東家長男は全力でお兄ちゃんを遂行する   作:全力で遂行するタイプのお兄ちゃん

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筆が乗る内に2話目を描いてしまった…
もう少しテンポ良く進めていきたい


お兄ちゃんはまあまあ強い

 

「さぁて、参りましょか」

 

先程とは変わらぬ私服姿

刀を携え、事前に共有醜鬼の迎撃地点へと駆け抜けていく

 

「兄さん、車に乗らなくていいの?」

 

「あぁ、気分がオフなせいで身体が鈍っとる。日万凛と一緒のドライブデートもええけど、少し走って身体温めるわ」

 

「ならいいけど…」

 

本来、魔防隊の移動手段は能力によるものかバイク、車などの車両によるものが大半となる。

 

無論、日々輝も例外なく車両による移動が普通である。しかし、この場においては身体を動かすため、能力で移動する京香や車を運転する日万凛と並走して走っていた。

 

「にしても、優希クンがまさか京香ちゃんの奴隷とはねぇ…」

 

「フフ、中々いいモノだぞ。」

 

「…優希クン、パワハラとかあったら俺が力になるからな!」

 

「え?あ、はい!」

 

「そんな事実はない、奴隷云々は方便だ。優希も私の大切な部下だ。」

 

京香の乗る奴隷(スレイブ)化した目線を向ける

白い肌に紅いタトゥーの様な紋様、首には主従を示す首輪とその首輪の先の鎖は京香が握っていた。

 

「成程ね、いやでも良かったわ」

 

「何がだ?」

 

「いや何、前の京香ちゃんは何ちゅーか危ないとこあったらからな。今はちゃんと相棒(バディ)見つけたようやから、焦りも少しは減ったんとちゃう?」

 

「…そうだな」

 

そんな京香の脳裏に浮かぶのは一本角との交戦の記憶。長年の仇故に冷静さを欠いた結果、部下を危険に晒した忌まわしき記憶。

 

あの時、自分を取り戻せた要因は2つ

一つは和倉優希の仲間を助けようとする姿

 

そしてもう一つは―――幼き頃の兄弟子(日々輝)の言葉

 

『復讐ねぇ…否定する気はせぇへんけど、京香ちゃんには気楽さが足りんねん。』

 

『何言ってんだって?当たり前やろ、京香ちゃんのことやし、どうせ自分の命と引き換えにしても殺すとか考えとるんやろ?図星やぞ』

 

『別にやってもええで、ただそん時は―――京香ちゃんが滅んだ故郷見て誓ったように、京香ちゃんの屍の前で復讐誓う人間が増えるだけや』

 

『いずれ京香ちゃんにも部下や仲間が出来るんや。そういう時に怒りを抑えて停まれんやつはいつか後悔するで?』

 

『だから気楽さが必要なんや。仇を討ちたい?大いに結構、でも四六時中そんな事考えとらせんで、全部終わった後のこと考えとけ。』

 

『人間、憎しみと殺意だけで生きてけるほど強ないねん。せやから、気楽に行って、復讐に依存せえへん生き方探すんや。時には距離を置いて別のことを楽しむ、時にはな?』

 

『どうやって探せばいい?しゃあないなぁ…俺が人生の楽しみ方教えたるわ』

 

それからのことは京香自身も覚えていた

漫画やアニメを見たり、ゲームをする、年相応の何気ない楽しみ方。それを魔防隊に入るまで、訓練の合間にやり続けた。

 

だが、復讐を忘れたあの時間があったからこそ、あの場で踏み留まれたと彼女は確信していた。

 

「日々輝、ありがとう」

 

「…何やねんいきなり、死地に赴くとちゃうんやぞ?」

 

「別に…ただ、貴方に助けられたからな」

 

「よう分からんけど、どういたまして。」

 

「「…?」」

 

そんな兄妹弟子の見えないやり取りがありながらも、目的地となる迎撃地点が見えてくる

 

「おお…流石裏鬼門、9番組の巡視業務1回分くらいあるでアレ」

 

「だとしても大軍だ。甘めに見積もっても1000はいるな」

 

「マジか…これ俺達だけは大分キツイんじゃ…」

 

「6番組と連携して共同で当たったほうがいいのでは?」

 

「大丈夫だ、日万凛」

 

4人の目線の先には醜鬼の大軍

本来であれば、朱々と4人であたっても手に余りかねない程の大軍。しかし、良くも悪くも今は状況が違う。

 

「兄弟子、先手を頼めるか?」

 

