どけ!!俺は出久のお兄ちゃんだぞ!!   作:俺もお兄ちゃんだぞ!!

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エピローグ

 

新宿の崩壊。それに対する復旧作業を転間は手伝うつもりでいるため、はっきり言って新年を迎えたあとも彼は忙しい。

元々壊したのは大半が魔虚羅だ。

残念ながら魔虚羅のせいにすることも出来なくなったため、せめてもの償いとして参加することになっている。

むしろ転間が居なければ東京は数時間も掛からず都市機能を失ったのだから彼の偉業は功績を得るべきもの。

本人は別に必要ないので断ったが。

 

ちなみに事件の際に保護したヴィオラの処遇だが、彼女は雄英で保護することになっている。

というのもまずヴィオラははっきり言って強すぎる。

縛りとやらがなくなった以上、彼女はオールマイトにすら匹敵するのだ。

まともに勝てるのが転間くらいしか居ない。

あのネフィリムと互角に戦えるレベルな上に外側からとはいえ領域を壊せるほどの実力。

それに事情が事情であるため、彼女が悪いとは言えないのもある。どちらかというと“縛り”によって利用されていたこと。

もしヴィランになってしまえば、それこそ転間が居ない限り日本は滅びるだろう。

仮にタルタロスに放り込んだとしても、彼女なら脱出が容易なこと。

ただし外出する際には転間が必ず一緒に居ることを条件にされた。

もしもの時は責任を持って転間が彼女を止めるか殺さなければならず、彼女がやらかした時は転間も同様の罪を負う。

 

交渉に参加したのは転間なので、そこは大人しく引き受けた。

その場にいたヴィオラ本人は転間については関係ないと必死に説得しようとしたようだが、転間は“信じる”ことを通し切ったのだ。

そんな彼に終わったあと、感情が溢れてヴィオラがキスしようとしたのは余談。

 

そもそも一緒に居ることに関しては元々雄英が保護を拒否ったなら転間は彼女を家で引き取るつもりだったので異論はなかったというのもあるだろう。

それを伝えた時は転間はヴィオラにそれはそれで残念とか言われて、ちょっと困ってたが。

 

名目上は事件の被害者。保護という形を取っており、そもそも彼女がかつて殺してきた相手も場所が場所なだけあって凶悪犯ばかりだったらしい。

さりげなく拐われた子供とかを一部逃がしていたとのこと。

エドワードも彼女の実力に関しては手を焼いていたのだろう。だから彼女の行動は止められなかった。

それで暴走された方が向こうも困るからだ。

仮に“縛り”があって大幅に弱体化していたヴィオラでもねじれと渡り合う実力があったのだから、当然といえば当然かもしれない。

 

 

それから転間について。

はっきり言おう。

 

――緑谷転間は“最強”に成った。

それは彼自身も、近しい実力があるヴィオラも理解している。

他の人はピンと来ないかもしれないが、そこは事実だ。

もし今、オールマイトと戦えば勝つのは転間だろう。

領域の展開という奥義もあるが、それを無くしても勝つのは彼だ。

ネフィリムは全盛期オールマイト以上、魔虚羅が全盛期オールマイトレベルの強さを誇るに対し、転間は渡り合えたのだからそこに偽りはもうない。

そこに黒閃の経験。生得領域――精神世界での五条悟との修行。

もう彼の強さは、事件前とは文字通り次元が違う。

そんな最強になった彼だが、今は校長室にいた。

そこに居るのは根津校長と事件を共にしたイレイザーヘッドこと相澤消太。

本当に最小限のメンバーだ。

プレゼント・マイクは騒がしくしそうなので外されたのは余談。

 

「悪いね、来てもらって」

「いいです。これから復興作業の手伝いに行くだけなので。こちらこそヴィオラの件、協力してくださりありがとうございます」

「それはこっちのセリフなのさ。事情を聞く限り、あの子はヴィランになってもおかしくはなかった。もし敵になっていたなら本当にヤバかっただろうね。緑谷くんが居るなら大丈夫だろうし僕たちからしても彼女は戦力としても期待出来る。僕たちが進んでヴィランを生み出すなんてことはあってはならないのさ」

 

事実、あの戦いでヴィオラが敵に回っていたなら転間は死んでいたし他のみんなも死んで、日本どころか世界の危機だっただろう。

転間がヴィランでも手を伸ばすという考えを持っていなかったら。

ヴィオラが師匠と呼ぶ相手と出会ってなかったら。

ヴィオラが転間に好意を持ってなければ。

色々と歯車が違っていたなら、BADENDを迎えていたのは間違いない。

 

「ただ……緑谷くん。僕から君に謝りたいことがあるんだ」

「分かってますよ、世間の声でしょう。俺はエンデヴァーやホークスたち以上に活躍してしまった。姿が映ってただけなら何とかなったでしょうが、戦闘した部分まで証拠として存在していたなら誤魔化すことは出来ない。ただ手札は切りたくないので、No.1にはなりませんよ。来るべき時の切り札としてその判断材料は残しておきたい」

「すまないね……流石に僕も護れる範囲を超えたのさ。僕の首だけで済むなら全然構わないのだが」

「それは重いって。モフらせてくれたら許します。あと弟に言われたら絶対モフらせてくださいよ、じゃなきゃキレます」

「ハハッ、毛並みは揃えておくのさ」

「校長先生の見た目でその笑い方はちょっと不味くないですか?」

「それは確かに!」

「――本題入りません? お前もだ緑谷」

「はーい」

「お前な……」

 

