大型アラガミ。あの化け物を倒すための方法……?
また出会うとは限らないし、今後出会いたいとは全く思わないが……もしもの事はある。聞いて損はないかもしれない。
「おっ興味ある? へへへへ、んじゃあまず、そうだなぁ……中型以上のアラガミにはよう、体のどっかしらに装甲みたいに分厚くなってる場所があんのよ。まずそこを壊す。
……なんだか頭に入りづらいレクチャーだけど、それでも僕は一言一句逃さずディノの発言を記憶に刻む。
「んでだ! んで、ブッ壊した場所を目掛けて“
装甲の下のお肉は柔らかいんでよぉ~? タップリ神機に喰わせられっから、ガッツリこっちも“強化”できるってわけよ。おわかり? ついてきてる? アンダスタン?」
なにも理解できてはいないけど、僕はとりあえず頷いた。結合崩壊とか強化とかよくわからないが、それはあとで聞けばいい。先に
「へへへへ、アラガミってのはどんだけダメージ与えても、放っとくとすぐに再生しちまう……これは知ってるよな? 結合崩壊した場所を“喰い潰す”とよう、“
2回以上喰い潰されるとなぁ~、あいつらの体の“核”が出てくる。あとはそいつを砕くなり捕食するなりすりゃあ完了だ。大概の化け物はくたばる。お仕事完了! あとは帰っておいちいビールで打ち上げするだけさ。簡単だろ? へへへへ」
……2回、あるいは3回“捕食”をすることで、大型のアラガミすら倒せる……
隊長がやっていた捕食の光景を思い出す。どうすればあんな風に神機を変形させられるのか検討はつかない。
けれど……今聞いた情報はかなり重要だったことはわかる。
「おや? 君も第一部隊のお仲間かな?」
ディノの視線を追うと、僕の背後にアレックスが立っていた。
しかし、何やら様子が変だ。
「……それ、もしかしてパジャマかい? へへへへ、支部長に会うってのに
「いや、制服は今洗ってて、どんな格好でもいいからすぐ来いって言われて……」
アレックスは黒いスウェットにタンクトップ姿で、確かにラフ過ぎるとは思ったが、それ以上に妙なのは彼の態度だ。
明らかにディノを警戒している……いや、恐れているようにも見える。アレックスはディノの事を知っているのか?
「はは、す、すんません、ちょっとコイツと話あるんで」
言うや否や、アレックスは僕にヘッドロックをかまし、頭を無理矢理後ろへ向かせた。
(おい、お前相手分かってんのか? あの背中のオオカミ見たか? 赤いオオカミだったぞ!?)
……赤いオオカミ? 僕が疑問を
(黒い制服に赤いオオカミって言やあ、あの“ブラックハウンド部隊”だ。噂じゃあ、フェンリル本部の持つ最高戦力とも言われてるし、本部直属のゴミ処理部隊って言われたりもする……ただの噂かと思ったが、マジで実在してたんだな……)
ブラックハウンド部隊……そんなに凄い人なのか。
僕がそう聞くと、アレックスは
(凄いんじゃねえ。
アイツが本当に
アレックスの緊迫感が伝わり、僕は思わずつばを飲んだ。まともな人ではないとは思っていたが、そこまでの危険人物だったとは。
「おおい、いつまでコッソリ
ディノがツカツカと無遠慮に僕達へ近づく。や、やばい、今の聞かれてないかな……?
彼とこれ以上のトークなどごめん被りたい所だったが、恐怖の時間は思わぬ形で終わりを告げる。
支部長室の扉が荒々しく開かれ、中から40代くらいの小男が怒り心頭といった様子で現れた。
「全く! 無礼千万!! 私を誰だと思っている!? 就任直後で思い上がりおって!」
「ディノ。お客様がお帰りだ。
小男がぎくりとした様子でディノを見上げた。
「き、貴様……なぜ貴様のような者がここにいる!?」
「ん~なぜと申されましても? エル支部長にスカウトされまして? んでボスからもOKもらったんで? こうして雇われてるわけでございます?」
「おのれ、
「まあまあ、お見送りを命ぜられたんでバッチリ見送らせてもらいますよー。ホレホレ行った行った」
「う……や、やかましい! 私の肩を触るなっ!!」
男は
なんだったんだ、今の男は?
「……ああ、見苦しいものを見せた。第一部隊の者達だな? 入るといい」
支部長らしい人から声を掛けられ、僕達はやや緊張しながら執務室へ足を踏み入れた。
2人掛けの革張りソファー2つと
しかし……
「君達二人だけか? 帰還したのは三名と聞いていたが」
「先ほど連絡がありました。イリア・エバンズですが、部屋に閉じこもったまま出てこないと」
「……なるほど。無理もない」
その高価な調度品に囲まれ、長机のパソコンを操作する人物は……
「では、改めて挨拶させてもらおう。僕はエリオット・ロバーツ。本日付けでここ第二支部の支部長に着任させてもらった者だ」
明らかに――8歳か9歳くらいの子供だった。