完全に名前負けのザコ化してるんですよね。ゲームや小説の扱いも……
「はあっ!!」
スサノオの尾の攻撃をかわし、素早く敵の
だがスサノオはそれを察知し、口内を両腕の捕食口でガードしながら急速に突進!
「うぅっ!」
イリアはシールドを張りつつ背後へ跳び、巨大質量からくる突進攻撃の暴威を防いで見せた。
だが後ろへ大きく弾き飛ばされたことで、彼女の攻撃レンジから大きく外れる。それは巨大な尾部を有するスサノオにとって、安全圏から一方的に攻撃できる的に等しい。
後方へ飛ばされたイリアに向けてさらなる追撃を放とうとするスサノオ。その背後からアレックスが大剣を振るった。
「
スサノオは動かない。背後すら
「く、っっそぉ!!」
まるでガトリング砲の
圧倒的な
ならば!
僕は神機をグレネード型に変形!
ドオゥッ!
大きなダメージは与えられていない。だが、唐突に足元が炸裂したことで、流石のスサノオも警戒し動きを止めた。
そうだ。はじめから有効打を与えられるとは思っていない!
榴弾が巻き起こした砂煙にまぎれ、僕はスサノオの脚の間に転がり込み、攻撃の届かない真下へとたどり着いた。
敵の動きに合わせて攻撃を仕掛ける。もし奴が前方へ走ればその尾部へ神機を叩き込む。後退したなら弱点の口内へ向けて神機を突き入れるつもりだった。
しかし。この時僕はまだ、スサノオの実力を甘く見積もっていた――
奴はその巨体に見合わぬ身軽さで宙へ跳ね、同時に身をひねって巨大な尾の一撃を真下の僕へ放ったのだ!
――くっ!!
僕は一瞬の判断で地面を転がり、間一髪で攻撃を避けた。同時に尾部が地面へ叩き込まれた衝撃と、弾丸のような勢いで全身へ降り注ぐ砂粒が、先ほどの攻撃の威力のほどをまざまざと伝えてくれる。
神機のシールドで防げるような代物ではない。直撃していたなら、間違いなくミンチと化していただろう……
『このおっ!』
カンナからの狙撃弾が再びスサノオの口内を貫く! しかし今度はスサノオは
『……へっ?』
『カンナさん! 敵からの攻撃が来ます! すぐにその場を離れて!!』
『う、うそ~っ!?』
瞬間、尾部の先から紫色のオラクル弾が射出! スピーカーの先から着弾の爆発音と、それから逃げ延びたカンナの「ほんぎゃー!」という間の抜けた悲鳴が届いた。
……数キロ先に陣取っていたカンナにまで届く攻撃を放つとは。強い……!
これが、
「ふっ!!」
力強い意志のこもった声。態勢を立て直したイリアが、単身スサノオへ向かっていた!
シャアアアアアアッ!!
もはやアラガミに心まで乗っ取られたのか。スサノオは先ほどの人語ではなく、邪悪な
両手の凶悪な捕食口の
イリアは素早く回避するが、それでもスサノオは彼女の体に
「……」
しかし。イリアはすでにスサノオの攻撃パターンを見切りつつあった。
両腕の捕食口の攻撃を紙一重でかわし――同時に、その両腕へ短剣型神機を一閃。灰白色の体液を噴出させ、両腕の捕食口が悲鳴を上げた。
ジャアアウウウウッ!
たまらずスサノオが飛び
だがイリアはその攻撃すら見切っていた。わずかに身を沈めて頭上から来る尾の攻撃を避け、グンと身を起こす勢いを乗せて突進!
「す、すげえ……!」
アレックスが呆然と
もしかするとこのまま彼女一人でスサノオを倒せるかもしれない。
そんな僕の淡い期待は――次の一瞬で
「がっ……!?」
突如。イリアが驚愕の声を上げ、その場に倒れてしまったのだ。
スサノオは追撃を行っていない。ただ、尻尾を地面に突き刺したまま、微動だにしていない。
尻尾の先からまるでオーラのように毒々しい紫色の
イリアは地面に
僕は息を大きく吸い、息を止めて彼女の元へ走った!
すぐにっ気を失った彼女を抱え、安全圏まで脱するつもりだった。
しかし。
――ぐあっ……!?
