どけ!!俺は出久のお兄ちゃんだぞ!! 作:俺もお兄ちゃんだぞ!!
超強化版摩虎羅VS現最強候補。
投稿はヒロサバやってサボってた。赤デク強すぎ。トガちゃん嫌いになりそう。
13:34。
ネフィリムを追った俺は地上に出ると、既に酷い状況だった。
あの京王プラザホテルが目の前で崩れ落ちていく。
どうやら想像以上に暴れてたようだ。
『やっと繋がった! ということは無事だよね!?』
『オリジンか! 状況はどうなっている!?』
「ホークスと塚内さんか。エドワードが死んだ、たぶん。神と称するやつの名前はネフィリムというらしい。みんなは無事だ。今すぐ新宿を閉じてくれ、多分新宿が消し飛ぶ。あれはヤバい」
『簡潔なのは有難いけど情報量がおかしい! 既に新宿は俺たち以外避難済み。けどまだ新宿周辺までは封鎖が追いついてない!』
『オリジン、君がそこまで言うほどってことは……どれくらいの強さか目安を聞きたい』
「オールマイト級――いや、あれはそれ以上だな。映像越しだから分からんが、全盛期のオールマイトより脅威に感じた。正直言わせてもらうが、他のヒーロー含めて居られると邪魔だ。全力が出せない」
『……分かった。なら私たちは私たちの仕事を続行する。君に託すことになるが……』
「十分だ。俺がやつをぶっ飛ばす。引き続き封鎖を頼む。あと逃げ遅れがないかも確認してくれ。それと……塚内さん。あんたら警察ならオールマイトに連絡出来るはずだ。もし俺が死んだらオールマイトに連絡してスターアンドストライプにも連絡を入れてもらえ。二人がタッグを組んで全力で殺す気でやらねば日本が滅びるぞ」
『……そうならないことを願うよ』
「冗談だっての、俺を誰だと思ってやがる? 俺はお兄ちゃんだ」
『いや意味わからん』
最後のホークスの言葉は無視した。
それより一応ネフィリムを探しているが、何処に行った?
上空から探すものの、流石新宿と言うべきか。
田舎ならまだしも視界が遮られて見えないところが多い。
とりあえず中央通りに行くかと飛行擬きしてると、影が差した。
――手間が省けたな。狙いは元から俺かよ。
「遅い」
相手の拳を逸らし、身体能力を強化しながら地面に投げつける。
あっさりと着地されたが、すぐに俺も降下して着地した。
場所は中央通り東交差点の下。
「どうした? その程度ってわけじゃないよな? 来いよ、お前の相手は最強のお兄ちゃんだぞ。それとも、神ともあろうお方がまさかたった一人の人間如きに恐れを成したか?」
言葉が通じるか分からないが、煽ることで俺だけに集中させる。
最悪なのはこいつが紛れて避難所に向かうことだ。
そして。
炎が噴く。
俺を呑み込むほどの炎だが、俺に当たることなく後方で燃えていた。
なるほど、炎の個性か。斬撃と炎。
だが恐らくそれだけではない。
加速して向かってくるネフィリムに対して構えると、ギリギリで避けて胸に飛び蹴りを放つ。
すると高架下に吹き飛び、姿が隠れる。
蒼を放って誘き出すか、と手のひらを向けたところで近くの木々が動き始めた。
「!」
植物を操る個性ね。
俺を突き刺さんとしてくるが、停止する。
だが量が量で段違いだ。
ほとんど逃げ場がない。
何より、木を伝って与えてくる火炎攻撃。
俺の貼られてる空間は清浄な空気そのものだが、防ぐのも難しい量と火による攻撃はえげつないと言えるだろう。
鬱陶しいので蒼で薙ぎ払い、火の中から抜け出すと一瞬で目の前に現れたネフィリムの一撃を受けるのではなく抱えると、力を入れて相手の力を利用しながら頭頂部にコークスクリュー。
地面に叩きつけると、すぐに体勢を戻して振るわれた拳を避けたらアスファルトが砕け散る。
「本当にオールマイトみたいなパワーや速度をしてるな!!」
砕けたアスファルトの破片を一瞬にして掴みあげたネフィリムが俺に放ってくるが、強制的に停止する。
さらに木を引っこ抜いて投げて来たかと思えば、枝がハリネズミのようにトゲトゲになった。
「尚且つ、殺意がえげつない」
邪魔なので止まった後に蹴り飛ばしたが、神と信仰されたり究極の生物やら宇宙生物と色々と言われてるだけあって凄まじい力だ。
