ゴッドイーター/レッドストーム   作:アガラちゃん

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【グボログボロ戦】2

「俺が受ける! お前らは回り込め!」

 

 シャアアアッッ!!

 

 グボログボロがアレックス目掛けて突進し、その巨大な(あご)を閉じる!

 

 アレックスは後方へ退()きつつ盾でガード! 牙の一撃は避けたが、そのまま突進され大きく後方へ吹き飛ばされた。

 

 ――イリアっ!!

 

 彼女は僕の意図を理解し、僕たちは無防備なグボログボロの背面(はいめん)(せま)る!

 

 しかし――グボログボロはこちらへ振り向かず、なぜか空に向かって(ひたい)砲塔(ほうとう)を向ける。

 

 すると――ドヴォッ!!

 

 くすんだ緑色の液体を大量に吹き上げた! あれは……?

 

『あれは強酸です! 酸の雨が来ます、頭上を防いでください!!』

 

 酸の雨!? 僕とイリアは即座にシールドで頭上を(おお)う。

 

 そのすぐ後に、レインさんの言った通り周囲に強酸の雨が降り注ぐ!

 

 まるで熱したフライパンに水を(そそ)いだような音と共に、強酸の雨が金属製の路面の一部を溶かし大量の煙が周囲に立ち込めた。

 

『あなた達のブーツは強酸にも耐えられる作りですが、制服はブーツほど酸に強くはありません。また頭部に直撃すれば深刻なダメージを負います! 足元より上は決して酸を浴びないようご注意ください!!』

 

 くっ……この酸の雨が止むまで手出しできないというわけか……!

 

 盾を頭上に(かか)げ続けていると――グボログボロが、素早く反転しジロリとこちらを見据(みす)える。

 

 まさか、こいつっ!!

 

『攻撃が来ます! 避けてくださいリーダーっ!!』

 

 グボログボロがまるで路面を(すべ)るように高速でこちらに突っ込む! 僕は強酸の雨を避けながら後退し、盾を素早く前方へ向けてグボログボロの体当たりを防いだ! 

 

 体当たりの衝撃で強酸の雨が降る領域(りょういき)から脱したが、数滴が肩に落ちたようで、ジュウジュウと嫌な音を立てて制服の一部が()げるように溶けていた……

 

「このっ!!」

 

 雨が落ち切ったタイミングで、イリアがグボログボロへ切り込もうとした。

 

 だが。奴は僕たちが想定していたよりも手ごわい。

 

 すぐにイリアの方へ振り返ると、彼女へ向けて大量の強酸を放出!!

 

「うっ!?」

 

 すんでのところで盾で防ぎ、素早く距離を取るイリア。

 

 僕たちを遠ざけた後、グボログボロは再び頭上へ大量の酸を放出した。

 

 ……決して僕たちを近づかせず、自身の安全を確保したうえで、酸や体当たりの攻撃でジワジワとこちらを(けず)るやり方。これが奴の戦略というわけか……

 

 しかしまずいぞ、放置しつづければいずれ酸で陸橋(りっきょう)腐食(ふしょく)(くず)れる可能性すらある。強酸まみれの瓦礫(がれき)に埋もれてしまえば、致命的なダメージを負いかねない……!

 

「グウッ……!」

 

 歯がみするイリアの瞳に、凶暴な怒りの色が宿(やど)りつつあった。

 

 ――落ち着くんだイリア。(あせ)る必要はない。勝機は必ず来る。

 

「リーダー……ありがとう。わたしは大丈夫……!」

 

「スナイパーは何してんだ!? 今あの野郎にダメージ与えられるのはお前だけだぞ!?」

 

 アレックスの抗議に、襟元(えりもと)の小型スピーカーからカンナの声が届く。

 

『さっきから撃ってるっスよ! でもいくら撃ってもすぐ再生されちゃうんス!! どこか、結合崩壊(けつごうほうかい)でもしてる場所があれば、そこに打ち込んで大ダメージを与えられるのに……!』

 

「……結合崩壊か……」

 

 アレックスは深く息を吐き、やがて決意したように目を大きく見開いた。

 

 

「どの道あの砲塔(ほうとう)をブッ潰さなきゃあ近づくこともできない――リーダー! イリア! 俺があの砲塔をブチ折る! お前らはなんとか野郎の足止めをしてくれ……!!」

 

 そう言うや否や、アレックスは大剣型神機の切っ先を地面に向け、ブレード部分を赤熱(せきねつ)させるほど加熱! あれは大剣型神機特有のギミック、渦空断(かくうだん)だ!

