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『確かに今まで私はアンタに勝ったことはないし、未だにどんな力を持っているのかすら分からないけど……今回ばかりは負けるわけにはいかない。だからアンタも本気で来なさい。さもないと……死ぬわよ!!』
『———俺は、お前とは戦わない』
『……は? アンタ本当に馬鹿じゃないの!?私にはもう他に道なんてない。無抵抗だろうと邪魔するなら撃ち抜くわよッ!!』
『それでも———戦わない』
『———ッ!! ざっけんなッ!! 戦う気があるなら拳を握れ!! 戦う気がないなら立ち塞がるな!! 半端な気持ちで人の願い踏み躙ってんじゃないわよッッッ!!』
『———』
『戦えって……言ってんのよぉぉぉぉ!!!——–ッ!?』
『うッ……グッ……!!』
『……これで分かったでしょ?私は本気でアンタを———ぁっ……ぇっ……なんで……』
『言っただろう……お前とは……戦わない……』
『どうして……どうしてよっ!? こんなイかれた実験、間違ってるって分かってるでしょう!? それをやめさせようってんじゃない!! 何で止めるのよっ!!』
『……あぁ、間違ってる。こんなもんの為に、誰かが傷つくなんて……』
『だったらっ!!』
『けど、お前のやり方じゃ、お前が救われない……』
『……ッ!!』
『だから……どかない』
『……何を言ってんのよ? 私には……今更そんな言葉をかけてもらえる資格は無いんだから……仮に、誰もが笑っていられる幸せな世界があったとしても……そこに私の居場所なんか無いんだからッ!!』
『それで……残された妹達がお前に感謝するとでも思ってんのか? お前だって気づんてんだろ。こんなやり方じゃ誰も救われないって』
『———うるさいのよ、アンタ……あの子達だって、私が死ねば少しは気が楽になるわよ……もう……私が死ぬしか方法が無いんだから……ッ。一人の命で一万人が助かるから、素晴らしいことでしょう? もう……それで良いじゃない……だから……そこを……』
『———どかない』
『———ッ!!』
上条当麻は目を覚ました。
何か夢を見ていた気がするが、その内容ははっきりしない。
ぼんやりとした頭を押さえながら、ゆっくりと体を起こす。
そこは見知らぬ教室。
いや、病室だった。
窓は砂で汚れており、外の景色はうかがえない。
病室の隅にも砂が少し溜まっていたが、上条が寝ていたベッドやその周囲はきちんと清掃されていた。
「俺は……一体……。そうだ、確か先生とアビドスに行って……それで、砂漠のど真ん中で……」
少しずつ頭が冴えてくる。
断片的だった記憶が、一つずつ繋がっていった。
その時、病室の扉が開いた。
「……あっ」
「……?」
立っていたのは、エメラルドブルーの髪をした美しい女性だった。
上条と視線が合うと、彼女は手にしていた濡れタオルを床に落とし、歓喜と戸惑い、そしてどこか負い目を感じさせる表情を浮かべる。
「……当麻……くん……」
「えっ?」
女性はハッとした様子でタオルを拾い上げ、上条のもとへ歩み寄った。
「えっと……だ、大丈夫? どこか、痛いところとかない……?」
「あ、えっと……痛みはないけど、少し喉が……」
「あ、あぁ!? そ、そうだよねっ! はいっ!! こ、これ、お水っ!!」
「あ、ありがとう……」
女性は慌ててペットボトルの水を差し出す。
上条は多少の警戒心を覚えつつも、それを受け取り、喉を潤した。
思った以上に喉が渇いていたらしい。
気づけば500mlの水を一気に飲み干していた。
それでもまだ足りない様子を察し、女性はもう一本のペットボトルを差し出す。
再び水を飲み終え、体の奥にあった渇きがようやく収まると、上条は大きく息を吐いた。
「俺、確か砂漠のど真ん中で倒れたはずなんだけど……もしかして、アンタが助けてくれたのか?」
「う、うん……偶然砂漠を歩いてたら、倒れている当麻くんを見つけて……それで……」
「……なんで俺の名前を知ってるんだ?」
「え、えぇ!?」
女性はびくりと体を震わせ、あたふたと視線を泳がせる。
どう答えるべきか迷った末、必死に絞り出した言葉を口にした。
「あっ、えと……そ、そう! 先生!!」
「先生……? っ!! もしかして、先生もここにいるのか!?」
「そ、そうなの! シロコちゃんが先生を見つけて、ここに連れてきて……それで、その……先生が当麻くんのことを……」
「先生は!? 無事なのか!?」
「ひゃ、ひゃい!?!?」
上条は思わず女性に詰め寄り、その手を握った。
突然のことに女性は顔を真っ赤にし、あたふたしながらも、こくこくと赤べこのように何度も頷いた。
「そうか……よかった……」
先生の無事を知り、上条は安堵の息を吐いてベッドに身を預ける。
女性はその様子を見て、おずおずと声をかけた。
「当麻くんが大丈夫なら……先生のところへ案内するよ……?」
「本当か!? ぜひ頼む――っ!!」
「あっ、当麻くん!?」
勢いよく立ち上がった瞬間、軽い立ちくらみが上条を襲い、体が前のめりに倒れ込む。
次の瞬間、女性は反射的に上条を抱き留めた。
「むがっ!?」
柔らかい。
そして、デカい。
以前、不良の胸へとダイブした上条であったが、その彼女とは比べ物にならないほど(その彼女と比べるのは失礼なのだが)、目の前の女性の胸は豊満だった。
とても柔らかく、良い匂いがする。天にも昇るような心地よさが上条を包み込む。
一瞬、意識が遠のきそうになるが、上条は慌てて正気を取り戻す。
(———まずい。これはまずい!!)
セクハラの後に必ず落ちる裁き。
それは、上条が幾度も体験してきたことであり、決して逃れることができない。
上条はすぐさま離れようとし、ジャンピング土下座。
いや、トリプルアクセルジャンピング土下寝を決める勢いだった。
だが……。
「あぁ……このツンツン頭……この匂い……本当に当麻くんだ……」
女性は離さなかった。
むしろ、確かめるように抱き締める力を強めていく。
「むぐぅ!?!?」
心地よさと苦しさと柔らかさと罪悪感と幸福感と1/3の純情な感情と良い匂いと愛しさと切なさと心強さが上条を襲う。
そして次第に上条の意識は次第に薄れていき、ついには彼女の腕の中で静かに意識を手放した。
「当麻くん……あれ? 当麻くん……? あぁ!? 当麻くん、しっかりしてぇ〜!?!?」
この謎の女性は一体誰なのか……!?(すっとぼけ)