個性を現時点で3つ使えているのも警戒すべきところ。
「おっ、と」
なんとなく背を曲げて避けてみると、複数の斬撃が背後の壁を斬り裂いて崩壊を起こす。
その隙に接近してきたネフィリムが両手を重ねて叩きつけてくるが、敢えて自動防御を止めてから最小限体をズラして避ける。
出来た隙に相手の膝を蹴って跳び上がり、顎に2段蹴りを食らわせる。
するとすぐに掴んで投げ飛ばしてきた。
上下に回転するほどの勢いで飛ばされるが、やはり威力も相当だ。
「だったらこれはどうだ?」
耐久力を考えるなら削れるダメージを与えなければならない。
地面に着地し、加速しながら腕に集中させたお兄ちゃんパワーで殴り飛ばす。
勢いよく飛んでいき、引き寄せて一気に連撃を叩き込むと腹部に手を添える。
「蒼」
引力を発生させて吹き飛ばし、ネフィリムが高架線にぶつかると高架線と蒼に押し潰され、それは高架線が崩れるまで続いた。
肉体が凹んでおり、力尽きたように落ちると――
ガコン。
そんな妙な音が響くと、ダメージが嘘のようにない状態で剣を腕から生やしながら突き刺そうとしてきた。
バリアに拒まれてる隙に蒼を使用して薙ぎ飛ばすが、先の妙な現象が気になった。
「何かしたな!?」
けど何をされた?
特に変わったような様子はない。ただ不思議と少しずつ、少しずつだが嫌な予感がしてくる。
何をされてもいいように今はまだ全力を出してないが……。
「来るか!」
考える時間もあまりないようだ。
ミサイルのように飛んできたネフィリムを迎撃すべく構えると、拳を振り下ろしてくる。
効かないというのに同じことを繰り返すつもりか?
そう思ってたら、突如
咄嗟に躱せば、アスファルトが砕けるどころか地面に軽いクレーターを生み出している。
「威力と速度が上がった!!」
まるで俺と似たような力。
何故かネフィリムから先ほどは感じられなかった妙な力を感じる。隠し持ってたか。
エドワードの資料や言葉から勝手に全盛期オールマイト級だと判定していたが、本当にそうみたいだ。
ひとまずでこぼこしてきたため、場所を変えるように跳ぶと追いかけてきた。
斬撃を幾つも放ってくる。
それらを避けていると加速してきたネフィリムが拳を叩きつけてきた。
停止してる間に蹴り飛ばし、ビルに突っ込んだネフィリムが建物の柱を次々とぶん投げてくる。
蒼で薙ぎ払い、拳を突き出してきたネフィリムが突き出そうとして当たらないのを見ながら地面を踏みしめて腹部を殴りながら上空に吹き飛ばした。
貼られていた電線を使って向かってくるものの、速度なんて関係ない俺には届かない。
回転して蹴りで吹き飛ばし、追いつくと顔面を鷲掴みしながら地面に押し付けてゴリゴリ削りながら一気にボウリングを投げるようにして飛ばした。
マンションが崩壊する。
その際に見えた物差し竿を引き寄せ、すぐに跳んできたネフィリムの顔面を凪ぐことで飛ばし、手を離すのと同時に全力で蹴ることで左肩を貫く。
すぐに引き抜いて投げてきたので、掴みつつ回転して勢いを利用しながら投げ返すと今度は右肩を貫いた。
その辺に投げ捨てながらまたしても突撃してくる。
また止めればいいだけの話。
今度はさらに強い一撃で殴ろうと考えてると。
ガコン。
また音が響き、ネフィリムの背部にある法陣が1/8回転していた。
さらに叩きつけられた拳から俺の不可侵であるバリアがゴリゴリと削れていく感覚がある。
ただ法陣は黒に染まっていた。
こいつ、突破しようとしている!
「チィッ!!」
俺を殺せる
ようやく理解した。
エドワードの言葉、そして今の今までの出来事。
こいつの個性は、“適応”!
ありとあらゆる事象に適応する、ってのはこのことなのだろう。
肉体の強さは全盛期オールマイト級。再生能力は超再生、いや恐らくそれ以上!
複数の個性に“適応”したことでこいつは3つの個性を自在に扱えている! なんの負荷もなく、デメリットもなく! 自由自在に!
こいつ、第2のAFOになる可能性を普通に秘めてんじゃねーか!! そのための実験に個性を投与したってわけか!?
