どけ!!俺は出久のお兄ちゃんだぞ!! 作:俺もお兄ちゃんだぞ!!
おい原作までまだ書いてないというかなんなら魔境の戦闘転間くんがやっとバトり始めたくらいで終わってねーぞ。こんだけ在庫あったら書き終えるだろとか調子乗りましたごめんなさい。
評価減ったり増えたりなのでオラにパワーをくれ(承認欲求モンスター)。
本当に俺じゃなかったら死んでたのだが、死体を回収する気ないよな、絶対。
あれで死体残るわけないだろ。そこら中爆発しまくってたしなんなら地下どころかさらに深くまで落とされたぞ。
普通に上掘りするように穴を開けて脱出したけど。
どうせあの記録を読んだら爆発するように設定されてたのだろうが、相手が悪かったな。
オート化前の俺でも事前に分かってたら防げるし不意打ちで爆発させてたらまた違ったものを。
昔の俺相手なら、だけど。
何はともあれ、俺が持ち帰った情報は全て共有した。
残念ながら狙っていた? 一覧はダウンロードしてないが、組織の名前と創設者の名前、日記などはちゃんと保存してある。
さすがにあのデータ量は無理すぎる。ダウンロード完了前に俺のスマホがあの施設と共に爆発する。
証拠と必要最低限の情報さえあれば何とかしてくれるだろ。
日記自体は5年前くらいのだから大して役に立たないが、創設者と組織の名前は大きいはずだ。
ナイトアイにもホークスにも送ったし。一応スターにも調べて欲しいって言ったら調べるって言ってくれたしな。*1
後はやることがなくてクソ暇(エッジショットやベストジーニスト曰く、ここからはプロの仕事)なので学校に行くことになった。
死人相手にトドメを刺しただけとはいえ、人を初めて殺したことを気遣ってくれたのと十分な仕事を果たしたからお払い箱になったんだろうが。
基本ヒーローは殺害はNGだが、本当にやむを得ない状況ならそうせざる得ない。
例えば人類に大打撃を与える悪人とか。あくまで最終手段だけど。
「転間くんっ!」
あの虎の女性は死人だ。
故に俺に罪は無いし法律的にも問題ないのは分かる。元々死んだ者を殺したことがダメなら、それこそ除霊師とかアウトである。幽霊も死者だ。それを祓ったら殺人になるかと言われればNO。
それでも一応この手で殺したし、あの施設で生物だって殺しまくった。
だというのに、俺は何も感じない。感じていない。
「転間くん?」
これは俺が“普通”から外れかけているのだろうか。それとも純粋に死者を弔うために殺したから何とも感じないのか。
もし前者ならこのまま強くなるのは少しまずい気がしてきた。客観視出来る今はいいが、本当にベストジーニストの言う“怪物”とやらになりつつあるんじゃないか、と。
結局生きた人間を殺さない限りはこの回答を得ることは出来ないだろう。
別に今はやる必要ないからしないけど。
「転間くーんっ!」
「うおっ!?」
突如として腹部に衝撃が走り、そこでようやく抱きついているねじれの存在に気づく。
俺の顔色を窺うようにして見つめる彼女からは、心配といった様子が見て取れる。
しまったな、普段の俺ならこんなことないだろうに。
切り替えるとしよう。
「大丈夫? 今日は休む?」
「ああ……大丈夫だ」
「本当に? 無理してない?」
「お前は俺の母親か」
「お母さんは嫌だな〜それより――」
「それより?」
「やっぱなし!! とにかく転間くんのお母さんはやっ!」
「お、おう。まぁ同じ歳なのに年上扱いは嫌だろうしな」
「そ、そう! それ!」
「で、いつまでこの状態? 歩けないんだが」
勢いで誤魔化された気もするが、くっつかれていて動けない。
いや、正直冬だし寒いから暖かくはあるんだが。
「だって寒いもん」
「それは分かるけどな……」
歩けないと遅刻するのは本人も気づいてるのか頭を肩に置いてきたかと思えば人のマフラーを取って一緒に包まっていた。
9cmくらいしか差がないから普通に届くのかこいつ。
表情が和らいでるからちょっとは暖まったんだろうけど、距離感バグりまくってて意味が分からん。
けどまあ、意外にもこの体温のお陰で思考は消し飛んだ気がする。
「……ありがとな」
「へ?」
「結局どうでもいいことに行き着いた。悩みが晴れたってことだよ」