 

 加熱したブレードの周囲に空気の(うず)(まと)わせ、さらにその渦に偏食物質(へんしょくぶっしつ)を含ませることで、切り()められたブレードの先にまるで偏食物質でできた巨大な剣を顕現(けんげん)させる――攻撃までに時間はかかるものの、その威力は絶大。たしかにあれならあの砲塔を潰すことも可能だろう。

 

 しかし、どうやって足止めを行う?

 

 スタングレネードでかく乱するか? いや、この酸の雨による大量の煙の中では使用しても十分な効果を発揮できない。たとえ奴の視力を(うば)うことに成功しても、混乱し大暴れされる恐れもある。そうなればアレックスの一撃を見舞うことがさらに困難になるだろう。

 

 背中のホールドトラップを使うか? いやダメだ。地面の強酸でトラップのワイヤー自体が溶かされる恐れがある。強酸のない場所に仕掛(しか)けて奴をおびき寄せようとすれば、アレックスから離れてしまい彼の攻撃を当てることもできなくなる。

 

 ならばとりうる手段は、神機で直接奴にダメージを与えて動きを抑え込むほかはない。

 

 強酸の雨が止み、奴が再び強酸を降らせるまでのわずかな時間に、大ダメージを与える手段とは……

 

 ……彼女しかいない!

 

 ――イリア! あの技は使える!?

 

「あの技……?」

 

 ――君が支部長の執務室(しつむしつ)で使ったって言ってたアレだ! 音速で、奴を斬ることはできる……!?

 

「……! わかった、やってみる!」

 

 そう言うと、イリアはOC(オラクルキュア)アンプルを取り出し、自らの首筋に打ち込んだ!

 

 OCアンプルは大量の偏食物質によりゴッドイーターの怪我を瞬間的に治癒(ちゆ)できる。しかし、もしも怪我を負っていなければ、そのまま偏食物質による身体の活性化――すなわち、疑似(ぎじ)的な喰能解放(バースト)状態となるのだ。

 

 イリアが盾を展開すると、その盾からネバついた煙がゆっくりと彼女の体を包み込んでいく……

 

 そして、彼女は唱えた。

 

「……アジン……ドゥバ……」

 

 一つ唱えるごとに空気が重く感じた。唱えるごとに彼女の内側から怒りと殺意が膨れ上がる。だが同時に、それらを純然(じゅんぜん)たる闘志と気迫に変換しようとする強靭(きょうじん)な意思の力も感じた。

 

 強酸の雨が降り止んだその瞬間、イリアは臨界点(りんかいてん)まで高めた力を開放する――!

 

「トゥウウリイイイーッッ!!」

 

 刹那。まさに一瞬。

 

 一瞬のうちに、イリアが僕の隣から(はる)か前方へと瞬間的に姿を移し、

 

 グボログボロの左のヒレが切り落とされて宙を舞い、

 

 攻撃が完了したことを認識した瞬間――音と衝撃波が遅れて到来(とうらい)した!

 

 Boooom!!

 

 前方から迫り来る衝撃波を腕でガード。目を細めながら前方を見ると、グボログボロもまた衝撃波に打ちのめされ、陸橋(はし)のコンクリート壁へ叩きつけられてダウンした。

 

 ……以前戦ったティンダロスに引けをとらない、凄まじい威力だ。

 

 のちにあの技は便宜上(べんぎじょう)から“斬響(ざんきょう)”と命名されることになったが、彼女のあの技は今後の戦闘においても重要な切り札となり()そうだ。

 

 ……と、ダウンしていたグボログボロが再び動き出そうとしている。この()を逃してはならない!

 

 僕はヤツの元まで疾走し、残った右ヒレを神機で突き刺し、地面に()()める!

 

 これでしばらく動くことはできない。あとはアレックスの攻撃で砲塔を潰せば――

 

 そう思った、その時だった。

 

 シャアアオオッ!!

 

 邪悪な咆哮(ほうこう)とともに、グボログボロが強引に動き――自らのヒレを僕の神機を使って自切(じせつ)した!

 

 馬鹿な――まずい!

