どけ!!俺は出久のお兄ちゃんだぞ!! 作:俺もお兄ちゃんだぞ!!
これ書いてた時にホラゲーにハマってたので元ネタはバイオ含んでほぼホラゲーです。
乗り込んだ俺たちを迎え入れたのはローブに身を包んだ人物と周囲にゾンビやら犬やら蛙やら。
クリーチャーと呼べるものが多くいる。
「無限湧きか? ここは俺が――」
「いいや、ここは俺が引き受けるぜ。つーかオリジンが残っちゃまずいだろ」
「いいのか、マイク」
「でもこの数ですよ、相手が生物として機能しないなら俺の方がいいんじゃ……」
「心配すんなって。イレイザーを残す訳にもいかねーし、むしろ広範囲攻撃の俺の方が適任つーわけだ。Do you understand?」
確かにマイク先生は範囲は広いし厄介な力だ。
実力もある。
それでも近接特化の俺やイレ先と違って遠距離向きだ。
「大丈夫よ、私も残るわ。地下がどれだけ広いか分からない以上こっちの方が戦えそうだもの」
「リューキュウ……すみません」
「気にしないで、緑谷くんは先に行くべきだもの。イレイザーヘッド、ねじれを任せて大丈夫かしら」
「……分かりました。ここは頼みます」
リューキュウとプレゼントマイクの2人なら俺も不満は無い。
残ってもらうことに申し訳なくは思ったが、戦力が減った分は俺が活躍すればいい。
「ではここはプレゼントマイクとリューキュウに任せるとしよう。私たちは地下へ行くぞ!」
ベストジーニストの声に従い、皆が走っていく。
道を開くようにマイク先生のヴォイスが発せられ、そこを抜けていく。
途中で振り向いて足を止めたねじれに気づいた俺もまた足を止める。
「リューキュウ……」
「ねじれ、緑谷くんを支えるんでしょう?」
「……うん!」
一言交わした程度だろう。
ねじれはすぐにまた振り返って、そのまま俺の手を取って走っていく。
何を喋ったのだろうか。
流石に距離があって聞こえなかったが、ねじれ本人が大丈夫そうなので問題ないのだろう。
「んじゃ、とっとと片付けるとするか」
「ええ、早く追いつきましょう!」
――12:05。
地下1階。
扉を開いてしばらく歩いたあと、異質な空気を感じ取る。
あからさまに怪しさ全開の扉があるが、開けなくては進まないため警戒しながら開くと、そこはたくさんの斬撃痕が存在する部屋だった。
「これは……戦闘が起きたのか?」
「いや、これは直近で起きたような痕ではない。つまり……やつが迎撃者といったところか」
ナイトアイが壁に触れて確かめていたが、すぐに判子を投擲していた。
弾かれる音が響き渡り、暗闇の中から出てきたのは合金と思われる鎧に身を包んだ人型。
『目標発見』
ガチのロボットかよ。
ちょっとどういう風に作られてるのか気になった。フルアーマー出久とかどうだろうか。うーんこれはなし!
