どけ!!俺は出久のお兄ちゃんだぞ!! 作:俺もお兄ちゃんだぞ!!
雄英体育祭終了後。
表彰が終わったら体操着から着替える必要があり、制服に着替える。
そん時に結局緑谷が優勝かーみたいなことは言いつつもなんだかんだ男子組は俺を祝ってくれた。
普通にいい奴らではあるんだよな、本当に。
人のことをお兄ちゃん言ってたヤツらは競技がもうないので軽くぶん殴っといたけど。
覚えてたかだって? むしろなんで俺が忘れると思ったんだ。
あとは教室に戻ってHR終了後解散という形になるのだが、ねじれたちに待っててと言われたので環と一緒に待機する。
ミリオは別クラスだからな。連れてかれた。さすがB組の中心人物。人気者だな。
「やっと終わった……緊張した……」
「よくそれを言えるなお前」
勝ったからもういいが、第1種目で2位を獲ったやつの発言か? これが。
俺より前にゴールして。
メンタルさえどうにかすれば本当に強いと思うんだが……。
にしたって女子は時間がかかることだ。
あまり近くに居て覗きと思われるのは不本意だから離れて待機しているが、まだ出てくる様子はない。
とりあえずスマホを起動して見ると、通知がかなり来ている。起動してLIKEを開く。
NINJA*1やデニムの人*2からも来てるし卒業した先輩からもお祝いのメッセージが来ていてひとつひとつ返すのが大変だ。*3
とりあえずお礼だけ言っておこう。
そうして返してると、真綿からメッセージが届いているのに気づいた。
『先輩。雄英体育祭の件でどうしても早くに伝えとうくて。先輩に言われた通りに無事優勝しました!』
へえ、真綿も優勝したのか。
――え、優勝したの?
申し訳ないが普通に驚いた。
確かに俺が鍛えたし1年の中でもかなり上澄みになったと思ったが……あくまで1週間の期間だ。
真綿の個性ってサポート向きで直接戦闘向きじゃない。得意な相手には厳しいかもと思っていたのは事実なわけで。
火を操る個性とか似た類のは居るだろうし。
それでも最後まで残ると思ってはいたが、せいぜい良いところまではいけるだろうなって程度だった。
……まさか優勝するとは。
1年――B組も俺がボコした影響で力が入ってるってイレ先言ってたから努力を怠るようなやつらはいないだろうしな。
とりあえず先輩として優勝を祝う言葉は贈ってやろう。
俺もそうだが、やはり何も無いよりかは祝われると嬉しいものだ。
――体育祭が終わって更衣室に入ると着替えるより先に伝えたくて、スマホを手にすると優勝した旨を先輩に伝える。
あまり打つ速度は早くないみたいだし、着替えてるのかもしれない。
スマホをなおして体操着を脱いで下着になるとロッカーからハイソックスを取り出して履き、次にスカートを履く。
ちょうど履き終えたところで通知音が鳴って、置いていたスマホを表にして起動させる。
スマホの画面を見ると、やはり先輩だった。
すぐに返ってきたことに驚きながら、開く前に息を呑む。
――褒めてくれるっちゃろうか。
そんな不安を宿しつつ、ドキドキしながらゆっくりと目を開く。
すると。
『おめでとう。よく頑張ったな』
先輩らしい最低限な、短な文があった。
だけどきっと、短くてもその言葉には想いがちゃんと籠ってるんだろうなと思うと口元がニヤけてしまって口を抑えた。
元々優しい人というのはわかっとったけど、1週間もずっと傍に居て関わってたらより先輩の人物像は見えてくる。
お人好しで優しくて面倒見が良い。たまに年不相応な、
あと実は意外と押しに弱かったりする。厳しくするとは言っとるけど甘い部分があるのは隠し切れてないし、性分なんやて思う。
年下限定なんか、同級生もなんかは分からんけど世話焼きやし。
多分、弟さんの影響やろうか?