 

『アレックスさん! 敵が来ます! 逃げてっ!!』

 

 左右のヒレを一瞬で再生させ、グボログボロが巨大な(あご)を開きアレックスへ突進!!

 

「く、クソっ――」

 

 渦空断(かくうだん)を振り下ろそうとしていたその瞬間を狙っていたのか。アレックスの攻撃よりも速く、グボログボロの鋭い牙が届く――

 

 瞬間。

 

 カアァァン!!

 

 (かわ)いた音が周囲に響き渡る。

 

 グボログボロの砲塔に、一発の弾丸がめり込んでいた。

 

 ……カンナだ! 彼女の遠距離狙撃によりグボログボロが体を大きくのけぞらせ、一瞬だけ動きを止めたのだ!

 

「っ! そおぉぉこかああっ!!」

 

 そして、アレックスは満身(まんしん)の力を込め、渦空断をヤツの砲塔目掛(めが)けて振り下ろす!!

 

 陸橋(りっきょう)全体を(ふる)わすほどの轟音(ごうおん)と衝撃! グボログボロの砲塔は完全に砕け散っていった。

 

 ……アレックスの一撃もすごいが、真に驚嘆(きょうたん)するべきはカンナだろう。

 

 たった一発だ。複数の弾丸を当ててひるませたわけではない。たった一発の弾丸であのグボログボロの突進を止めて見せたのだ。

 

 適切なタイミングと完璧な角度で撃ち込まなければああはならない。

 

 彼女は狙撃(そげき)のスペシャリスト――いや、天才といっていいかもしれないな――

 

 なんて考えていたら。

 

『むほ~っ!! 見ました今の~!? さっすがカンナちゃん!! 大天才~っ!!』

 

 自画自賛(じがじさん)が極まった誰かさんの浮かれた声がスピーカーに届いた。ああ……()める気なくなっちゃった……

 

「よっしゃ! 行くぜ!!」

 

 アレックスは神機を捕食(ほzほく)形態にし、粉砕されたグボログボロの砲塔の傷口を(えぐ)るように神機の顎口(がっこう)をねじ込んだ!

 

 喰潰(しょくつい)――装甲によって保護していたアラガミの伝播(でんぱ)細胞を大量に食らうことで、アラガミの体を構成する大部分のオラクル細胞のつながりすら寸断(すんだん)。同時に神機から大量分泌される偏食物質(へんしょくぶっしつ)により、グボログボロの体が大きく崩れた!

 

 あふれだす膨大な灰白色(かいはいしょく)の液体。あれはアラガミの体液ではなく、死んだオラクル細胞が流出したものらしい。グボログボロに対し甚大(じんだい)なダメージを与えられた(あかし)といえる。

 

 アラガミは体内のエネルギーが()きない限り、どれだけダメージを与えてもすぐに再生してしまう。足を切り落とそうが頭を(つぶ)そうが、わずかな時間で再生してしまうのだ。

 

 ゆえにアラガミとの戦闘では継戦(けいせん)が重要とされる。再生量を上回る勢いでダメージを与え続け、アラガミ内のエネルギーを枯渇(こかつ)させる。もしもその間にこちらがダメージを負い、OCアンプルや回復(じょう)が尽きてしまったらそこで敗北が決定してしまう……

 

 喰潰は、そんなゴッドイーターの戦闘を一変させる技だ。一撃で致命的とすらいえるダメージを与えることで短期決戦へ仕向けることができる。中型なら2回、大型なら多くて3回喰潰を行うことでアラガミをコアだけ残して(めっ)することができるだろう。

 

 ……しかし。

 

『敵アラガミ、身体を急速再生! これは……!?』

 

 喰潰(しょくつい)を僕達に教えたあの男、ディノは言った。

 

 安全・確実・効率よくアラガミを倒す。そんな夢のような方法はない。

 

 喰潰によって致命的なダメージを負ったアラガミは、危機感からか身体を大きく変貌(へんぼう)させる――以前より手ごわく、さらに攻撃的に……!

