東家長男は全力でお兄ちゃんを遂行する   作:全力で遂行するタイプのお兄ちゃん

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忙しくなって書けなくなるのは分かってる
でも、書きてぇ…!と言う流れで出来たのでエタる可能性が非常に高いです。あんま期待せんといてください。


お兄ちゃんは7番組の兄ポジである

 

今から数十年前、日本に魔都と呼ばれる異空間が出現した。世界の形が歪み始めたのはこれがきっかけでもある。

 

魔都から発見された桃は女性しか効果を持たないものの、特異的な能力を授ける事が分かったことで女尊男卑の世界が築かれた

 

「ひっ…醜鬼だ!みんな逃げろ!」

 

「やだ…誰か、助けて!」

 

だが、魔都が招いたのは祝福だけにはとどまらなかった。醜鬼と呼ばれる魔都に闊歩する怪物まで招き入れてしまった。

 

現在では魔防隊と呼ばれる桃による能力者集団が魔都で活動することでその侵攻を抑えることに成功しているものの、その全てを完全に予防する事は出来ない

 

「あああ…た、助け―――」

 

「痛え…痛えよ…」

 

その上、たちの悪い事に醜鬼には基本的に近代兵器が通用しない。唯一、桃による能力の恩恵を持つ武器か能力者の攻撃以外は通用しない。

 

さらに、醜鬼一体辺り民間人約数十名単位の被害をもたらすことも拍車をかけていた。これが最も弱い通常個体であることが何を示しているのか、語るには及ばないだろう。

 

「クッソクッソ…離せよ!」

 

そしてまた一人、醜鬼による被害者が一人増えようとしていた。胴を掴まれ、打開の策すら出しようがない。彼の脳裏に巡るのはこの世の理不尽と不公平さへの怒り。

 

本来ならば脳天から鮮血が舞う筈であろう展開

しかしそうはならなかった。

 

「あー…最悪やん」

 

キン

 

その刹那、彼を掴んでいた個体諸共、周囲の醜鬼の胴が上下に断たれる。醜鬼だけではない。周囲の建物もまるで巨大な刃物で水平に切ったように両断されていた

 

「へ…な、何が」

 

「そこのアンタ、自分で動けそ?」

 

「え、あぁ…」

 

「そか…っつか建物まで切ってもうてるやん…え、これ始末書書くん?」

 

突然のことに頭が追いつかない男に刀を携えた青年が声をかける。困惑しながらも返すが、その張本人はこの惨状を見て顔を青くしている

 

「まええわ。動けるんやったら回れ右して地平線の果てまで走ってくれや」

 

「え、でも醜鬼は―――「あれ見てみ」…え?」

 

刀が指し示す方向には無数の醜鬼がこちらに向かっているのが見えた。先程までとはわけが違うその物量ははっきり言って絶望そのものだった

 

「な?分かったら、俺の背中が豆粒に見えるくらい遠くにダッシュや。ええな?」

 

「で、でも普通に逃げても追いつかれるぞ!」

 

「大丈夫や、俺が残れば逃げる時間くらいは稼げるわ。ってもそんな強ないから持たんけど」

 

「無茶だ!魔防隊でもない限りそんなの「大丈夫大丈夫」…は?」

 

そう言うと刀を抜きながら前へと出る

鞘から抜かれる刀身の長さが増えるにつれ、青年の発する『圧』が強まる。

 

「俺、これでも魔防隊所属なもんで」

 

「な…男の隊員なんて聞いたことが―――」

 

「そら公表しとらんからな。分かったらとっとと下がってもらってええか?」

 

「あ、ああ。気を付けるんだぞ!」

 

忠告を聞き入れた男は青年と猛進する醜鬼達を背に走る。必死の形相で走り抜ける彼と対照的に青年は気怠けな表情を見せていた

 

「ったく、折角の有給で甘味巡りしようと思うたら休日出勤て…ホンマツイとらんやん…」 

 

キン

 