こいつが既にAFOの個性を受け継いでいたら流石の俺もヤバかった……! 俺の個性が個性なので、流石に一発で個性を奪われるようなことはないだろうが。
だがますますここで倒さなくちゃマズイ! AFOをぶっ飛ばしたあと、こいつを乗っ取っられたりして復活されても面倒だ! もし本当にAFOそのものを受け継いだとすれば、俺やオールマイト、スターですら手のつけられない最凶最悪のヴィランの完成だ!
もうほぼ知識は無いとはいえ、こんなのいたか!?
「くっ……!」
完全に適応されてはマズイ、と敢えて個性を切ると両腕でガードする。
ネフィリムの一撃にビル群まで吹き飛ばされ、オフィスの中に転がり込んだ俺は息を吐く。
理由はどうあれ使える個性は4つ。うち、厄介なのは適応の個性。
どれがどこまで適応出来る?
ありとあらゆる事象であるなら全て。
ならその回数は?
複雑であればあるほど時間は掛かるのか?
攻撃すればするほど適応されてるのか?
それとも時間経過か?
例えば俺の“蒼”に適応中であれば俺のバリアも同時に適応出来るのか? 蒼を利用する全て? もしくは引き寄せる力のみ? 俺の個性そのものに適応するのか?
打撃や斬撃といった物理攻撃にも適応するのか?
複数の適応は可能なのか?
適応の優先度は脅威度に寄るものか?
何回転すれば完全適応されるのか?
やつの再生能力は?
適応には能力の獲得はあるのか?
最も怖いのは俺のバリアを貫通、つまりスターのように無効化したあとに斬撃で斬り飛ばされることだ。
流石の俺も上半身と下半身が真っ二つになったら治せなくて死ぬと思う。
ただ突然身体能力が上がったこと。
これは俺と似た力を使ったように思えて仕方ない。
さらにもう1つ。あのゴリゴリされた感覚。
あれは俺の知らない力だ、ああいう技術でも存在するのか?
考えることが多すぎる。
とにかく一つ一つ潰すか。
1番俺が嫌なのは俺の全てに適応されること。
この新宿で同時に適応出来るかどうかを試す場所は――あるな。
前の世界とは地理は少し違うが、おおよそは似ている。
ならあの場所なら試せるはずだ。
ただ。
「速いな。けどまだ見える時点で遅い」
ネフィリムが俺の頭上を超えてビルを貫通していく。
俺ならまだ避けられる範囲内。
身体能力は既に全盛期オールマイトに匹敵するが、その程度どれだけ考えて鍛錬してきたというのか。
というか全盛期オールマイト並って十分ラスボスだろこいつ。
「さあ、ついてこい! お前の力を見極めるのが先か俺に適応するのが先か、勝負だ」
ビルを飛び出す。
するとネフィリムはビルそのものを投げ飛ばしてきた。
蒼で破壊し、目的地へと向かっていく。
俺の速度ならば辿り着くのもすぐで、空中で止まった瞬間に跳び上がったネフィリムの一撃を背後を取るように右回転しながら背後を取るとそのまま腹部に手を回して高速で落下していく。
そして俺とネフィリムは、プールに飛び込んだ。
瞬時に赫で穴を開けた直後に低出力で水を集めつつ、問題なく沈められるように調整する。
新宿コズミックセンター。
そこに公民プールが存在する記憶があったが予想通りだ。
息が出来る俺と違い、明らかに海の生物ではないこいつは生物である限り呼吸を必要とする。
水中の中でも突っ込んでくるネフィリムを捌き、時間を稼いでると上がろうとしていた。
足を掴んで叩きつけ、顔面をプール底に押し付けると蒼を纏った拳を顔面に叩きつける。
ガコン。
案の定回転していたが、今度は普通に殴り飛ばすと先と変わらないダメージ量に感じられる。
ただ鰓を生やしており、恐らく水中に適応したのだろう。
最適な方を選ぶ。
つまり、こいつの適応は1つの事象のみ。
確信したのと同時に、水流の流れが大きく変わり、プールの水が消え去る。
「なんだ……っ!?」
考えるより早く水球が放たれた。
水を操作出来るのか! それが4つめの個性!!
