どけ!!俺は出久のお兄ちゃんだぞ!! 作:俺もお兄ちゃんだぞ!!
感想は時間なくて返せてないだけで読んでます。
いよいよ最終章突入です、これ終わったら原作。
多分原作入れても1番長い章になるんじゃないでしょうか。お兄ちゃんが最強になるのが物語として完結なので、この話が終わればお兄ちゃんの物語ではなくなりますからね。
最後辺りにテーマも発表したいと思ってます。多分察してる人は察してる。
というわけで集まった。
左にイレ先、右にリューキュウ。
なんでイレ先は俺の隣にいるんですかね……そんな監視いらないです。
「まず集まってくれて感謝する。ここに居るものなら分かるだろうが、私とエッジショットはある組織を追っていた。変な生物が居たり人が消えたり宇宙人がいるだの妙な噂が立ち、私達も全く尻尾を掴めなかったのだが、先日のオリジンの活躍によってようやく判明した」
ベストジーニストが会議を始める。
わざわざ俺の名前を出してくれたせいで俺に視線が集中したので、真顔を貫いた。
別に功績とかいらないので早く進めてください。
その想いが通じたのか、塚内さんが立ち上がった。
「ここからは私が。まず判明した名前から調べて追った結果、明らかになったのが製薬会社だということです。会社の名前はそのまま。
言われたので資料に目を向けると、日記が分かりやすくされていた。
まぁこれに関しては俺なんだけどな。俺が持ち帰った情報なんだからそりゃ分かりやすくやる。
あんな胸糞悪い日記なんて読みたいヤツ居ないだろ。ねじれたちの存在は想定外だったが、なんだかんだ俺がやって正解だったようだ。
「誘拐に殺人から解剖まで何でもござれ。それも人から動物まで生物なら何でも。実際酷い有様だったんだって?」
「……口にすると脳みそが半分掛けてたり腕がちぎれてたり臓器が出てたり目が飛び出してたりとまあ、酷かったですね。どんな生物がとはイメージさせないためにも言いませんが」
ホークスから話題を振られたので答えた。
実際には人間っぽいのもあったんだが、言うまい。
普通にグロい。
この俺が怒りを覚えるほどに。
人だけじゃない。生物だってちゃんと生きて暮らしてるのに、あんな尊厳すら壊すようなやり方――ヒーロー以前に人間として軽蔑する。
「目的は?」
「自分が神とやらになるためのものらしい。ヒーローに復讐をして世界を支配することが真の目的だろう。情報を見る限り神を作り出すことにシフトしてるようだが、支配することは変わってないようだ」
「質問ええか?」
「どうぞ、ファットガム」
「いや気にするとこちゃうかもしれへんけど、このクレストは関係あるんか?」
「それは多分鷲じゃないですかね? 鷲は強さ、勇気、遠眼、不死などの象徴とされてます。ギリシャ神話ではゼウス。ローマ神話ではユーピテル。ゲルマン部族ではオーディン。ユダヤ教やキリスト教の聖書では神、キリスト教芸術では福音記者ヨハネなどに関連して使われてます。そこから推測すると、自分たちこそが“神”であると主張してるんじゃないかなあと、クソくだらないですね」
「最後は余計だ緑谷」
「なるほどなぁ。ほんま詳しいなぁ、オリジン。環が自慢するだけあるわ」
「ちょっ……」
「自慢って何を話した!?」
コホン、と塚内さんが咳き込んだので大人しくした。
一体環はファットガムに何を話したんだ……。
