ゴッドイーター/レッドストーム   作:アガラちゃん

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※主人公視点と第三者視点が混ざる構成となっています。
ちょっと読みにくい感じになってます。文字数とか調整したらこんな感じに。上手く調整できずほんとに申し訳ねえっス。


【決意の朝】

 早朝7時。迎撃ポイントに到達すると、そこでは目覚めたての陽光が明るく出迎え、雲一つない薄いブルーの空がどこまでも透き通るように広がっていた。

 

 けれど僕の胸が晴れることはなかった。刻一刻と近づく戦いの気配。胃に鉛でも流し込まれたかのように重圧が増し、キリキリと痛みすら覚える。

 

このまま何事も起こらず帰還することができればと、この期に及んでそんな事を考えている自分がいた。

 

『相手の狙いは、まず先遣隊(せんけんたい)としてゴッドイーターの部隊を投入し、周辺の露払(つゆばら)いとかく乱による侵攻の下地(したぢ)作りを行うことです。その後移動要塞をこの第二支部へ突入させ、要塞内部から本隊を投下。一気に司令部を陥落(かんらく)、掌握(しょうあく)することであると思われます』

 

 ――レインさん。その、先遣隊はすでに出ているんですか……?

 

『……ええ。捕捉(ほそく)しております。このままそこに留まれば、相手部隊と会敵(かいてき)することが予想されます』

 

 アレックスとイリアは重く沈黙し、カンナも1キロ以上離れた崩壊したビルの屋上で、マイク越しに深いため息のみを口にする。

 

 ……やはり、戦いは避けられないらしい。

 

 ならば、できることは戦い抜くことだけだ。僕は改めて自分の神機を構えなおし、戦いの決意を固めた。

 

 はるか遠くに、四角く黒い構造物が小さく見えた。あれが例の移動要塞なのか……吹き付ける風。細かな砂の粒子に目を細めつつ、敵の襲来をじりじりと待つ。

 

『万が一、あなた達が敵の部隊の前進を許してしまったとしても、支部周辺はフリード大尉を含めた非ゴッドイーターの部隊や、二等兵以下のゴッドイーター達が展開しております。部隊壊滅の危機となれば、迷わず後退を。たとえあなた達が退(ひ)いても負けることはありません』

 

 僕達を勇気づけるように、レインさんが力強くそう言った。

 

 そこで、口を真一文字に結んでいたアレックスが疑問を述べる。

 

「先遣隊への対策はわかった。けどよ……本丸の移動要塞はどうするんだよ? アレの進行を止めなきゃ、街の連中が大勢犠牲になっちまうぞ……」

 

『その点については問題ございません。対処についてはうかがっております』

 

 ――その方法とは?

 

 続くレインさんの言葉に、僕達四人は驚愕する。

 

『……第二支部内に秘匿(ひとく)されていた、対巨体アラガミ用荷電偏食(かでんへんしょく)粒子砲を用いる、とのことです』

 

 

◆◆◆

 

 

『……繰り返します。本日午前7時20分に、支部内全域における送電を緊急停止いたします。直ちに安全な屋内へ避難してください。無暗に外へ出ること、窓へ近づくことを禁止いたします。生命維持装置等の使用が必要な医療機関は、直ちに予備電源へ――』

 

 けたたましいサイレン音と共に支部内へ流される物騒なアナウンスを聞きながら、エリオット支部長は管制室から第二支部の主砲が展開される様子を見守る。

 

 センタースワンの施設へ続く、芝生の敷かれた広大なエリア。その地面が突如として二つに割れ、太い2本の柱からなる巨大なレールが、地下から地響きと共に伸びていく

 

 実に100メーター近い高さまで伸びた後、地下からさらなる威容(いよう)が姿を現す。巨大な機の根のごとく無数のコードに繋がれた、暗灰(あんかい)色の砲塔(ほうとう)。

 

 重厚な金属同士が打ち鳴らされる轟音を響かせながら、砲塔はレールの上を上昇。高さを微調整したあと、ギシギシと音を立て、ゆっくりと砲口が前方へ傾き、目標へと狙いを定めた。

 

『よろしかったのですか? 切り札であるアレを見せてしまっても?』

 

 エル支部長の耳に無線の声が届く。声を掛けたのは、彼のSPであるスミスだ。

 

「……構わん。肝心な時に使えぬ切り札になどなんの意味もない。それよりも準備はいいな? 間もなく発射する」

 

『すでにディノと共に配置についております。“伏(ふ)せ”の部隊もすでに展開を完了したとのことです』

 

「よろしい。戦艦の沈黙を確認後、速やかに作戦を開始しろ」

 

 通信を切ると、管制室前方からドクター・QOの困惑した声が届いた。

 

「あ、あの~、な、なぜ吾輩が主砲の発射などという大役に抜擢(ばってき)されたのでしょうか……?」

 

「仕方ないだろう。僕ではその椅子に足が届かない」

 

「な、なるほど……それはまたやんごとなき理由で……まあしかし滅多にない経験! 吾輩の脳細胞も新鮮な感覚に打ち震えておりますよ!!」

 

「それは結構。照準はこちらで定める。君は前方のレバーを引くだけでいい」

 

 管制室前方には、望遠カメラによる移動要塞の様子が大きく映し出されている。映像には動力部の想定位置も表示され、主砲の標準がゆっくりとそれに合わさった。

 

「誤差修正! 進路予測に基づく補正完了! いつでも撃てます!」

 

「注入電圧の状態はどうか?」

 

「98%を維持! 粒子加速用ジェネレーター、飽和点(ほうわてん)に達しました!!」

 

「よろしい」

 

 職員からの報告、表示されるデータを全て確認し、エル支部長は静かに、命令を下した。

 

「――ドクター、撃て」

 

「うははっ! 興奮の一撃っ! 参りますっ!!」

 

 ドクターが意気揚々とレバーを引いた。

 

 主砲の砲口に一瞬、白いスパークが走る。瞬間。

 

 CRAAAAAAASH!!

 

 赤黒く輝く邪悪な光条(レーザー)が、清浄なる青い空を真っ二つに切り裂き放出された。

 

 空気分子との衝突により落雷のごとく轟音が弾け、ガラス窓が大きく揺れ避難中の人々が悲鳴を上げた。

 

 進行方向の空気をプラズマ化させ発光。あらゆる分子構造を破断させ蒸発霧散(むさん)させる圧倒的な破壊の熱線。

 

 使用される粒子に偏食皮膜(へんしょくひまく)を用いることで、ウロヴォロス級の超巨大アラガミすら理論上はエネルギーを食わせることなく一撃で消し飛ばし、散ったオラクル細胞一つ一つまで殺傷せしめる、まさしく“死の光”といえる光線兵器である。

 

 荷電偏食粒子砲の光は一瞬の内に移動要塞へ着弾。幾層(いくそう)にもなる防壁をバターのごとく溶かし、動力炉を撃ち抜き、巨大な移動要塞を一直線に貫(つらぬ)いて行った。

 

 その結果――

 

「……い、移動要塞……沈黙! 完全停止しました!!」

 

「無事動力炉を潰せたな。速やかに次フェーズに移れ。スミス!」

 

『戦艦の行動不能をこちらでも確認。これよりインスマス支部長の斬首作戦を実行します』

 

 無線から冷静な声がそう応え、エル支部長はたった二人の強襲部隊が移動要塞へ乗り込む様を、ビーコンの発する動きから静かに見守っていた。

 

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