瞬時にバリアを
一部分だけを展開する方法。
これは普段使ってる力の真似事。所詮は下位互換でしかないが、継続的な力でないならこれで十分。
ひとまずここで戦っても意味が無いため、天井から脱出を計ると、予想するまでもなく追ってくる。
外に出ることやいなや、水の斬撃。火の斬撃。普通の斬撃と容赦なく放ってくる。
それを避けると、木々を操ってきた。
囲まれないように次々と枝を蹴って高速移動に利用しながら回避する。
わざわざ個性をひとつずつ使っている。同時使用は不可能か? 組み合わせは出来るようになってるようだが。
「!」
ガコン、と音が響き、俺の頭上に移動したネフィリムが今度は水と火で挟み撃ちにしてきた。
さらに頭上からは斬撃が迫り、下方からは木々。
4つの個性の並行使用。適当に放出するだけなら何とかなるかもしれないが、指向性を持つのは別だ。
俺に届かせるには必要だとそっち方面にも適応したのか……! こいつ、ズルくないか?
「蒼」
バリアもなしに防げるものではない。
収束させる球を放出させて呑み込む。
「これならどうだ?」
加速しながら蒼を纏った拳を全力で振るい、迎撃の拳を首を逸らして避けながら胸を貫通する。
心臓があるかどうか分からないが、人間で考えれば致命傷。
普段は殺す訳にはいかないから加減してるが、こいつには加減なんて必要ない。
故に全力の拳で貫いた。
引き抜くのと同時に跳んでついでに頭部を蹴りで破裂させる。
流石に頭部まで失えば動けないのか、背中からゆっくりと倒れていた。
動かなくなったネフィリムを見下ろす。
ギギギ……ガコンッ!
「ッ!?」
嘘のように再生した瞬間、放たれた一撃に思わず吹き飛ばされると追いついてきたネフィリムが忘れていた剣を振るってきた。
白刃取りでキャッチして折り、破片を掴んで左目に突き刺す。
両手に纏った蒼を左手で頬を殴り、跳び上がりながら右で顎を打つ。
そこから回転を加えた回し蹴りで吹き飛ばした。
「生物なら脳を失ったら死んどけよ! どうなってんだ! 何処ぞの作品みたいに動かしてんのかよ!」
いっそあの法陣を壊してみるか?
恐らくこれまでの情報から考えるに、あれが『調和』と『循環』を意味しているのだろう。
だが、あれが本体なら絶対硬いか。
近接能力や個性は俺の方が圧倒的に上だ。適応が打撃にもされるのかどうかは知らんが、仮にそうだとしても打撃の優先度は低いはず。
アイツが今適応しようとしてるのは俺の蒼のはずだ。
現時点で2回。
効き目があったが弱くなってることから、適応にはグラデーションがあるのだろう。
0→100ではない。
低く見積ってあと2回といったところか。効き目はちょっと悪くなっているのがわかる。多分時間経過もあるな? これ。
さて、どうするか。
心臓らしき部分を貫いてもダメ。脳を破壊してもダメ。
となればもう木っ端微塵にするしかないと思うのだが、新宿が大変なことになってもいいなら一撃で消せる。
耐久力的には赫で十分だ。
問題は一部でも残ってたらダメなのか完全消滅させなければならないのかが問題。
一部でも残って適応された場合、俺がこいつを倒す手段は無くなってしまう。タメが必要な技は使えないからこそ、現時点で最強火力は赫になる。
情報が圧倒的に足りないんだ。
完全消滅させるだけでいいなら最初の段階で蒼だけで圧殺させることも出来ただろう。
恐らく今は、足りない。
それに俺自身既に迷路をぶっ潰すためだけに仮想の重量を解き放ったため、まだまだ余裕とはいえ比較的消耗している。
もしかしたら赫の出力も落ちてるかもしれない。長引かせると危険だが、ワンパンの必要があるならそれはそれでかなりのギャンブルになる。
俺の力自体は無限には使えない。今までは大した消耗もなく勝てる相手ばかりだったが……。
「今は捌くだけ捌く!」
蒼については諦める。
今は敵を見極めるため、斬撃を踏み潰しながら炎を搔き消し、水流を躱して、木々を蹴り壊す。