「おう、任せとけや」

 

京香の指揮に合わせ、日々輝が一人前へ出ていく

この間も刻一刻と醜鬼との距離は縮まっていく

 

「組長、流石にこの数は不味いんじゃ…」

 

「兄さんなら何の心配もいらないわ」

 

「でも…」

 

「確かに日々輝には桃の力も無ければ、お前のように変身をしている訳でもない。だから観ておけ―――」

 

―――何故お前が管理人で奴が魔防隊の正隊員なのかを

 

「…はい」

 

優希は未だに納得出来なかった

『桃の力がなければ醜鬼には勝てない』

『男は醜鬼に対抗できない』

 

魔防隊に勤めていて散々植え付けられたこの常識、そして無力感。それは自分自身がよく分かっていた。故に、圧倒された

 

「―――さて、行こか。」

 

チャキ

 

「「っ…」」

 

「ッ!?」

 

僅か1cm

親指で押し上げられ、露出した刀身が見えた途端その場にいた三者が感じ、気圧された

 

三人が気圧され感じたのは、殺気ではない。

抜刀の姿勢を取った事により表面化した

―――日々輝自身が内包する圧倒的な戦闘能力

 

(今のコンディションなら半分…いや、もっといけるな)

 

呼吸を整え、過剰な力を脱力により調節する。

天与の身体から齎された超感覚で最適解を見出し、技術と剣技の才で放たれる力を増幅する。

 

その一撃は東日々輝の()()()()()()()()()()

その名も―――

 

羽々斬(ハバキリ) 一閃(イッセン)

 

桃の力が無くとも超常的な力を引き出す

剣の天才、東日々輝の真骨頂とも呼べる技。

その斬撃は―――

 

 

世界をも断つ

 

 

チン

 

「――な…」

 

優希が目の前の光景に気づいたのは、納刀された刀の金属音による意識の回帰後だった。

 

「…すまへんな、やっぱ全部はオフ気分の今じゃ無理やわ。」

 

「いや、十分だ。…それにしても、相変わらず規格外だな」

 

「当たり前やん、妹と妹弟子の前やで?カッコくらいつけさてくれや。」

 

彼らの眼前に広がるのは、丁度彼が振るった刀の高さと同じ位置で肉体が上下に斬り分けられた醜鬼の骸。全体にしておよそ三分の二以上が動かぬ肉塊と化した。

 

「後の残党は2:2で分かれて殲滅でエエやろ?」

 

「あぁ、私は優希と行く」

 

「そんじゃ、一緒に行こか、日万凛」

 

「はい!」

 

「行くぞ優希!」

 

「は、はい!」

 

優希の停止した意識が再び動き出す

京香と優希、日万凛と日々輝

最優のタッグが残りの醜鬼を殲滅しにかかる。

 

「屈服の時間だ!」

 

京香の剣技と奴隷化によって超強化された優希のフィジカルにより、醜鬼のほぼ全てが微塵斬りor吹き飛んでいく

 

「好きに動いてええで。こっちで合わせるわ」

 

「了解!」

 

一方でこちらは、日万凛の青雲の志(ラーニング)によって模倣された武装小町(バンバンバン)が弾幕を形成。正面に陣取る醜鬼達は蜂の巣になる。

 

しかし、向こうも単なる的ではない。

無防備な背後から近づき、仕留めようとする

 

「おっとお客さん、当店お触りは厳禁でっせ?」

 

その企みを、兄は見逃さない。

日万凛と背を合わせ、突きの構えを取る。

 

先程見せた羽々斬同様、単なる技の一つであり

突きの一撃を飛ぶ斬撃の要領で飛ばす。

その技の名を―――

 

飛天(ヒテン)(ツラネ)

 

本来であれば飛天は飛ぶ突き技でもある単発の一撃。それ故に、多対一ではなく、一対一でこそ真価を発揮する。

 

射程と威力を犠牲とすることで連射を可能とする偏重技。それでも尚、通常の醜鬼相手には十分な威力を誇っていた。

 

弾幕(能力)弾幕(技術)、全方位の醜鬼の命を刈り取る。2人の放つ凶弾に醜鬼の肉塊が土嚢のように貯まっていく。

 

「うーん、スッキリ。課題やった武装小町の展開速度と思考の瞬発力、まあまあ治ってきとるやん。その調子や。」

 

「は、はい!」

 

「まぁ、ただ―――」

 

日万凛の戦闘の様子を振り返りながら、出来たところを振り返り、ひたすら褒める。兄としての日々輝の教育方針である。

 