そう言いながら、到着した先頭を斬撃で卸す

そのたった一太刀で半分近い醜鬼が物言わぬ肉塊と化す

 

「しゃーない、これ終わったらマイラブリーシスター達に慰めてもらおか。」

 

彼の名は『東 日々輝(ひびき)

女性のみで構成された魔防隊において、唯一無二の男性隊員であり、桃の能力を用いず剣技のみで戦う異例(アウトロー)

 

名門東家において、天与の肉体と技術のみで戦うその姿から称された異名は―――『東の異能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…ようやく一息つける」

 

所変わって魔都南西部裏鬼門に存在する7番組の宿舎。つい先日の交流戦から一転、寮の管理人として務める事となった和倉優希は今日も多忙な日々を過ごしていた。

 

「あ、いた。あんたラーメン作ってよ」

 

「う…分かったよ」

 

しかし、息つく間もなく次の仕事が転がり込んでくる。彼の元に訓練後なのか汗ばんだ『東日万凛』がやって来る

 

「…お前ラーメン好きだよな」

 

この寮に来てからしばらく経つが、日万凛が優希にラーメンを作れといったのは一度や二度ではない。数日に一回、そのたびに彼は作っていた

 

「兄さんが前に作ってくれて―――って、今はいいの。それより早く作って!」

 

「あいあいさー…」

 

そう告げ、彼女はその場を後にする

一方で優希は日万凛の言葉を頭のなかで反芻させていた。

 

(日万凛のお兄さんってどんなんだろう…)

 

日万凛の様に短期で怒りやすい性格なのか、それとも真反対のおしとやかな人間なのか

 

「めっちゃ気になる…」

 

「気になるなら教えたるわ、日万凛の好みは豚骨タイプのこってり系や。チャーシューやメンマもやや多めにするとよりええで。」

 

「ありがとうございます、なら今日は―――って誰ぇ!?

 

唐突に聞こえてきた男の声に振り返るとそこには私服姿の青年が椅子に座っていた。腰には刀を携えており、一目で只者ではないと分かる。

 

しかし、優希にとって一番驚いたのはそこではない

 

(この雰囲気に顔立ち…もしかして)

 

「そのまさかや、俺が日万凛のお兄ちゃんや

 

(サラッと心読まれた!?)

 

予想外の連続である

優希にとっては渦中の人間が突然現れた上に心まで読まれる異常事態。優希は混乱した

 

「うちの日万凛()が世話になっとるな、俺は東日々輝。東家のお兄ちゃんや。今は魔防隊の9番組で平隊員しとる、よろしくな。」

 

「あ、どうも…和倉優希です。7番組の寮で管理人を―――って魔防隊!?」

 

自己紹介の中で発覚する驚きの事実

自身の組長から教えられた『魔防隊は女性だけ』という常識が崩されようとしていた

 

「あぁ、ええやろ?紅一点ならぬ黒一点や。」

 

「でも組長は男は魔防隊になれないって…」

 

「基本はな、俺は特例っちゅーわけや。あでも、桃の力とかないからいいとこ言って副組長クラスが限度やけどな」

 

「でもすごいじゃないですか!桃の力もなしに戦えるなんて…」

 

本来、醜鬼と戦うには彼自身も自身の組長の力に頼らねば話にならない。だからこそ、自身だけで戦えるその強さは優希にとっても明確に分かる凄さだった。

 

「にしても…寮の管理人なぁ…なあ、一つ質問あるんやけど」

 

「良いですけど…なんです―――」

 

日々輝からの問いかけにラーメンを作る手を止め、振り向くと思いっきり肩をつかまれる

 

「え?あの、日々輝さ―――」

 

「さっきのやり取り、少しだけ聞き耳させてもろたけど…お前日万凛とどういう関係や?

 

「え、ちょっ!?」

 

その発言と共に、肩を掴む力が跳ね上がりミシミシという音を立て始める

 

まさか…彼氏ちゃうよな?

 

「ち、違います!彼氏じゃなくてホントに只の管理人です!」

 

変なことしてへんやろな…?

