どけ!!俺は出久のお兄ちゃんだぞ!! 作:俺もお兄ちゃんだぞ!!
最終種目は天下〇武道会。ではなく。
取り付けられたサポートアイテムが二箇所点灯した方が負けのバトルトーナメント。
取り付けられた部位に攻撃、もしくは相手の意識を奪えば勝ちらしい。俺はルール上やろうと思えば全部防げて試合が破綻するため、防御のみ全試合で3回だけの制限を掛けられている。4回目発動したら即敗北だ。
仮免取ったということが新たな枷をつけてきやがった。俺が取りたくて取りに行ったわけじゃないのに。3回しか発動出来ないって……いやまあ、仕方ないか。決勝まで温存しよう。
それはともかく二回戦。
「緑谷ァー!!」
「うおっ!? 殺意高すぎるぞ甲矢!!」
弓状のエネルギーを突き刺さんとしてくる甲矢に咄嗟に横に飛んで避ける。
ステージが抉れた。
完全に殺る気でしかしない!
「ふ、ふふふふ……緑谷のことは“友達”だと思ってるわ。それもこれからも仲良くしたいって思ってる」
「……急にどうしたお前。悪いもんでも食ったか?」
その気持ちは素直に嬉しいし俺も友人だとは思っている。
でなければ普段からあんなにつるむことはないしな。
「だけど羨ましいと思うことも多々あるのよ。あのねじれの顔を独占してるくせにっ! また新しい女を増やす*1ですって!? 一度ぶっ刺してやるわ。このたらしブラコンバカ!」
「さっきから何を言いたいのか……まず俺が一体いつ誰を誑したと!?」
「自分の胸に聞けーッ!!」
上空から拡散するように弓状のエネルギーが降り注いでくる。
咄嗟にバックステップで避けると、嫌な予感がしてしゃがんだ瞬間には背後から矢が通り過ぎる。
それからまた次々と追尾するように来たため、俺は走りながら考える。
「俺の胸、だと……?」
胸に手を当てて聞いてみる。
目を閉じて、思い出すように。
何かあったのかと。
そうしてると、徐々に記憶が蘇ってきた。
――転間兄ちゃん! 今日雄英体育祭だよね!? 絶対見るから頑張って!
リアタイ! 絶対するから!!
転間兄ちゃんの去年の活躍はそれはもう凄いとしか言いようがないくらい他を追随させなかったというか第1種目から他の人たちより前に出て軽々と超えていく姿はかっこよかったしテレビで見てても隠されたギミックに気づきにくいものとかたくさんあって色んな人が罠にかかったりギミックに妨害されてる中で冷静に対処して無効化する姿は本当にカッコいいと思ったもん! あれに気づくんだ! とか今のを避けるんだ! とか興奮しちゃって! しかもプレゼントマイクが空中は難易度が一番高くしてるって言ってたのに転間兄ちゃんは最速でクリアして突破してたし最後の一斉に放たれたミサイルやレーザー*2なんて同じ立場だったとしたら僕だったら避けられたどうか……! やっぱり転間兄ちゃんはかっこいいなぁって思って何度も録画見返しちゃったし! それで第2種目なんだけど――
なるほど。
キラキラと目を輝かせて心の底から楽しみにしてるような笑顔。早口で去年も聞いたことを捲し立てる出久だが、俺はそんな出久の話を全部聞いた。
そして思った。
今日も出久は可愛かった。天使だった。
つまり。
「――覚えがない!」
「絶対刺す」
攻撃が激しくなり、ステージが穴ぼこになっていった。
準決勝。
「環環環環環環環環!! 環ぃいいいいいい!!」
「うわぁあああああああ!?」
開始とともに個性すら使わずに猛ダッシュ。*3
ケンタロスのような見た目で翼すら生やして全力で逃げる環と個性を使わず追いかける俺。
「待ちやがれ! 待て! 待てぇええええ!!」
「い、嫌だ嫌だ! 殺される!! 怖い、怖すぎるッ!!」
「お前だけには死んでも勝たなくちゃならないッ!!」
「その覚悟は何処から来たんだ……ッ!?」
俺対策をしてきたのか“熊の手”を再現した環がタコの足でさらに包み込んで強化した状態で俺の拳とぶつかり合い、余波でステージが壊れることを無視してひたすら殴打した。
アリゲーターやアサリの装甲にバッタとウサギの脚力プラス牛や熊などなど――殴り合ってると地面が壊れるせいで踏ん張り利かない俺が逆に押される。
こいつ強すぎるだろ……。*4
だが殴る! とにかく殴る! こういう時はとにかく脳筋戦法! 相手に何も考えさせるな!! オールマイトもそうだ! やつに勝つには俺も脳筋戦法を使う!! 搦め手でやつを超えたところで意味がない! 相手の土俵で勝ってこそ、本当の意味でオールマイトを超えられる!! 但しやつ相手なら必殺は使うがな!