「それならよかった。転間くんが元気ないと私も元気が無くなるの。でも悩みって? 私何もしてないよね。なのにお礼? 不思議! でもでも転間くんの力になれたって思うと胸がぽかぽかして嬉しいな! 今は体もあったかいし!」
「いや、俺は動きにくいから離れてもらえると助かるのだが」
「それは嫌ー」
「おい」
「えい!」
人の腕に抱きつくようにしてくっついてくる。
さらに動きにくくなった。
寒さはマシになるが視線が痛い。
お前雄英だと有名人だろ!!*2
「暫くはインターンはお休み?」
「離れないのか……もういいや。そうだな、エッジショットたちから調査はやるって言われたから」
「へ〜奇遇だね。私もリューキュウから断られちゃった。調べ物があるんだってーなんだろうね? 気になるなー! 転間くんは何か知ってる?」
「さぁ、俺が知ってる情報や探してるやつとは違う可能性もあるしなぁ。俺のところは妙な研究してるところだし」
このタイミングでねじれも休暇を貰ってるというのは少し引っかかるが、偶然の可能性もある。
同じとは限らないし、事件なんてそこら中で起きてるからな。
「研究?」
「クソ胸糞が悪かったからお前は知らない方がいいよ」
「……うん、そうするね。辛かったらいつでも言ってね。私が慰めてあげる!」
「それはちょっと」
「なんで!?」
「この歳になって小っ恥ずかしい」
「この前もその前だって膝枕してたのに!? もう今年だけで6回はしたよ! というか同年代でしょ!」
「待て、よく覚えてるなお前」
「えへへ。それにこの前――水着でやるのは流石に恥ずかしかったんだよ?」
「そこを出されると弱い」
あれに関しては俺が無理したせいだ。
いやまあ、俺もよく水着で出来るなとは思ったが。
今は厚着だからそんなに肌の感触は感じないが、水着は感じられる面積が全然違うわけで。
「でも転間くんならいつでもしてあげるね。恥ずかしいけど、全然いいよー?」
「じゃあ昼休み頼む」
「うん――ええっ!? えっ、あ……ほんとに……?」
冗談で言ったんだけど、明らかに動揺していた。
視線は揺らいでるし、歩くペースが落ちてる。俺も落とさないと首が締まるので合わせてるとはいえ。
冗談って言いづらくなったのだが、誰だこの空気を生み出したの。
……俺か。
「えー、いや、うん。やっぱり俺がやるから手を打ってくれ(?)」
「う、うん……じゃ、じゃあそうさせてもらおう、かな……?」
俺自身もよくわからない発言をした自覚があるのだが、何故かすり変わって俺がやることになってしまった。
まぁねじれにされるよりかは俺がやった方がマシか。色んな意味で。
この微妙な空気を誰か変えて欲しい。
「お、おはよう転間。波動さん……って、どうしたんだ、二人とも……?」
「環!!!」
「あ……」
「お前はやっぱり俺の親友だ!!」
「ち、近い。本当にどうしたんだ!? 怖い!!」
マフラーを渡すことになったが抜け出して環の肩を掴んだ。
意味が分からないと言いたそうだったが、分からなくていいのだ。
なぜなら俺も分からない。
「そういえば環もインターンないんだな」
「あ、ああうん。ファットガムが東京に用が出来たとかで……」
「へえ、珍しいな。いつも大阪なのにな」
「俺もそう思うけど、チームアップじゃないかな」
「じゃあじゃあ、久しぶりに全員揃うねー今日放課後、何処かに行こ?」
「え、俺も?」
「むしろなんで転間くんは外れてると思ったの?」
「転間が主役だと思う」
「逆になんでだよ」
「そりゃあ転間がいつも中心だからね!」
「お前はどこから生えてきてんだよ!!」
「怖ァ!?」
俺と環の間から生えてきた。
至近距離に顔面があったので思わず手刀を叩きつけたが、逃げられた。
「朝から元気ねぇ、みんな」
「おはよう有弓ーっ!」
「おわっ!? もう、それは緑谷にしなさいって」
「もうしたよ?」
「なんですって!? カメラは!?」
「あるわけないだろお前。アホか」
「ブラコンバカにアホって言われた!?」
「褒めるなよ」
「だから褒めてないけど!?」
次から次へと人が増えていくんだが、朝から騒がしいやつらである。
「せんぱーい!」
「ふわぁ、綿ちゃんまってぇ〜……」
