ゴッドイーター/レッドストーム   作:アガラちゃん

20 / 35
【コンゴウ戦】2

 ゴゥオオッ!!

 

 コンゴウが咆哮(ほうこう)を上げて突進!

 

 徐々(じょじょ)に速度を上げ――前方に跳躍! 両腕で両肩を抱き、足を曲げるその様子は、まさに自らの体を弾丸にせしめたようだった。

 

「うお、やべえっ!」

 

 アレックスは盾で受けきれないと判断し、素早く回避! コンゴウに突っ込まれた廃屋の壁が破砕され、無残に(くず)れ落ちていった。

 

 ――アレックス!

 

「俺の方が気にくわねえみてえだな……手助けはいらねえよ!!」

 

 すると、瓦礫(がれき)をはね()けてコンゴウが再び突進! アレックスに対し丸太のように太い両腕で2度、3度と攻撃を繰り返す!

 

 必死に盾で防ぐアレックスだったが、徐々に、その表情に余裕が生まれた。

 

「――へっ、威力はデケえが、動きは遅い。隊長に比べりゃハエが止まるぜ!!」

 

 アレックスは大剣を地面に突き刺し、盾を展開。

 

 コンゴウが再び攻撃を加えた瞬間、地面の負荷をバネに大剣を跳ね上げ、強烈なカウンターを見舞った!

 

 うまい! 盾の回避(パリィ)とほぼ同時のアッパーだ! 直撃を受けたコンゴウは、仮面のような部位にヒビを入れて大きく()()った。

 

「跳べぇ! カイ!!」

 

 肩に乗せた大剣の切っ先を僕に向けるアレックス。僕は瞬時に彼の意図を読み取った。

 

 僕は疾駆(しっく)しアレックスの大剣を足場にさらに跳躍!!

 

 真下で(もだ)えるコンゴウに神機の切っ先を定め、そのヒビ割れた仮面部分に全体重を掛けた一撃を突き下ろす!!

 

 ギャゴアァァッ!!

 

 コンゴウの悲鳴。仮面は完全に砕け散り、灰白色の体液が止めどなく流れ落ちた。

 

 結合崩壊(けつごうほうかい)――捕食する――()(つぶ)す――

 

 ディノに教わったアラガミの倒し方が脳裏をよぎった。しかし、捕食をする方法は……

 

 その時だった。

 

『――ハラヘッタ』

 

 声。何者かの声。

 

『――ハラヘッタ。ハラヘッタ。ハラヘッタ』

 

 いや。耳には何も聞こえない。声、というよりも“意思”のような。

 

『ハラヘッタ。ハラヘッタ。ハラヘッタ。ハラヘッタ』

 

 これは……ただ空腹を訴えているのではない……“許可”を、求めているのだ。

 

 この意思は神機の意思なのか? ならば。

 

『ハラヘッタ。ハラヘッタ。ハラヘッタ。ハラヘッタ。ハラヘッタ』

 

 ――喰えっ!!

 

 瞬間、僕の神機のつばの部分から肉が上下に大きく盛り上がり、巨大なオオカミの(あぎと)が出現。

 

 そのままコンゴウの顔面に食らいつく!

 

 ――まだだ! もっと奥へ! 結合崩壊した場所を(えぐ)れ!! 奥の奥まで食らいつけ!!

 

 神機の顎がコンゴウの結合崩壊した個所を食らいながら進む! そのたびにコンゴウの顔面から血のようにおびただしい量の灰白色の体液が飛び散った!

 

 ――喰い潰せぇっ!!

 

  ギュギャアアアッッ!!

 

 バグン! と僕の神機がコンゴウの肉を食い千切(ちぎ)り、コンゴウは悲鳴と共に体の半分近くを消失させた。

 

 体内の奥に、オレンジ色に輝く物体が一瞬見えた。あれがヤツのコアか。

 

 その時、僕の体に大きな変化が(おとず)れた。

 

 ――うっ……!?

 

 神機と右手首に繋がる血管を通じて、大量の偏食物質(へんしょくぶっしつ)が流れ込む。

 

 鼓動とともに全身を駆け(めぐ)る爆発的なエネルギー。

 

 呼吸をするだけ、少し身じろぎするだけのカロリー消費に対し、過剰なほどのエネルギーが常にフィードバックされるような……恐怖すら感じるほどに()き上がるこの活力は……!?

