――ぐ、あっ……!!
遅れて、ようやく焼けるような激痛が左足を襲った。
血は出ていなかった。足先が、燃えるアラガミの熱によって
『第一部隊リーダー! すぐに
この足では戦えない。無事にセンタースワンへ戻れれば再生治療を受けることはできるだろう。二度と戦えなくなったわけではない。
しかし問題はそこじゃない。直近であのアラガミから逃れることができるか否かだ。僕が駆けつける前ですら三人は
最悪僕の
――
「でもリーダーっ!」
『リーダーさん!!』
――僕を気にして勝てる相手じゃない!! 行くんだ!!
「……リーダーは簡単に死ぬやつじゃねえ。冷静になれ。奴から注意を引く。それが一番の助けだ」
アレックスの声に、他の二人もようやく納得してくれた。彼には感謝をしなければならないな。
「こっちだバケモン! よそ見してんじゃねえ!!」
攻撃を仕掛けようとするアレックスに反応し、燃えるアラガミが彼へと突進する。するとイリアがアラガミの背後を回り込み、素早く足首へ
しかし――
『じ、神機の
「これは――!?」
『イリアさん! 頭上からアラガミの攻撃です! 回避を!!』
アラガミが巨大な足で踏みつけを行い、地下全体に地響きの
イリアやアレックス、カンナが
――ポチ、僕の切れた足がどこに落ちているか、分かるか……?
神機形態からオオカミの姿に
すると――見つけたようだ、遠く一点を見つめ、小さく
――よし。そこへ僕を連れて行ってくれ……ゆっくりとだ。素早く動くと奴に感づかれる。静かに、僕をその場所へ引きずってくれ……
クウン、とポチは悲しげに鳴き、オオカミ形態のままゆっくりと僕の体をその場所へ連れていってくれた。
未だに切断された足先から
けれど僕はポチの尾のように
そのためには、切断された僕の足を……!
三人がアラガミの注意を引き、さらにポチのおかげで、ようやく僕の足首を見つけることができた。
ブーツの途中から焼き切られたようになっており、周囲に肉と繊維が焼けた嫌な臭いが立ち込めていた。
こんな状態では医者に見せたところで
今信じるべきは医学ではない。人から
『リーダー? 一体なにを……?』
焼けていない肉と骨の断面を確認したあと……覚悟を決め、自分の左足の炭化部分を切り落とす!!
ぐ……っ!!
これまで襲ってきた激痛を超え、さらなる鮮烈な痛みが足先を駆け
おびただしい量の血があふれ、痛みと血で視界が
『何を! なにをしているんですかリーダーっ!!』
一瞬気が遠くなりかけたが、レインさんの声で再び意識がハッキリとする。震える指先で、血のりで
『ま、まさか……足をくっつけるつもりですか!? OCアンプルの身体回復で!? 無茶です!! そんなことを行った事例はこれまで存在しません!!』
――無茶でもなんでも、やらなければ生き残れない……生きるためには、今戦わなければならないっ!!
僕は自分の首筋の動脈へOCアンプルの針を突き立て、親指で
同時に――再び激烈な痛みが足首を駆けあがる! 左足から伸びた血管が切れた足首へと
…………っっ!!
僕は
今も三人が必死に戦っている。みっともない声で彼らの集中を
『……すごい。足が……再生していく……!』
痛みを必死にこらえつつも、僕は敵のアラガミについて考えを
アラガミは……常にエネルギーに飢え、炎や熱、電磁波などを発生させる機器を喰らおうとする存在。
ならば奴はなんだ? なぜ自ら炎を
奴の身体は、体内は、神機の刃すら溶かすほどの高熱……
体の内部に、ありえないほどの高熱を放つ何かを取り込んでいる、のか……?
痛みの波が、
おそるおそる手を離すと、足首に切断面はなく、焼けたブーツと制服の間から、やけど一つない肌が見て取れた。どうやら完全に
『リーダー、足は問題なく動きますか?』
僕は返答代わりに、ゆっくりと立ち上がってみせた。
焼けたブーツの
――
『気をつけてください、リーダー!』
僕は神機を
「リーダーっ!!」
『リーダーさん!!』
「へっ、お前には驚かされっぱなしだ。早速活躍してくれよ!!」
三人からの喜びの声にすこしだけ
グオオオォォオオオ!!
炎のアラガミが
すると――手のひらから光があふれ、次の瞬間、
僕はすばやく地面を転がり直撃を避け、さらに
さらにもう一方の手を広げ、アラガミは
僕は必死に避けながら、敵の攻撃の
この動き――大量の炎で焼き払おうとしているわけじゃない――これは、炎で
目の前で炎が
グオオゥゥッ!!
左右の炎を割って、燃える巨人の両腕が現れた!!
――クッ!!
逃げる
同時に
全身を押し付ける炎のアラガミの腕が、
くそ、諦めるな。ここから逃げ延びる方法を考え抜け。何か方法はあるはずだ。何か――!
いよいよ体が耐えきれなくなるほどの熱に襲われた、その時だった。
Booooom!!
凄まじい衝撃波にアラガミの巨大な両腕が
ぐらつく視界の中で見たのは――イリア。
彼女がバースト時に使用できる大技、“
しかし――
だが、あの状態ではしばらく戦うことはできない。
そして、彼女の奥の手をもってしても、アラガミによるホールドを解くことはできなかった。
『そこっスねイリアさん! 集中してブチ込むっス!!』
スピーカーから鋭いカンナの声が届き、音速を超えた無数の狙撃弾が燃えるアラガミの手首を
グウウォォ!!
痛みによるものか、アラガミがその巨体をゆらす。同時に僕を押さえつける力がわずかに弱まった――ここだ!!
僕は盾の
……同時に僕の神機の刀身も、あのアラガミの内部の熱でドロドロに溶かされてしまった。頭上から
僕と同じく地面へ降り立ち距離を取るイリア。
彼女のすぐ後ろに――大剣を肩で
あの様子。あれは――
『右手の手首っスよアレックスさん!』
「わかってる! 食らええっ!!」
加熱した空気の
グボログボロによって強化された彼の神機からは、さらにあのアラガミの溶解液すら混じる。アラガミの細胞を殺しさらに溶かし
ググゴオオゥゥッ……!
切断された右手首を左手で押さえるような格好で、炎の巨人が
灼熱の体液はやがて冷え、他のアラガミ同様に
「そこだっ!!」
巨人のアラガミの右腕、その傷口へ向かい、アレックスが神機の
グガオオオオウゥ!!
一方アレックスは、神機が大量のオラクル細胞を捕食することで
『……すごい。勝てる! このままいけば勝てるっスよ!!』
スピーカー越しにカンナの歓喜の声が届いた。
だが。
「…………まだだ」
体の底から
その時、あの巨人のアラガミの表皮に再び炎が
以前よりもさらに高温の――青い炎が……!
『あ、あ……』
巨人のアラガミがゆらりと立つ。
……いや違う。
両足が、立ち上がったと思った瞬間、ぐずりと
同時に残っていた左腕すら切り落とされる。
あの器官は――バーニア……!?
『て、敵、大型アラガミ……
空中に浮かび青い炎を
その胸の中心部に
胸の白熱球体が変形した。
それは矢じりのごとく。
それはまさにヴァイオリンの弓のごとく。
音もなく、鹿の骸骨から伸びる