巫山戯た姿から一転。

場の雰囲気が一気に変わり、根津校長も転間も真面目な顔をしている。

 

「緑谷くんの籍は雄英に残す。それでいいんだね?」

「ええ、デビューこそしますが活動はしませんので。形だけ取るだけです。まぁ勝手にトップに入ってるかもしれませんけど」

「確かにそれはあるかもしれないね。むしろ君の実力や話題性を考えたら上位からスタートになるだろう」

「かもしれませんね。興味ないですが。あと雄英にはちゃんと出席しますよ。つーか弟が入学してくるんだから妨害するならそいつら消し飛ばしますけど」

「お前が言ったら冗談に聞こえないんだが」

 

無言で転間は笑顔を作った。

イレイザーヘッドは顔を引き攣らせて胃を押さえた。

本気らしい、と。

話を変えるように転間は咳き込み、再びちゃんとした真面目な顔になる。

 

「俺からの要求はただ一つです。今回の新宿での戦い、そこではっきりした。ずっと考えていたことだった。オールマイトが仮に引退して、俺がその代わりになるのはいい。だがそうなったら結局、オールマイトの時代と何も変わりはしない。俺も努力はしますが俺だけじゃ変えられないでしょう」

「象徴なき時代に比べればマシですが、それではヴィオラのように救えない人間は必ず手から落ちる。中には元から悪意を持つ者もいるから全員を救えるとは思わないし思っていない。俺もオールマイトも神様じゃない。それでも今、こうしてる時にもオールマイトの手から零れる人間が、救われない人がいるのは事実だ」

 

そう、幾ら最強になった転間といえど全ては救えない。

それは仏や神にしか出来ないのだ。

人間である限り限界はある。

今こうしてる間にも世界では人が死に、もしかしたら最恐最悪のヴィランの発生の瞬間があるかもしれない。

 

「公安だって手を汚してるんでしょう。オールマイトが築いた平和を守るために、他の誰かに手を汚させている。黒い部分が何も無いなんて有り得ないからだ。それじゃダメだ、それだと結局いずれは崩れてしまう。隠蔽したところで必ず何処かで証拠や情報は残る。むしろその事実がヒーローに対する信頼の失墜になりかねない。他にも、その誰かが敵に回る可能性もある」

 

実は転間はホークスから前任者の話を聞いていたため、事実を述べている。

今はタルタロスに収容されているらしいが、彼女の力を借りるためにも転間は会いに行く予定ではあった。

交渉材料はいくらでもあるが、ひとまずは明るい未来の可能性を見せるつもりだった。

 

「でも今の社会を変えたところで綻びが生まれ、機能しなくなる危険性の方が高い。だからこそ俺の目的はそんな誰かが不利益を被るヒーロー社会をリセットすることだ。上を殺すのは今の俺なら簡単だろうな。でもそれじゃ変革は起きない。別の誰かが補充され、また同じことを繰り返す。仮にそれらを止めたとしても、そのやり方じゃまず誰もついてこない。支配者のようなやり方はあまりに脆く信頼というものが微塵たりともない」

 

結局のところ、ヒーローがヒーローでいられるのは市民のお陰でもある。数に勝るものはない。

今の転間ならば市民が敵に回ったところで何の脅威にもならないが、他は違う。

だが誰も、黒いところを見ようとしない。見ないようにしている。

オールマイトだって明かされてないだけでAFOを殺めているのだ。

オールマイトが築き上げた平和を守る。

そこを転間は否定しない。だが、やり方を間違えている。

汚職警官という立場も中には存在し、それがヒーローにもあるだけ。

それが必要であることも理解している。

だが人を殺めて何とも思わない者など居るだろうか。居ない。

居たとしたら感情のないロボットか、狂気に呑まれた存在だけである。

そういった存在は、いずれ暴走する。

転間ですら人を殺めることに何も思わないわけではない。

――弟の身に何か起きない限り。彼が“独り”にならない限り。

彼が本当の意味で“怪物”になるのは、その時だ。

 

まぁもし潰すとしたら、いざとなったらホークスを公安委員長に据えればいいだろうと本人が聴いたら胃を痛めることを考えてるくらいだ。

 

「だから校長先生にお願いしたいのは二つ。まず1つ。俺に教員免許をすぐに獲れるように試験を用意してください。雄英だけじゃない、プロヒーローを輩出する()()()()()()に特別講師として行けるように。2つ目。プロヒーローを排出する高校のみに絞って申請を出して欲しい。貴方なら説得出来るでしょう」

「それは……本気かい?」

「ここで嘘をつきませんよ」

「緑谷……お前……」

 

イレイザーヘッドはふと思い出した。

数日前、決着が着いた後に見せた転間の表情を。

何かに覚悟を決めたような、決断したような表情の姿を。

それがこのことだったということを。

 

「イレ先、言わなくていい。でもさ、俺一人が強いだけじゃ意味がないらしいんだ。俺一人じゃ全てを守り切ることは出来ない。あの新宿の街を見て、ネフィリムや魔虚羅と戦ってそれがよく分かった。いくら俺が“強くて”、“無敵”で、“最強”で、“お兄ちゃん”でも同タイミングで出られれば守り切るのは無理だ」

 

時折おかしいのが混じっていたが、転間が長いこと新宿の街を見つめていた理由がこれなのだろう。

“至った”転間なら同等の力を持つ相手が出現したところで魔虚羅レベルならそこにプラスアルファ複数人を相手しても勝てる。ネフィリムならもう一体のネフィリムくらいが限界だが、仮にネフィリム+他のオールマイト級が何体いても負けることは無い。