 

極大活性化(きょくだいかっせいか)です!! これまでの攻撃パターンとは異なる動きをします! くれぐれもご注意ください!!』

 

 グボログボロは地の底を()うような(うな)り声とともに、その体を大きく変容(へんぼう)させる。

 

 潰れた砲塔の代わりに、屹立(きつりつ)していた巨大な角を前方に倒し、顔の前方に無数のトゲを生やした凶悪な角を形成。そして背面に2対の筒状(つつじょう)の器官――まるでジェットブースターのようなものを生成してみせた。

 

 あの体の形状からいって、先ほどのような強酸を使った攻撃は行わなさそうだ。突進能力をさらに伸ばしたような攻撃方法を行うのかもしれない。

 

 ……背中のホールドトラップの使いどころかもしれないな。

 

 僕がそう考えていた時――オペレーターのレインさんから、予想だにしない報告がもたらされた。

 

『待ってください! 無数の小型アラガミが接近! カンナさん!! 6体のザイゴートがそちらに近づいています!! その場から離れてください!!』

 

『ほげぇっ!? へ、ヘルプ!! ヘルプっスよ~っ!!』

 

「……ザコの相手はそっちでしてろ。こっちはこっちで(いそが)しいんだよ……!」

 

 アレックスが喰潰(しょくつい)の影響でふらつきながら、前方の凶悪な姿に変貌したグボログボロを見据(みす)える。

 

 この場で最も大きな脅威は間違いなくグボログボロだ。アレックスの判断は当然とも思えた。

 

 しかし……僕は知っている。無数の小型アラガミに蹂躙され命を落とした銃型神機使いのことを。

 

 瀬名(せな)さん――もう二度と、彼女のような悲劇を繰り返してはならない!

 

「お、おい! どこ行くんだリーダーっ!?」

 

 ――カンナの援護(えんご)に回る! この場は二人に任せる。それからイリア!!

 

「えっ、なに……?」

 

 僕は背負っていたホールドトラップのケースを彼女へ向かって投げ渡した。

 

 ――多分それはヤツに効く! アレックスの援護を頼む!!

 

「……! わかった、そっちも気を付けて……!」

 

 ――ポチっ!!

 

 僕は神機をオオカミのような形態にし、その背に乗って猛然(もうぜん)疾駆(しっく)した!

 

『ちょっ! な、なんスかこいつらっ!! 撃とうとしたら別方向から(おそ)い掛かってくる!  こ、攻撃するヒマがないっスよっ!!』

 

『カンナさん! 一時退却を!! あなたの神機で近接戦闘は無謀(むぼう)です!!』

 

『逃げるってどこ逃げたらいいんスか~っ!? どこ行っても回り込んでくるっスよ~っ!!』

 

 ……状況はかなり悪いようだ。ここは一気に向こうへ渡らなければ……!

 

 ――ポチ! ()べっ!!

 

 グルアアッ!!

 

 ポチは()えると同時に陸橋(りっきょう)のコンクリート壁を飛び越える!

 

 全身を襲う浮遊感。真下は10メーター近い高さ。そのまま落ちれば大怪我は(まぬが)れない。

 

 しかし!

 

 ――スラストっ!!

 

 僕の声に反応し神機はさらに変形。ザイゴートのコアから獲得した滑空(かっくう)能力だ。

 

 ザイゴートの下部に垂れる白い女性のような部位を思わせる、純白の羽根(はね)状の器官を広げ、さらに柄部(つかぶ)管状(くだじょう)の器官から大量の空気を排出。そうして羽根で風を受けながら飛翔することが可能となるのだ。

 

 しかし飛翔とは優雅(ゆうが)なものでもない――全身が吹っ飛びそうになるほどの風圧! しかし僕は神機を決して手放さず、必死に風を乗りこなす!

 

 すると――見えた! カンナの周囲を囲む茶色い球体状のアラガミ。この勢いのまま切り捨てる!!

 

 ――ポチ! 戻れっ!!

 

 スラスト形態から元の神機(じんき)形態に戻し、僕は急接近するザイゴートを二体、神機の刃で真っ二つに切り裂いた!!

 

 勢いのまま回転する体。背後に迫るコンクリート壁――だが問題はない!

 

 ――テイルっ!!

 

 瞬間、僕の神機からオウガテイルの尾を思わせる白い扁平(へんぺい)な器官が現れ、壁に叩きつけられる衝撃を吸収。反動でバネのように跳躍(ちょうやく)した。

 

 ()んだ先は――もう一体のザイゴート!

 

 グギュアアアっ!!

 

 僕の神機に(つらぬ)かれ、絶命の声を上げて墜落する。残り3体!!