出久のカッコ可愛い顔が見れないのはナンセンス。
よし、引退後のオールマイトの装備はこれだな。これでやつの顔が見れなくなる。*1
「オリジンっ!」
そんなことを考えてたのがバレたのだろうか。
俺に思いっきりビームが直撃した。
……容赦なさすぎて普通に怖い。
「くたばれ」
ということで、そのままビームごと突っ込んで胸を貫いた。
機械のコアらしきものを砕く。
すると警告音が鳴り響く。
この独特な音は――
「自爆!!」
全力で地面を蹴り、そのまま壁に叩きつけると同時に爆発が起きる。
危険かと思って離したが、想定より弱かった。
煙たくて手で払いながらぱぱっと出る。
「み、緑谷くん大丈夫!?」
「モーマンタイですよ、バブルガール」
「君は相変わらず無茶をするね……」
人の行動を見て呆れているセンチピーダーさん。
無茶って言うけど出来るからやってるだけだ。
「ビームに直撃して無事なのは問題ないと言えるか些か疑問だが……オリジンなら当然だな」
「俺の出番かと思っとったのに出番なくなってしもうたわ」
何故だろう。
ナイトアイが自慢げにしている。
それはミリオにしてくれませんかね。
「俺たちも負けてられないよね!」
「転間くん無理はしちゃダメだよ?」
「分かってるって。次行こう」
「……やはり単独にして正解だったかもしれんな」
「ですね……」
しかしまあ、妙なのが何故ピンポイントに俺を狙ってきたのだろうか。
あの場で狙うべきなのは俺ではなかったはずだ。前方にいるベストジーニストやエッジショットを無視して後方にいる俺を直接狙ってきた。
俺が1番脅威だと思われたのだろうか。
機械故の欠点かもな。
俺が搭載する出久の将来のためのサポートアイテムAIはもっとちゃんとした優秀なものを創り出そうと心に決めた。
地下2階。
計5階まであると考えたらようやく半分に近づいたと言えるだろう。
今度はどんなやつが相手なのかと思ったのだが、暗闇で何も見えない。
仕方ないので持ち歩いていたサポートアイテムを起動したが、やはり光源が小さい。
電池持ちが悪いが、出力を最大にすると視界ギリギリまでは照らしてくれた。
「すみませんこれが限界です。流石に部品がないので強く出来ません」
「いや十分だ。警戒しながら進もう」
ベストジーニストの声に皆が頷く。
本当は部屋中を明るくしたかったのだが、光源が小さい以上、慎重に歩くしかない。
あまりに面倒なのでいっそファットガムの中にでも入っておきたいレベルだ。この人なら基本何か来ても防げるでしょ。
周囲全体は暗いため、闇に慣れるまで時間が掛かるが、さりげなく人の手を掴んでいるねじれのことだけは分かる。
想像以上に真っ暗だ。ここの施設だけジャンルがホラーゲームみたいになってるんだが……。
「け、ケケ――」
「あ?」
何が聞こえた気がする。
とりあえず全員に静止するように言いながら目を凝らすと、銀色の光が見えた。
目の前で静止する鋭利な物とベストジーニストの個性と思わしきもの。
……なんで俺、こんな狙われてるんだ?
「エッジショット!」
「そこかっ!」
別にベストジーニストが動かなくても当たることなんてなかったが、疑問に感じてる間にエッジショットが腕を細くして伸ばしたようだ。
しかしドス、と妙な音が響く。
光で照らすようにサポートアイテムを操作すると、何も無かった。
とりあえず照明みたいなボタンがあったので不意打ち対応出来る俺がスイッチを押すと、部屋が急に眩しくなり、真っ白な世界に染まった。
普通に目が疲れそうだと思いつつも、不必要になったサポートアイテム――正式名称テラスくん*2を消す。
「ヴィランはどこへ……!」
何かを打ち合うような金属音が響く。
シャキーン、シャキーン、と物騒な音。
周囲に目を向けるが――
「あかん。真っ白すぎてなんも分からんわ!」
まさにそれである。
こればかりは俺でもどうしようもない。