後ろから明るい声が聞こえてくると、突進された。
背中にダメージが入ったが、ねじれが腹ならお前は背中かよ真綿。
「今日も寒かねぇ。先輩ん背中ぬくぬく……いや本当にあったか!? 寒くなくて心地いい……はふぅ」
真綿が背後で驚いている様子だったが、マフラーを失ったので個性を使用中である。
人がぶつかってもいいように遮断してるのは快適な温度になるレベルだ。
プロの資格あるから一応何処でも使えるようになったし、敷地内だから問題ない。
「そりゃ今個性使ってるしな。快適な温度だ」
「は〜……当たり前みたいに言うとるけど、絶対簡単じゃなかばい……!」
「俺にとっては当たり前だぞ。体感温度的には春くらいかな」
「え、ズルい。私も入れてー!」
「俺も俺も!」
「じゃあ俺も……」
「押し潰す気か!? ってぇ! 動けない!?」
「疲れたぁ〜……」
「いやぁ、モテモテね〜」
ねじれと真綿に前と後ろを挟まれたかと思えば、左右にミリオと環がやってきて、何故か足を掴まれてるというか地面で一人だけ体力が尽きて死にかけてる沫が居るんだけど、誰かこいつを助けてやってくれ。
俺は既にキャパオーバーだ。
ついでに俺も助けて欲しい。
――ちなみに出てきたイレ先の手によって解散させられたが、変な目で見られた。
あれは間違いなく、『何してんだこいつら』って目だったな……。
寒さを消してただけなんです。信じてください。
なんだかんだあそこまで人が集まってたら普通に暖かったけど。
それからの日々はねじれたちイツメンとカラオケ行ったりボウリング行って完勝したり店でご飯食べたり。
後輩の真綿と沫に連れられてスキー場に行ったり。
スキー場では弟の為に得たスキルを何故か真綿に手解きして教えることになったり、天才肌の沫はすぐに覚えてた。それで何故か遭難者を探すことになった。
当然ながら無事に見つけたものの帰る時間がなくなってしまい、宿を経営してるところの家族を助けたからか無理矢理空きを作ってくれた……が、用意してくれた宿が一室しかなかった。
女子二人と一緒に寝るわけには行かず、かといって外に居たら普通に不審者。
なので部屋に居たが徹夜した。二人は一緒でもいいとか言ってたけど、俺が手を出す可能性を考えなかったのか。*3俺も男だぞ。そうなったら責任は取るけど。
あとはねじれと二人で出掛けたり、出久と母さんのクリスマスプレゼントを買いに行ったりケーキ予約したりとして、23日と24日と25日は予定があるのでクリスマスイヴの前々日にちょっと早めのクリスマスパーティをした。
プレゼントを喜ぶ出久が天使すぎてやばかったです、はい。
とまあ、2週間ほどなのにやけにイベントが多かったような気もするが――
23日。
俺はエッジショットたちに呼ばれ、再び新宿へ向かうことになった。
何やら作戦会議と情報共有をしたいらしい。
となると、調査していたものが見つけられたということだ。
明日くらいには作戦決行になるのだろう。
いつ決行になるか分からないから心構えをして欲しいということと、必要になったらまた呼ぶと言われてたからだ。
場所は何処かのビル。
こんな高そうな場所をわざわざ専用にしたらしい。警察関係か何処かのヒーローのものか。
人が結構居そうだな、そんなにヒーロー集まるなら俺の出番なさそうなんだけど。
とりあえず部屋に入ると、エッジショットやベストジーニストの姿を発見した。
「緑谷」
近づこうとしたところで声を掛けられる。
振り向くと、そこには小汚い不審者――
「イレ先?」
「お前失礼なこと考えてたろ」
ではなくイレ先だった。
なんでバレてんだよ。そもそも自覚あるならもっと身なり整えて……。
「保護者……マイク先生は?」
「あいつはどっちかというと保護者じゃないだろう。マイクはあそこだ」
指差した方向を見ると、なんか楽しそうにワイワイしてるマイク先生の姿があった。
うわぁ、凄い陽キャオーラ。眩しい。
「なんで二人が?」
「そりゃあ呼ばれたからに決まってんだろ? Yeahhhhhhh!」
「まぁ……そういうわけだ」
普通にこっちに来た。
確かに呼ばれなきゃ来ないか。イレ先の能力考えたら出来るなら組織潰す時とか欲しいし。