「いいんちょー嬉しそぉ〜。いいことあったぁ?」
「ひゃっ!? あっ、沫ちゃん。なっ、なんでもなか。気にせんで」
私の顔を覗き込んできたのはクラスメイトの
ハーフアップにされた長い綺麗な水色の髪と淡い黄緑の瞳を持つ女の子。
個性は『泡生成』。相手を包み込んで無力化したり安全に浮かせたり、泡で弾いたりと色々と利便性の高い個性。
先輩は私が詳しく伝えた時、ちょっと引いてた。完全に使いこなせたならばあまりに“強い個性”とのこと。……先輩も少し、いやかなり大概っちゃけど。
ただ個性なしで私たちを圧倒した先輩に強い個性だと言わしめる本人はふわふわしてるというか、なんというか……のびのびしてる子。
柔らかいのが大好きみたい。私もフワフワしてるのは好きだ。
あまり見えない瞳は泡っぽくてすごく綺麗。眠そうな目がチャームポイントかも。可愛いと思う。
――先輩にはあまり近づかせないでおきたい。先輩が初めて私らのところに来た時だって密着してたし、とにかく距離感がおかしいもん。*4
それに……と視線が思わず胸に行く。
たわわなとよね……この子。
ふと自分の胸に触れる。
桃色の、ピンク色のブラ。ないわけではないけれど決して凄く大きいってわけでもない。山は、ある。
比較的大きい方だとは、思う。思いたい。
けれど――圧倒的な敗北感。
戦力差がありすぎるばい……。メロン……そげん言葉が浮かぶ。
先輩もやっぱり大きい方が好きなんやろうか……。
「体調悪いぃ? 顔色、悪いよぉ〜? あ〜もしかしてぇ、疲れてる〜? 優勝、したもんねぇ〜」
心配してくれてる。
とっても優しい子。
額をくっつけて、熱を測るように。
彼女もまた下着のままで、体が近づいた影響で彼女の豊満な胸が潰れる。
悪い気はないのは分かっとる。
分かっとるっちゃけど……!!
今はやめちゃり……。
伝わったのか大丈夫だと分かったのか、沫ちゃんは不思議そうにしながら離れて、さらに落ち込んだ私の顔や体をぺたぺた触るのを私はされるがままでいた。
優勝した……とは言うものの、私が優勝出来たんは先輩のお陰。
鍛えて貰ってなければ最終種目まで生き残れたかも分からん。
1週間。たったの1週間やけど毎日付き合ってくれて、動けんくなるまで個性を使うた。
個性は身体機能のひとつで、使えば使うほど伸びる。そのため、ただ使うんじゃなく、コントロールを鍛えながら。
そん度に先輩は面倒ば最後まで見とうてくれたしほんなこつ帰ることも出来んくらい動けん時はおんぶして連れて帰ったりとかしてくれた。
そげんして先輩とおったけんこそ分かる。
先輩はこげん辛かことば
じゃあ先輩は、一体何年――ううん
それほどまでの強さを得るまでどれだけ頑張ったっちゃろう。きっと血が滲むほど苦しく辛くて、しんどい思いばしてきたはず。簡単に出来ることやなかければ、誰にでも出来ることでもなか。
私もわざわざ先輩が用意して残してくれた練習メニューは残り期間でやっとったけど……。
……凄いな。憧れかも。自分の気持ちはまだいまいちわかっとらんけど、先輩といるのは楽しくて暖かくて、面白くて。気になって。近くにいるだけでもふわふわした、幸せな気持ちになれる。
ただでさえニヤケちゃったのに先輩のことを考えた影響か。
――頬が戻らない。まずいかも。
「不和どったの?」
「やけに嬉しそうね」
「ね」
「ね、何か……あっ。そういうこと? 一体スマホで何を見てるのかな〜? 不和ちゃん、隠してるだけで彼氏が居たり?」
「かっ……!? ち、ちゃうとよ! まだそんなんじゃないし!」
「まだ……? つまり相手はいるんだ?」
「見せろー!」
「へえー? なになに?」
「いいんちょー彼氏居るのぉ? だれぇ? 見たーい!」
わああああ! 失敗したっちゃ!
墓穴掘ってしもうた!! そんなんやないのに!!
私のスマホを狙ってくる。
恋愛への興味が年頃ん女子なんもあってやっぱりある――逆ん立場なら私もそうだけど!