しかし全てを守れない。

 

「魔虚羅やネフィリムのようなものは生まれないと思う。だがエドワードが生きてる以上、これからも似た存在は生まれるかもしれない。そう考えたら仮に俺やオールマイトが居なくなったら、それこそ日本は終わる。でもすぐに変革は起こせるようなことでもない。だからこそ、()()()()()()()()()()()()。これからのヒーロー社会に必要なのは実力だけじゃない。実力はもちろんだが、ヴィランに対しても手を伸ばせる、()()()()()()()()()()()()()だ」

 

唯一自分だけが知っている、AFOが生きているという確証。

今もそれだって自分が解決すればいいと思ってるが、エドワードとAFOがいるなら強力な存在は必ず生まれる。

ただ最高傑作と思われるネフィリム以上は現れることはないだろう。

それはエドワードを知るヴィオラも言っていた。

アレの複製は不可能だと。

転間のこの考え自体も、別に急に生えてきたわけではない。

ここ数ヶ月、最強に近づくにつれて考え始めていたこと。

1番のきっかけはやはり、ナイトアイの未来予知だろう。

それが最強になって、必要であると思ったからだ。

 

「象徴が一人存在していたって犯罪は消えない。俺がもう一人の象徴になっても同じ。オールマイトも数年もせず引退するだろうしな。だがそもそもの発生さえ止めれば明るい未来が訪れるでしょう。根本的な部分を壊さないといずれ待つのは個性が進化して人類が滅びる瞬間。仮に手を汚すのは、俺だけで十分だ。これからの時代を築くものたちにそれは必要ない。必要であれば俺が今の社会を壊すし公安すら壊します。俺ならもう、()()()()()()()()()()()()

 

一個人が持っていい戦力を遥かに超えてしまったのが転間だ。

はっきり言って、誰も彼を止めることは出来ない。

日本を相手にして、オールマイトを相手にしても。

アメリカという大国を相手にして、スターアンドストライプを相手にしても。

そんな彼が選んだのは、教育。

やろうと思えば転間一人で世界を滅ぼせるしヴィランだって全滅させることが出来る。

でもそれでは、別の悲劇を生むだけ。

だから転間は教育を選ぶ。

いつかの未来、弟が一人で背負わなくていいように。

みんながヒーローになれる未来にするために。

そのために必要なことを彼はする決断をした。

結局元を辿れば全て弟のためなのが非常に彼らしいが、その変革は長い月日を掛けて行うものになる。

だから転間は各ヒーロー校と言ったのだ。

 

全てのヒーロー校はカバー出来ないため、プロヒーローを輩出するためだけが目的の高校のみに。

例えば雄英と同規模とされる士傑。比較的珍しい女子高である聖愛。

そういった学校のみを対象にする。

これは実力者を出すためだけが目的。それでも話題のある何人もの人たちがそうすれば、それが当たり前になる。

人間というのは多数決で生きているようなものなのだ。

可能性を魅せるのは、もう転間では出来ない。

今のオールマイトに依存した歪な世界のように、最強になった転間にも同じ考えが降りかかる。

それでも転間は知っている。

自分の弟の可能性を。

自分の弟が最高のヒーローであることを。

ブラコンと言われるかもしれない。

だとしても、転間は出久なら日本中に、世界に()()()()()()()()()と信じている。

 

「……分かった。でも君は本当にそれでいいんだね? 君が望むなら僕たちは出来る限り協力しようと思う。でも引き返すことが出来るのはきっと今だけ。僕としては君にただの学生らしく生きて欲しい」

「気持ちは嬉しいですが、ただの学生として存在し続けるのは厳しいでしょう。ま、今の俺ならフル活動も出来るんで。学校だって卒業まではちゃんと出席しますしもしもの時はイレ先から寝袋借りますよ」

「……もう1個用意しとく」

「そこは茶化して欲しかったなぁ」

「いや、学校は寝るところじゃないのさ」

「まあまあ」

「まあまあじゃなくてね」

「代わりにブラッシングするんで」

「必要ないからね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新学期。

もう時期転間たちのクラスも3年生になり、大学に進学するかプロに行くかの道を選択させられる。

転間に関してはもう既に決まってるようなものだが。

 

「えーこの時期だが、編入生を紹介するよ。入ってきて」

 

担任であるセメントスが扉の向こうに声を掛けると、一人入ってくる。

雄英の女子制服に身を包む、紫色の長い髪をお嬢様結びにし、トレンドマークの赤いリボン。

それはもう機嫌が良い足取りで教卓に立つ少女は、容姿が整った者が多い雄英の生徒ですら異性や同性すらザワつく絶世の美少女。

その姿を知る人間はこの中では三人。

1人の女子生徒は驚いたように目を見開き、1人は親友に目を向け、目を向けられた1人は窓を見ながら愛するマイブラザーのことを考えながら相変わらずオールマイトに呪詛を送ることが忙しくてそもそも気づいていない。そろそろ真面目に呪い殺すのではないだろうか。

既に実力で殺せるというのに、習慣で続けてるのかもしれない。

 

気づいてないことを理解したのだろう。

意味深な視線を少女は転間に向けると、それはそれは素敵な笑顔を浮かべる。

そして。

 

「新学期から特待生として編入することになったヴィオラです。ちなみに、お兄様こと緑谷転間さんの“お嫁さん”です♡ 他の人には興味もないから諦めてね♡」

 