個性が効かないからか襲いかかってくるが、逸らして殴り、足を引っ掛けて上空に投げ飛ばすと逆さまになったネフィリムを抱きながらそのまま地面に叩きつける。
簡単に言えばパイルドライバーだ。
脳天釘打ちともいう。
首が折れたような音が聞こえたが――
ガコン。
いやこれにも適応すんのかよお前。折れたら死ぬだろ。頭部失って生きてるやつには今更か。
再生されたため、今までのダメージ全てを無効化されたように感じる。
流石に面倒になってきたな……地味に強いし。
再生する度に強くなってやがる。サイヤ人かよ。
そんな悪態を心の中でついてたら、加速してタックルしてくる。
重量で負ける俺は当然押し負ける。
それだけでビルを幾つも貫くのだが、関係なしに新宿がボロボロになってきた気がする。
一応気にしてたんだが、これ更地になるかもしれない。
追撃の遠距離攻撃の数々をビルの中を走って避けていき、一気にビルが斬り裂かれて崩壊する。
やつの攻撃でない以上防御は出来るため、瓦礫などは静止させて防ぎつつ蒼によるワープで外に着地する。
それを読んでいたのか一瞬にして現れてすぐに連続で攻撃してくるが、全て避けながら一方的に殴りまくると大きく怯んだ。
その隙に踏み込み、 その反発力を腰の回転や背骨のしなり、全身の力を一点に集めて放つ、久しぶりの発勁。
相手の内部に衝撃を伝えるこの世界にとっての昔の技。
それは効いたのか動きが止まったため、顔面を鷲掴みして地面に叩きつける。
が、すぐにブレイクダンスするような動きで攻撃してきたため、跳ぶようにして攻撃を回避する。
万全ではない俺でも総合力は勝っているが、いつまでそのままか。
回避後、空中で静止すると近くにあった車が投げられ、投げ返して追い蒼で吹き飛ばすと駐車場に突っ込んでいった。
そこから次々と車が投げつけられ、全て破壊すると建物やら電柱やら自販機やら近くにある投げれるものをとにかく投げつけてくる。
左腕を伸ばして蒼による移動で回避し、そこを狙ってきたネフィリムを地面に蹴り飛ばしながら着地する。
土煙に紛れるのを警戒し、いつでも迎撃出来るようにした。
「ん?」
ふとポケットに突っ込んだはずの通信機が鳴り、耳に宛てがう。
いくら俺なら問題ないとはいえ、戦闘中に勘弁願いたい。
だがわざわざ連絡してくるということは何かあったのかもしれない。
イレギュラーな出来事が起きた可能性も踏まえ、警戒しながら通信に出た。
文句のひとつでもふたつでも言ってやろうという想いもあり、開口一番に俺は文句を――
「こっちは今忙しいんだが――」
『緑谷くん! 今こっちでも対処してるけど改造人間が新宿各地で暴れてる!』
「……は?」
その想いは、ホークスからの連絡で吹っ飛んだ。
改造人間?
何故?
エドワードが生きていた?
いや、あれは死んでいた。死体も放置ではなく運ばれてるはず。
なら何故だ。生き残りがいた?
あれほどの数を虐殺したというのに?
『羽で調べた限り東京都庁都民広場の近くに多くの反応がある。恐らくそこから――』
咄嗟に周囲を見渡す。
気が付けば議事堂通りにいる。
ここから西方面だ。
突然現れた理由。
生き残りが居たならさっきの施設からのはず。
まさか、と視線を移すと、さっきから何もしてないネフィリムは立ち止まったままでいる。
ただし、法陣は
さらに開いた口から何かが吐き出され、成長するかのように大きくなっていく。
それは、見たことのある醜悪な外見をした――
「やってくれたな!!」
改造人間だった。
思考から抜け落ちていた、見せたことの無い5つめの個性!!
こいつを相手にするのは大事だが、改造人間を放っておくわけにはいかない。
時間は幾らでもあった。
新宿の規模であれば隠れていたヴィランなんて居るに決まっている。そいつらを改造したっておかしくはない。エドワードの個性が遺伝子操作であるなら、複製を持っている可能性もある。
こいつのスペックなら俺が見てない間に用意することや、エドワードの用意周到さからもしもの時の
色んなことに気を取られて俺としたことが可能性を考えてなかった!!
