町の北に在るコルナールという町で受注できるモンスター討伐クエストだ。
「いいけど果たしてフロアボス戦までに出てくるかな?ソードアート・オンライン当選で運使ったし」
「バッカ言え、こんなことになってんだからある意味運が悪かったんだよ」
いや本当に運が良いのか悪いのか、
会話をしながら、手元の(正確には手元に浮いてるのだが)メニューをいじり始める。そして数分後いろいろと試したりいじったりしたそこにはこのゲームには似つかわしくない俺の頭がおかしくないのならば、物が映っていた。
【倫理コード解除設定】
「……なあシア、SAOのSEROってなんだったけ?」
「なんだよ急に、……たしか…CかD、…多分CいややっぱDだったか?忘れたけどどっちかは確実だと思う」
この時代どのようなゲームにもSEROというのがある、まあ要するに対象年齢なのだがシアが言うCやDというのは血が流れたり人が死ぬというようなある程度残酷な描写のゲームにつけられる。ちなみにエロゲやグロゲのSEROはZだ。
「だよな!、やっぱこのゲームR-15だよな!」
「いやどしたん?そんな興奮して」
「このゲームR-18ができるかも、ていうか多分セッができる!」
ちなみにこの場合SEROZは確実だ。
俺たちは二人とも立ち上がり。先にシアが声を出す。
「まじで!?」
「まじで!!」
俺はメニューをシアに掲げて指をさす。
「ほらこれ見ろよこのボタン!てかアーガスはどうやってこれを審査員から隠したんだよ」
「いや見えねえよ!!どう見るんだよ教えてよ」
「ちょっと待て!、まずメニューをひらいてだな…あれ、どこのボタンだったかっけ…」
茅場が言っていた世界を作る云々みたいなのはこういうことだったのかもしれない。こうしてこの世界にとらわれて初めて迎える夜は少し騒がし夜だった…………
「殺されたくなかったらさっさと金を出せ」
悲鳴が聞こえる。
辺りを見渡せば周りにいるのはみんな老人や女の人だけ、そんな田舎の郵便局にそいつはいた。
「早くしろ、殺されたいのか」
全身を黒い服に包み、叫びながら右手に持つ黒い物体、銃を突きつけ受付の人を脅している。
俺はというとただ受付前の椅子の横でただ突っ立って眺めていることしかできない。体が思うように動かせない、唯一できること、いや止めることができないのは全身の震えだけだった。
どうにかあの女の子だけでも守ってあげないと、と無理やり体に鞭を打ち一歩踏み出そうとするが急に肩を掴まれた。
俺の肩を掴んだ手はもう枯れ木のように皮と骨だけ残した頼りない祖母う腕だった。ただまるで万力のような握力で俺の肩を掴み、張り合えって見れば祖母は顔面蒼白で首を横に張っていた。
俺は普段ならこんな細腕すぐに振り払うことができる。それこそ赤子の手をひねるくらい簡単なことだ。手だけに…………ただ、この暑いくらいに俺の肩をがっしりと掴むこの腕を振り払うことを俺はできなかった。
本当は簡単に振り払うことはできたはずなんだ。多分俺はビビって体が動かなかったのをこの祖母の細腕のせいにして言い訳をしているだけだったんだ。
そうして俺が動けない間にも事態は変容し続けている。受付の対応に痺れを切らしたのだろう男がとうとう銃の引き金を引こうとしたその瞬間。俺が助けようとしていた女の子が男に飛びかかった。
その女の子が銃を持っている方の手に噛み付くと男は思わず銃を手放し、その銃は女の子が手に取った。
奪われた銃を取り返そうと男が女の子に覆い被さるのを見ながらも、俺の体は動かなかった。
怖かったんだ。目の前で女の子が大人の男に襲われそうになっているのを見ていても俺は恐怖で動くことはできなかったのだ。
そうして俺が何もできないうちに事態はさらに悪くなる。
ドォン
銃声というものを初めて聞いた。昔、銃の玩具で遊んだことがある。ピストルのような形をしていて、それに火薬が入った輪っかのようなものを装填して引き金を引くと火薬が爆発してまるで銃声のような音が鳴るのだ。
あの時聞いたのはその音の数倍は大きく、そして恐ろしかった。
ドォン
さらにもう1発銃声が鳴り響いた。
ピピピ、ピピピ、ピピピ
今日寝る前にセットしていた目覚ましの音で身が覚める。仮想世界最初の睡眠だがその目覚めはあまりいい目覚めとは言い難かった。