 

 ザイゴートの体を蹴り、神機を再びスラスト形態にする! こちらへ反応する(ひま)すら与えず、神機で二体まとめて両断した。

 

 グオオオッ!!

 

 最後の1匹が巨大な口を開けて正面から襲い掛かって来た! マズイっ!!

 

 シールドを展開しようとしたその時――1発の銃声が周囲を()け抜けた。

 

 カンナだ。体を貫通した弾丸がコアも傷つけたらしく、ザイゴートは空中で砂のように砕け霧散(むさん)した。流石(さすが)の腕前だな。

 

 スラストを駆使して彼女の元に戻ると、カンナがこちらへと走り寄って来た。

 

「い、い、命の恩人さま~っ!!」

 

 顔から涙や鼻水やよだれをダクダクに()らしながら駆け寄るカンナ。ていうか汚いっ!?

 

『リーダーがいてくれて本当によかった……やはり、カンナさんも他の部隊のように近接神機使いに追随(ついずい)するスタイルのほうがよいですね』

 

「うっ……でも、それだといままでみたいに正確に狙撃できないっていうか……」

 

 ばつが悪そうに視線を落とすカンナ。と、彼女の足元に転がっていたザイゴートの死骸(しがい)が目についた。

 

 両断された体の奥から、オレンジ色のコアと――そのコアにへばりつく、赤いヒルのようなものが見て取れた。

 

 寄生型アラガミのウェンディゴ……だとすると、このザイゴートは偶然(ぐうぜん)現れたわけじゃなく、グボログボロとの戦闘に(じょう)じて、僕達から離れていたカンナを狙い奇襲(きしゅう)したということになる。

 

 一体このアラガミはあとどれくらいいるんだろうか? もしも増加を続けているのだとしたらかなり危険だ。他のカテゴリーCアラガミ同様、一気に殲滅(せんめつ)するべきだと思うのだが……

 

『っ! グボログボロの撃破を確認! これで付近のアラガミは全て掃討(そうとう)されました』

 

「えっ!? じゃあミッション終了っスか!? ふい~どっと疲れた~」

 

 ――そうだね。とりあえずザイゴートのコアを回収してから二人に合流しようか。

 

「あっ、まだ一仕事残ってた……リーダーさん真面目っスね……」

 

 メンドくさそうな顔を(かく)そうともしないカンナと共にコアを回収し、僕たちは陸橋(りっきょう)から降りてきた二人を出迎えた。

 

 ――二人とも怪我はない?

 

 イリアが(うなづ)き、空になったホールドトラップのケースを(かか)げてみせた。

 

「うん。リーダーの言ったとおり、トラップで動きを(ふう)じられたから」

 

「トドメを()したのは俺だ……ってことで、コアは俺がもらっていいのか?」

 

 僕とイリアが満場一致で頷くと、「悪いな、サンキュー!」とアレックスは嬉しそうに笑った。

 

「皆さん、神機を強化するのがシュミなんスか? 向上心(こうじょうしん)があるってスバらしいっスね~。うんうん」

 

 素晴らしく他人事のようにうんうん頷くカンナ。あのねえ……

 

「……とりあえずお前、帰ったら説教な?」

 

「なっ!? なんでっスかーっ!? あたしが狙撃したから助かったようなもんじゃないんスか、アレックスさん!?」

 

「それとこれとは話が別だ! 俺らと離れて戦おうとするからザイゴートなんかに囲まれる事態になったんだろうが!」

 

「それとこれとは話は別っスよ~! あんなレアケース二度と起きないっスから!! たまたまっスよたまたまっ!!」

 

 ……こんな感じで、アレックスとカンナは迎えのトラックが来るまで激しく言い争っていた。

 

 それを見ていたイリアが一言。

 

「仲がいいよね。いつの間に仲良しになったんだろ……」

 

 ――それ、絶対二人に言わないほうがいいよ。

 

「……?」

 

 台場(だいば)カンナ。彼女が来てくれたことで、部隊の雰囲気は明るくなったような、やや険悪(けんあく)になったような……

 

 こういう時はどうするべきか。部隊のリーダーがまとめなければならない。つまり僕の仕事だ。ハア……

 

 トラックの車中でも言い争うカンナとアレックスを見て、僕は今後の部隊の未来に頭を抱えそうになった。

 

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