「どちらにせよ表向き印象を良くすることに間違いはない。そして現在この組織を引っ張っている者の名はエドワード・アンブレラ。個性は遺伝子操作でした」
「ジーニストさんやエッジショット、オリジンが見たという改造されたヴィランもこれに寄るものかと」
「なるほどな……道理で普通ではなかったわけだ」
「遺伝子を弄られてたからか……」
「となると……他にも確実に居る、と。オリジン、脅威は?」
「なんで俺に振るんですか」
インゲニウムがこっちに振ってきた。そこのプロふたりに聞けよ。
俺より調査してたんだから。
「実力としてはそれぞれプロヒーロー並かと。相性によってはやばいかもしれません。その遺伝子操作の対象は人間にも可能みたいです。少なくとも先日侵入した際には相手は人型でしたが俺の個性による防御が破られかけてたので。あと数もヤバいですね」
「え、マジ?」
「これだけ集めたのも相応の理由があったってことか……」
驚くホークスは置いといて、インゲニウムが納得を示していた。
ぶっちゃけこの中で俺の防御力を知ってるのって雄英組とホークスくらいだしな。エッジショットたちは昔の俺しか知らないし。
「ただ彼が持ち帰った情報は5年前のものです、今も研究が続いてるとなると、エドワードの言うような“究極の生物”や“神”というのが完成していたっておかしくはない。他にもオリジンが戦った者より強力になっている可能性も。相手が宇宙生物の細胞や力を使ってるなら私たちの想像を超えるようなことが起きてると見るべきでしょう。資料では個性を2つ持てるような実験をして、実際に持つ者も居たようですから」
「個性が2つ……厄介ね」
「遺伝によって持ってる人も居るけど、大半の人は1つしか持ってませんしね」
「まー俺らじゃ予想出来ませんからね。なんすか宇宙生物って。NASAでも感知してないっすよ」
「未知の生物ならすり抜ける方法もあるのでは?」
「そうだな、ナイトアイの言う通りだ。私たちでは計り知れない力があるのかもしれない」
「脅威度は上げておくべきだろうな」
「てか宇宙人って完全にSF映画みてぇだな!」
「既に個性がSFだろ」
「なんかえらいことになってきたようやなぁ」
「ヒーローの作品では鉄板ですよね、うちゅーじん!」
「確かに、そういう展開あるよね〜」
「壮大になってきた……」
確かに相手が宇宙人ってどうなんだと思ったけど、ミリオの言う通りだな。
よく良く考えればヒーローVS宇宙生物ってのが大半だ。
例えば10種類のエイリアンヒーローに変身する能力を持つ少年の話とか。Marvelousとか特撮とか。
むしろこの世界にそう言った存在が居なかったというのがレアなのでは? だいたい人類VS宇宙人だろ。
「んでよ、結局拠点とかは見つけられたのか? 分からねえなら攻めようがないだろ?」
「そうね。もしまだなら早く見つけないと。誘拐されて実験に使われてる子達もいるんでしょう? もしかしたらまだ生き残ってる子達もいるかもしれない」
「拠点については俺の知り合いが情報提供してくれたんで、確実ですよ。そことこの組織から情報を吐かせたみたいなので、アメリカで」
「アメリカだぁ? まさかの海外かよ!」
あっ、これスターのことだ、と理解した。
えっ、あの人もしかしてアメリカにあったであろう組織を壊滅させてない?
情報吐かせたって絶対そういうことだよな?