 

「か、神に誓ってしていません!*1

 

殺される、答えを誤れば間違いなく3枚に卸される…!

 

そう確信できるほど、日々輝の雰囲気は変わっていた。しかし、最後の言葉を聞くと、禍々しい殺気は鳴りを潜め、先程までの飄々とした状態へと戻っていく

 

「なんや、俺はてっきり日万凛が男を作ったんかと思たわ。すまへんな。」

 

「ああ…いえ、大丈夫です」

 

「お詫びとして連絡先交換しとこうや、周り女の子だけで心細いやろ。このお兄ちゃんに人生の相談事から漢としての矜持まで何でも相談してくれや。」

 

「日々輝さん…!」

 

先程までの飄々とした雰囲気とはまた別の頼もしさは、異性のみの環境に置かれていた優希にとっては正に砂漠のオアシス。その姿はかつてそばにいた自身の姉に通ずるものがあった。

 

「まぁ…兎に角や、優希クンは日万凛の事とかあんまりまだ知らんやろ?」

 

「そう…ですね。正直、まだ数週間くらいしか一緒にいないので、心を許してくれる存在には慣れてないんじゃないかな…とは感じます。」

 

「フッフッフ…そういう時は俺にまかせとけや」

 

そう言うと懐からやや大きめのメモ帳を取り出す。その表紙には『10分で分かる、大天使ヒマリエルの可愛さ』と書かれている

 

「コイツにはな、日万凛のちっちゃい頃からのアルバムとか入っとんねん。」

 

「な、成程…(表紙のせいで話が入ってこない…)」

 

「例えばやな―――」

 

メモ帳をパラパラと捲りながらあるページを差し出す。そこには幼稚園児くらいの日万凛の写真が載っていた

 

「ほら、かわええやろ?日万凛ちっちゃい頃はな―――」

 

「…」

 

しかし、優希には日々輝の話がまるで入ってきていなかった何故なら…

 

「ひ、日々輝さん…う、後ろ!」

 

「あん?何や、後ろが一体―――

 

ギャァァァン!

 

ちょっと待ってくれや、この駆動音はまさか…」

 

そう、そのまさかである

優希の目線には般若と化した日万凛が右手をチェンソーの様に変化させ、日々輝の後ろに立っていた

 

「こんの馬鹿兄貴があああ!!」

 

「その声は!マイラブリーシスター日万r―――って危なあああい!

 

間一髪、振り下ろされたチェンソーは日々輝の残像を捉える形で避けられた

 

「恥ずかしい人様の写真を大っぴらに晒しておいて!このバカァ!」

 

「ごめんて!俺はただ日万凛の可愛さや偉大を優希クンにも分かってもらおとおもて…!」

 

「知るか!余計なお世話よ!」

 

こんな会話をしているが、優希の眼前では醜鬼の戦いでも観られないほどの高速の戦闘が織りなしていた。

 

(すごい…日万凛の攻撃を紙一重でかわし続けてる)

 

チェンソーを振るう日万凛に対して、涼しい顔をしながら、まるで分かっているかのように息も乱さずに避け続ける日々輝。一方的に見えるが、その差は歴然だった

 

「クッ…流石に当たらないわね…なら!」

 

「!」

 

チェンソーだけでは埒が明かないと判断した日万凛は残った左手を銃へと変える。仮に日々輝に当たっても、化け物じみた肉体には大したダメージにはならないと判断したのだ。

 

しかし、その判断を兄としての日々輝は許さない。

 

「こら、駄目やろ…ソレは」

 

「あぐっ…!」

 

チェンソーの刃を避けつつ、右手首をつかむと力の流れを操るが如く、日万凛を地に伏せさせる。

 

「何よ馬鹿兄貴!いきなり銃が怖くなった―――「ちゃうわ日万凛」!」

 

「お前、こんな室内でぶっ放すとか危な過ぎやろ。万が一弾が跳ねて優希クンに当たったらどないする気やねん。」

 