彼女のことを聞いておらず、聞こえてきた声にようやく気づいた転間が予想外のことに噎せるのに対し、環とねじれを除いた叫び声がクラス内を木霊した。

転間と視線が交差すると、彼女はぽっ、と顔を赤くする。

流石の転間も驚いた様子で、即座に理解する。

――根津校長、わざと秘密にしてやがったな、と。

 

そうこうしてるうちに質問攻めに合い、助けを求めると目を逸らす環やリスのようになるねじれに見捨てられ、同じく質問責めにあっているヴィオラは終始ニコニコしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、俺が何したってんだ……」

「お兄様、あーん♡」

 

もはや諦めたのか割と死んだ目で口を開いた転間の口に放り込まれる弁当のおかず。

ご飯に罪は無い。

 

「いや意外と美味いなお前。引きこもってた訳じゃないのか」

「そりゃお兄様のためだもん。お嫁さんになるならイロイロと出来ないとね。花嫁修業は60年前くらいに済ませてるもの。夜の方も任せてくれていいよ♡」

「お前今は学生なんだからそういうのは良くない」

「えー。避妊すればよくなーい?」

「避妊したって確率はあるんだぞ、知らんけど」

「私は出来てもいいけどなぁ」

「流石に子供が可哀想だろうが」

「お兄様は一体私をどれだけ惚れさせるの?」

「……え、積極的過ぎない?」

「いやあ、ずっとこうだったよね」

「そういえば……」

 

いつものメンバーの中にヴィオラが追加された。

正妻ポジションでも狙ってるのか、実力があるだけあって転間の箸を没収して食べさせている。

奪っても箸が壊れる未来しか見えない転間はそもそも質問責めで疲れたので抵抗するつもりはないらしい。

基本屋上飯か食堂飯の転間が珍しく教室に居ることからそれは分かりやすい。

その影響かさらっと教室にいるクラスメイト全員が耳を傾けている。他の科から編入ではなく、新しく来た。もとよりイベントが少なく色々とハードであるため、お祭りごと大好きな雄英の生徒からすれば当然注目する。

それもあのクソ鈍感弟バカの知り合いであり、正面からお嫁さんだと宣言した少女だ。

雄英で知らぬものは居ない有名人でありながら問題児の、転間の名前があったというのもあるだろう。

 

「そ、それで……どうしてヴィオラちゃんがここに?」

「んー? ほら私ってお兄様の次に強いじゃない?」

 

ちょっと不機嫌な顔でねじれは聞くと、転間に食べさせながらヴィオラはねじれに視線を向けながら質問に答える。

マウントは忘れてない。

気づいたのだろう、ねじれは笑顔でちょっと固まった。

転間は仲良いなぁと思った。

 

「お兄様の監視の元なら自由に出来るのが私。でも学校行ったり近くに居ない間は退屈だからね、お兄様の元担任のイレイザーヘッドって人にお願いしたらお兄様のクラスに入れた方が合理的って言ってたの。話が分かる人でいいね」

「俺に押し付けたなイレ先!!」

「実際転間くらいだもんなぁ」

「うん」

「そんな強いの? 私からしたら可愛いとしか思えないんだけど」

「転間でも苦戦するらしいよ」

「ヤバ」

 

何も知らない甲矢にミリオが一言で分かりやすぐ言うと、顔を引き攣らせていた。

転間が一切否定しないことから現実味がより帯びる。

もしそれが嘘なら転間は間違いなく否定するからだ。(主に弟のために)最強に拘る転間ならそうする。

 

「というかぁ、雄英って1番最難関なんでしょ? ヌルすぎない? こんなんじゃお兄様が退屈するじゃない、どうしてくれるのよ」

「お前のせいで退屈する暇すらないんだけどな」

「キャッ♡ そんなに私を想ってくれるなんて……もう好きッ♡」

「いやそういう意味じゃ……おい食事中に暴れるな」

「絶対そこじゃないよ転間くん!! もっと自分の危機管理をしっかりして!?」

 

抱きつこうとするヴィオラをねじれが引っ張って止めるがヴィオラの力の方が強くて止まらず、転間の不可侵が止めると転間は弁当はしっかりと引き寄せて守っていた。

ただあまりに無防備なことに、本人ではなくねじれが焦るという妙なことが出来上がっている。

 

「ええ……」

「雄英、そんな簡単じゃないんだけどな……」

 

あまりのキャラの濃さについていけない甲矢。

個性が個性なのもあり、これでも苦戦したミリオは落ち込んでいた。なんならついでに周りに大ダメージを与えている。

中にはギリギリ合格もいるのだ。

そんなミリオの肩を環が叩く。

まぁ転間と戦えるような人物が今更試験程度で苦戦するはずもないだろう。

 

「そうだ、お兄様」

「ん?」

 

突然冷静になるヴィオラに転間も普通になっている。

ここはある意味似たもの同士というべきか。

 

「これ」

 

ヴィオラが何かを差し出したのを見て、全員が覗き込む。

見せられたはずの転間は何も見えなくなった。

 

「え、いつの間に!?」

「もう獲ったの!?」

「早い……」

 

何やら騒がしくなり、なんの事か分からないままご飯を食べるだけの作業をしてると、すぐに見れるようになった。

そこには。

 

「……プロヒーローの資格? ヴィオラ、もう獲ったのか」

「うん、鳥の人がお兄様を困らせると胃が壊されるとか言ってたから試験を用意してくれたの。全部壊しちゃったら、公安の人泣いてた。これでも加減したんだけど、私の師匠ならもっと壊せてたよ? 私もまだまだだなぁ……」

