選択と責任、その先にあるもの   作:アイル123321

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プロローグ

「……これから、どうしよっかなー」

 

思わず口から零れた独り言は、やけに軽かった。

自分でも驚くくらいに。

 

俺は今、住んでいた街を離れている。

幸い、一人暮らしだったから荷物は少ない。

最低限の服と、必要な物だけを鞄に詰めて、あとは出てきただけだ。

 

——それにしても、なんでこんなことになったんだろうな。

 

 

俺、朝霧 恒一(あさぎり こういち)は戦車の駒で転生した悪魔だ。

リアス・グレモリーを主とする、グレモリー眷属の一人だった。

 

ある日、ライザー・フェニックスという男が現れた。

リアス部長の“婚約者”だという。

 

結婚したいライザー。

今は結婚したくない、少なくとも人間界の大学を卒業するまでは待ってほしいというリアス部長。

 

互いの主張を通すために選ばれたのが、レーティングゲーム。

悪魔同士の、正式な決闘だ。

 

俺たちは……負けた。

結果として、リアス部長とライザーは結婚することになり、

俺たちはその結婚式に参加していた。

 

——そこまでは、話の通りだった。

 

問題は、その先だ。

 

式の最中、兵藤一誠が突然暴れ出した。

それを合図にしたみたいに、他の眷属たちも次々と動き始めた。

俺は嫌な予感を抱えたまま、一誠の元へ向かった。

 

「何やってるんだよ一誠、やめろ!」

 

「恒一!お前はこれでいいのかよ!?

部長があんな顔して悲しんでるんだぞ!」

 

……言いたいことは、分かる。

分かるからこそ、腹が立った。

 

「気持ちは分かる。けど、あれは勝負の結果だろ。

受け入れるべきだ」

 

「なんでだよ恒一!

……いや、今は時間がない。

お前を倒してでも、俺は進むぞ!」

 

その言葉に、俺の中で何かが切れた。

 

「リアス部長はな、

結婚したくないって主張を通すために、レーティングゲームに臨んだんだ!」

 

一歩、前に出る。

 

「そして負けた。

だから、ライザーの“結婚したい”って主張が通ったんだ!」

 

胸の奥が、ひりつく。

 

「自分の選択に責任を持つ。

……なんで、これだけのことが分かんねえんだよ、一誠!!」

 

俺と一誠がぶつかる——その直前だった。

 

「一誠くん、ここは任せて。君は先に行きなよ」

 

木場の声が割って入る。

 

「木場……!

わかった、ありがとう!」

 

「待て、まだ話は——ッ!」

 

「先輩の相手は、私がします」

 

横から小猫ちゃんが殴りかかってきた。

 

「小猫……!

木場も、なんで分からないんだ!」

 

木場は、少し困ったように笑った。

 

「恒一くん……残念だよ。

こんなところで、君と戦うことになるなんて」

 

「先輩の言ってることが、分からないわけじゃないです。

でも……それ以上に、部長を助けたいんです」

 

二人に怪我をさせたいわけじゃなかった。

だから、全力で戦うこともできなかった。

 

そして気づいたときには、

ライザーは一誠に敗れていて、結婚の話はなかったことになっていた。

 

……結果として、俺だけが取り残された。

 

他の眷属との間にできた、埋まらない溝。

気まずさ。

考え方の違い。

それに耐えきれず、俺は街を出て、はぐれ悪魔となった。

誰にも会いたくなくて、帰ってすぐに荷物をまとめて出てきたから、計画なんてものはない。

 

 

「……これから、どうしよっかなー」

 

そう呟いて、俺は歩き出した。

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