多分メインは日本なんだろうが。
「にしても手際がいいですね。合理的で助かりますが」
「オリジンのお陰っすよ」
「これ以上俺の活躍にするのやめてくれません? あとまたお前かみたいな目もやめてくださいイレ先。問題は起こしてないです!!」
「お前は何をしでかすか分からん」
「純粋に酷い」
「そう言うけどね、あの人動かせるの日本だとオールマイトかオリジンくらいだから」
そんなことないだろ、スターは二つ返事で引き受けてくれたんだから。
確かにオールマイトの言葉でなら即動きそうだけど。
学生の俺が言って動いてくれるんだから動いてくれるだろ。
「とにかく私たちがすべきことはこれ以上被害を出させないことだ」
「表向きは製薬会社となると捜査という形になる。突入班と避難班で分かれるべきだな」
「施設は地下にあるみたいですね。これがその知り合いから頂いたNemesis本拠点の間取り図です」
ベストジーニストとエッジショットが話を戻してくれた。
ホークスが表示した間取り図は、それはもう広かった。
だいたい地下5階くらいだ。
ここから探すのか……。もう面倒臭いし地下ごと消し飛ばしたいレベルだ。ただし相手は死ぬ。
ヒーローとしては有るまじき行為なのでやらないが。
「避難誘導は俺たちチームIDATENと警察で担当しよう。どうですか?」
「それがいいでしょう。出来るならホークスも」
「元からそのつもりでしたよ。緑谷くんがいれば俺の代わりは余裕で務まるでしょうから。逃げられた場合、地上なら俺だと捕まえられる。地下だと機動力は地上よりかは落ちるので」
「となれば残りの私たち全員で突入ということだな。戦力的にもその方がいいでしょう。相手がどれほどの兵力を持ってるか分からない以上、出来る限り戦力を連れていっておきたい」
「通形、天喰、波動。お前たちの実力は高いとはいえまだ学生だ。各インターン先のヒーローからは離れるなよ」
『はい』
ナイトアイも人選には異を唱えてなく、肯定的だった。
俺もいいんじゃないかと思う。
インゲニウムもホークスも本領発揮させるなら地上だ。
イレ先は先生らしく3人に忠告していた。
「そな緊張せんでええで。独りやないさかいな」
「いつも通りやれば大丈夫よ」
「オリジン、お前は今回俺のインターン生としてではなく、一人のプロヒーローとして動いてくれ」
「いいんですか?」
「その方が良いと私とエッジショットで話し合ったのだ。君の実力を発揮するなら単騎の方がいいだろう」
「よくご存知で」
流石に3人はインターン生としてだが、俺は免許があるってのもあるんだろうな。
どうであれ、このNemesisってのはいずれ出久の脅威になるかもしれない。その前に根を詰んでおかなきゃならない。
「では最終確認ですが、私たちの目的は実験とやらを止めること。もしオールマイトに匹敵するようなヴィランが大量発生してしまえばこの世界は滅びを迎えることでしょう。何より放っておけばどれほどの被害者が出るか分からない。出来るならその前に止めたい。必要であった令状に関してもオリジンの証拠のお陰で可能になった! 決行日は明日! ここに集まったヒーロー全員で襲撃を掛けたいと思ってます。どうか協力を願いたい!」
随分とまあ急ではあるが、それほど早く襲撃を掛けたいのだろう。
逆に言えばこれほど見つからなかったということは強力なバックが付いてるということになるが――問題ないな。俺が潰せばいいだけの話だ。
24日。
世間はクリスマスイヴという、まあ特別な日になってることだろう。
電車乗れないんだけど。
カップル率多すぎる。このままでは自分で走っていくことになりそうだ。
なんでイヴに決行考え……人に紛れられるからだろうな!!
クリスマス当日よりもイヴの方が人は多い。
かくいう俺も今までイヴとクリスマスは――仕事か勉強しかしてない件。
あれ、俺の思い出なさすぎ……?
弟のためにサンタさんにはなってたけど、家族以外と過ごしていない。
全然いいけどな、他の人なんかと過ごすより弟と過ごした方がいい。俺にとって最高の幸せだ。
「えへへ」
隣では(俺の)黒のマフラーやら白の羽織を着てるとはいえ(本人曰く寒いから)俺と腕を組んで機嫌良さそうなねじれがいる。
そういや、去年はねじれたちと過ごしたっけ。イヴは全力で断ったけど、思えばそれが初めて誰かと特別な日を過ごした時かもしれない。
今回は断れることじゃないから仕方ないが、もし彼女たちと出会わなければどうなってたのだろうか。
俺の思い出は大半が雄英だ。ならきっと俺にとって雄英は特別なところになってたのだろうか。
もしそうなら、出久には大切にして欲しいと願う。
「また難しいこと考えてる?」
「確かに解決しそうにないな」
「どんなこと考えてたの?」
「思ってたより俺には思い出がないなと。でも雄英に入ってからは思い出ばかりだ。もうすぐ2年とはいえ、濃い日々だなと思って、雄英に入って良かったかなど考えてたんだよ」
「そうなんだ。私は入ってよかったなーって思ってるよ? 転間くんに出会えたから。きっとここまで強くなれたのは君が居て君と出会えたからだと思うの」
「転間くんは……どうかな?」
そう笑顔で述べるねじれは、何処か幸せそうで嬉しそうで、そして普段浮かべる笑顔とは別の魅力があるように感じられた。
頬が赤いからだろうか。
上目遣いでこちらを見つめてくる彼女に、俺はほんの少しだけ思考する。
俺と出会えたから、か。
エッジショットは自分が思うより俺は他の人に影響を与えると言った。
ベストジーニストは他人を頼ることを成長だと言った。
頼れる相手は限られてるが、それでも成長なのだと。
なら、それなら俺にとって雄英の出会いは、彼女との出会いは――
「……そうだな、俺も皆と、ねじれと出会えてよかった。ありがとな、俺に思い出をくれて」
きっとより良いものだったのだろう。
そう心から思ってねじれに伝えた。
上手く伝えられたかは分からないが、俺なりの感謝を言ったつもりである。
しかし返事がないことに妙に思って眉を顰めると、ねじれは俺から顔を逸らしていた。
……やっぱり間違えてたか?