「……そうか」

 

彼女の師匠がどんな存在か知らないが、五条悟の知り合いなのだということはうっすら察している。

とりあえず転間はホークスと公安に心の中で手を合わせた。

が、実は転間も転間で仮免時に会場をボコボコにしたので人のことを言えた義理ではない。本試験では戦闘は免除されたが、されてなければ破壊損額はヤバかったかもしれない。

転間に関しては雄英破壊常習犯だ。セキリュティはトップレベルのはずなのだが。

 

「とにかくこれでずっとずっと一緒だね、お兄様♡」

「まぁそういう条件だしな」

「むぅ……ヴィオラちゃんばかりズルいよ転間くん」

「俺に言われても。警察と公安に言ってくれとしか」

「だーめ。お兄様は私のだもん」

「ヴィオラちゃんのじゃないよね!?」

「そうだぞ。俺は弟のモノだ!!」

「うーんブレない。流石ブラコン。超ブラコン?」

「それはそれでどうなんだろう……?」

「まぁ……この辺りは変わらないのが非常に転間らしいよ」

 

そこは自分は自分だと言うのが普通なはずだが、流石に出久も困るだろう。

兄が“コレ”なのでちゃんと正しい意味としての兄という意味で捉えると思うが、腐の方々が歓喜しそうな発言というのは自覚してないのだろうか。

してないだろう。

 

「ねぇねぇ、お兄様の弟ってどんな子なの?」

「知ってどうするつもりだ、手を出すのならヴィオラでも許せないぞ」

 

好奇心からだろう。

弟について聞くヴィオラに転間は最大限の警戒をした。

彼女が他人に興味を持つのは珍しい。

まるで睨むように、何より手を出すことを許さないということが本気だと示すような強い瞳。

なんなら若干殺意すらある。

その瞳にドキッとしたヴィオラは若干興奮した。

ダメだ、無敵すぎる。

 

「そんなお兄様も素敵……♡ んんっ、そんなことしないよ。私はお兄様以外に手を出さないし好意を向けたりもしないもん。こう見えて一途だからね、安心してお兄様♡ でもお兄様の弟ならとっても素敵な人だと思うんだ、純粋な質問だよ? だ・か・らぁ……もっとお兄様のこと教えて欲しいなぁ?」

 

甘えるような声。あざといといえばあざとく、逆に言えば自分の魅力の出し方をよく分かっている。

美少女にこんなこと言われて、それも悪意ではなく好意全開で迫ってくる相手に男は弱い。

転間は弟1番なのでそれほど効いてないが、今の発言は彼の好感度を上げるには十分すぎる効果だった。

ちょろい。

 

「ヴィオラ……そうか。お前は話が分かるな。そうなんだ、出久はあまりに魅力に溢れていてな。まずあの純粋な可愛さに満ちた笑顔。あれはまず間違いなく国宝級の、世界が生み出した宝と言えるが出久自身のヒーロー精神は心配な部分こそあるが俺がある程度行き過ぎないように教えていったし、それでもなお、それはもう大変素晴らしく――」

「どうしよう。お兄様のチョロさが心配になるわ……私が守らなきゃ。でも、弟のことになったら饒舌になるお兄様も可愛くて好き♡」

 

あまりに強烈すぎる人物であることが周知したのと同時に、多分この場で1番危機感を覚えたのはねじれだというのは余談だろうか。

ちなみに出久について永遠に語る転間だったが、ヴィオラは一言一句聞き逃さず微笑ましそうに聞いており、そこは確かに年齢通りの“お姉さん”らしいかもしれない。

授業か始まるまでそれは続いた。

聞き耳を立てていたクラスメイトが逆にダウンするレベルで。

流石に授業があるからか切り上げていたものの、その時にクラスメイトたちは思ったようだ。

――あっ、この編入生もお兄ちゃん同様やばい人種だ、と。

 

何より弟のことを語りまくることになった経緯を聞いていたその場の全員が思ったことだろう。

緑谷転間という人間の扱いを、彼女は既によく分かっていると。

もしヴィオラが興味ないとか言ったら言ったらで『興味がないってどういうことだ!? 俺の弟に不満があるのか!?』と理不尽極まりない面倒な状態になるのは彼をよく知る者なら知っているからだ。

特に現2年生と3年生。

なぜなら既に被害に遭ってる者たちなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推薦入試。

その会場を木陰で眺める怪しい人影があった。

会場の中までは見えないだろう。

だが試験が行われてるのを知っているフードを被った、体格からして男性の怪しい影はその場から動かない。

しばらくして、試験が終わりを迎えたのか人が出てくる。

女性が二人。男性が一人。

だが目的の人物ではないのか気配を隠したその男は、目的の人物が出てくるまで待っていた。

すると、二人の少年が出てくる。1人は背が異様に高く、丸刈り頭。純粋に身長が高いのだろう。

もう片方は赤と白のツートンカラーの少年。

 

「くっそー! あんたすげぇっスね! 追いつけなかった!」

「――そうでもねぇだろ。片方の力だけなら負けてたのは俺だ」

「それでも負けは負けだ! 今回は負けたけど雄英じゃ負けねぇ!」

「そうか、俺も負けねぇよ。俺は“あの人”のようになるんだ。何処までも自由に生きて、そして多くの人に“希望”を与えるようなあの人みたいに。

ここは通過点でしかねぇ。お前の個性の使い方も勉強になった。熱のコントロールが俺はまだまだ甘ぇ」

 