そうして何百回ほど叩きまくってたら環の個性が解除され、踏鞴を踏む環にトドメを刺すべく腕を絞り、一気に突き出す。
「終わりだァ! 環ーッ!!」
「く――
「はっ――!?」
腕を掴まれた。
これは、シャコガイ! あとワニの顎か! 他にもあると思うが抜けない!
「まさか――!」
何が来るのか察した瞬間、俺の視界が遮られる。タコの墨。
当然目なんて直撃したら悶絶するから上体を後ろに向けて避けるが、体を起こした瞬間に俺の体は物凄い速度で吹っ飛んだ。
場外負けがなくて良かった。
壁に突き刺さって壁が割れてしまった。
去年の体育祭の壁なら何枚も貫いてたところだったな……。*5
頭が少々ぐらぐらする。
脳を揺さぶられた影響か。
「それが隠し玉か……」
エビというかシャコの捕脚に変化した拳。僅かとはいえ視界が遮られたせいで反応が遅れてしまった。
俺の弱点としては視認出来ない攻撃は防げない*6のを理解してやってきたな。
流石生物最強とされる時速80km。こいつだからこそやれる地上での本気のシャコパンチは咄嗟に俺自身を後ろに引っ張ってなければ危なかっただろう。
感謝するぞNINJA。全盛期オールマイト対策のために音速より速い動きを見ててよかった。音速レベルまでなら対処出来る。
何より職場体験先で悩んでいた俺にとにかく速いヒーローを知りたいと言ったら楽しそうにいっぱい語ってくれた出久に感謝だ。
流石俺の天使。ここでも俺の救いになってくれるとは。
しかし単体ならまだしも複合だから殺しに来てるレベルじゃないだろうか。明らかにシャコ以上の速度と威力だろ。
シャコってあのサイズだからあれで済んでるんであって人間がやればあの程度じゃ済まないからな……。
それも地上では威力が10分の1になると言われているが、それはシャコには地上だとクッションになる部分がないために諸刃の剣となるからだ。
しかし余分なエネルギーを完全になかったことに出来る環ならそんなの関係ない。
今のオールマイトくらい出てるんじゃないのか。
――こいつほんとにチートだよな。
だが生成が遅かったことから予想していた通り消耗が激しいらしい。膝を突いているのを俺は見下ろしていると、ゆっくりと立ち上がってきた。
「今のでも無理か……でも俺だって……俺だって負けたくない!」
「なんだ、お前もちゃんと言えたな。そうやって前を向いてたらいいんだ。だが悪いな。お前にだけは勝つ!! 俺が1位だ!!」
決勝戦。
どうやら準決勝まで登り詰めたミリオとねじれが戦い、ねじれが勝利を収めたらしい。
お陰でステージが俺VS環同様壊れてしまったらしい。ステージ壊しすぎてもうステージない方がいい気がする。*7
だが目の前に立っているねじれは消耗させられているようだ。ミリオはまだ下手だが、俺が仮免取った後に突然真剣な顔で頭を下げてきたから1年の時に一緒に試行錯誤したことがある。その影響が大きいのかもな。
だが、俺も個性の制限つきとはいえ随分と苦戦させられた。
結局最後はひたすら殴りまくって体力地道に削って隙を見て発勁*8で動きを止め、個性でドカーンだし。
「降参してもいいぞ。万全じゃないだろ」
「嫌。転間くんにだけは負けられない。負けたくないから」
「じゃあ悪いな。俺はお前にも勝たなきゃならない。容赦はしないぞ」
「こっちこそ! チャージ満タン!