「それに誰かがストッパーにならなきゃならない問題児も居るからな」
「へえーそんな人がいるんですねぇ。ちゃんとしてくださいよマイク先生。言われてますよ」
「俺ぇっ!? 俺だったのか相澤ァ!?」
「はは、他に誰がいるとでも」
「君しかいないでしょ緑谷くん」
「なんだと!? 誰だ、冤罪をかけるやつは――って……ホークスか」
「え? 冤罪って、むしろ他にいると思ってたの、君……?」
「表出ろよ、前回同様腹パンしてやる」
「そりゃ勘弁。あれはもう受けたくないね、吐いたし」
「ホークスまで来てるとは……かなり大規模になりそうだな」
「君の周りはいつも騒がしいな」
「ここまでプロヒーローと人脈があるのはオリジンくらいだろうな」
「俺が騒がしいみたいな言い方やめてくれます?」
こっちに気づいたであろう二人がこっちに来た。
既に大所帯になりつつある。とりあえずホークスの羽が邪魔なのでもぐべきだと思う。
「人の羽に狙いを定めるのやめてくれる?」
「……」
だってホークス一人の面積多いだろ。
「どうも、ジーニスト。それは同感ですね。雄英でもだいたい騒ぎの元凶はこいつですし、常に渦中の人物ですよ」
「イレ先。生徒にそれはどうかと思いますよ、そもそも人を問題児みたいに言わないでくれませんかね」
「問題児だろ」
「問題児じゃね?」
「問題児でしょ」
「問題児なのは間違いないだろうな」
「違いない」
「おい!?」
味方が居ない!!
そんなまさか、俺が問題を起こしてるわけないだろ。
せいぜい最近だとスターとの戦闘で雄英の訓練場一角消し飛ばしたり停電させたり林間学校でプロヒーローの立場奪ってしまったりミッドナイト先生が青春が足りないとか言ってたから全学年を巻き込んでスポーツ大会をやったり*4。
ちなみにサッカーやらバスケやら、男女混合だったけどみんな楽しんでたようだった。体操着じゃなくてわざわざウェアまで作るガチっぷりだし。*5
雄英生徒はだいたい行事ごとに弱いのもあると思うが。
他にはせいぜい爆発させたり校内を駆け回ったり弟のことを布教しまくってたくらいだが……?
「それだよバカ」
「最近俺の心が読まれすぎてて怖い」
「おっ、随分と騒がしいな。って、やっぱりオリジンか」
「やっぱりってなんだよ……インゲニウムか」
今は頭部パーツは外しているため、顔が見える。黒髪で無造作な髪型と矢印の様な眉毛が特徴の青年だ。
そんな好青年って見た目の銀色のフルプレートに身を包んでるのはインゲニウム。
スピードが速い。俺より圧倒的に遅い。*6でもチームIDATENというのを組織しているこの人だが、チームを使ったやり方は俺には出来ないのでそこは尊敬している。
ここは真綿に教えるのもありかもしれないな。
ちなみに俺は加速系と間違われて1度勧誘されたことがある。この人の下では俺の実力は発揮出来ないし目指すのは最強なので断ったけど。俺が誰かの下につく器だと思わないで欲しい。
チームアップを組んだ程度だから、この人とはそんなに仲良くは無い。どっちかというとサイドキックの方々の方がまだ仲良しだ。
エニグマさんは元気だろうか。あの人の個性ちょっと面白いんだよな。
おねむさんの個性は便利でちょっと羨ましい。
どうしても寝たい時はお願いしにいってる。
ミッドナイト先生とはまた違った眠らせる個性だからな。 今日は二人とも来てないみたいだけど、代表でインゲニウムが来たんだろう。
ミッドナイト先生に頼むのはちょっと怖い。生徒に手を出すようなことはしないと思うが、弱みを握られそうな反面、おねむさんは安心なのだ。
本人はこう、ポヤポヤしててちょっと心配になるけど。
とまあ、全然集合時間より早く来たので結構珍しい集まりと喋ったあと、知らない人も当然入ってくるのが見えた。
そしてやっと1人になった俺の元にこちらに近づいてくる人物が居た。
「やあ、緑谷転間くん。いや、この場ではオリジンが適切かな?」
そう声を掛けてきたのはベージュのコートに身を包み、同じ色のロールキャップを被った顔の薄い男性。
帽子を取っていたが、7:3分に分けられてる黒髪ショートヘアが顕になる。
ちなみに目はハイライトがないので割と怖い。目だけならこの人凄く怪しくない?