彼女の元へ急ぐ僕の体を、稲妻のような激痛が走った!
馬鹿な……呼吸を止めていたのに……この痛みは、やはりあの紫色の――
視界が揺らぎ、一瞬の内にブラックアウトする。
イリアへ伸ばした手は、彼女に届くことなく、体と一緒に地面へ落ちた。
『――リーダー……しっかり……リー……』
レインさんの声が次第に遠ざかっていく。
戦わなければならない。立って仲間を助けなければならない。
ゆるぎない闘志はしかし、深く暗い無意識の深海へと沈みこんで行った……
………………
…………
……
「……い、しっかりしろ……早く……!」
声。アレックスの声。
「起きろ! リーダー!!」
必死に呼びかけるその声に、僕の意識は急速に浮上した!
――っっ……!!
神機を手に素早く跳ね起きる!
周囲を見回す。そばに居るのはアレックス。いまだに意識が戻らないイリア。
遠くには、ぐるぐると回りながら幻惑されたかのように何もない場所を攻撃しつづけるスサノオと、破裂したスタングレネードの
そうか……アレックスがスタングレネードを使い、スサノオの視力と聴力を一時的に奪ったのだ。となると、意識を失ってからそう時間は経っていない。奴が回復するまでなんとか態勢を立て直さないと……!
僕は力を振り絞り、震える
「オイ大丈夫か!? 急に意識を失ったように見えたが、何があった!?」
僕は状況を整理するべく、ぐらつく頭を支えようと右手で
その瞬間――手で触れた場所に、ふたたび激痛が迸った!
うぐっ……これは、もしかして……!
慎重に頬に触れる、指先にざらつく感触と、思わず顔をしかめるほどの痛みが走る。この感じ、産毛のように小さく抜けやすいトゲの生えたウチワサボテンに触った感じに似ている。
……そうか。スサノオの尾の先から発せられた紫色の
刺さると即座に意識を刈り取るほどの激痛をもたらす毒……! しかも煙のように周囲を漂うそれを、防ぐ手段はない。もしまた尾の攻撃と同時に放たれれば、再び無様に意識を奪われてしまうだろう。
防御および回避も不可、気絶必至の攻撃を放つ敵。一体どうやって戦う……?
「どうした!? なんかの毒でも食らったのか? 俺がお前らに近づいた時、強烈な痛みがあったが、それか!?」
な……!?
アレックスの発言に
彼が僕らに近づいた時、強い痛みを感じた。それは僕達を気絶させるほどの毒針を彼も受けたことを意味する。
ではなぜ、彼は平然とその場に立っていられるんだ……?
「……どうした?」
毒。激痛をもたらす毒。それがどんな種類のものかはわからない。
僕とイリアを気絶させるほどの痛みを、アレックスに与えなかった理由とは?
風で拡散されたから僕達ほど毒針を浴びなかった? いや、風がほとんど吹いていないこの場所で、それは考えづらい。
体格の差か? アレックスは確かに身長が高く体も大きいが――それでも足元がふらつくこともなく、いつも通りに平然と立っているほどの症状の差を、体格ひとつで片づけるのは無理がある。
僕達と彼の違い――神機、か?
彼の持つ神機――
熱で効力を失う毒――つまりそれは、タンパク質由来の毒素なのかもしれない。タンパク質は高温で
あの毒針がある限り、僕やイリアでは近づくことすらできない。スサノオを倒すには、唯一毒針を無効化できる、アレックスを軸とした作戦を組む必要があるだろう。
しかしその時、周囲を無差別に攻撃していたスサノオの動きが止まる。
視力および聴力が回復したのだろう、素早く僕達の方角を見ると、攻撃を仕掛けるべく突進してくる!
イリアの意識はまだ戻っていない。このまま近寄らせるわけにはいかない!
――アレックス!
僕は神機のトリガーを引き、長剣からグレネード型に変形させる。
――僕が援護をする! イリアの意識が戻るまで、奴を抑えてくれ!!
「それはいいが、お前達を気絶させたアイツの技は――」
――君なら問題ない! 現に君は僕達と同じ技を食らっても気絶しなかった! ここで奴とまともに戦えるのは君だけだ!! 頼む!!
「……わかった! イリアを頼むぜ、リーダー!!」
アレックスは力強い言葉と共に、突進するスサノオへと