命懸けで、それはもう全力でスマホを死守する。
見られた暁には先輩の元に殺到するみんなの姿が思い浮かんじゃう。先輩は私が守らな!!
噂が広がりすぎて1年ん中でも先輩=ブラコンはもう定着しとるっちゃけど、みんな先輩への憧れん方が強かけん、連絡先バレたらやばか!!
「だ、だめーっ! そげんことより着替!! 早よ着替えよ!!」
「あ、誤魔化した」
「ちょ、ちょろまかしてないもん!」
下着が拠れつつも必死に守って何とか話を逸らした私は下着の位置を整え、グレーの2つボタンのジャケット――雄英高校の指定制服に身を包んだ。
――私は頑張ったと思う。体育祭頑張ったとに先輩んためにきつか体で守ったけん。
責任、取って貰いますからね。先輩。
――なんか理不尽なことが起きたような、なんて言えばいいか分からないが、軽い悪寒に襲われたのは気のせいだろうか。
無事に教室に着いた俺たちはセメ先を待っていたのだが、セメ先がこない。何かあったのだろうか。この時期は特に事件が起きたとかなかった気がするしあったとしたら出久に何かあってはまずい。すぐにぶちのしに行くが……そういや確か3年前くらいに鳴羽田で起きた事件はあったな。*6
この後は1年の頃と同じでHRの後に解散となるはずだ。
それから次の日が休みな理由は英気を養うためだろう。
人によっては個性の副作用が出る人も居るしな。
しばらく待っているとうちのクラスはセメントス先生が担任のはずだが、何やら事情があるとやらで早退したらしい。一体何があったんだ。*7
代わりに13号先生が担当してくれた。
軽い小話で、要約すると『皆さんお疲れ様でした。明日はしっかりと休んでまた元気で学校で会いましょう』だ。
「以上でHRを終わります――って緑谷くん!?」
13号先生には申し訳ないが、終わったならば用はない。
俺は窓を開けながら水泳の飛び込みのようにダイビングして飛び降りた。
空中で着地するために姿勢を戻してると、ちょうど1年の教室が見えた気がする。
――イレ先と目があった。
目を見開いている。
やべっ。
「え……先輩!?」
「あ、緑谷先輩ー!」
「ほんとだぁー。せんぱ〜い!」
「マジで!?」
三点着地して見上げるとHRそっちのけで覗き込んできた1年生。
いや、ちゃんとHRは聞けよ。*8
それはそうとA組もB組も何人か手を振ってきたので無視するのは憚られた俺は手を振り返すと、なんか悲鳴のようなものが聞こえた。
……なんで悲鳴?
「緑谷ァ!!」
考えてるうちに、イレ先が鬼の形相で覗き込んで大声で俺の名前を呼んできた。
「またお前か!!」
イレ先が飛び降りてきた。
俺は無言で踵を返して猛ダッシュした。
校舎は走ってはならないが窓から飛び降りたらダメというルールはない。*9
つまり俺は悪くない。
そんなことより出久だ。
お兄ちゃんはすぐ帰ると言った! 体育祭の頑張りを聞きたい!!
本当は直ぐに帰りたいのにHRまで待ったんだ。ちゃんと終わったからいいはず。*10
だから今から帰るぞ!!
出久ゥウウウウー!!!
流石唯一俺にメタを張れるだけあって瞬間移動やら高速移動やらを封じられてしまったが、イレ先との追いかけっこに勝利した俺は無事に撒き、無事に我が家に帰ってくるとドアを蹴破る――ことはせず大人しく鍵を開けてドアを開く。
「いず――」
声を出そうとした途端、俺の声を遮るように破裂するような音が響き、俺の頭にひらひらとテープや紙吹雪が落ちる。
家に着いたと連絡はしたが、流石に驚いた。
「転間!」
「転間兄ちゃん!」
「「優勝おめでとう!!」」
――やっぱりうちの出久って天使では?