「活躍はかねがね聞いているよ」
「うげっ、塚内さん」
「俺、そんな君に何かしたか……?」
苦虫を噛み潰したような表情になっているだろう。
塚内さんは困り顔になっていた。
この人は警察関係者の人で、位階は警部だ。
分析力とプロファイリング能力は高いので、優秀な人ではある。
あるのだが……。
「いやあ、塚内さん見ると妹さんの方を思い出すんですよね。向こうは覚えてるか知りませんけど中学時代散々質問攻めされて苦手なんで」
「ああ、真のことか……。それはすまない愚妹が迷惑をかけたようで」
塚内真。
この人の妹さんなのだが、俺から見ても美人な人だとは思う。
少なくとも俺の知り合いだと3位か4位くらいには。1位は出久に決まってんだろ天使だぞ。
今は確かアメリカに居るはずなんだが、強かというかなんというか。
悪い人じゃないのだが、色々とこっちの情報を聞き出そうとしてくるし見抜かれそうで怖いのが大きく占めている。関わった回数は本当に数えられる程度なのだが。
実際俺が持ってる知識なんて説明しようがないわけで、この世界は俺が居たところでは物語だったなんて言えるはずもないし。ここ現実だしな。
そもそもなんであの人、殆どの人が忘れてる幼少期に遊園地で俺が個性を使って人を助けたことを知ってたんだ。
あの目は利用出来るならしてやろうとか情報聞き出してやろうとか今のうちに(ビジネスに利用できるという意味で)唾をつけておこうみたいな感じだったしな……。他者の将来性を見抜く目があるというか。あっ、この人大成するタイプだってのはすぐに分かった。あの人ほどビジネス向きな人は知らない。
というか『中学生?』とか聞かれた時、怪しまれてたからな、怖いって。
確かに中学生っぽくないかもしれないが、肉体は中学生だし。後に聞いた話だと触れた相手の嘘が分かるらしい。
だから余計に俺の答えに困惑してたようだ。多分正解だけど正解じゃないみたいな判定になったのかもしれない。
とまあ、なんやかんやあってお兄さんであるこの人とは中学時代には知り合ってたので、それ関係で妹さんとも知人であり、苦手意識だけがある。
「まぁ嫌いではないんで。元気にやってるんですかね」
「向こうで忙しそうにしてるみたいだ。まぁ君は君で話題に尽きないようだけど」
「俺の情報ってあなたたち兄妹にマークでもされてます?」
「あれほど大きなことをしでかしたなら俺でなくても注目するよ、もうプロの資格を持ってる期待のヒーローなんだから」
「そんな期待いらないんですけど」
クソほどどうでもいい期待すぎる。
別に誰かのためにヒーローになるわけじゃない。
俺は出久のためだけにヒーローになろうとしてるのだ、弟が俺の背中を見て将来なりたい自分を目指せるように。
他人の期待など興味もない。
「謙遜する必要ないだろ。今回だって君のお陰で突き止めることが出来た。詳しい話は後にするが、警察を代表してお礼を言うよ。ありがとう」
「……運が良かっただけですよ」
「結果として成果を挙げた。ならそれも実力のうちさ」
そう言って去っていったが、本当にお礼を言いに来ただけだったのだろう。
この辺りは流石大人だなと感じる。
社会に出たら分かるが、結果が全てなのだ。
実際今回、あそこを探ったのが俺じゃなければ死人が出てたのは確定な訳で。
「元気そうね、緑谷くん」
「あれっ? 転間くん?」
次から次に声を掛けられる。