日々輝の言葉に日万凛もハッとする。

確かに、日々輝では大したダメージにもならない。

 

だが、優希は違う。超人的な肉体もなければただの高校生に毛の生えた程度の身体能力、もし跳弾が起きれば当たりどころによっては一大事に至る

 

その事実を理解した日万凛は申し訳なさそうな表情をする

 

「ご、ごめん…アンタもケガとかしてない?」

 

「お、おう…俺は大丈夫だ」

 

「まったく…日万凛は怒ってまうと周りが見えんくなるのが玉に瑕やな。今度から気を付けえよ?」

 

「わ、分かった…」

 

兄からの説教、その事に対してシュン…としてしまつ日万凛だったが、数秒経ってから思い出し再び動き出す。

 

「いや、元はといえば馬鹿兄貴が変なことしてたからでしょ!」

 

「ヤッベ、丸め込もうとしてたのがバレた…」

 

「日々輝さん!?」

 

再び両手をチェンソーに変えて襲いかかる

最早日万凛は何を言ってもは聞き入れない完全な暴走状態となってしまった。

 

この優希の窮地に救世主が現れた

 

「おい!さっきから騒がしい―――って兄弟子?何でここに」

 

「京香ちゃん!取り合えず日万凛止めてもろてええか!?話もおちおち出来んわ!」

 

「逃げるな馬鹿兄貴!」

 

「日万凛!?仕方ない…優希!少し手伝ってくれ!」

 

「俺もですか!?」

 

「私一人では手に余る!抑えるのを手伝え!」

 

「は、はい!」

 

7番組の組長(リーダー)、羽前京香

彼女の登場によってこの騒動は何とか収束したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ…危ないとこやったな!」

 

「アンタのせいだろ馬鹿兄弟子」

 

「耳痛なるわぁ…」

 

何とか落ち着きの取り戻した一同は客間で話していた。少し疲れた顔をした京香と優希に対して、ムスッとした日万凛と余裕そうな表情を崩さない日々輝という何とも言えない空気が流れていた

 

「それで…何の用で7番組に来たんだ?」

 

「いや、それがな?有給取って甘味巡りしよと思うたら、現世に来た醜鬼に絡まれてもうてな…ホンマついとらんから日万凛達に慰めてもらおかと…」

 

「勝手に泣いてろ!」

 

「アーンヒドゥイ…」

 

日々輝の不幸話に対して、日万凛から帰ってきたのは氷河期レベルの冷たさだった。

 

「まぁ…当の日万凛はこの様子だ。大人しく八千穂にでも慰めてもらって――「もう行ってきた」じゃあいいだろ…」

 

「まだや、俺はまだ八千穂成分(ヤチホニウム)は摂取したが、日万凛成分(ヒマリニウム)がまだ摂れとらん…これでは力が出ない…」

 

「アン◯ンマンかお前は…」

 

涙ぐみながらもションボリした様子と上目遣いで何とか日万凛に許しを乞う日々輝だったが…

 

「…言っとくけど私は許さないから」

 

「そ、そんな…!?」

 

この時の日々輝の表情は未だかつてないほどの絶望顔だったのを以前の兄妹喧嘩(日々輝のやらかし)以来だと京香は悟った

 

(組長…これ大丈夫なんですか?)

 

(まあ見てろ、大丈夫だ)

 

「うぅ…八千穂は目茶苦茶慰めてくれたのに…」

 

「うっ…」

 

「『私様は兄者の活躍は何時も聞いておるぞ』とかちゃんと慰めてくれたのに…」

 

「ぐっ…」

 

ガチ泣き一歩手前の姿勢に日万凛自身も罪悪感が増え続けていくのを感じていた。

 

別に日万凛は日々輝の事を心の底から嫌っているわけではない。寧ろ尊敬できる兄であり、東家の唯一の良心とさえ感じている。

 

実力主義志向の強いあの家においても、男だからという理由で諦めずに鍛錬を続けるストイックさ。

 

そして、何より東日万凛という人間を唯一認めている存在でもある。故に、東家との関係を絶った今もなお、彼女は兄を好いている。

 