あと母さんもありがとう。
目が赤くなってる時点で察した。
下の階の小池さんには俺が謝っておこう、と。
ご馳走だった。
母が作る料理ってのもあってとても美味しかったが、俺の活躍をペラペラと噛まずに言う出久の話を聴きながら食べるとさらに美味く感じる。
「それでね僕も個性が芽生えたから分かるんだけど昔は頭の中だと難しいんだろうなって曖昧な考えくらいしか持ってなかったのに発現してからというものの転間兄ちゃんがどれだけ繊細なコントロールをしてたのかよくわかったんだ。特に今回の体育祭を見ると去年よりも2年生全体のレベルがとんでもなく上昇してて驚いたもん。僕も思いつかない使い方をしててこんなやり方があるんだって思ったし転間兄ちゃんはもっと凄くなってた!
ヒーロー科以外の生徒に襲われても15位で突破したのはもちろん凄いし一番凄かったのはやっぱり全方位攻撃を防いだところかなあ。あんな一瞬で個性を展開させるなんて僕にはまだ無理だし僕はまだ腕から足に行き渡らせるのに時間がかかりすぎちゃって。あっでも出力は少しずつ上がってるんだよ? だけどやっぱり転間兄ちゃんの凄いところは出力とかそんなのじゃなくて個性の理解力や応用力というか――」
相槌を打ちながら俺は出久の言葉を一言一句ちゃんと全部頭に入れていた。
昔よりも早口が速くなっている*11が、この程度お兄ちゃんは一言一句聴き逃さないぞ。*12
ちなみに出久が個性を発現したというのは俺も母も知ってるため、特に驚きはない。俺に関してはOFAの存在は知ってたから驚くことはなかったが、ちゃんと受け継いだようでお兄ちゃんは滅茶苦茶喜んだ。
無個性よりもやはり個性があることの方が出久にとっては嬉しいからだ。それも憎きオールマイト……出久にとっての憧れの人からだし。
たまにOFAのことを話しそうになって、慌てて隠し通そうと頑張ってる出久も可愛い。こういう出久を見て堪能出来るのも前世の記憶でOFAを知っているお陰だ。感謝するぞ前世の俺。
OFAは本当に重要なもので危機感を持つように注意したり知ってると言ってやりたいが、こればかりは話したら俺が前世の記憶があるってことを話す羽目になってややこしくなるため、黙っているしかない。
もしもの時は俺が出久を守ればいいだけの話。そのために強くなっているんだ。
前世の記憶こそあるがお兄ちゃんはお兄ちゃん。そこに変わりはなく、俺はこの世界に生まれてから変わらず俺のまま。
ただ……俺はそうやって知っていたから問題はなかった。
問題は発現したと知った当初に母さんが涙で窓ガラスを破壊したことである。
やっぱりそれはもう個性なんじゃないかって思ったが、俺は慣れた様子で板と釘と釘打ちハンマーを手に修復作業に入ったりした。
まぁ、そこは今はいいだろう。
「でねでねっ!」
「出久、早くご飯食べないと冷めちゃうわよ。お兄ちゃんなら今日はまだまだ時間があるんだし、ね?」
「あ……う、うん。そうだよね、ごめんね」
「全然いいって。そうやって口に出して分析するのも出久の長所であり良さだ」
「えへへ……ありがとう」
照れたように頬を掻く出久。
ん〜ーーーー!!