周囲を薙ぎ払うと巻き込むから出来ないし。
出来るのは警戒するだけ。
「転間くん!」
そうして警戒してると、影が差し込む。
頭上に迫る巨大なハサミ。
近くに居るねじれの肩を掴み、蒼による移動で瞬間移動回避すると振り返った後には既に何も無かった。
「消えただと……? 誰か姿を目撃した者は!?」
ナイトアイの言葉に誰も言葉を返してなかった。
つまり見た者はいない。
なら誰かが囮になるのが正解だ。
「緑谷! どうする気だ!?」
イレ先の声を無視して皆から離れるように真っ白な空間を走る。
推測するに俺たちが目指す場所は向こうだ。
そしてどういう意図があるのかは分からないが、今までの傾向からすれば考えられるのは――
「そう来るよな」
振り返りながら拳を叩きつける。
巨大なハサミと拳がぶつかり、ハサミを頭上へ弾き飛ばした。
そこには誰も居ない。
……念動力か? 少なくとも狙いは俺。このまま引き寄せて反撃に出るべきか。
弾かれたハサミを訝しげに見つめながら思考してると、さらに背後から妙な気配がした。
後ろを見るとレイピアのような小刀と日本刀をハサミのように挟もうとする二人の男女。
すぐさま反撃に蒼を放つと。
「!」
俺の目の前で確かに消えた。
そうして確信する。
この個性の正体は――瞬間移動だと。
余計にまずい。
「それぞれ警戒しろ! 俺の事はいい!」
「バブル!」
「はい!」
ナイトアイの呼び声でバブルガールの体から泡が発生し、周囲を囲む。
泡が弾けたらその場所ということだろう。
なるほど、見えない敵には有効か。
しかし弾き飛ばしたはずのハサミが動き始め、その泡を次々と割っていく。
「ダメ、割られる……!」
「バブルガールはそのまま! あれが向かってきたら私が対処する!」
矛先がバブルガールに向くが、センチピーダーが爪で弾く。
しかし俺の攻撃でも壊れなかったそれは壊れることはなく、俺はハサミに向かって右手で銃の構えをして左手は右手首を掴んで補助の形にすると、指先に赤い球を生み出す。
指向性を持たせるのは少々面倒だが――
「隙だらけぇ!」
「さようならァァ!」
すると背後から声が聞こえた。
落下しながら俺に向かってくる男女。
推定瞬間移動である以上、いくら俺でも特定は難しい。
「ハッ、バカが。隙を見せてんだよ」
「ほへ?」
「え?」
首を後ろに倒しながら頭上を見上げた俺はほくそ笑む。
お陰で目視も出来た。女の方は軽業師か雑技団のような奇抜な上が青色で下が赤色の服装に加え、元からなのか化粧のせいなのか血の気が失せたように肌色が真っ白だ。
その他に特徴的なものは右目や腹回り、ふとももには傷跡のようなものがあり、サイドお団子とでも言うべき黒髪を後頭部で結っている。
対して男性の方は左目に傷跡のようなものがあり、サーカス団っぽい赤の服に身を包んでいる。肌色は同じで、髪型はメンズショート。兄妹だろうか。
中々のお兄ちゃんパワーを感じるものの、俺の2割程度しか感じられない。
雑魚め。*3
「出番だぞ、ミリオ」
「そう来ると思ってたんだよね! 君たち、ずっと転間を狙ってたろ!?」
さらに背後でミリオが二人より大きく跳んでいた。
拳を構えているため、俺もまた拳を構えた。
蒼にお兄ちゃんパワーを乗せて、青いオーラが纏われる。
すると即座に兄らしき男の方が妹らしき方を庇うように俺に向かって二刀の日本刀に電流を流しながら迫ってくる。
そしてその上から俺は容赦なく拳を振り抜いた。
俺の拳が日本刀の上から押し切り、ミリオの拳は妹の方の小刀の上から吹き飛ばしていた。
俺とミリオによって吹き飛ばされた二人は互いの背中がぶつかり、空中で隙だらけとなる。
そこへ。
「やれ、波動!」
「
イレ先の捕縛布が二人を括るように腹に巻き付き、締め付けながらねじれの両手から放たれた波動が天井へと吹き飛ばした。