片方はハイテンションに対し、片方は静とも言うべき、正反対の二人。

しかしクールである少年には確かに“熱”があり、それは今も激しく燃え盛っている。

目標に向かう、夢に向かって進む少年の目。

 

「轟……。 ごめん!!」

「は?」

 

それを見た丸刈りの男は、勢いよく地面に叩きつけるようにお辞儀して謝っていた。

突然のことに意味が分かっていないのに対し、丸刈りの男は頭から血を流しながら話し始める。

 

「俺勘違いしてたっス。轟の個性を見てエンデヴァーの息子かなんかだと思ってた。エンデヴァーみたいに“冷たい男”って勝手に決めつけてたんだ。でもすげぇ熱いやつだった!」

「そういう事か……別に気にしてねぇよ。クソ親父がエンデヴァーなのは間違ってねぇ。ただ俺は母さんのために……“なりたい自分”になるためにクソ親父の力でも利用してるだけだ」

「なんか複雑な家庭事情がありそうっスね……。この話は一旦やめ! そうっスね。あんたは何が好きッスか?」

「そば。ざるの」

「俺はうどんっスね。蕎麦なら温そば!」

「合わねぇな」

「それでも仲良くなれると思うんっスよね」

「……そうか?」

「そうに決まってるっス!」

「そういうもんか。悪いな、友達ってのを俺は知らねえ」

「だったら今日から俺がライバルで友達になるっス! よろしくな!」

「……そんな簡単なものなのか」

「多分!」

 

仲良くなったのか話しながら帰宅する姿を、木陰から眺めていた男は彼らが去ってから姿を現す。

フードを外せば、爛れた肌にツギハギの顔。

縫われた跡の影響もあるだろうが、間違いなく年齢は成人しているだろう。

その顔は穏やかで口角が上がっていた。

 

――そうだ、お前はお前のなりたい自分になればいい焦凍。その力はあの男の力じゃねぇ。お前の、お前だけの力だ。

お前ならやつを超えられる。

俺と違って、()()()()なんだから。

もう縛らなくていい。自由に生きていいんだ。

オールマイトを超えるようなヒーローじゃなくても。

 

再びフードを被った青年はスマホを開きながら歩みを進める。

そこにあるニュースの記事。

それは緑谷転間が新宿で活躍したことが記事にされている。

メインで写っているのはエンデヴァーではなく、ただの学生で。

その中にある、ひとつの単語。

 

「――最強のヒーロー、か。ザマァねぇな、No.2」

 

学生の身でありながら、トップヒーローたちが霞むレベルでの活躍を成した最強とされるヒーローの候補生。いやプロヒーロー。

今となってはデビューを果たし、次のチャート発表ではNo.1になるんじゃないかと噂されるほど。

それは青年の目から見ても圧巻の一言だ。

 

ふと近づいてくる人の気配を感じて、何故か隠れてしまった。

服装的には雄英の生徒だ。

友人同士なのだろうか、話し合いながら歩いている。

 

「そんな急がなくても逃げないだろ」

「予定がたくさんあるんだから早く着いた方が遊べるじゃん!」

「あまり人混みは行きたくないな……」

「この時期の温水プールは無理じゃない?」

 

どうやら冬というのもあり、温水プールに行く予定らしい。

7人とまあまあ大勢。

 

(って、なんで俺隠れてんだ)

 

服装こそ怪しいが、別に何かやましいことをしていたわけではない。

しかしふと、視線が吸い寄せられる。

緑色の髪をした男。

本人は行く気がないのか、青髪の女と薄紫の女に両腕を取られ、引っ張られている。

バチバチしているようにも見え、男はちょっと同情した。

 

(あの男、どっかで見たような気がするんだが……)

 

ふと緑髪の男と目が合う。

気怠げにしていたのから一転して青年に鋭い目を向ける。

青年は隠れていたはずなのにバレたことに驚き、咄嗟に隠れながら早まった心臓の音が嫌に煩く聞こえていた。

そっと見れば、興味を無くしたようにもう見られることはなかったが、気配を消していたのにも関わらずバレていた。

その事実が、心臓に悪いと深く思った青年だった。

 

「先輩動いてっ!」

「押すな引っ張るな」

「そうよ、早く手を離しなさいねじれ。邪魔よ」

「やだっ! ヴィオラちゃんこそ離して。それに離したら逃げるじゃん!」

「否定はしない」

「そ、そこは否定するところじゃあ……?」

「お兄様は私と遊園地デートに行くの」

「いつそんな約束した?」

「やっぱり私場違いやけん……」

「いや経験積ませるためとはいえ復興作業手伝ってくれてるんだからそこは甘えろ」

「そこは気にしてないっていうか、むしろ先輩と居られて私は――」

「ちょっとーそこイチャついてないで早くしてくれる?」

「お前の目は節穴か???」

「時間なくなるよ転間! この後ボウリングとかゲームセンターとかバッティングセンターとかカラオケとか行くんだから」

「お前は計画を詰めすぎなんだよ!!」

 

隠れていて見えてなかったが、ピンク髪の女に緑髪の男は背中を押されていたようだ。

結局緑髪の男は押されて引っ張られて行き、その集団はもう見えなくなったが、男は懐かしさを覚えた。

あの少年を見てからというもの、ふと古傷が痛む。

傷が残ってるわけではない。だがそれは、あくまで表面上。

心に刻まれた言葉とその際にやられた痛みは今も残り続けている。

自分を変えてくれた、取り返しのつかないことをする前に止めてくれた子供。

ずっと探している“恩人”だ。

今でもあの日のことは、7()()()のことは鮮明に思い出せる。

あの出会いが、絶望を塗り替えた。

 

