玄関を出た廊下にいたのは、既に当麻くんだけだった
「当麻くん…インデックスは…?」
「あぁ、行っちまったよ…なんか、俺の不幸は幻想殺しのせいかもしれねぇとか言ってさ」
当麻くんは苦笑いしながら右手をあげた
「……関係ないよ…当麻くんの不幸が、右手のせいでも…関係ないよ…」
眉間に皺を寄せて言う私の頭を撫で当麻くんは歩き出した
「まってよ〜」
そんな当麻くんに私は走り寄り、腕に抱き付いて笑った…
「じゃぁ俺、補習だから行くわ」
「わかった、終わりそうな時間になったら校門行くね?」
「おう」
当麻くんとの会話…なんか恋人見たい…
「どうした?顔赤いぞ?」
「何でもないの!じゃ!」
呼び止めようとする当麻くんを振り切って私はダッシュした
side三人称
上条と別れた奈月は靴音を響かせながらとある路地を歩いていた、だがその顔には一切の感情が浮かんでいなかった。
携帯の初期設定のままの着信音が路地に響く…
「…はい…」
『やぁ』
受話器から聞こえるのはまだ若い、けれどどこか疲れきったような女の声だ
『すまない柚木君、今日は君が訪ねてくるはずだったね?
「構いませんよ、今日は“彼”が補習なので時間が有り余ってますし」
電話に答える声も抑揚が無く興味など無いかのようだった…
否、彼女は興味が無いのだ、たとえ今目の前にナイフが突きつけられても彼女の思考を揺らす事は無いだろう
『そうか…なら…第七学区の喫茶店“ ”で会おう』
「はい…では」
電話を切った奈月はまた靴音を響かせ歩いていった
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「いらっしゃいませ」
喫茶店に入った奈月はソファー席に座る三人の内一人に向かって歩き出した
「すみませんお待たせしました、木山先生」
「いや、私も今来たところだよ、柚木君」
木山…そう呼ばれた女性は奈月の何の感情も入っていない謝罪に軽く返した
「なっ?!なっ?!なんでアンタがココにいんのよ?!!」
叫びながら立ち上がったのは茶髪で短髪、Yシャツの上にサマーセーターとプリーツスカートを履いた少女
御坂美琴だった
「私が何時、誰と、何所で、何をしていようが関係無いでしょ。
木山先生、手短にお願いします」
奈月は御坂の問い掛けも、その隣で目を白黒させているツインテールの少女も切り捨て、木山に向き直った
「まぁ、そんなに急かす事も無いだろう、それに君が常盤台の御坂君と知り合いだったとは初耳だが?」
少し茶かすように尋ねる木山にも冷たい視線を送り
「……たちの悪いストーカーですよ」
御坂に嘲りの入った視線を送った
「アンタ!誰が!ストーカーよ!誰が!だいたいあの馬鹿がっ!?!?」
喧しく喚き立てる御坂の口を今まで静観していたツインテールの少女が塞いだ
「お姉様!これ以上は周りに迷惑がかかります!あなたも先ずはお座りになって、話されたらいかがですの?」
少女は一息に言い切り奈月に座るように促した
「今、“
君にも意見を聞こうと思ってね」
木山の言葉に少し引っかかったように目を細めた奈月は肩に掛かっていた髪を払い、木山の隣に腰を落とした
「電話が掛かってくるまでならいいですよ」
素っ気無く言う奈月の言葉に三秒ほど置いて木山は話し始めた
「あ___
つまりネット上で噂の“
彼女達はそれが昏睡した学生達に関係しているのでは無いか____と
そう考えているわけだ」
「はい」
木山の説明に御坂達は少し緊張した面持ちで返事をした
「上の方では学生に注意を呼びかけるという案も出たのですが、
まだ実在の確認もとれていないうえ、
情報の開示が被害を拡大する恐れもあるので現段階では公表を見送り、実態を調査する事になりましたの」
ツインテールの少女も御坂の言葉に続き現状を説明した
「柚木君、君の見解はどうだい?」
木山の問い掛けに奈月は少し思案した後、口を開いた
「…彼女達の仮定は80%の確率で正しいと思います、
能力の強さが簡単に上がるといった効能、使用者が植物人間になるといった情報が錯綜すると、余計な混乱が出るでしょうしそういう面では妥当な判断と言えるでしょうね」
奈月は視線を机から木山の方へ少し移すとため息をつき
「能力の向上という事は脳への干渉システムである事は必至、木山先生は大脳生理学にもお詳しいですから、調べるのを手伝って欲しい………と、こんな所ですね」
「君は、人の思考を読んでいるのかい?おおよそ合っていると思うよ」
木山の言葉にツインテールの少女も肯定した
「はい、お願いしますの」
会話に割り込むように響く着信音に即座に反応したのは今まで全くの無反応と言ってもよかった奈月が反応した