「そういうのは……ずるいと思う。このタイミングでその表情はダメ」
「意味わからん。別に笑っただけだろ……っと、電車乗るぞ」
「自覚ないのは転間くんらしいなぁ。今だってずるいよ」
「何処がだよ」
「全部!」
「理不尽」
電車に乗車する際、隙間と段差がある。
そのため捕まっていた腕を抜け出して手を差し伸べる。*1
ねじれが掴まったのを見て電車に乗ろうとするが、僅かに引っ張られる感覚があった。
「転間くん」
「ん?」
「私が思い出を作ったんじゃなくて、一緒に作ったんだよ。私の方こそ、大切な思い出をありがとう。だからね、“これからも”たくさん一緒に思い出を作ろうね。色んなことして、一生の思い出をいっぱい」
「……そうだな」
まるで隠し事をするかのように小さく囁く彼女に肯定を示す。
電車に乗ると特に転ぶこともなく乗れたが、人が多いので奥に行く。
あっ、これまずい。これがクリスマスイヴの力だと……!! もしくは東京の力か……!?
押し潰される前に何とかしよう。
「ねじれ、お前はこっちだ」
「うん――ひゃっ!?」
奥に行ったことが幸いというべきか。
電車だとどさくさに紛れて痴漢するバカは何処にでもいるので、彼女を窓際に送ってから覆い被さるように壁に手をついた。
個性ではなくても俺の方が鍛えてるし筋力が圧倒的にあるため、簡単には崩れないバリケードだ。
「大丈夫か?」
「う、うん。その、聞こえてない?」
「は? 何が?」
「だ、大丈夫ならいいから。うん! 守ってくれてありがと!」
バリケードになってるとはいえ、流石に体は密着する。あくまで守ってるだけ。
まぁさらっと調整して個性使っとこ、とねじれを含めて発動することにした。
妙に慌ててた姿は気になるが、よくよく考えればこれ、十分やばいのでは?