血を吐きそうだった。
危ない、せっかく作ってくれた母さんの料理を無駄にする訳にはいかない。
このままでは萌死にしてしまう。話を変えよう。
「それで……お兄ちゃんはどうだった?」
「凄くかっこよかった!!」
――写真撮った。
頑張った甲斐があったというものだ。
出久の笑顔が見れただけで俺も嬉しくなって頬が緩む。
そんな俺たち兄弟の姿を母さんは微笑ましそうに見ていて、俺は癒された。
やっぱり出久の笑顔は最高だ。
優しく頭を撫でてやると急に撫でてきたことに不思議そうにしつつ心地よさそうにしている。
可愛すぎる。お兄ちゃん死ぬかも。いいや死なないぞ。俺は出久が成長して大人になろうと俺が死ぬまでは出久を守り育てるのがお兄ちゃんの役目なのだ。
出久が結婚しようと子供を作ろうと幸せな毎日を守ってやるのも兄の務め。
だからお兄ちゃんはこれからもお兄ちゃんを遂行していこう。
ご飯を食べ終わったあとは第二種目のことやレクリエーション、最終種目のこともたくさん話してずっと興奮して疲れたのだろう。
リビングで眠ってしまった出久に膝枕をしながら頭を撫でる。
話を聞く限りだが、順調にOFAは適応しているらしい。
10%を完全制御出来たらいいなと心配で低めに考えてたが、俺の想定を超える勢いのようだ。
流石俺の弟。最強。天才。天使。マジ天使。いっそ100%までいってこのまま逆らうヴィラン全員ぶちのめそう。
お兄ちゃんセンサーに依れば推定8%と考えるとだいぶ早いだろう。*13
もう覚えてないが、原作って8%まで使えるようになったのはいつだったか。
これなら……もしかしたら歴代個性も目覚めるかもな、入試の時には。
お兄ちゃんも負けてはいられないようだ。もっともっと強くなっていこう。
出久だけじゃない。
同級生もレベルの上がり幅が凄いが、突出しているのはやはり環とねじれだ。ねじれの方は特によくわからん強さになってきている。
いらなかったから青春を投げ捨て、出久の傍に居ることと、鍛錬に全てを注いだ俺の十数年分の期間をたった1年で一気にここまで追い上げてくるのは普通に恐怖でしかないが、逆に言えば俺との差があるのは当然でもある。
普通はここまで鍛錬に時間を注がないし。
その分俺と戦うことでレベルアップの幅も大きいのだろう。
俺は全部自力だが、それだと最初は良くても段々と成長速度は落ちていく。
俺はそれでも毎日続けたが故に今の強さがあるが、自分より強い人と戦う方が成長するのが人間。自分一人の力で強くなるよりも他者と切磋琢磨した方が成長スピードが違うのは当たり前だ。
にしたってインターンも行ってる3年より強いと言われる同級生たちって……あいつらどうなってんだ。*14
ミリオは惜しいっちゃ惜しいんだがな。あの個性に必要なのは予測能力だろう。俺からすればまだまだ下手くそだが、俺がアドバイス*15して鍛えたお陰か去年よりもいいレベルに行くまでは強くなっているし。去年はほぼドベ。今年は結構頑張った方だろう。
あと火力はどうにもならない。諦めろ。予測は誰か得意なヒーローに教えて貰ってくれ。
俺に言えるのは予測に関してはあーしてこーするくらいだ。
成長が目まぐるしいのは1年もか。
真綿は優勝したみたいだし、職場体験でさらにレベルアップするだろう。
油断していたらいつか足を掬われる。
今日改めて突きつけられたので、自分の強さを一気に下げておこう。
俺はまだまだオールマイトに敵わない。故に超える。そう思った方が人間強くなれるものだからな。
目指すは最強。頂点はどうだっていい。その席は出久のものだと俺が4歳の頃に世界のルールとして決まっている。*16
だから俺は俺でレベルアップするとしよう。
しかし最強となるとビジョンがあまり浮かばないな。全盛期のオールマイトのイメージしかないし……俺とオールマイトは全く違う。
何世代にも渡って強化された力を超えるには自力で見つけていくしかない。
俺の個性をこれ以上強化するとなると、思い浮かぶのはせいぜい三つ程度しかないなぁ。
目標は来年までにオールマイトを完全に超えることだ。
なぜなら出久が雄英に入る。そんな弟を護るにはオールマイト以上でなければならない。
頑張れ、俺はお兄ちゃんだろ!
それくらい超えて見せろ!!
目標は高く! 目指せ全盛期オールマイト二人分!!
――あ、なんか体育祭の打ち上げの誘い来た。
体育祭も終わったことだし、全員の予定が空きそうなら明日からでもやろうというやつ。どうせ全員参加することになるだろう。こういうの好きなやつらだし。
俺に関しては連れ去られるだろう。
しかし打ち上げか……。
何か思い出してはならない箱があるような気がする。思い出さないでおこう。
思い出したら俺は――間違いなく吐く。