 

 足下がふらつく。意識が持って行かれそうになりながらも何とか耐えていると、(ふところ)の端末からフギンが声を上げた。

 

『対象アラガミの身体変異を確認! 極大活性化(きょくだいかっせいか)(きざ)しが見られます! ご注意ください!!』

 

 見ると、コンゴウは捕食で(えぐ)れた部位を急速に修復させていた。

 

 いや――違う! 先ほどとは異なり、胴体から顔にかけて脊柱(せきちゅう)のような骨を六本生えさせ、肋骨(ろっこつ)のような骨が脊柱同士を連結させる。これは傷の再生ではない、“変形”だ。

 

 そして脊柱の奥には、巨大な目玉と脳が融合したような灰青(かいせい)色の部位が出現し、僕の方をギロリと(にら)み付けた。

 

 管のような6本の脊柱の先端を僕に向ける。その様子に、僕はとある兵器を想起した。

 

 回転する6本の脊柱――ガトリング砲の銃身(じゅうしん)……!?

 

「避けろカイっ!!」

 

 DRRRRRRRRRRRRRRRRR!!

 

 脊柱の先端から怒濤(どとう)の空気弾が連続射出!!

 

 僕は身を(ひるがえ)し回避! しかし、コンゴウは射撃をしながら僕の動きを執拗(しつよう)に追う!

 

 疾走する僕の背後で、周囲の廃屋が次々に穿(うが)たれ、外壁を柱を砕かれ、轟音(ごうおん)とともに崩落(ほうらく)していく……この威力、盾で防御していたら盾ごと穴だらけにされていただろう。

 

 すると、前方の地面に白い粉のような何かが()かれているのを見た。

 

 つむじ風を起こす化学物質――これは罠――ガトリングで追い立てられ逃げ場はない――

 

 しかし!

 

 この攻撃は読んでいた!!

 

 僕は走りながら盾を展開! 足下で発生するつむじ風を受け、一気に跳んだ!

 

 コンゴウの右側面、砲撃の(およ)ばぬ(ふところ)へ一気に距離を詰める!

 

「だめだカイ! 反撃されるぞ!!」

 

 コンゴウは射撃を止め、身をひねり丸太のような右腕を振り落ろした!

 

 だが。その腕は止まる。

 

 いいや、僕が止めた。

 

 僕の胴よりも大きなコンゴウの拳を、僕は自らの左腕一本で受け止めてみせた。

 

 ゴガァッ……!?

 

 驚愕(きょうがく)するような声を上げるコンゴウ。

 

 雑魚(ざこ)め。

 

 僕の体の奥底で声が、意思が響く。

 

 弱い。弱い。どうしようもない弱敵(じゃくてき)。こいつはもはや格下の雑魚。“僕達”の敵ではない!!

 

 ミシリ、と指先に力を入れ、コンゴウの拳に指をめり込ませる。スパイクシューズのごとく肉を固定。そして――力いっぱいブン投げる!!

 

 ズガアッッ!!

 

 轟音とともにコンゴウを瓦礫の山に叩きつけた。

 

 無防備にもこちらへさらし出したヤツの腹を――真っ二つに切り裂いてやる!!

 

「避けろ! (つか)まるぞ!!」

 

 アレックスの声が届くと同時に、まるでトラバサミの如くコンゴウの巨大な両腕が閉じる!

 

 しかし、寸前で僕は跳躍して回避。

 

 宙で一回転すると同時に神機でヤツの腕を斬りつけた!

 

 ギャッ!

 

 コンゴウの悲鳴。

 

 だが、まだだ。

 

 神機を斬りつけると同時に、斬った肉の反発力を利用しさらに跳ぶ。

 

 さらに回転。(さら)にヤツを斬る。

 

 まだだ――まだっ!!

 

 さらに跳ぶ。さらに斬る。さらに跳ぶ。再び斬る。斬る。斬る!

 

 さながら回転ノコギリの(ごと)く! 僕はブロックするヤツの腕ごと無尽(むじん)無断(むだん)に斬り裂き()くす!!

 

 20回転――30回転――40っ!! 僕は回転を止め、地面に降り立った。

 

 地面を見下ろすと、全身をほとんど真っ二つにされ微動だにしないコンゴウ。

 

 オレンジ色のコアまで両断されており――ほどなく、ヤツの死骸(しがい)は砂のように散っていった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。