一応俺のコスチュームの羽織とマフラーを着させてるとはいえねじれもコスチュームなので、ぶっちゃけ普段よりも意識しかねない。
ヒーローの服って機能性重視だからか男性も女性も露出が高い人が多い。かくいう俺もピチピチ服だ。
ねじれだってぴったりとしたボディスーツだからな。特徴としては手足や頭にぐるぐるとねじれたパーツや角がついていることだけど。
「……ん」
恐る恐る、といった感じで背中に手を回される感覚があった。
下を見ると恥ずかしそうにしながらもこちらを見ていて、個性を使ってるがまだ寒かっただろうか、と思ったが。
「転間くんの心音落ち着く……」
どうやら俺の心音を聴いているらしい。
流石にねじれも緊張してるのか不安なのか。
それはあまり宜しくないか。程よい緊張はいいが、極度の緊張はパフォーマンスに影響を及ぼす。
仕方ないな。
「あ……」
今回だけはいいか、と滅多に自分から異性に触れようとしないが、同じように背中に手を回して抱きしめる。
抱きしめるとより華奢で柔らかく、彼女もただの女の子なのだと感じる要素が多い。ついでにいい匂いもする。
水着の時よりかは露出はマシなんだが、ここまでは密着してなかったし意識しないようにしなきゃ不味い。
「転間くんは暖かいね……匂いも声も、この温もりで落ち着いて安心出来ちゃう。不思議」
「そうか」
「だから……降りるまでこのままで居て欲しいな。ダメ、かな」
「……どうせ降りられないんだ。この方が安全だろ」
「じゃあ、遠慮なく」
抱擁される力が強くなる。
……訴えられないかと別の意味で心音が早まってないことを願っておこう。
どちらにせよ結局は考えなければいいだけか。こんな体勢で性欲抱かれたらねじれも嫌だろうし。
まあこういう時は出久のことを考えるかオールマイトに対する憎しみを全開にすべきだな。
もしくはやっぱり俺が抱えて走っていくべきだっただろうか。
いや消耗は良くない。そんなに掛からないから別のことを考えてればいいか。
というわけでリューキュウたちと新宿で無事合流した。
なんだか変な空気のまま来たせいで心配されてしまったが、俺もねじれも切り替えた。
場所はどうやら新宿センタービルの隣らしい。
前世の記憶とは街並みは違うが、この辺りを封鎖。
避難誘導するのがインゲニウムと警察の仕事。ホークスは監督みたいな役割。
俺たちは突入して研究員含むヴィランを確保。
結構距離は空いてるが、俺なら1秒あれば突撃出来る。
俺たちの他にもたくさんのヒーローが居て、今回はセンチピーダーさんも来てるらしい。あの人目立つな……。
インゲニウムのサイドキックたちとも久しぶりに話して待ってると、全員が集った。
ようやく作戦の確認が行われる。
が、同じことなので俺は聞き流しながら出久のことを考えていた。
あと4ヶ月もすれば雄英に入ってくる。
残念ながら目標の出久が入学前に“最強”になるという目的は達せられなかったが、これから成ればいい。
問題は――
「どう授業に参加するか、だな」
「問題児、嫌な予感しかしないことを考えるな」
作戦を聞かないとはなんて不真面目な人だ……!!*2
「同じこと聞いたって仕方ないでしょ、結局は俺が居るんだからなんとでもなるって」
「全くお前は……。現場だと何が起きるか分からない。その辺はちゃんと頭に入れとけよ」
「はーい」
「伸ばすな」
実際ナイトアイに未来を視てもらったが、俺の死の未来は曖昧だったようだ。
今日死ぬなら明確になるだろ、多分。
それに言われなくても慢心はしない。
「それにしたってさ、ひとつ疑問があるんだよな」
「疑問?」
「なんでクリスマスイヴにこんなむさ苦しい中にいないといけないんだろうな」
隣をキープするねじれが答えてくれたが、思ったことはこれである。
本当なら弟の傍でお兄ちゃんを遂行していたはずなのに。
「私は転間くんとクリスマスイヴも過ごせて嬉しいよ? クリスマスも楽しみだねー」
「俺の予定が勝手に埋められているだと……!?」
「言い出しっぺは転間くんだからね!? なんで忘れてるの!?」
「いや俺のマイブラザーこと出久のことですっかり抜け落ちた」
そういや学年全体でクリスマスパーティやるとかなんとか。
お前ら仲良しかよ。
今年こそは恋人を作るとか意気込んでたやつも居たな、恋なんてしたことがない俺には関係のない話だが。
本人たちがそれで幸せになれるならいい。
「ブレないねー、ほんと! 転間くんらしくていいや」
「褒めるなよ」
「うん、今回は褒めてるね」
「君たちは相変わらず仲が良いな」
「相性が良いと言うんでしょうね。それにインターンの時もねじれってば何かとすぐに緑谷くん――」
「リューキュウ!!」
近くに居たエッジショットは俺とねじれの会話を聞いてそんなことを言ってたが、仲がいいのは否定しない。
今何か不穏な言葉が聞こえたような気もしなくもないが。
環といいミリオといい、そしてねじれといい。
一体俺の何の話をしたんだ……! 俺がブラコンだということは周知してもいいが、前者二人と違ってねじれは顔を真っ赤にしている。
しかも必死そうにリューキュウの口を閉ざしていた。
ますます怖いんだけど。もしかして俺の黒歴史でも暴露されたのだろうか。
黒歴史……黒歴史ね……。何も無くね?
