ゴッドイーター/レッドストーム   作:アガラちゃん

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【コンゴウ戦】

 ――アレックス、どうして君がここに?

 

「どうしてってお前、KIA認定されてたんだぞ? 知らねえのかよ」

 

 ――ケーアイ……?

 

 アレックスは力が抜けてしまったかのように肩を落とした。

 

「作戦行動中の戦死……つまり、第二支部じゃあお前は(すで)に死人扱いなんだよ」

 

 な、なんだって!? 確かにあのコンゴウに襲われて死にかけてはいたけど、それでも死亡扱いは早すぎじゃあないか!?

 

「俺等の腕輪にはビーコンが仕込まれてんだよ。そのビーコンが消えたってことは腕輪を失ったってことで、そいつは俺等GE(ゴッドイーター)にとって死を意味してる。まあ死亡扱いも妥当(だとう)なんだろうよ」

 

 フン、とアレックスは鼻を鳴らした。

 

「……俺はあの支部長を信用していない。そして、あの化け物を退(しりぞ)けたお前が簡単に死ぬとも思っていない……だから確かめるためにここに来たのさ。んで、来てみりゃ案の序だ。腕輪も普通に付いてるし、やっぱビーコンの故障かなんかだったんだろ?」

 

 腕輪。そこで直してくれたトリガーのことを思い起こした。

 

 ――いや、違うんだ。僕を助けてくれて、壊れた腕輪まで直してくれた子がいるんだ。

 

「ハア? 何言ってんだ? 全然壊れてねーじゃんお前の腕輪」

 

 そうだ。いっそ彼女に会わせたほうが話は早いだろう。素手で神機を運んでみせたり、腕輪を修復して見せたり……彼女には謎が多い。まだ色々と聞きたい事もある。

 

 僕は怪訝そうなアレックスを何とか説得し、彼女のいた廃屋へ戻った。

 

 しかし――そこはすっかり、もぬけのからの状態だった。

 

「どこにいるんだよ、その……全身赤い女ってよ?」

 

 何度か彼女の名を呼んだが反応はない。どこかに隠れているようでもないし……ほんの少し外を出た間に完全に姿をくらましてしまうなんて、よほど身体能力が高いのか――

 

「……なあ、お前頭とか強く打ってないよな? もしくは寝ぼけてたんじゃねえのか?」

 

 あるいは、アレックスの言うように夢か幻覚の類いだったのか……こうなるとその可能性も否定できないんだよなあ。

 

 まてよ……そうだ、フギンに聞いてみよう。あのトンボ型ロボットを通じて彼女の姿を録画しているかも。

 

『トリガーと名乗る人物ですか? いいえ、記録されておりません』

 

 ――えっ!? なんで!?

 

『カイさんがあのアラガミに接触した後、強力な電磁妨害を受けた痕跡があります。どうやらその影響で画像・音声の記録が途絶えていたようです……KIA認定を受けたというのもそれが影響しているかもしれませんね』

 

 ええ……これもあの子の仕業(しわざ)……なのか?

 

「……まあ、よくわかんねーけど、とにかく無事で良かったぜ。それじゃあバイクに乗って帰ろうぜ。ケツに乗せてやるからよ」

 

 そう言って、アレックスが外へと振り向いた――瞬間。

 

 ドガァっ!!

 

 上空からバイクを目掛けて大きなブロックが投げつけられ、バイクは車体を大きくへこませて横転した!

 

「なっ……!?」

 

 僕は知っている。この手口。車体のエンジンを狙うあのアラガミの事を。

 

「や……野郎っ!!」

 

 再びコンゴウが地面に降り立ち、僕達二人にゴリラのドラミングのごとき動きで威嚇(いかく)してみせた。

 

 

 ◆◆◆

 

 

「あいつ……中型種か!? バイクがああなっちゃ、ここで戦うしかねえじゃねえか!!」

 

 アレックスが自らの大剣型の神機を構える。僕もまた廃屋内に安置された自分の神機を拾い上げた。

 

 コンゴウに壁に叩きつけられ、殺されかけた記憶が生々しく思い出される。恐怖心が背筋に冷たいものを流した。

 

 落ち着け……大丈夫だ。あの時はほとんど不意打ちのような形だった。正面から向かい打てば同じ結果にはならない。

 

 それに今回は、頼もしい味方も一人いるのだ。中型種とはいえ、勝てる見込みは十分にある!

 

 僕達は相手の動きを警戒しつつ、建物の外へ出る。

 

 コンゴウはうなり声を上げながら、発達した太い両腕を地面につけて微動だにしない。

 

「カイ。お前の方が俺よりも身軽で素早い。俺が(おとり)になるから、お前は回り込んでヤツを仕留(しと)める……これでどうだ?」

 

 アレックスの提案に僕は(うなづ)いて了承(りょうしょう)した。はさみ打ちは堅実(けんじつ)な案だ。片方が敵の攻撃を受け、その隙に片方が斬り込む。それを続けて相手を消耗(しょうもう)させるのが重要なのだ。

 

 僕はさっそく行動に移そうとしたが、しかし。

 

 ググルル……

 

 コンゴウは動かない。僕達を(にら)み付けたまま、両腕を()い付けるように地面につけている。

 

 ……何か妙だ。あの体勢。何か企んでいる?

 

 まるで、これから(おとず)れる衝撃に備えるような体勢……

 

 これは……まさか!

 

 ――まずい! アレックス! 盾を展開するんだ!!

 

「は? どうした? なんで――」

 

 戸惑いながらアレックスが大盾を構えた、瞬間!

 

 パゴオンッ!!

 

 激烈な衝撃音と共に、アレックスの大盾が何かの攻撃を防いだ!

 

 拡散した衝撃の波が廃屋の壁に蜘蛛(くも)の巣状のヒビを広げ、残響が無人の街にこだましていった……

 

「な、なんだ!? 野郎、一体何を撃ち込みやがった!?」

 

 コンゴウが射出したものは影も形も見えなかった。弾丸のごとく何かを高速で射出したのか?

 

 ……いや、でも妙だ。衝撃の広がり方がおかしい。銃弾のようなものを撃ち込んだとして、壁にヒビを入れるほどの衝撃を周囲に広げるだろうか?

 

 あんな風に壁にヒビが入るのは、盾に防がれて何かが破砕されて拡散していったからだ。であればそれは何だ? 拡散された何かは全く見えなかったが……

 

 ……見えない何かを飛ばした? ヤツは離れた場所からつむじ風を起こす技を持っている。風……空気!?

 

 そうか! ヤツは空気の(かたまり)を飛ばしたのか!! あの背中のパイプのような器官から飛ばしたのかもしれない。つむじ風に空気の弾丸……空気を操るのがコンゴウの能力……!

 

 ――アレックス! あいつは空気の弾丸を飛ばしたんだ!!

 

「空気……? それが弾の破片すら見えなかった理由か……!?」

 

 ――足下から大きなつむじ風を起こす能力もある。地面に塩みたいな白い何かが撒かれていたらそこから離れて!

 

「お前、もしかして、あいつと戦ったことあるのか……?」

 

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