浮いて放ってくる。
開幕必殺技とは如何なものか。
点ではなく面の方を選んできたため、ステージを抉りながら来る波動に個性で対処した。
直撃したステージに穴が開くが、俺が立っている場所と俺は無傷だ。
これで2回目。あと2回使ったら俺は強制的に負けになってしまう。
「むー……全力でもまだ届かないんだね〜。じゃあこれならどう?」
そう言うとねじれの波動が形を変えていく。
俺も分からないなぜかねじれる性質は変わらないが、形としては矢。
捻れてる影響か、もはやドリル。
「
ねじれの一撃とは思えない速さに驚き、その場で跳ぶことで避ける。
範囲こそさっきよりかは狭いが、回転で安定しているのか。
ジャイロ効果の原理か?
それだけじゃない。この技は
貫通力もあるらしい。
とりあえず靴は脱ぎ捨てる。
「これで終わりなんて思わないでね! まだまだこんなものじゃないよ〜!!
空中にいる俺に対し両手から放ってきた円筒型の波動が俺の体を包みこむ。
身動きを封じる技のようで、両腕が腰部に無理矢理縛り付けられ、完全に封じられてしまった。
中々の拘束力を持っている。
拘束だけに力を注がれたら剥がせないかもしれない。
「やああ――!」
体が引っ張られ、勢いよく地面に叩きつけられる。
受け身が取れないので普通に痛いし地面に穴が軽く開く。
さらに二度三度と何度も叩きつけられたり壁にガリガリと削られたりしてたらまた持ち上げられたところで、ようやく力が入った俺は両腕を拡げるようにして拘束を解いた。
「わっ!?」
地面に着地し、足に力を入れて跳躍すると接近する。拳を振るえば波動で速度を上げて避けられる。
しかし避けた瞬間にねじれの体が
が、あまり感触が良くない。波動を手に纏って威力ごと流されたか。
遠距離だけじゃ対処出来なくなる可能性があるから近距離攻撃を守れるだけでも可能になった方がいいと言う俺のアドバイスをちゃんと守ってるらしい。
そのせいですぐに終わらないようになってしまっているんだが。
「もー……その力相変わらず厄介! 出力100%!
さながら槍のような波動が放たれ、地面に着地した俺は飛んできた波動を後方宙返りで躱すと次々と連射してきたのでそのままバク転を続けて側方宙返り。
地面に着地したら地を駆けて避け、地面を滑るように停止しながら軸足を蹴るようにして背後へ回し蹴り。
逸らしながら加速し、脚を突き出して突撃すると横に逸れられて避けられる――が、引き寄せて回し蹴りを加えようとすると。
「そうすると思った!
腹部に添えられていた両手から放たれた波動が俺を吹き飛ばす。
波動によって体が持っていかれるが、手を横に動かして波動を逸らすと着地する。
また跳躍しながら突っ込んだら避けられ、ねじれが波動を撃ってくるので空中で避けつつ攻撃。
回避。攻撃。回避と逃げ回るねじれを追っていると、だんだんと地面がクレーターばかりになってきた。
主に俺のパンチで。
「何か企んでるな……」
暫く追っていたが、わざわざ低空飛行で逃げたり俺の周りをうろちょろしていた。
波動を撃って方向転換は普通に上手いと思ったな。出力も必要な量を最適解で引き出している。
ただ普通近接攻撃持ち相手なら高度を上げるのが自然だろう。
下げるってことは何かやるつもりということ。
ただそれが何なのかは分からず、上空にいるねじれを見つめる。
表情からは何も読み取れない。
策があるんだとしたら乗ってやろう。
両足に力を込めて一気に跳ぶ。
「ん?」
――空中で静止した。
思わず視線を下げると、枷のような形をした波動が両足を拘束していた。
いつの間に。
全く気づかなかった。
「――転間くんが凄く強いことは初めて見た時から知ってる。きっと君はこれからも強くなるんだと思う。でもね、君に置いていかれたくないから私は、私たちは強くなるって決めたんだ。君を独りにしないために、追いつくために。もっと……もっと!」
ねじれが此方に両手を向けると、黄色いエネルギーが球体のようなものを生み出してスパークのような物が走っている。
――“アレはヤバい”。
俺の勘が全力でそう告げてきた。
いや待て待て。
俺の勘が全力でヤバいと感じるってなんだよ。殺す気か!? 完全に殺る気の威力だぞ!?