うん、出久に対する愛を謳ってただけだし。
「緑谷くん、静かにしてくれないか」
「待ってくれ。なんで俺だけなんだよ塚内さん」
まるで騒いでるのが俺みたいな言い方をして、俺じゃないだろ。*3
「でもクリスマスパーティは楽しみじゃない?」
「お前フラグって知ってる?」
「旗?」
「違うそうじゃない。まぁフラグなんて俺が折ればいいだけの話か……」
「そこの二人緊張感持て」
「はーい」
「うす」
流石にイレ先のこめかみに青筋が浮き出てたので2人して反省。
にしても俗に言う死亡フラグってやつだろこれ。実はこれで俺の未来が死の未来に繋がったとかないよな?
「ヴィランを捕まえることは大事だが、生存者を優先して欲しい! 何より生きて帰ること! 気を引き締めて――」
「ッ!?」
塚内さんの言葉が言い終える前にふと視線を感じ取った俺は、近くの警官のホルダーから拳銃を抜き取る。
「ちょっと!?」
「すみません借ります!」
「オリジン!?」
流石に発砲は出来ないが、遠心力を活かしながら上空へ全力投球した。
計算――ダメだ、ズレる。
「ホークス!!」
「そういうことね!!」
高速回転しながら飛んで行った拳銃に視線が向けられるが、流石に届かないと判断した俺はホークスに目を向けながら叫ぶ。
俺の目を見て意図を理解したホークスが羽根を飛ばして拳銃にくっつけることで加速させ、ガンッと何かにぶつかる音がして落ちてきたところを引き寄せて近くに落とす。
「これは……虫!?」
「ドローンか! 総員警戒態勢!! 既に気づかれてる!」
ジジジジと壊れたような音からベストジーニストの声で皆が警戒態勢へ入る中、俺は突っ込もうとして普通にイレ先に掴まれて止められた。
どうやら単独はダメらしい。
すると次から次へと何かが這い出てくる。
「バ〇オやないか!!」
俺が思ったことをそのまま言っちゃったんだけどファットガム。
もうザ・ゾンビって外見の者が続々と出てくる。
「感染したりしないだろうな!?」
「知らん!」
ベストジーニストが拘束し、各ヒーローが次々と交戦を始める。
それを見ながら俺は腕を出して普通に噛まれた。
「痛いけど感染とかは特に無さそう。大丈夫っすね」
「お前は試すな!」
俺の腕をガジガジと頑張って噛もうとして永遠と届かないゾンビ(仮)が捕縛布によって吹き飛んでいった。
大丈夫だという確信があったからってのもあるけど、やばかったら感染する前に斬り落としていた。
未知の物質の可能性があるから治せるとは限らないし。
ただこれで感染するなら、あまりに出すのが遅すぎる。
第1。接近されるまで気づけなかったが一般人を逃がすまでゾンビ擬きを出さなかったこと。
俺だったら感染者を増やしてヒーローにぶつけ、体力でもなんでも削る。完成してるか分からんが、向こうからしてもヒーローの死体は欲しいはず。
第2。明らかに統制が取れていること。
ゾンビといえば脳が腐った、本能や生前に従う存在と認識している。
その割には人数も分かれて行動し、狙ってきている。
実力こそチンピラ程度だが。
つまりこれは、個性。もしくはそれを操っている――いわゆる
それに倒せば消えるので多分召喚系だ。
ただ安全だと分かったからか、警察は先より戦えるようになっている。
これなら問題ないか。
ヒーローは余裕でも警察は違うからな。誰かが安心させてやるべきだった。
「ここは俺らが引き受けるんで皆さんは行ってください! ここに居たって一向に進まん!! こいつらを操ってる個性持ちは多分奥にいる!」
「そうさせてもらおう!」