使えることを前提に考えるなんて無茶だが、それでも戦力を増やす力があることくらいは考えておくべきだった。
相性的な問題なのかどうかは知らないが、適応との同時使用は無理のようだ。
それでもすぐにでも向かわなければ新宿を出られるとマズイ。
「クソッ!!」
西へ体を向けると、法陣が元に戻る。
分かっているのだろう。俺が何をするのか。そしてこいつにとって相手しなければならないのが誰なのかを。
どれに適応するか選べるやつだ、思考能力を持っていてもおかしくない。
どちらにせよ“ヒーロー”という立場がある俺の行動は決まっている。
そのためにも。
「最大出力!! 蒼!」
ネフィリムの動きを止めるべく、引き出せる全力の蒼を発生させる。
改造人間はあっさり吸い込まれて全滅し、ネフィリムは耐えようとしていたが次第に地面が耐え切られずに壊れ、宙に浮いたときには蒼に向かって斬撃を放っていたが壊せるはずもなく吸い込み、枝を伸ばして耐えようとすることすら無に還す。
蒼の引力に吸い込まれ、周囲の瓦礫がネフィリムを閉じ込めるように包み込んだ。
だんだんと万全の状態でなくなり、手札まで減っていく。
それが狙いだったとしても、気にしてる暇は無い。
ネフィリムが適応するより早く距離を空ける。
やつの視界から消えない程度に。
ガコン。
何度も聞き覚えのあるのがまた聞こえたが、すぐさま西へ向かって駆けながら、通信を繋げる。
「おいホークス! 各地って言ったな、そこは大丈夫なんだな!? まさか避難場に行ってたりしないだろうな!」
『分担して何とか! ただ広場の方を解決せんと!』
「そっちは今向かってる!」
『ネフィリムを相手してるんじゃ!?』
「苦戦中!」
『苦戦――苦戦!? それって大丈夫なのか!?』
「何とかする! とにかく一番多いところは俺が叩く!」
『ああ、もう! 分かってると思うけど無茶はしないでくれよ! 最悪なのは君が負けることだ!』
「何言ってる……? 所詮オールマイトレベルのやつに俺が負けるわけねえだろうが。全盛期のオールマイトが二人や三人居ようとも負けねえよバカ。負けたら弟が泣くかもしれないだろ!!!!」
『人が心配してもブレないな! 君、ほんと唯我独尊って言葉が似合うよね……! 頼んだよ、ほんと!』
ホークスなら任せても大丈夫だろう。
背後を振り返ると、既にネフィリムは俺の最大出力から抜け切っている。
チッ、やっぱりもう効果がめちゃくちゃ薄い。あと1回適応されたら蒼は効かないだろう。
次の蒼で次に繋げるためにも再生の規模を試すしかない。それと3回目の適応でも殺せるのかどうか。
だが今はそっちよりも、改造人間の相手だ。
全く、ヒーローはやることが多いな……。
「げっ」
辿り着いた先には、数百体は居そうな規模の量。
別にこいつら程度なら問題ないが、こいつらを相手するに1秒でもかかる時点でネフィリムと戦うなら致命的な隙になりかねん。
バリアはまだ有効なはずだが、赫で消し飛ばすか? それなら倒せるかもしれないが、ネフィリムが割り込んでくるかも。
蒼で消し飛ばしつつ身体能力で……体力が足りるか?
倒すのは可能だろうが、消耗しそうだ。
ただこいつらに対して適応を身代わりさせるなんてクソゲーが出来ないことが唯一の救いだろう。あの感じからしてストックなのか生み出したのかどっちかだが、これだけは両方の使用は出来ないように見えた。
でなければ先の複数個性の操作に適応したように、同時使用出来るはずだ。最適解を選ぶようなやつがわざわざしないとは思えない。
「とやかく言ってる暇はないようだな」
既にこっちに来る気配がある。
この量とネフィリム。適応される可能性。
いっその事、新宿ごと全部消してしまおうか。
そう思い、襲いかかってくる改造人間に蒼と赫を両手に生み出そうとした俺は――
「ここかぁ!? 祭りの場所はァ!! 私を差し置いて楽しそうなことしてんなァおいッ!?」
突如横から飛んできた蹴りが改造人間を吹っ飛ばしていた。
う、うおぉ……ボウリングみたいになってるぞ。中々の火力だな。いや瞬発力か。
好戦的な笑みを浮かべる、褐色肌の筋肉質な女性。
全体的にウサギを彷彿させるコスチュームに身を包むヒーローとなれば、1人しかいない。
「ミルコ!?」
出久から教わってる俺でも覚えている。
とりあえず新宿ごと消し飛ばす気満々だったのでミルコを巻き込む訳にはいかず個性を解除して中断する。
「どうしてここに?」
「あ? 楽しそうなことしてるのが聴こえたからな。つーかお前、オリジンってやつだろ? 体育祭を見て指名したからな、覚えてるぜ」
「……そうですけど。その件は選ばなかったことは申し訳ないと思ってますよ」
「選ぶかどうかはそいつ次第で気にするもんじゃねぇよ。それより……その体つきもそうだが、何より匂いで分かる。お前強いだろ。まだまだ全然力を出してないな?」
ウサギの嗅覚すげーな。
そんな匂うかなと嗅いでみるが、全く分からん。
「さあ、どうでしょうね」
「……いいなお前。これ終わったら後で私と戦え!」
「え、面倒なので嫌ですが?」
「その代わりここは私が引き受けてやるよ。いいな!」
「聞けよ。トップヒーローは言葉が聞けないような奴らの集団か???」
つーか自分が戦いたいだけじゃない?