「はいもしもし、あ、当麻くん?……えぇ…わかったわ今行く」
急に魂が入ったように感情の入った声を出す奈月に面食らう一同を放って奈月は席を立った
「紅茶は私のおごりにしておくよ」
背中にかかる声の少し会釈すると早足に立ち去った
「なんなのよ…」
御坂が唖然と呟く声が店の喧騒の中に消えた
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side奈月
当麻くんからの電話を受けてその場を後にした私は軽い足取りで学校に向かう
たぶん当麻くんの成績だと完全下校時刻まで拘束されるだろうからと家にある食材と知識の中のレシピを照らし合わせて夕飯の献立を決めたりしながら走ると同時に、頭の中では幻想御手の情報が巡っていた
「levelなんてどうでもいい、とにかく役に立つ能力がいいわ」
言葉に従って揺れる脳内の情報を感じつつ私は思い出していた
ビリビリ達には何も言わなかったけれど、最近AIM拡散力場が不可解な動きをしてた
もちろん調べたし、中核も探し出せた、それが“木山春生”だった
「まぁ………ただそれだけなんだけどね」
私の能力にAIM拡散力場は深く関係してる、もちろん脳波を中核にするネットワークでも、AIM拡散力場から干渉できたりするってわけ
「チカラが手に入れば………」
でも、私の能力は外に出れば酷くちっぽけな…
「あぁぁ〜!!!考えない!考えない!」
突然叫び出した私に周りの人たちは一斉に視線をこっちへ向ける
居た堪れない空気の中をコソコソと逃げる
「……私の中心は当麻くんなのですってね」
自然に、けれど誰にも聞こえない音量で呟く
目の前にはもう校門が見え始めていた
「どうも小萌先生」
廊下を歩いている先に見えた小さな桃色の頭に向かって声をかける
「柚木ちゃんですか?ごめんなさいですけどこれを半分持ってくれませんか?」
小萌先生の手には教材のプリントだろうか紙の束が小さな腕いっぱいに抱えられていた
「わかりました、当麻くんはやはり完全下校時刻まで補習ですか?」
「いいえ〜今日はそこまでじゃありませんから〜柚木ちゃんのおかげで上条ちゃんは
予想と違い当麻くんは早めに帰る事が出来るらしい
「そうですか……先生みたいな生徒思いの教員が担任で良かったと思ってます。私みたいな生徒でも相談にのって下さって、いつも感謝しているんですよ」
唐突な私の言葉に小萌先生は一瞬呆気に取られたがすぐに顔を赤くして慌て始めた
「そっそんな事無いのですよ!生徒の事を思うのは先生として当然の事なのです!!」
その当然の事ができない人間がどれほどいるのだろう
頭の中で、今までの教師達が吐いた台詞が反響するように響く
『お前の兄貴みたいにもう少しお前に才能が有ったらな〜』
『才能無いよ、君』
『お兄さんは優秀だったのに』
その時からずっと、救い続けてくれたのも、最初に救ってくれたのも、当麻くんだった事も思い出す
「柚木ちゃん?」
「っっっ!!??」
小萌先生の声で一気に現実に引き戻された私の目の前には既に開けられた教室の扉
「すみません先生」
声をいつもと同じようにしようと気をつけながら声を出す
そう……いつもと同じように
「奈月、お前さっき小学生ん時の事思い出してたろ?」
帰り道に当麻くんにかけられた言葉は私の心を見透かしているようでばつが悪かった
「そうだけど……もう昔みたいに気にしてないし、大丈夫だよ当麻くん」
眉を下げて困ったように笑えば当麻くんも何も言わないでくれた
「あれ?……インデックス?」
当麻くんの視線の先に目を向けると確かにそこには白い修道女が掃除ロボットに驚いてこけている所だった
「あ……大丈夫?インデックス」
「うぅぅ……大丈夫なんだよ」
インデックスは涙目になりながらフラフラと立ち上がった
「待って!インデックス」
また歩き出そうとするインデックスの腕を掴み引き止める、そのまましゃがみ込み修道服の裾を膝までたくし上げる
「ほらっ!膝擦りむいてるじゃない!このままほって置いたらばい菌が入って化膿するわよ?」
顔を赤くして逃げようとするインデックスを裾を掴んで止めながら私は捲し立てる、そうすれば
「だったらウチで治療すればいいじゃねぇか奈月、お前んとこに救急箱あったよな?」
お人好しの当麻くんは絶対インデックスを誘うから
「むぅ……わかったんだよ」
不貞腐れるインデックスを連れて、私の部屋へ歩き出した
いかがでしたでしょうか?
意味不明ですみませんでした、次回はたぶんステイルVS上条の回になると思います。
いつになるのかわかりませんが……。
気長に相手してやってください!