茶色い球体のシルエットに巨大な一つ目、その目の下には鼻から上がない青白い女性の上半身のような器官が霊魂のごとくゆらゆらと
ザイゴートは血のように赤い瞳で僕を見下ろしていたが、次の瞬間、白い牙を
GYAAAAAAAAAHH!!
すると、6体のオウガテイルが
3体が僕の正面へ向かって突進し、残りの3体は大きく
『リーダー!
僕はレインさんの指示に従い、住民男性を先に逃がして一時退却。
追いついてきたオウガテイルが数体飛びかかるも、盾を展開しながら防ぎ続ける! バースト状態だからか、複数のオウガテイル相手でも問題なく対応できた。
この数のオウガテイルを相手にするのは厄介だが……それ以上に油断できないのが、あのザイゴートだ。
奴がこのアラガミ達を
またポチに乗って建物の上から飛びかかることも考えたが、こう次から次へとオウガテイルに攻撃されている状況では、ポチに乗る暇すらない!
『住民の男性は離脱しました! リーダー、アラガミ達に囲まれないよう、移動しながら一体一体を
立ち止まればすぐにアラガミの群れに取り囲まれる。移動しながらなら、こちらに追いついたアラガミのみを一体ずつ相手にできる。
その瞬間。
ドボッ!!
僕の
それは――矢じりのような帽子を被る少女のような顔と、昆虫の
僕は
ゴギン、という
同時に帽子のような部位が開口し、中の暗く巨大な砲身がこちらを見返した――まずい!!
ドドドウッ!!
僕はとっさに地面へ
――ぐあっ!!
全身を走る激痛に思わず声を上げる。はるか頭上ではザイゴートが
逃げようと立ち上がればすぐさまコクーンメイデンによる砲撃が飛んでくるだろう。
どうする? 一体どうすればいい?
この状況、どう切り抜ける……?
その時だった。
ジャッ!
地面を蹴り上げる音。一瞬空を横切る影がひとつ。
イリアだ。建物の屋根を飛び、はるか上空へ――ザイゴートの頭上を取る!!
「フッ!!」
鋭い
GYAABAAAHHH!!
耳をつんざく絶叫と共にザイゴートが落下。司令塔であったザイゴートが襲撃された影響か、オウガテイルとコクーンメイデンが動きを止める。
動くなら今か? 僕が体を起き上がらせた、その時。
『リーダー! 背後にオウガテイルが!!』
しまった。死角に回っていたアラガミがいたのか!
こちらに牙を
「無事か、リーダー!」
アレックスだ。しかし、イリアといい、二人ともどうしてこんなに早くここにたどり着けたんだ?
と、遠くでヘリの飛行音が聞こえた。そうか、ここまで送ってくれたヘリに途中まで乗ってきたのか。
「よし、待ってな、今こいつを……!」
アレックスの持っていた神機がベキベキと音を立て変形。
グオッ!!
神機が
『ま、待ってくださいアレックスさん! 明らかに捕食の規定量を超えています! そのままではオーバーフローの危険が――』
「承知の上だ! オラっ! もっとだ! もっと食え!!」
まさか……オウガテイルを使って、無理やり“
神機の顎はオウガテイルの頑強な頭部を砕きながら、両断された上半身を飲みこんだ。すると――アレックスの体に異変が起こる。
「う、っぐ……!?」
頭を左右に揺らし、立ち
『いけません! オーバーフローを発症しています! リーダー、今すぐ彼を――!?』
「……よ、余計な心配だ……思ってた以上にキツイが、いけるぜ……!!」
アレックスはゼイゼイと肩で息をしながら、それでも無理やり笑ってみせた。
そして両足を広げ、
すると――アレックスの大剣が急激に
『そ、そんな状態で“
カクウダン……? 大剣型神機には特有の
「……リーダー、この技はちょいと時間がかかる。俺が合図したら地面に
アレックスの視線の先には、イリアがいた。
オウガテイル達の攻撃をなんなく
ギャギャっ!!