しかし足が動かない以上は防御するしかない。
防げる、防げるとは解ってるのだが嫌な予感はする。これ絶対発動しないと負ける。というか下手したら意識持ってかれる!
セメ先、ステージ完全に壊れると思います。あとは任せた。
最初に言っておきます。俺は悪くない!!
「だからこれが私の本気! 全力全開! 更に、
『
極太な波動が俺に向けて放たれる。しかも三方向に拡散した。
向けられた俺に対して風圧がとんでもないし、会場の方では吹き飛びそうになっている者もいる。
ステージが死ぬだろうなぁ、などと呑気に考えながら俺は防御を展開した。
最後に合流した波動のエネルギーがより大きくなる。
おかしいな……なんかゴリゴリ聴こえるんだけど。俺自身も許容範囲は知らないが個性である以上、どんな能力だろうと限界点は存在する。それを拡張することは可能だ。
ただオールマイトだって引き出せる力には限界があるように当然それは俺にも存在している。
……万全だったら破られてたかも。
そう思ったのはちらっと地面を見たからだ。
えげつない削れ方をしていた。
見なかったことにした。俺は悪くないんだと言い聞かせる。
とにかくこれほどの威力ならばあとは途切れた瞬間を狙って、一気に――。
「げえっ!?」
そうして防ぎ切ったと油断していたら背中に激痛が走り、俺の体は思いっきり落ちて地面にキスすることになった。
めちゃくちゃ痛い。
なんなら人生で他人にやられたダメージの中ならば一番痛かったかもしれない。
「い、ててて……成長してるなぁ……」
一点集中型と思っていたら、まさか解除後を狙って背中に直撃させてくるとは思わなかった。
背中が凄い違和感があるし、風が当たってるのかヒリヒリする。
まず間違いなく体操着を貫通しただろう。
血が出ているかもしれないが、見えないので確認は出来ない。痛みから考えたら出ている。
最大火力を囮にして最大火力より劣る一撃を直撃させてくるとは予想してなかった。
1年の頃は中学から上がり立てなのもあって波動ぶっぱって感じだったんだが、ここまで技術まで身につけているとは……お世辞なしだ。すげえなって思った。
俺と出会って既に2年目だ。
もうここまでやれたら仮免問題ないだろう。実力では、だが。というかもう実力は普通にプロレベル……いやトップヒーローレベルか。
ただ仮免って救難救助とかヴィラン役の相手とか授業でも全く経験すらしてないのに要求されるものが多すぎて本当に面倒だったし、実力だけじゃ解決出来ないんだけどな、あれ。
ねじれの性格や俺と違って2年だし経験があるから問題ないだろうけど。
だが俺はねじれには勝たねばならない。
ミリオは倒した。環にも勝った。同級生にも勝った。
それでも俺はこいつにだけは第1種目で負けてからまだ一度も勝っていない。
つまり1位ではない。
だがねじれを倒せば俺が1位だ!!*9
「や、っぱり、これだけじゃ……勝てない、か……あ……。でも、まだ……終わってない……!」
背中の痛みこそあるが、動けないほどのダメージではない俺が立ち上がるとねじれは大きく消耗したのか肩を上下させながら息を整えている姿がある。
「一気に行く!!」
「!」
既に崩壊したステージはただの穴になっていて、さらに壊すことになったが、全力で踏み込んで跳躍すると一瞬でねじれの位置に辿り着く。
手を向けてきたねじれの腕を掴み、L字型に曲げることで掌を天へと向けさせ、波動が空へと放たれる。
「うそ!?」
驚くねじれを無視して、不発させたあとは肘を曲げさせるように逆腕にしながら頭上を越えて空中で後ろに回った。
「いっ……! いたたたた!! て、て、転間くん、いたい!」
そうして逆腕を極めた状態で手首を捻り、波動を撃たせないようにする。
いわゆる関節技。
プロレス、総合格闘技、逮捕術などで使われるハンマーロックだったか。
この超常社会、なかなか経験することがないだろう。
なぜなら個性が全ての世界だ。こんな技術持ってたところで近づけないしパワーがなければあっさりと解かれる。宝の持ち腐れになるだけ。
増強型にせよ異形型にせよ肉体を鍛えるか個性を鍛えた方が成長出来るから習得するやつが全く居ないだけだ。
だがこれもいい経験になるはず。
せっかくだし経験させてやろう。
あまり記憶がなくとも前世の記憶があるが故に知っているプロレス技といえば、という“あの技”を。
俺の身体能力ならば出来る!