聞き覚えのある声に振り返ると、なんだかんだ授業以外では見たことがないため、割と新鮮なコスチューム姿のねじれと、その隣には金髪ショートヘアで右目を爪のような髪飾りで隠している、ワインレッドのチャイナドレスのようなスリットの入ったコスチュームに身を包んだ女性が居た。ちなみにリボン代わりなのか翼っぽいのもつけてる。
どういう人か表現するなら、クールビューティーな美人と言った感じだな。
もちろん出久の方が(以下略)。
「ねじれにリューキュウ? 久しぶりですね……」
「ええ、久しぶり。活躍は何度も目にしたし耳にしたわ。よく頑張ったわね、凄いじゃない」
そう言って頭を撫でられる。
振り払う訳にはいかないので大人しくした。
「どうも、大したことはしてませんけどね」
「ふふふ、そう言えるのは貴方くらいよ? 貴方がやってきたことはプロヒーローでも十分すぎるほどの功績だもの」
「へー」
「そんな興味無さそうにしなくても」
「まあ転間くんってば周りの評価とか気にしてないからね〜。それでこそ転間くんだし」
「いやあ、俺にとって弟からの評価以外ほぼ地の底なんで」
「相変わらず家族のことは大好きなのね」
「当たり前でしょうが! 見ますか、この可愛さに満ちた姿! 最近また一段と逞しくもなったんですよ、ほらどうぞ是非見てください目にいや魂に五臓六腑に焼き付けてくだ――「後で私がいくらでも聞くから今はやめよ?」あちょ」
「本当に変わってないわね……」
間に割り込んできたねじれがニコニコしながらスマホを没収してきた。
仕方ないのでいまはやめることにした。ただ、いまのはつげんはおぼえたからな。あとできかせるからな。
と、あまりに脳が非常に緩みかけてたので戻そう。
聞きたいことあるし。
「ところでなんでここに? ねじれも一緒なのか?」
「私も含めてかなりの数のヒーローが呼ばれてるみたいよ。ねじれは戦力としても、もう十分プロでも通用するし後は経験をね……って、緑谷くんには言わなくても大丈夫ね」
「まぁ。ねじれが強いのは知ってますし頼りになることはよく知ってるので、というかリューキュウより知ってるかと」
「あら、彼女自慢?」
「言うなら友達自慢では?」
「そこはブレないわねぇ」
リューキュウは俺を知ってるような言い方だが、この人とも一緒に仕事したことがあるからだ。
ねじれが評価してたから気になったし、迷惑を掛けてたりしてるんじゃと思って菓子折り持っていったからな。
それはそうと、やけに静かなねじれを見ると顔を逸らされた。
なんだこいつ。*7
「でも直接会って元気そうって分かって安心したわ。これからもねじれのこと、末永くお願いね」
「ねじれから離れない限りはそうしますし守りますよ。少なくとも俺にとってねじれは必要ですから」
「っ〜……!!」
「あらあら……」
「……何か変なこと言いました?」
“何故か”顔を真っ赤にして俺の胸にこつん、と頭突きしてきたねじれと頬に手を当てて微笑ましそうに見つめてくるリューキュウ。
実際ねじれの存在は未来を変えるためにも弟の力にも繋がるだろうし。
思ったことを言っただけなので、変なことは言ってないはずなんだけど……女心は俺でも分からん。第1、ねじれは俺の想定や予想を普通に超えてくるので分かった試しなんてない気もするが。
「いいえ、なんだか以前よりも頼りがいがあるようになってきたなと思っただけよ。雰囲気も和らいでるしね。ただもっと周りを頼りにしなさいね」
「はぁ、必要ないですけどね」
というかそんな前までの俺って人を寄せつけない空気を出してたのか?
そんなことはないはずなので、違う意味だろうか。雰囲気が和らいでる……周りに優しくなったとか?