「ここはホークスたちに任せて俺たちは先に行くぞ!」
ベストジーニストとエッジショットが声を挙げる
ホークスたちなら問題ないだろうが、数が多いな。
奥の方にはうじゃうじゃいるし周囲も多すぎて動きづらい。
背後はいないが、左右と前方をどうにかしないとな。
「道を切り開く! ねじれ、環! 力貸せ!」
「おっけー!」
「分かった……!」
素早く前に出ると、道を妨げるゾンビを吹っ飛ばしたねじれと環が合流してくる。
やることは単純。
「巻き込まれなくなかったら頭下げろよ! 三割は削る!!」
動作に入った途端、ほんの0.1秒で全員が頭を下げて問題ないことを頭の中に情報として取り入れながら俺はタイミングを知らせるように頷く。
「蒼」
「
引力を発生させる蒼い光球が前方を。
ねじれの両手から放たれた波動が左側を。
環のタコやらイカやらスコーピオンやら鞭のように伸ばせる数々の触手や尾が右側のゾンビ軍団を蹴散らし、道が開いた。
「ナイスだオリジン!」
「露払いは俺とジーニストで行く!」
敵が埋めないうちに二人が駆け出し、その後をマイク先生やイレ先、ナイトアイたちが追っていく。
俺は駆け出す前にインゲニウムや警察に振り向いて頭を下げた。
「インゲニウム、警察の方々。ここはお願いします! ついでにホークス!」
「わ、分かった!」
「やっぱり俺の扱い酷いよね、君!」
無視して駆け出した。
「ネジレちゃん、見事ね。いつもよりも力入ってたじゃない、緊張も特にしてないみたいだしね」
「えへへ。転間くんがいるもん、情けないところは見せたくないから」
「環もやるやないか! いつもより調子ええやん。どないした? やっぱオリジンやルミリオンがおるからか?」
「うん……二人には置いていかれたくない」
「そっか! どうや、オリジン。うちの環は。凄いやろ」
先を行ってたリューキュウとファットガムたちに追いつくと、脈略もなく環自慢された。
なんだこの人。
「知ってるよ、環が凄いやつだってくらい。あんたより過ごしてるのは俺だぞ。ミリオには負けるが、俺が環を凄いと言える人物2位だぞ。あんたは3位だ」
「どんなランキング作っとんねん!? そんなランキングどうでもええやろ!?」
「や、やめてくれ。恥ずかしくなる……!」
「えーっ、私は!?」
「すまんファットガム、やっぱり4位だわ」
「なんや、そう言われたらなんか悔しくなるやんけ!」
「いや悔しくなるのかよ」
「もう。平常運転なのはいいことだけど、漫才してないで急ぎましょう」
「いやー案外やれるもんやな! ファットさん見直したで」
「してませんけど!?」
全く心外である。
「……三割って……半分以上削ってるんだが……」
「あー、うん。彼の言葉は真に受けない方がいいっスよインゲニウムサン」
「二人も凄かったが、彼は別格だな……。共にしたうちのサイドキックから実力に関して話は聞いていたが――何者なんだ、オリジン」
「さぁ、そこは俺も分かりません。まぁ、本人に聞いて返ってくる言葉は――
「はは、違いないな。これは俺も、兄として負けちゃいられないようだ! 我々も役目を果たすとしよう!」
(頼んだよ、緑谷くん。もしネメシスが書かれていた資料の生物を完成させていたなら――勝てるのはきっと君しかいない。スターさんと渡り合える実力を持つ、オールマイトクラスの君しか)
――12:00。
ヒーローが突入する。
原作
-
入る
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もっとお兄ちゃん読みたい
-
作者の好きなようにやって欲しい