謎生物を拾ったんだが   作:異形に性癖を破壊されし男

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ついに10話突破!

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私を侵す毒

 

私の初キスから数週間が経つ。あれから私は高校の入学式を迎え、花の高校生となった。といっても特になにか部活に入ることはない。昔から私は帰宅部を貫いているのだ。ただいま、と学校から帰るとアゲハが出迎えてくれた。まるで夫の帰りを待つ主婦のように。

 

アゲハの料理の腕はみるみる上達しており、今では私なんかよりも上だ。たまに変な味がすることもあるが、別に料理が得意なわけではない私にとっては良く分からないものだ。何か隠し味か何かでも入れているのだろうか。前はアゲハに味覚がないんじゃないかと思っていたが、もしかしたらこれは間違いなのかもしれない。もしかしたら単にアゲハが味に無頓着だった可能性もあるが、レシピなどから大体の予想を立てて作っている可能性もある。まあ、私が気にすることではないだろう。アゲハに食事の感謝を伝えると、アゲハはとても満足げに微笑んだ。

 

食事を終えて2人でソファーに座ってテレビを見る。最近は物騒なニュースばかりで少し不安だ。噂では『連邦生徒会長』とかいう人が失踪しただとかなんとか。テレビのチャンネルを変えると丁度恋愛ドラマ的なものが流れていた。特に見たいものもないのでボーっとそれを眺めていると、アゲハが私の事を見つめていることに気付いた。アゲハを見るとアゲハは私の頬に手を添える。私はなにもせずただアゲハがそれをするのを待つだけだ。そのまま私たちの顔は近付いていき、私とアゲハの唇が重なる。それから数秒程私たちは唇を重ね合わせたままだった。別によくあるR18同人誌のような舌を絡め合わせるものではなく、ただ唇を重ね合わせるだけのものだった。唇が離れると、アゲハはこちらを見て微笑んでいる。私はその微笑みがなんとも嬉しく感じてしまった。本来ならばこういうことは自制してアゲハにもあまりやるべきではないと教えるべきなのだろうが、私にはそれが出来なかった。私は最近アゲハに助けられてばかりだ。仮にアゲハが私を必要としなくなっても、アゲハは1人で生きられるだろう。だから私はもしアゲハの機嫌を損ねて、アゲハが居なくなってしまったらという事を恐れている。それに私自身もこの行為に甘美なものを感じてしまっているため、拒絶できないというところもある。

 

アゲハとのコミュニケーションを試してきて分かったことはアゲハにコミュニケーションをとる意思がないことだ。少なくとも文字の意味などは理解しているはずなのに、アゲハは私が筆談などをしてみても、文字を書かせてみても、アゲハは意味が分からないとでも言うようなリアクションしかしてこない。YesかNoかもまるで分からない、微塵も理解していないような反応を見せた。この事からアゲハはこちらに意思を『伝える術がない』のではなく『伝える気がない』のだろう。アゲハが他の生物とは異なる精神構造を抱えている可能性がある以上確かということは出来ないし、これはあくまでも私のようなど素人が試したことなので、まだ別の術も残っているのかもしれないが、この答えに私は確かな確信を持ってしまっていた。

 

私はこれからどうすれば良いのだろうか。このままアゲハの行動を受け入れ続けるのか。アゲハの成長はきっとまだ続いている。体の変化は停滞しているが、これで終わりだとは到底思えない。それに前までは私がアゲハの主導権を握っているつもりだったが、今ではそれもアゲハの手のひらで踊らされていたのかもしれない。最近の私は完全にアゲハに主導権を握られている。きっとこれは良くないことだろう。だからといって、アゲハを拘束したり、追い出したり、物理的な干渉で答えを求めたりする勇気は私にはない。それをすればアゲハはどう反応するか。私にはそれが恐ろしくてたまらない。アゲハが暴れたりするなどという未知に恐れていると思い込みたいが、きっとそれは違うのだろう。私はアゲハに嫌われたくないのだ。アゲハが私に与えてくれるものが手放せない。きっとこれは本来なら誰でも持っている物なのだろうが私は前世、それを貰うことが出来なかった。誰からも。だから知った、知ってしまったこの感覚をもう二度と手放すことは出来ない。だってこんなにも優しく、暖かく、甘いものを手放すなんて誰が出来るだろうか。

 

きっともう私はアゲハという毒に侵されている。しかし、それはとても甘美な毒だ。

 




堕ちたな。(確信)
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