故に―――

 

「あーもう!分かりました!慰めればいいんでしょ!?」

 

「日万凛ぃぃぃ!!」

 

((チョロい…))

 

彼女もまた、兄に駄々甘なのである。

 

「そう言えば京香さん。さっき兄弟子って…」

 

「あぁ、私と同門の出だ。日々輝は私より強いぞ、徒手空拳、剣技、私ですら何でやっても一本すら取れないからな」

 

「マジですか!?」

 

これには優希もビビった

京香は徒手空拳のみで醜鬼を殺す程の力を持つ。仮に技術が醜鬼向けに偏重されていたとしても、桃による身体能力の増幅すら恩恵にない日々輝に手も足も出ないという事実が現実なのかと疑いたくなるものだった。

 

「そら過大評価や、飽くまでも組手までの領域やろ?全部使ったら京香ちゃんの方が強いに決まっとるやん。」

 

「自己評価の低さだけはどうにもならんがな…」

 

「いえ、まぁ…兄さんのそれは桃による能力差とかも考慮したものだとは思いますが…並みの組長より強いですよね?」

 

「何で皆して俺の評価高くするんや…」

 

日々輝唯一の欠点は自己評価の低さ

本来ならば組長相手でも相性次第では圧勝すら夢ではないのにも関わらず、自分は良くて副組長という乖離した自己評価のせいで、謙虚を通り越して最早うざいと言わざるおえない領域に立っていた

 

「失礼します組長、前の醜鬼討伐についての報告書が出来たので確認を―――あ、日々輝お兄ちゃん!」

 

「お、寧ちゃんやん!久しぶりやな!ちょっと背伸びたんやないか?」

 

そんな中、複数回のノックの後小学生にして7番組隊員である大川村寧が入室する。並ばずとも2人の体格差は殆ど親子の差に匹敵することが分かる

 

「わかりますか?実は身長が2cmも伸びたんです!」

 

「流石やなぁ…こうして会うたびに大人のお姉さんらしさもついとるし、ホントしっかりしとるな…!」

 

「えへへ…!」

 

「そんな寧ちゃんには甘味のお土産もあるで、後で皆で食べや」

 

「わあ…!ありがとうございます!」

 

幼くして両親を亡くしてしまった彼女にとって、日々輝の近所のお兄さんムーブは新鮮だった。別の組ゆえに会う機会こそ少ないが、同組の人間を除けば最も心を許している相手とも言える

 

「あの人、結構7番組に来てるんですね」

 

「ああ。大方、日万凛や私の様子を見に来ることが多いが朱々や寧も気にかける奴だからな」

 

「長男故の面倒見の良さですか…」

 

優希自身も納得していた。

彼が発する和やかな雰囲気と何とも言い表せない頼もしさに、初対面での不審者ぶりは完全に鳴りを潜めていた

 

(ん?)

 

「むぅ…」

 

ただ、この状況を快く思わない者もいる

それが妹たる日万凛だった

 

(組長…もしかして日万凛って)

 

(…見ての通りだ)

 

寧と日々輝の絡みを見て『ムッスー』とでも聞こえてきそうなほど拗ねていた日万凛には何時もの様な気丈な雰囲気は欠片もなかった。

 

そんな日万凛も嫉妬からか、寧に構ってる日々輝の背中に抱きつく

 

「んお?あらら、日万凛拗ねとんのか?」

 

「拗ねてない」

 

「大丈夫やって、俺は日万凛のお兄ちゃん辞める何て事は総組長がイヌのモノマネするくらいあり得へんて」

 

「ん…」

 

(何だその無駄に具体的な例えは…)

 

猫の様に頭を擦り付ける日万凛にナデナデをする

恥ずかしげながらも、満足そうな表情をする日万凛であったが―――

 

「…」

 

「…兄さん?」

 

「兄弟子?」

 

突如として撫でる手が止まる

その視線は明後日の方向を向いていた

 