悲鳴を上げるザイゴート。しかし、斬りつけたそばから傷の治癒が始まっている。これでは
「……」
イリアはそれを悟ったのか、剣を振り上げたまま動きを止める。
と、その神機がゴキゴキと音を立てて変形。捕食形態を取った神機が空に向かってその
「フッ!」
殺意のこもった
ブチ撒けられた体液と臓器の中から、オレンジ色に輝くコアが転がる。残ったザイゴートの半身は砂のように砕けて散った。
「フウゥゥ……!」
神機から大量の偏食物質が右手から全身を駆け巡っているのか。制服の下からわかるほど無数の血管がミミズ
バーストにより体の底から湧き上がる力。イリアは細く息を吐き、瞳はさらに鋭く、冷たく細めていく。
と、その時。
『イリアさん! 背後からオウガテイルが!!』
背後を回り込んだオウガテイルが、その巨大な尻尾をイリアへ向けて振り下ろした!
しかし彼女は、後ろへ振り返ることもせず、とん、と背中から背後へと飛ぶ。
オウガテイルの攻撃を避け、背中をギリギリで飛び越えながら4回転。着地と同時に――刃に付着したオウガテイルの灰色の体液を振り払った。
ゴガッ!?
遅れてオウガテイルの体が4つに輪切りされる! 紙一重の回避と同時に反撃。完全にオウガテイルの攻撃を見切っていなければできない
だが、オウガテイルはまだ4匹も残っている。
――イリア! 上だ!!
イリアの頭上からとびかかるオウガテイル。イリアは
盾が展開しきる前に、オウガテイルの頭が差し込まれる! 二つの装甲板にオウガテイルの頭が挟まるような
僕は彼女の防御が遅れた結果だと思った。だが――それは違った。
ギギ、ガガガ……ッ!?
ミシミシ、メキメキと辺りに響く破砕音。
オウガテイルの頭部が、
そして。
ブヂィィン!!
肉のはじけ飛ぶ音と金属音が重なり、頭部を破裂させたオウガテイルが噴水のように体液を
と、4体のコクーンメイデンがぐるりと
彼女は僕とそれほど離れていない。つまり、僕と同様にコクーンメイデンに囲まれているわけだ。これはまずい!
――砲撃が来るぞ! そこから離れるんだ!!
しかし。イリアは動かない。
灰色の体液が付着した
ドドドン!
コクーンメイデンからの砲撃! イリアはそれらを盾で受け――そして受け流して見せた。
4方向から来たコクーンメイデンの砲撃は軌道を修正され――対角線上にいる各々へ次々と着弾!!
体の大部分を
強い。あまりにも強すぎる……!
隊長との訓練でかなりの実力者だとは思っていたが、ほぼ一瞬のうちに6体ものアラガミを倒して見せるほどとは……
イリアの
などと思っていると、レインさんからの緊急通信が届く!
『リーダー! 先ほど避難させた男性がまた戻ってきています! 彼の保護を優先してください!!』
背後を振り返ると、砂で汚れた
馬鹿な……どうして!?
いや、考えている
『リーダー! 背後にオウガテイル、接近しています!!』
――くっ!
後ろから
――イリアっ!?
「……」
イリアは僕の声にも応えず、冷酷に、
――イリア……
「あ、あ……す、すみません、私は、その……」
くたびれた表情の中年男性が、申し訳なさそうに頭を下げる。すると、彼の表情が
「うわあっ!! あ、アラガミがっ!?」
残っていた2体のオウガテイルがこちらへ飛びかかろうとしていた。
迎撃するべく神機を構えるイリア。
その時だった。
「いくぞ、リーダーっ!!」
アレックスの声が届く。僕は一瞬の判断で、保護対象の男性とイリアの背を押し、地面に
僕たちを目掛けて飛び掛かるオウガテイル。
しかし――
「うゥうるるるぁああァッッ!!
それは。
全長50メートル以上の巨大な剣が、周囲一帯を
偏食物質をまとった空気の
僕たちへ躍りかかった二体のオウガテイルも斬られ、再生しつつあったコクーンメイデン達も斬られ、頭部を再生し立ち上がったオウガテイルも両断される。
巨大な刃は周辺の建物すら巻き込んだ。
一撃。たったの一撃で、7体ものアラガミの群れを
そんな