「やったんか!?」
「悪魔の呪文言わないで貰えます!?」
そういうのはだいたいやってないと相場が決まっており、落ちてきた二人は普通に起き上がってきた。
しかし妙に頑丈だな。
巻き込むわけにはいかないから俺は本気じゃないとはいえ俺とミリオ、ねじれの攻撃に耐えるとは。
「ケケケケッ! よくわかったな!」
「まだまだ元気だもんねーキャキャキャッ!」
なんだこのテンションの高い兄妹。
甲高い声だし妙に早口だし。
「ここは私たちサー・ナイトアイ事務所が引き受けます! 他の者たちは先へ!」
「それが1番か……!」
「ここで時間をかけてばかりはいられない。ナイトアイたちに任せ、私たちは先を行くとしよう!」
「頼んだで!」
確かに誰かが残る方がいいか。
恐らく相手は制限なしの瞬間移動ではない。
ナイトアイもそれに気づいてるはずだ。
「ナイトアイ」
「先に行ってくれ、オリジン。君こそ最下層に行かねばならない。もしオールマイト並の存在が居るなら対処出来るのは君だけだ。心配するな、私の個性が何なのか、もう忘れたか? 未来は変えられるんだろう?」
「……分かった。ここはお任せします。ミリオも気をつけろよ」
「もちろん。ゆっくりしてると追いついちゃうからな!」
「やれるもんならな」
俺もまた皆を追うように走っていく。
環は残ってたが、話したいことがあるのだろう。
そのうち来ると先に行こうとしたのだが。
「ダメだよーだ!」
「あんたは先には行かせられないな! シザーッ!」
「邪魔」
正面から斬りかかってきたので吹き飛ばして俺は先を急いだ。
やっぱ何処にでも変なやつはいるもんだな……。
「ミリオ……」
「転間ってば結構独りで抱えちゃうからさ、本当は俺も行きたいんだけどここは残った方がいいと思う。だから転間を任せたよ、環!」
「……分かった。追いついてきてくれ、ミリオ!」
「ああ!」
12:12。
地下3階。
追いついてきた環を迎えつつ、あと2階で最下層だ。
まあ地下の隠し施設とかある可能性もあるが、どっかに宝箱でもありそうな地形だ。
簡単に言えば扉が幾つもある。
どれかがトラップ部屋だったりしそう。
ダンジョンを生成する個性だってあったっておかしくないしな。
どんなトラップでも基本無効化出来る俺がぽんぽん開けてるが、これといったものはない。
どちらかと言うと一時的な部屋として扱われてたかのような感じだ。
生活感はないが、寝るだけなら十分というか。
「ロクでもないのは間違いないだろうな」
「でしょうね。多分攫われた子供、いや人間たちを収容する部屋かと」
何部屋か変わらない部屋を見たところでイレ先が声をかけてきた。
俺は推測したことを伝える。
こんな変わり映えのない部屋を幾つも用意するとなれば、それくらいしか思いつかない。トラップがあるわけでもないし。
「酷い……」
「だからこそ潰すんだろ」
「うん……そうだね。これ以上被害者を増やさないためにも」
と、進んでるうちに。
それはもうあからさまに、分かりやすい巨大な部屋があった。
ここまで大きいとなると、異形型のための部屋だろう。
少なくともこの場で1番高いファットガムですら余裕がありすぎることから3m以上。
「ボス部屋といったところか。覚悟はいいな?」
ベストジーニストの言葉に皆が頷き、開かれた扉へ戦闘体勢で入る。
しかし、中には何も無かった。
せいぜい部屋がだだっ広いだけ。
警戒するように中央へと行きつつ周りを見るが、やはり何もない。
それっぽい部屋作っといて特に何も無いとかある?
もういっそ地下ぶち抜こうかな、と面倒になってきたら、扉が突如閉じられた。
「なんや!?」
「急に扉が閉じられた……罠か!?」
完全に密室にされてしまった。
改めて警戒してるうちに、逃げ場がないかと天井を見上げた時だった。
天井から何かが迫ってくる。
巨大な顔と言うべきか。
あれは、能面?