「私がお前を気に入った! 理由なんてそれだけで十分だろ」
「すみません、俺のことはもう忘れていいのでどうぞ勝手にしてください」
「よし、じゃあ今度会いに行くからな、逃げれると思うなよ。お前の匂いも覚えた」
「強引すぎるだろ……つーかあんたウサギだろ、もうどっちかというと犬じゃねーか!」
「なんだ、自信ねぇのか?」
「は? 誰が? いいですよ、ボコボコにしてやるんで泣きつくなよ」
「ハッ! 威勢の良いガキだな、ますます気に入った! おもしれぇ、そう来なくっちゃな!」
――ハッ!!
しまった! 乗せられた!!
くっ、常に“最強”でならなくちゃならない故に煽られるとつい反射的に答えてしまう。
まぁヴィラン相手じゃないしいいか……流石にヴィラン相手にはそうはならんし。
と、話してると後方から迫ってくるネフィリムに気づく。
迎撃すべく拳を構えたら、吹っ飛んでいく。
炎のようなものが見え――熱いので個性で遮断した。
今日はやけに人に会うな、おい。
「何をしている! 退け! ヴィランは俺が始末する!」
「エンデヴァー……!」
なんだこの偉そうなやつ!?*1
「なんだ貴様は」
「お前がなんだよ」
「俺は避難住民から話を聞いてここにいる。それより子供がこんな所で何をしている」
「戦ってる以外に何があるんだよ、学生だが、あんたらと同じ正規のプロだよこっちとら」
俺も身長はある方なのだが、俺より圧倒的に体格もある大男、エンデヴァーに証拠に免許証を見せる。
面倒だがこれを見せた方が早い。
「オリジン……オリジンだと? そうか、貴様がオリジンか……!!」
面倒そうなやつが来たな……まだオールマイトの方がマシだった。なんなら俺が(爆発する憎しみのあまり)強化されるからそっちの方がよかった。俺を助けろホークス。最速なんだろ。*2
「貴様の話は聞いている。オールマイト並のパワーに速度、タフネス。その歳でそれほどの力を秘めているほど優秀なようだが――貴様はいずれ超える」
「無理だ、諦めろ」
「なんだと?」
「大事なもんが分かってないお前じゃ俺と戦っても勝負にすらならねえよ。大人しく家に帰れ」
「貴様! 口だけは達者のようだな。俺が何者か分かってのことなんだろうな! 先に貴様から燃やし尽くしてやろうか!?」
「んんー? No.2とあろう方が“子供”に煽られた程度で脅すのか? ああ、それとも? 自己顕示欲を誇示して自分を上に見せないと怖いのか? 弱さを隠したいのか? それとも注目されたいか? かまってちゃんかよ」
「貴様ァ!!」
炎が溢れる。
よっぽど俺の煽りが効いているらしい。
雑魚め。
こっちはお前みたいなやつはクソガキで慣れてるんだよ。
「お前ら……さては仲悪いな!?」
「こいつと仲良くなるくらいなら死んだ方がマシ」
「何故俺がこいつと仲良くせねばならん!?」
「それはこっちのセリフだよ。バァカ!」
互いにそっぽ向く俺とエンデヴァーを見たミルコがため息を吐いてるのが見えた。
なんかムカつくから仕方ないだろ。今のこいつの目は気に入らん。
どうせ家族を蔑ろにしている。
俺が毛嫌いするタイプの一つだ。今世において俺が何よりも大切なのは自分の命よりも出久の存在だからな。
次点で母さん。俺と同じくらいに父さんだ。
家族を大切にしないやつはぶっ飛ばしたくなる。それが知り合いでなくても。雄英に入学したてでも俺のセンサーに反応した2年上の先輩だろうが1年先輩だろうが喧嘩を売った俺を無礼るなよ。*3
そもそもなんで血の繋がった唯一無二の宝物を大切にしないのか。家族じゃなくたって結婚したならちゃんと責任は取るべきだろう。
他人を幸せに出来ないようなやつに俺が負けるわけもない。
俺だったらそういう相手がいたらちゃんと責任は取るぞ。大切な人達は何人だろうと大切にする。
友達も家族も恋人も親も全員。
「お前ら……なぁ!!」
「邪魔」
「取り込み中なのが分からんのか!?」
背後から俺を狙ってきたネフィリムに対し、ミルコの後ろ蹴りと俺の拳が吹き飛ばし、エンデヴァーの炎がネフィリムを包み込む。
「仲良いじゃねーか」
「足引っ張んなよ」