 

 

 

 

 

『どけ!! 俺はお兄ちゃんだぞ!!』

 

『さっきの不審者か。なんだ? いくら俺の弟が可愛すぎるからと言って狙いにでも来たか?』

 

『は? お前、それ本気で言ってんのか……? 本当に、本気でやろうと思ってたのか!? 弟がどれだけ大切な存在なのかお前には分からないのかッ!?』

 

『お前だって“おにいちゃん”だろうがッ!!』

 

小学生だ。

おおよそ10歳くらいの小さな子供。なのに何処か小さな子供と思えず、その力は子供の域を超えていた人物。

その子供もまた、翡翠の瞳と緑色の髪だった。

 

「なーに仕事サボってんの?」

「うるせぇなホークス。ただ思い耽てただけだろうが。アイツが居なければ俺はかけがえのない宝物を奪ってたかもしれねぇからな」

「またそれ? ほんと好きだね〜自分を救ってくれた小さなヒーローだっけ?」

「……」

 

年上に対しても一切怖気付かない豪胆さ。弟を守るためならどんな危険にも飛び出せる勇気。

もし本当のヒーローってのが居るのなら、アイツのような人間がヒーローだと言うのだと男は思っている。

“呪縛”が解けたのも、あの子供のお陰なのだから。

今こうして、大切な弟を見守り、導くことが出来るのも。

全部全部、あの子供との出会いだ。

あの子供なら絶対にヒーローになっていると確信している。

だからわざわざ、青年は公安に入ってまで探しているのだ。

 

――感謝してるぜ、最高のお兄ちゃん(マイヒーロー)

そういやさっきのやつ、マイヒーローに―――昔会った子供に何処か似ていたな……。顔もそうだが、雰囲気というか。あいつの歳ならあれくらいなんだろうが……まさかな。

こんなところで会うわけねェか。いくらなんでも運命すぎる。ロマンチストかよ。

こんなことなら名前聞いとくべきだったなァ……。

 

「弟が大好きなお兄ちゃん、ねぇ……いやいやまさか……。そんな世界が狭いことある?」

「おい、お前知ってんのか? 教えろ」

「いやないって。彼の年齢を考えたら有り得ない。100%ない。断言出来る。あったらしばらくタクシーみたいに移動手段になってもいい。それより仕事残ってんだから。行くよ、()()

「うるさい、俺に指図するな」

「なんで俺の相手ってこんな面倒な相手ばっかなんだろう。ナガンさんに変わってもらおうかな……」

「何か言ったか? 今なら焼き鳥にしてやるぞ」

「そりゃ勘弁。全く緑谷くんもそうだけど、俺に対する扱い酷くない? 俺も傷つくよ」

「緑谷……記事にもなってたな。お前会ったことあるんだろ。どんなやつだ?」

「究極のブラコン」

「へえ」

「紹介しないよ、絶対面倒になる」

 

顔に出ていたのかホークスはバッサリ斬ったが、荼毘と呼ばれた男は興味を持った。

 

――マイヒーロー程じゃないだろうが、そこまでのやつが居るなんてな。そいつも弟を大切にしてるのだろう。

ま、俺の焦凍()には及ばない。

焦凍こそ1番だからな。

俺の中でマイヒーローと焦凍だけが1番だ。

冬美ちゃんや夏くんは俺が死んだと思ってるだろうから会いづれぇし。

本当は焦凍にも顔を見せて教えてやりたいんだけどな……。俺が生きてたって分かったらあの3人に辛い思いさせちまうだろ。こんな顔だし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月日は経ち、2月。

雄英高校入試試験日。

校門の前に立つのは、縮れ毛の緑髪の少年だった。

 

「やっと来た。実技試験! ここが……!!」

 

迫力の大きさ。

普通の中学でしか無かった彼にとって、これほど大きい校舎を見ることはなかった。

彼だけではない。

他の受験者たちも見上げている。

来るのは二度目だ。筆記試験が既に終わっている。それでも何度見ても圧巻としか言いようがない。

何より彼にとっては、そこは特別な場所で。

 

「ここが転間兄ちゃんの学び舎……僕はなるんだ。最高のヒーローに。あの人に追いつくために、転間兄ちゃんの隣に立てるように。ここで!」

 

プレッシャーが無いといえばある。

というのも、実は彼はあるヒーローに主席合格するように言いつけられた。

もし合格出来なければ雑言罵倒の嵐が飛んでくるかもしれない。

訓練も一層激しくなるだろう。

それでも少年――緑谷出久の眼差しは強い。

かの“現代最強のヒーロー”の弟なだけあり、その精神は既に完成されつつあるのだから。

 

ようやくたどり着いた、スタート地点。

夢に向かって踏み出すスタートライン。

緑谷出久は今日、ヒーローへの道の一歩を歩む。

 

 

 

 

これが、新たな始まり。

 

最強へと至った緑谷転間の、オリジンの物語は終わりを迎え、“みんな”の物語が始まる。

これから始まるのは、緑谷出久が最高のヒーローになるまでの物語

オリジンを宿す、みんなが最高のヒーローになるまでの物語。

そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

緑谷転間が“最強で最高のヒーロー”になる物語だ。

 

 

 

 

 





ということで、これで“緑谷転間”の物語は完結になります。
長い間、ありがとうございました!
転間くんが教育を選ぶのは最初から決まっていたことでした。前世の設定があるのもこれに辿り着く要因のひとつでもあったので。
五条悟と同じ道を行くのも、五条悟と出会った影響が大きいんじゃないでしょうか。作者としては出久が教員になるという結末から考えた展開でしたけどね。
キャラ設定集も完成し次第書きます。
ついでにじゅじゅつさんぽとかすまっしゅ!みたいな短編も一緒に挟む予定。

最後に気になりそうなQ&Aを多少。

Q.転間くんのこれからは?