「総員散開!」
落ちてきただけなので、互いにぶつからないように分かれて跳んで避ける。
埃を発生させていたが妙な気配に咄嗟に背後から倒れると、猛スピードで何かが突っ切っていった。
なんだあのはんぺん。
突っ切っていった方向を見ると、近くの壁が壊れる。
そこには青色の鬼が居た。
3mくらいの筋骨隆々とした、金棒を持つそれはもうよく昔話にでも出てくるような鬼。
「緑谷!」
こっちに来ようとしていたイレ先が大百足みたいな存在に邪魔されていた。
どうやらこの階層の部屋が多かったのは待機部屋という意味もあったようだ。
他にも動くカカシ、タイヤの輪入道、大蜘蛛、絵画に両足が生えた生き物などに邪魔されている。
振るわれる金棒をバックステップで避けつつ、近場の大百足を回し蹴りで吹き飛ばしながらイレ先と合流すると、ついでに皆と合流する。
「理由は不明。だが間違いなくここに至るまでオリジンが狙われている!」
「あからさまに戦力を集中している……施設を失った原因がオリジンだと気づいてるのかもしれないな」
「一応聞いとくが、緑谷。心当たりは?」
「お兄ちゃんってことくらいしか」
「絶対ちゃうやろ。とにかくお前が狙われてるってなら一人にはせん方がええってことやな!」
流石に前の階層と違って任せるのは難しいだろう。
俺一人なら何とでもなるが。
しかしこれらは本当に造られた存在なのだろうか?
どちらかというと妖怪やら怪異に近い気がする。
なにか手がないかなと蒼やら赫やらお兄ちゃんパワーやら未だによく分からない治す力の
――もしかしてこの白いのが弱点?
「気をつけろ!」
流石に皆が居る中ではよく分からない力は危ないので仕舞いつつ、全員が回避行動をした。
当然の如く空中にいる俺に対して蜘蛛が糸を吐いてきて、大百足が突進。
能面が鬼に投げられ、タイヤ輸入道が壁を伝って天井から突進と襲いかかってくる。
糸が波動で潰され、能面が捕縛布と繊維で止められ、タイヤ輸入道は脂肪によって受け止められ、カカシと絵画は環とエッジショットが引き受けていた。
残るはんぺんが高速で突進してきたので頭頂部を掴んで地面に叩きつけつつ着地すると、すぐさま青鬼が襲いかかってきた。
振るってきた金棒を拳で破壊する。踏鞴を踏んだ青鬼の顎を下にいるはんぺんを踏み台にして足で蹴り飛ばし、ついでにはんぺんに向かって蒼パンチで貫いたら消滅した。
近くにいた脅威を離したのはいいが、環にあっさり破壊されてたくせに再生しているカカシや貫通してるのに元通りになってる絵画など、どいつもこいつも再生持ちらしい。
木っ端微塵にすれば再生しないだろうか。はんぺんはしなかったな。なんでか消滅したけど。
戦闘力に関してはこの場のメンバーなら問題なく対処可能。
そう思ってると、突如として地面が隆起し始める。
「ゲームのギミックかよ」
そう思って
見事孤立してたせいか置いていかれてしまった。
仕方ないのでよじ登るか……。
「転間くん!」
「……は?」
地面が上がったかと思えば唯一地上に居た俺の足元から地面の感覚が消える。
すぐに静止するが、俺が居た場所は補強されており、それと同時に上がっていたはずの地面が一気に落ちてくる。
瞬間移動による脱出――不可。
破壊――可能。
ただし全員を巻き込む。不可。
高速移動――意味をなさない。
危険があるかどうか――問題なし。
「あーやったな、こりゃ」
今更気づいたが、端にドローンの虫が見えた。視線が多い上、大した脅威も感じない気配だから気づけなかったな。
最後の嫌がらせに引き寄せて潰しはしたが、どうやら相手の方が上手だったようだ。
「ベストジーニスト! エッジショット! 先に降りるのでこの場は任せました!!」
とりあえず二人に聞こえるかどうか分からないが大声で伝え、地面が閉じる。
空洞になってるのが救いだが、こうなってしまえば地面を破壊して巻き込む訳にはいかない俺は大人しく地面に落下することを選んだ。
