【任務発令】
けたたましく鳴るラッパ音で、僕はベッドから即座に
『起床の時間です。カイさん。すぐに制服に着替えてトレーニングエリア前に向かってください』
ラッパの音源は携帯端末のフギンからだった。画面を見ると……ろ、六時!? まだ太陽も昇ってないじゃないか!!
『本日から他のゴッドイーター同様の訓練を受けることとなります。遅れれば
部屋にある小さな窓を見ると、外はまだ真っ暗だった。こんな時間から訓練するのか……
――ええっと、ご飯って今の時間から食べられる?
『食事は訓練後となりますので、今から2時間後となります。すぐに着替えて出発してください』
ご飯抜きで2時間も訓練するの!? キツイなあ……
『食後は2時間のアカデミックトレーニングを行い、その後は1時間半の
――ちょっと待って! ほとんど訓練漬けじゃないか!!
『もちろん、訓練中にアラガミの討伐指令が下されば、そちらを優先することになります。ちゃんと実戦も行いますので訓練だけということはありません』
――いやそういう意味じゃなくて!!
『朝の訓練開始は現時刻から14分後です。急ぎ着替えて向かってください。このままでは懲罰のリスクが――』
ああもう、わかったよ!!
僕は急いで制服に
時間には間に合ったが、そこで教官から告げられた内容は、広い訓練場の走り込みだった。朝から走ってばかりじゃないか……
40人近い数のゴッドイーター達と一緒に走り込みを行った。グラウンドは1周で500メートル近い広さらしい。以前の僕なら、5周もすればギブアップしてただろうな。
けどゴッドイーターになった今は、なんだか走れば走るほど体の奥から活力が湧いてくる感じがする。10周、20周しても息も上がらず走っていられる。このままずっと走り続けられそうだ。
すると僕の考えを読んでいたように、訓練教官がこう言い放った。
「よろしい、では全力疾走で30周だ! 時速40㎞以下は懲罰対象となるからそのつもりで走れ!!」
ごめんなさいやっぱキツ過ぎます本当にすいませんでした。
他の
……訓練の間、アレックスとイリアの二人と会うことはなかった。二人とも、訓練を無視して部屋に閉じこもってしまっているようだ。
イリアは分かるけど、アレックスが顔を見せないのは、やっぱり昨日の支部長の話が原因なんだろうか。
訓練をしてもどうせ
けど、やるしかない。奴はいずれここに戻ってくる。何もしなければ何もできず喰われるだけだ。
ならやるしかない。強くなれるならどんなハードな訓練でも受けるしかない。アラガミを狩ることが強くなる近道なら、どんなアラガミも倒して
たとえ絶望的に強大な相手であろうとも。生き残る確率が高い方へ僕は賭けたい。目的は見えている。なら戸惑う理由は何もない……!!
基礎体力を鍛える訓練は終わり、やっと朝食にありつけた時、携帯端末が鳴った。
見ると……エル支部長本人からのメールだ。
書かれていた内容は2つ。
昨夜大勢の怪我人や死者が出た理由。小型アラガミが群れで衛星支部に現れたのは、人々を喰らうためではなかった……あのアラガミ、ニャルラテップに追われていたことが原因だったとのことだ。
そしてニャルラテップは……観測結果に基づくAIシミュレートの結果、およそ四十九日後に再びこの第二支部に戻ってくると予想された。
猶予はたったの1ヵ月半……いくらなんでも短すぎる。こんな短期間でどうやって強くなればいいんだろう? エル支部長や他の
気が重くなるが、支部長のメールの最後の一文でさらなる重圧が僕の肩にのしかかる。
“PS. フリード大尉からリーダー職に
……ああ。
というか、その第一部隊のアレックスもイリアも顔を見せず、もう
もちろん彼らを放っておくわけにはいかない。本人の問題だとか、そういうことを言っている状況じゃない。いずれ僕達3人であいつに立ち向かうことになるのだ。みんなで強くなる以外の道はない。
しかし僕が言ってドアを開けてくれるだろうか? 特にイリアは……うーんなんて声を掛ければいいんだか……
しばらく携帯端末としかめっ面でにらめっこしてると、再び端末が手の平で鳴りだした。
先ほどのメールの受信音とは違う。画面を見ると、“任務発令”とのシンプルな文面が映し出されている。
『カイさんを指名し任務が発令されました。内容は昨日の戦闘で
……ああそうだよなあ。神機の整備や神機を使った訓練もあるから、これで手持ち
本当に気が重い。けれど行くしかない。隊長を失いあの化け物と出会った、あの街へまた向かわなければ。