A.しばらく海外でヒーロー活動中。一応スターのサイドキックという扱いにすることでスターを隠れ蓑にしているが、世界全体の犯罪率を低下させるのとヴィランに手を伸ばして更生させるのが目的。
ちなみにスターとは再戦して本気の殺し合いに近い戦いし、転間が勝った。
島は消し飛んだ。

ザ・スカイクロウラーとも出会ったりしたが彼と話したのち、彼の発言を聞いて日本から(五条悟曰く宿儺レベルの)反転術式で目を治した羽根山和歩を連れてくるお節介をしたり、真さんと出会って苦手すぎて逃げたりとかしてる。一応言っとくと好意は持たれてない。
出会いが欲しいならイレ先紹介しますよとかは思ってたり。
クロウラーを見て修羅場してんなーとか他人事のように思ってるが、自分のことに気づくべきだと思う。
あと英語どうにかしろとは思ってる。

なお日帰りで海外から帰ってるので意地でも出久に会ってるらしい。
ヒーロー活動、教師、学生、エドワードの施設とAFOの施設などぶっ壊しなど他にもあるが常に忙しい。
睡眠時間は寝ないことが多いが、寝るとしても2〜3時間あるくらい。脳壊して治せるからそういうのがなくやってた前世に比べればマシとの事。
実力は最強だが、ブラコン過ぎて人格に問題あり。あと他人を煽りがち。それ以外はただのハイスペックなイケメン。マイナス要素が強すぎる。

Q.ヴィオラは?

A.普通に転間について行ってる。本人の意思もあるが、お兄様を独りにしないためとのこと。
あとそもそもそうしなければ転間が罪に問われるのもあるだろう。
雄英なら問題ないが、外出は転間が居ないと無理なので。
ちなみに唯一転間の前世を知ることになったりするが、彼女がそういったことを理解出来るからこそだと思われる。
それすら受け入れてアタックしているとのこと。

Q.ナガンは?

A.可能性を見せた転間くんに無事脳を焼かれた。
今は出所してプロヒーローとして活動中。
一応公安にもいるが殺しはしておらず、転間くんの協力者になっている。
後輩を見ているが人生楽しそう。

Q.荼毘はどうしたの?

A.1度轟家に戻ってきた際に離れたあと、偶然にも弟を虐める現場に突入する前のブチギレ状態のお兄ちゃんと出会う。本人がキレてたのもあって突入を邪魔してきたので一発殴られる(理不尽)
焦凍を殺そうとしたことを伝えたら全力で蒼を纏った拳でぶん殴られた。
ブラコン化した。
お兄ちゃんに脳を焼かれた一人。
俺のマイヒーロー。

Q.轟は?

A.知らないおじさん(お兄さん)に中学生辺りで炎を使い方を教わることになり、自分の力だと教えられた。
クソ親父ことエンデヴァーは嫌っているが、自身の力だと自覚してるので目的のためなら利用してやると使うようになっている。なので既に体育祭後のような状態になっている。
ぶっちゃけただの強化。
その人、お兄ちゃんですよ。
ただオールマイトではない目標があるようで……?


Q.出久は?

A.あるメガネを掛けた未来予知が出来るプロヒーローに弟であることを気付かれ、扱かれた影響で45%まで覚醒した。
ちなみにお兄ちゃんは聞いてもないのに45%まで使えることを察知してる。
メガネの人物はさすがオリジンの弟だとオリジンの後方理解者面ばかりしているため、出久は転間兄ちゃんのファンなんだろうなと思ってる。
が、もし彼が原作のままだったら出久は認められてなかっただろう。
それはそうと出久は出久で1番知ってるのは自分なので譲らないとなんだかんだかなりのブラコン。ここまで来たらもう血では?

とまあこんな感じです。
正直ここまで書いて満足感が凄いのでこれ以上書くか分かりません。
別の作品も書きたいしね。結構伸びたなと思いますが、正直途中でやめるつもりだったからここまで書いただけでも奇跡かも。
行き当たりばったりでしたが、58話までお付き合いして頂き誠に感謝します。
ここまで本編を書かない小説は珍しいんじゃないかな、あくまで主役はヒロアカ原作における3年生だからそうなるのも仕方ないと思いますが。
ぶっちゃけヒロインの誰かと結ばれる、というのは考えから放棄してたので、特に考えてません。
少なくとも転間くんが拒絶してないため、各ヒロインそれぞれに結ばれる可能性はあるとだけは言っときます。

あとヒロアカじゃなく呪術廻戦になりますが、実は五条悟の兄に転生する案もあったとだけは言っときます。脹相と会って弟について語り合う展開とか悠仁を導く展開とか宿儺を煽りまくる展開とかも有りました、なんだこいつ。
ブラコン以外は五条悟の兄とは思えないという評価を下されるでしょうね。

最後にどれだけの人が続きを望んでるかまでは分かりませんが、書くかもしれないし書かないかもしれない。0ではないとだけ。
では、まだ設定集と短編がありますが読んで頂き本当にありがとうございました。

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