何が目的か知らんが、俺をわざわざ地下に落とそうとしてることは俺と対峙したいということなのだろう。
その挑発、乗ってやる。
ただその前に、そこにいる地面を動かした原因は潰させてもらおうか。
◇
突然地面が動いて身動きが取れなくなったかと思えば転間くんだけを残していた。
その後、転間くんの足元が消えて地面に閉じ込められたのを確かに見た。
先に降りるとは言ってたけれど、狙われてる転間くんを一人にするのは正しいとは思えない。
「オリジン! く……この戦力は戦うためではなく、分断が目的だったか!」
「先生、私行かなきゃ! 転間くんが一人になっちゃう!」
「待て! 分かっているがここを放置する訳にはいかん!」
残っている敵の数は多く、それでいて実力もある。
中途半端な威力では倒せない。
どちらかというと倒すと言うより本当に時間稼ぎのために用意されたような。
「いや、イレイザーとネジレちゃんはオリジンを追うんだ。いくつも捜索し潰した私やエッジショットではなく彼を狙ったってことはヴィランは彼を狙っている。このような奇々怪々なことが起きるこの地下では何があるか分からん。ここは私たちが引き受ける!」
「ですが……」
「イレイザー。お前の抹消こそ必要やろ。こんなにヒーローがおるんやで。こんくらい平気に決まっとる!」
好き勝手な行動は出来ない私は見守ることしか出来ない。
転間くんの実力なら大丈夫。
でも――。
「行ってくれ、波動さん」
「天喰くん……?」
「ミリオに託されたんだ。だから今度は俺が波動さんに託す番だ。今この場で転間を助けられるのはきっと波動さんだけ。この広い施設でも波動さんならきっと見つけられると思うから……だから、行ってくれ。転間を一人にはしたくない……!」
その言葉を聞いて、私は先生に目を向ける。
きっと先生も私たちと同じ思いなんだと思う。
口では色々言ってるけど、なんだかんだ転間くんと仲良しなのは先生だから。
「……仕方ない。いけるな、波動」
「うん、大丈夫!」
「ここは頼む!」
先生の決断に従うのと同時に両手から波動を放つ。
それを防ごうとする青鬼に波動を曲げることで避けて壁を破壊した。
壁の向こうには階段が見える。
地面が登った時に違和感があったから、もしかしてって思ってたけど、やっぱり……!
「よし……行け!」
ベストジーニストの言葉に従って、私と先生は先を急ぐ。
階段を降りる前に振り向くと、天喰くんは頷いていた。
私もそれに応えて、階段を降りていった。
――なんだかちょっと、嫌な予感がする。
◇
12:38。
――拝啓。
お母さん。お父さん。
元気でしょうか。
俺は今日も愛する弟のことをヒーロー活動中でも考えらずには居られません。
やっぱり出久は天使だと今日も今日とて思っています。
こうした独白が浮かんだのは俺ですら理解が及ばない状況になってしまったからです。
その理由とは――
「私と早く子供を作りましょう? 愛しのお兄様♡」
人に跨りながら何処か興奮したような熱を帯びた瞳というか奥の方にハートマークが見えるこの薄紫色の髪をした女の子が原因だった。
初対面だといのうのに存在しないはずの妹を名乗る不審者に全く見覚えのない好意を向けられ、前世を含んだ、生まれて初めて身の危険を感じる。命の危険ではなく、全く別の。
見た目の年齢的にセーフなのが絵面的に救いなのだが――どうしてこうなった?
もしかしなくても俺は変なやつに目をつけられる体質なのだろうか。
今日1日狙われてばかりだ。ロボットに変な男女組に変な集団に目の前の少女。俺にモテ期が来たのかもしれない……。
ねじれが言ってたのはこういうことか!?
原作
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入る
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もっとお兄ちゃん読みたい
-
作者の好きなようにやって欲しい