謎生物を拾ったんだが 作:異形に性癖を破壊されし男
アゲハとのベッド騒動からまた数週間。今日はクリスマスイブだ。どのお店もクリスマスを取り上げている。前世ではクリスマスなんて気にしたこと無かった。気にする余裕もなかったし、そもそも祝う金も仲間もいなかったのだから。
クリスマスの装飾が目立ち、キラキラとした学校からの帰り道を歩く。終業式が終わって明日から学校は冬休みとなる。思えば早い1年だった。アゲハと出会ってからか、こんなにも早く感じたのは。案外私は楽しかったのかもしれない。そんなことを考えながら道を歩いているとあるものが目に留まった。せっかくのクリスマスだ。買って行こう。
「ただいま~」
家の鍵を開けて玄関に入る。荷物を自室へ置こうと自分の部屋の扉を開けるとアゲハが私のパソコンをいじっていた。いじっていたといってもどうやら適当にマウスをクリックしたりキーボードを叩いたりしていただけであり、恐らくおもちゃにして遊んでいたのだろう。しかし、アゲハがパソコンを使えることが分かったのは良いことだ。もしかすれば彼女のしたいことなどが分かるかもしれない。
ここ最近のアゲハはほんの少しではあるが、表情の変化が見て取れるようになった。『驚き』や『不思議』といった感情が顔に表れるようになった。以前の無表情の時よりもずっと人間に近づいたと思った。アゲハの表情の変化によって多少なりともアゲハの思っていることが分かるようになったのはありがたいことだ。このままもっと表情の変化が大きくなればコミュニケーションもとりやすくなるし、アゲハの求めることも分かりやすくなるだろう。
時間的にそろそろ夕食の準備をしようとキッチンに向かうとアゲハに止められた。最初は構って欲しいのかと思ったが、アゲハは私を食卓の椅子へと座らせるとキッチンに向かった。どうやら夕食の準備をやってくれるらしい。私も手伝おうと椅子を立つも、アゲハは少しムッとした顔をして私を椅子に座らせる。どうやらどうしても一人でやりたいようだが、私としてはアゲハが怪我をしないか近くで見守りたいところである。そわそわしつつ座って待っているとアゲハが夕食を食卓に並べた。メニューは私が良く作っている野菜炒めだ。
「いただきます」
そう言って私は夕食を食べる。私も食べるとアゲハも食べ始めた。2人で静かに食事を行う。味に関しては…なんと言えば良いのだろうか。しいて言えば初めて作ったにしては悪くない、と言っておこう。でも、良い意味で忘れられない気がする。それにしてもアゲハが料理することが出来ると言うのはすごい発見だ。少なくとも調理器具や火を扱うことが出来るということなのだから。
「ごちそうさまでした。ありがとう、アゲハ。ご飯作ってくれて。」
私はアゲハにお礼を言う。味はアレだが素直に言うと作ってくれたことが嬉しかった。というよりも誰かの手料理を食べたのは初めてかもしれない。お礼を聞いたのかアゲハは少しばかり微笑んだ。
夕食後にソファーでテレビを見ていると、アゲハが急にスキンシップをとってきた。私の隣に密着して座り、そっと腕を絡めて、引き寄せてきた。私がアゲハの顔を見ると、上目遣いでしとやかに微笑むアゲハの姿があった。ドキッ、と私の心臓が跳ねる音が聞こえる。このときのアゲハの姿は以前のような動物や子供のような感じではなく、極めて妖艶で女性的に私の目に映った。自分でも顔が赤くなっているのが分かる。もうテレビを見るどころではない。しかしアゲハはそこで終わること無く、今度は私の肩に頭を乗せる。丁度私の肩がアゲハの頭を乗せるには私の肩は丁度良い高さであった。チラリとアゲハの方を見る。するとアゲハと目があった。アゲハのその紅い瞳から私は目を離せなかった。アゲハの妖艶な瞳にまるで吸い込まれてしまいそうな感覚がした。ドキッ、ドキッ、と私の心臓は大きく跳ね続けている。
「はぁっはぁっ…」
私自身の荒い息づかいが聞こえる。まるで獲物を前に興奮した野獣のような荒い息づかいが。それを感じたのか、アゲハはさらに腕を絡ませて私に密着する。アゲハの目を私は誘っているのではないかと思ってしまう。私はアゲハの妖艶な瞳に完全に魅入られてしまっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……あっ。」
どうやら脳がキャパオーバーを起こしたらしい。私の意識はぼんやりとなっていく。ポタポタ、と私の鼻からなにかが流れる。興奮しすぎて鼻血を出してしまったらしい。最後に私が見たのは驚いたように目を見開くアゲハの姿だった。
「………んぅ?」
私は目を覚ます。目覚めるとベッドの上にいた。隣にはアゲハが寝ており、どうやらあのまま介抱されていたようだ。昨日の事は少し恥ずかしい。きっとアゲハにそんなつもりはなかったのだろう。私が起きるとすぐにアゲハも起きてきた。
「おはよう、アゲハ。」
アゲハは微笑みで返事をする。朝日が昇っているのを見るにどうやら次の日のようだ。ならば昨日買ったアレを渡すとしよう。私は早速買ってきたものをバッグから取り出してアゲハの目の前に差し出す。それはキラキラとしたアゲハ蝶が飾りについている髪飾り。
「これ、クリスマスプレゼント。」
着けて良いかとアゲハに聞くと微笑まれたので私はアゲハに髪飾りを着けた。それはアゲハの紫の髪色に良く似合うものであった。
「似合ってる。綺麗だね、アゲハ。」
アゲハは今までで一番大きく微笑んだ。
なんかちょっと無理矢理感がある気がする。
すいませんが明日から実家に帰るので小説投稿は休むと思います。皆さん良いお年を!
アンケートは1月4日終了予定です。