「い……たーい!!」
空いていた手を逆手にして俺に向けたねじれの手から波動が放たれ、解きながら避ける。
そして再び接近した俺はねじれを蹴り落とす。
波動を逆噴出させるようにして勢いを完全に落としたようで着地していた。
「何今の!?」
「関節技。今からやるやつは絞め技との合わせ技だ」
「へっ!? い、痛い! 痛いよ!?」
サイドに着地した俺はねじれが攻撃するより早くに後頭部に左腕を回して巻き付け、頭を自らの胸に抱え込んだ状態で右手と左手を組み、締め上げる。*10
「きゃあ!」
そこからさらに自ら回転して右脇抱えに移行し、ねじれの左手を取りつつ更に回転を続けてバックを取るとそのまま回転しつつ勢いを活かしてねじれの足にフックをかけ自分も倒れながら横から両足で挟んで倒す。*11
そのまま左脚でねじれの脚を押し込み、左手で左足首を抱えてアキレス腱固めに移行する。
「っ〜!?」
「これで降参――」
「ま……だ。まだ……負けてないもんッ!!」
「っと……!?」
細かく拡散した波動が数十ほど放たれ、直撃を避けるために全力で転がって避ける。
やっぱりこの超常社会、関節技弱いかもしれない。
結局特殊能力に対応する技じゃないし、これ。
「うう……転間くんのえっち」
「なんでだよ」
なんて思ってたら頬を赤くして訳が分からないことを言われた。
意味が本当に分からない。
俺はただ技を掛けただけなのだが。
ただ涙目で頬をぷくーっと膨らませてる。よく分からんがリスみたいになってるぞ。
栗あげたら戻ったりしない?
「むうう……降参!!」
そうして息を吐いたかと思えばそう声を挙げて、ねじれはその場に座り込んだ。
……なんか勝ってしまった。
後に聞いた話なのだが、あの拡散した波動を撃ったときに活力の限界を迎えてたらしい。
あれ狙った訳じゃなくて咄嗟にやったのか。予想外の攻撃で本気で避ける必要があったのだが。
「……大丈夫か?」
「動けなーい!」
ただいつまでもいる訳には行かないため、立ち上がらないねじれに大丈夫か聞いたら両腕を突き出してきた。
俺が抱えろと?
だが永遠と終わらないのは困るし、仕方なく手を取ると瞬間移動。
カメラが映らない通路口へと辿り着いたあとは触る場所にだけは気をつけて抱える*12と戻っていく。
首に手を回して俺にしがみつける余裕あるのかよとは思ったが、妙に満足そうな顔をしてたから口に出さなかった。*13
ステージでやらなかったのはカメラがあるからだ。流石に全国中継されてる中で抱えようものなら俺とねじれの関係を誤解する者が現れる。あらぬ噂をされてはねじれでも嫌だろう。
それにステージ崩壊して危ないしな……また言われる。*14
とまあ去年同様というか去年よりステージが壊れてしまったものの。
「俺がお兄ちゃんだ!」*15
最終的には優勝した。
見てるか出久ーッ! お兄ちゃんは優勝したぞ!! お兄ちゃんは全部1位だぞ!!*16
すぐ帰るからな!!
最終地点に設置され、まさかマジで誰も辿り着くわけがないと思ってたため、直撃したら人体が吹き飛ぶ威力はあったらしい。引っかかったのがお兄ちゃんじゃなければ死んでた。危ねえな。