「ったく、人が至福の時間過ごしとるのに…相変わらず空気の読めんゴミどもやな…」

 

「まさか…」

 

「寧ちゃん、少し探知範囲広げてもろてええか?」

 

「っはい!」

 

妹を可愛がる兄の顔から魔防隊の人間の表情に変わる。その変化に気付いた京香と指示を受けた寧はすぐに察した

 

「組長、南西から醜鬼の軍勢です。距離は10km、こちらに向かってきます!」

 

「ッやはり来たか…」

 

「この感じやとまあまあな数来とるな…」

 

寧のきっと見つける(プロミス)により、探知した醜鬼の軍勢。7番組は裏鬼門と呼ばれる特に醜鬼が出没しやすい地点にあるため、探知能力持ちが隊員として組み込まれている。

 

しかし、優希には一つだけ疑問があった

 

(日々輝さんはどう見ても寧ちゃんが探知するよりも早く醜鬼の存在に気付いていた…一体どうやって?)

 

桃の能力すら持たない人間が何故、ここまで遠方の存在を認識出来るのか、彼には理解出来なかった。

 

「向かってくるなら迎え撃つまでだ。日万凛、優希、準備を整えろ。」

 

「「了解!」」

 

敵戦力を分析し、迎撃の判断を下す

彼女もまた歴とした魔防隊組長、醜鬼を倒さんと研鑽を積み続けてきた。

 

「日々輝、すまないが今組員の一人が別件で不在だ。加勢を頼めるか」

 

「当たり前やん、兄妹水入らずの時間台無しにしてくれたんや。後悔させたるわ」

 

しかし、日々輝も負けていない

先程までの弛んだ雰囲気から戦士の顔つきへと一瞬で切り替わる。

 

それに、可愛い妹と妹弟子の前や。カッコつけさせてもらうで

 

「助かる、兄弟子がいれば100人力だ」

 

この後優希は理解する

何故、彼が魔防隊隊員として認められたのか

その実力を故であることを

 

*1
紫黒「ヘクシュッ…風邪かな?」





東 日々輝(ひびき)
東家長男のお兄ちゃんで超シスコン。
某天与の暴君レベルの身体能力と名も無き天下無双の剣豪、どこぞのTAKAMURA DAYS を合わせたような強さになった。日万凛以外の他姉妹とも関係は良好で母とも仲はそれなりに良い。尚、ロリクソババアはお察し。
男として生まれたが、『兄として、妹達を守らねばならない』という矜持ゆえに人間の限界を軽く超えた超人となっている。

東 日万凛 
お兄ちゃん大好きっ子その1
原作では誉や風舞希からの仕打ちで自己肯定感だだ下がりになっていたが、お兄ちゃんの手によりある程度マシになっている。目指すべき憧れの人が羽前隊長とお兄ちゃんになってる

羽前 京香
兄弟子大好きっ子その1
醜鬼絶対殺すウーマンになっていたところをりう婆と共にカウンセリング。自慢の兄弟子だと思っている。実は寧や日万凛に羨ましさを感じてる

和倉 優希
お姉ちゃん大好きっ子その1
青羽と日々輝をやや重ね気味ではあるもののお兄ちゃんは結構頼もしい人だと思っている。日々輝の後輩ポジ

大川村 寧
近所のお兄さん大好きっ子その1
魔都災害で両親を亡くしているが、お兄ちゃんのお兄ちゃんパワーでメンタルはほぼ完治。以来、7番組に来る度に学校の事を話している。将来の夢はお兄ちゃんのお嫁さん

東 八千穂
お兄ちゃん大好きっ子その2
原作では姉として誉を守る事があったりとシスコンを既に発現しているが本作ではブラコンも完備。お兄ちゃんの影響をまあまあ受けてる

駿河 朱々
友達のお兄ちゃん大好きっ子その1
本作ではまだ未登場だが末っ子気質ゆえに相性はいい。お兄ちゃんが来ていたと知るとシンプルに落胆する。原作序盤に見られた危なっかしさについても矯正されている。
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