あんまり自覚はないな。
「おっ! もうおるやないかい、久しぶりやな〜オリジン。元気しとったか? ん?」
またしても話しかけられて声の先を見ると、そこには横幅が大きい、ずんぐりとした男性が居た。
黄色のパーカーにF、G、Fの反転の飾りがあり、フードを被っている。
目元にはマスクがあって手はオレンジの手袋。足元は黒のズボンに黄色とオレンジ色のブーツといったコスチュームに身を包んだ丸っこいヒーローは――
「……なんや。もしかしてお邪魔やったか?」
俺を見て変なことを言っていた。
「どこをどう見たらそう思うんですかファットガム。てか、あんたまで居るなら……」
「……転間に波動さん? なんで二人が……」
「こっちのセリフだよ環」
予想通り、環も来ていたようだ。
いや本当に多いな。今ですら40人近くいるぞ。警察合わせたらもっと。
「ワイも環も呼ばれたんや。3人も同じ理由やろ?」
「俺は元から関わってたので」
「私はファットガムと同様の理由ね。ねじれも同じく」
「やっぱそうなんやな……。てか、ネジレちゃん大丈夫なんか? オリジン、女の子は泣かせちゃあかんで」
「俺が泣かせた前提で話すのはおかしくないか!?」
「な、泣いてないから大丈夫です」
「ならええけど。やりかねないなと思うて」
「その脂肪削ってやろうか」
「ハハハ、おもろいジョークやな! 漫才も出来る口か?」
「ガチだが???」
相変わらずこの人は別ペクトルで無敵だな……。
漫才はミリオとやってくれ。
「そう怒らんといて。飴ちゃんやるで」
「大阪のおばちゃんってこんなイメージだよな。あとさほど怒ってねーよ」
出張でもそうだった。
渡されたので素直に貰って口に含む。
って、これパインアメじゃねーか。美味いなちくしょう。
ねじれはいちごミルクだったらしい。
美味しそうで何より。
ただ男性に対して舌をわざわざ見せるのはやめた方がいいと思う。
「こ、こんなにヒーローが……。一体何が起きるんだ……世界の終わりか……?」
「大丈夫だって、俺が居るんだぞ」
「相変わらず自信満々やなぁ。けどもっと自信持ちーや環! 親友がこう言ってるんやで! 信じて答えることも大事や」
「そうそう」
ネガティブになってる環を俺とファットガムが慰める。
こういった部分が環を安心して任せられるところだ。この人、良い人だしな。性格はついていけないが。
「おーい!」
「随分と集まってるな、 転間」
「囲まれてますねー」
まーた人が増えた。
明るいのはミリオで、その隣にナイトアイ。その隣にバブルガールと、センチピーダーさんはお留守番か。
なんだかんだ3週間ぶりくらいだっけ。
1週間近く調査だったし。
「やっぱりナイトアイたちも来るんですね。ぶっちゃけ戦力多すぎません?」
「転間の情報から考えれば戦力は多いに越したことはない。本当ならオールマイトにも連絡をすべきだが――」
「いらないです」
出久を放ってこっち来たらヴィランの前に俺がぶっ飛ばすわ。
「なんだかんだ揃ったね!」
「ねー。しかも見て、転間くんのレアコスチューム姿だよ!」
「色違いレベルでレアだ……」
「人をポケモン扱いするなよ。それに1/8192じゃなくなってるから出やすい方だろ」
ねじれの言った通り、珍しくコスチュームを着ている。
と言っても機能を全部消したし上下黒の服装から一点して頑丈なだけの服になってるけど。
ダボッとした白いズボンに黒の紐でリボン結びして締め、上は黒いTシャツという本当にシンプルなデザイン。*8
「それよりそろそろ時間だ。各々指定された席に着くように」
分かりやすいようにそれぞれ席が用意されている。
というのもインターン生が他のヒーローのところにいたらややこしいし、サイドキックも含めて事務所ごとに分かれた方がいいからだ。
情報共有から始まるわけで、一応まだインターン中だから俺はエッジショットのとこ。
ナイトアイたちは報告なので皆から目立つところになる。俺は辞退したので、ホークスとナイトアイに任せた。
俺は提供者なだけで二人の方が情報持ってるだろうし。
※なお、この人脈は全部出久の為に行動してただけ。
原作
-
入る
-
もっとお兄ちゃん読みたい
-
作者の好きなようにやって欲しい