何か変な夢を見た気がする。こんな時間に巻き込まれて変な夢を見ずに熟睡しろって方が難しいのかもしれないが、どうせなら安眠の方が良かった。
心の中でもしかしたら寝ているうちにこの事件は解決して、もしかしたら目覚めるのはこの仮想世界の宿ではなく現実の俺の部屋のベットの上。なんて期待していたが、そんな都合のいいことは起きなかった。
ベットから起き体を軽く伸ばす。その後、昨日始まりの街で買ってインベントリに入れておいたパンを齧りながらコンソールを操作して初期装備の鎧を見に纏う。
仮想世界での身支度は今日が初めてだが、寝癖ができたり着替えする必要がなかったりと現実のそれよりも楽だった。
さてシアのことを起こしにいかないと。彼は寝起きが悪いわけではないのだが、最近の彼は昼夜逆転気味なので朝は辛いだろう。
「近頃は若い衆に見回りをさせていたんだか何人も怪我人が出ていてな、いや旅の人がモンスターの討伐を引き受けてくれて本当に良かった。うんうん」
俺たちは始まりの町の北にあるコルナールという町でクエストを受注していた。クエストの内容は畑を荒らすモンスターの討伐、夜まで待機する必要があるが、あますぐに終わるだろう。
「怪我した若い衆に聞いたところどうやら下手人は大きな角を持った奴らしい。いいか大きな角だぞ」
キリトから聞いた話によるとこのクエストで出てくるモンスターは3種類。一体倒せばそれでクエストクリアだが、倒したモンスターによって報酬が変わるそうだ。
俺たちの目標はその中でも一番強いモンスター【ホーンウルフ】だ。とはいえまだ太陽は俺たちの真上から燦々と俺たちを照らしている。まだ夜にはかなり時間があった。
「どこかこの近くで美味しいご飯屋さん知ってますか?」
「怪我した若い衆に聞いたとこ───」
だめだこりゃ、やっぱこんなリアルでもNPCはNPCだな、昨日確認してたとはいえ忘れてた。全く変にリアルなんだから勘違いしてしまう。
倉庫の片付けは2時間程度で終わった。報酬は序盤最高ダメージを出し、その性能は三層のNPCが売る武器より高いらしい≪グレートソード≫を出すことは出来ずに≪古びた鍬≫が出てきただけだった。もちろん明日から毎日朝一でやるつもりである。
倉庫の片付けが早く終わり、移動時間ももそこまでかからなかったからか、夜にモンスターを討伐するクエストをほぼ正午といっていいようなこんな時間に受けることになったのだ。
「やっぱ仮想世界ばダメだよ、ご飯が全然美味しくない」
クエストを受けた町の食堂でチャーハン?のようなそうでないような、普段食べる米よりも長細い、インディカ米を炒めたような不思議な食べ物を食べながらシアが口を開いた。
「写真があったからこれ選んだけどなんか美味しくない、チャーハンって普通こんな微妙な味になるもんかな」
一応ちゃんと食べながらも、料理の味に文句を言うシア。確かに彼の言うようにこのチャーハン?ピラフ?のようなものは正直美味しくない。
「まあそもそも仮想世界なんてちょと前までは実現してなかったんだ、それにゲームの世界なんだから味覚なんて後回しにしてるんだろう」
「いや〜こんな世界に閉じ込めるんだったらちゃんとここら辺も作り込んでもらわないと、いつかストレスで死んじゃうよ」
ストレスで死ぬ、確かにそれはあり得るだろう。もしかしたらこの世界に閉じ込められて俺たちが最も恐れなければならないのはモンスターに殺されることよりも、この状況に気が狂い発狂してしまうことなのかもしれない。
俺の脳裏には数時間前少しだけ立ち寄った最初の街で聞いた話がフラッシュバックしていた。
「最初に死んだやつはアインクラッドの外壁から飛び降りたやつらしいし、俺たちもああならないように気をつけないとな」
俺の言葉に対してシアからの返事はなかった。
年明けに投稿するとは言ったもののこんなに時間が空くとは申し訳ない。これも全て作者の不得の致すところです。
最近は少し予定が立て込んでいるのもあってかなり不定期な投稿になりそうです。必ず完結までは書き切るつもりですのでもしこの作品を少しは面白いと思ってくれている人がいるなら気長にお待ちください。