「貴様こそ邪魔立てするなら家に帰れ」
「真似してんじゃねぇよ、くたばれ」
振り向いてこっちに言ってきたミルコだが、俺とエンデヴァーはいがみ合っていた。
ミルコが呆けた顔をしてるのが分かった。
「なんだ、お前ら……。カルシウム足りてるか?」
「どっちかと言うとマグネシウムやビタミンB群とかですかね」
「どれでもいいだろ」
「それより早く隠居した方がいいんじゃないんですか、おじいちゃん」
「黙れ若僧。俺はまだ44で現役だ」
「そーかよ。十分おじいちゃんだろ。万年No.2のくせに」
「やはり貴様から始末した方が良さそうだな……!」
「待てエンデヴァー。私も混ぜろ!」
「なんで増えてんだよ。もういいや」
普通ここは止めに入る場面だが、元々期待はしてなかったのでいいか。
いつまでも話してるせいで敵増えてるだろうが。
こっちは既に蒼に適応されかけてんだぞ。自分でも自覚してるが複雑な個性の俺がたったの3回でほぼ適応ならこの二人とも割と単純だから1回か2回で適応されるだろ、大人しくどっか行け。
雑魚狩りに専念しろ。
「とにかく邪魔だけはするなよ。巻き込んでも責任は取らねぇからな」
「誰に物を言っている。それはこちらのセリフだ」
「んじゃ、誰が先に狩るか勝負だ! 私が負けたら何でもしてやるよ」
「いやー別に特にないのでいいです」
「俺もいらん」
「ちぇ、その方が面白くなると思ったんだけどな。張り合いがあるだろ」
「ないです」
まず初対面の相手にそんなこと告げるんじゃありません。
それともこの世界ってそんな貞操観念が低かったりする?
……いや、ありえそうだな。ヒーローの結婚率って少ないし。
「足を引っ張るなよ」
「冗談は威圧感を与えることしか出来ないその髭だけにしておけよ筋肉ダルマ。お前それ娘とか息子に嫌われるやつだからな」
「口を閉じろクソガキ小僧。お前から燃やしてやろうか」
「お前じゃ無理だっつってんだろ」
「どっちも口悪ぃな」
「すみません」
「私には素直なのかよ」
「俺別にミルコ嫌いじゃありませんし」
これに尽きる。
エンデヴァーはとにかく気に入らないんだけど。マジでコイツからぶっ飛ばしてやろうか。
まあいいか、今の俺の実力を確かめるチャンスでもあるわけだ。オールマイト以下でもこいつ、炎系では最強らしいし。火力だけなら文字通りトップクラスだ。オールマイトは安定した強さを持つから最強だが、エンデヴァーも一撃の火力なら負けてるとは言いづらい。本人同士に戦ってもらわないと分からないが……結局本気を何発も打てるオールマイトに軍配が上がるだけで。それぞれ1発だけに限定したらエンデヴァーも負けてないのだ。OFAに対してやり合えるだけで十分バケモノなのは俺は分かる……が、やっぱり家族大事にして無さそうなセンサーがビンビン反応するので認めたくもない。結局それを言えば学生で既に最強枠にいる俺はもっとすごいのでは?
ふっ、流石お兄ちゃん。これで出久も胸を張って自慢出来るだろう。
何はともあれ、せいぜい俺の邪魔をしなければどうだっていい。
ということで特級呪霊組の能力盛り盛り摩虎羅くんでした。
普通の摩虎羅だと近接能力しかないし対処も簡単(とは言っていない)だから蒼に2回適応された時点で全力の赫で消し飛ばす未来しか見えなかったため、超強化入りました。
むしろ街を気にして全力出せない+避難区域を気にしてるデバフがあっても何度か殺すダメージ与えてるお兄ちゃんがヤバいです。描写してないだけでこの人スター戦より成長してるので。
知識が無くてよかったね、摩虎羅くん。
もうラスボスはお兄ちゃんじゃないでしょうか。そっちがチャレンジャーだから
原作
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入る
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もっとお兄ちゃん読みたい
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作者の好きなようにやって欲しい