そう言いながら、日万凛の背後の地面に突き技を放つ。万力のような力により、隆起する地面と紅い鮮血が噴水の如く湧き上がる。

 

「油断しとんのは頂けへんかな?」

 

「うっ…」

 

もっとも、悪い所はちゃんと指摘する

これが日々輝のお兄ちゃん筋であり、彼のモットーでもある。

 

そんなほのぼの空間を前に全滅を悟った醜鬼達が最後の足掻きと言わんばかりに合体しだす。

 

「大きい…!」

 

「母数が何時もより多いとかやろ。にしても、巨大化は負けフラグや言うのに、ようやるわ。」

 

本来であれば7番組の駿河朱々の玉体革命(パラダイムシフト)でサイズの差はどうとでもなる。しかし、今彼女はいない。

 

京香・優希のコンビも今は別の醜鬼の大群に手を焼いている。早々に合流出来る状況ではない。

 

(『ここは俺に任せとけ』…魔防隊としてはそれが正解なんやろなぁ…)

 

―――でも、兄としては不正解や

 

「日万凛、援護頼むで

 

「ッ了解!」

 

故に彼が弾き出した己の答え(最適解)、それは背中を預け信頼する事

 

巨大醜鬼の足元に向かい脚を斬り飛ばしにかかる

しかし、相手は棒立ちの案山子ではない

 

―――       !!!

 

相手を叩き潰さんと拳を振り下ろし、大地を砕く。無能力の人間であれば肉片すら残らないが、生憎ここにいるのはこの世の理外に立つ存在、道理など通用しない

 

「うーん、あと十倍早うないと話にならんで?」

 

醜鬼は困惑した

自ら潰したと思った存在が空を駆けているからだ

 

「え!?組長、あの人飛んで…!?」

 

「あぁ、アレか」

 

合体の影響で数が大幅に減り、京香側も殲滅が完了しつつある中、優希の目に映ったのは空に浮かぶ日々輝の姿

 

「本人曰く『空気の面を捉えることで空を蹴って、空を跳んでいる』とのことらしいが…」

 

「すいません、全く意味が分かりません…」

 

「だろうな、こればっかりは私も同感だ」

 

理屈上では理解出来ないことは無かった。

空間に作用する能力―――出雲天花の天御鳥命(アメノミトリ)の様に、空間を別方向から捉えるやり方ではあるのだろうと考えはつく。

 

(尤も、あそこまでデタラメな芸当は不可能だがな)

 

眼前の兄弟子が立っている別の領域(ステージ)

自身もそこへ辿り着けるのか、想像を膨らませていた

 

だが、今回の主役は彼だけではない

 

「私もいるのよ、これでも喰らって吹き飛べ!!」

 

日万凛が現段階で出せる最大火力の武装小町

それを醜鬼の顔面へと叩き込む

 

―――       !!!

 

効果はあっても致命の一撃には至らない

爆炎が醜鬼の視界を遮り、痛みが注意を鈍らせる

 

「―――それで充分や」

 

その隙見逃す日々輝ではない

醜鬼の頭部にて、上段に刀を構える

 

その一撃は上段に構えた刀を振り下ろす―――言うならば唐竹割りと何ら変わらない。

 

しかし、飛天や羽々切同様、日々輝のそれは文字通り必殺技と化す。名を―――

 

天割(アマワレ)

 

その一撃は醜鬼の身体を両断するに留まらず、斬撃として大地を斬り砕き、雲を斬り裂いた。

 

「…うん、峰打ちで事足りたやろか?」

 

「やり過ぎだ兄弟子、周りの被害を考えろ」

 

「いやーすまへんすまへん」

 

(これが魔防隊の男の隊員…)

 

同じ舞台で共に戦い、身をもって和倉優希は理解した。自身と東日々輝の間に存在している、生物としての格の違いを

 

「どや日万凛?お兄ちゃんに惚れ直してもええんやで?」

 

「流石ですが、もう少しコンパクトに戦ってください」

 

「あちゃー…日万凛にも言われてしもた」

 

尚、当の本人はというと妹2人からお叱りを受けていた。日々輝の過剰火力による地形変動は今に始まった話ではなかった

 

「あ、そや。京香ちゃん、今日7番組に泊まってってええか?」

 

「ウチはホテルじゃないんだが…」

 

「ええやん、ええやん。今日帰るの遅くなりそうやし、ここから直で行けば明日も問題ないやろ」  

 

「まったく…東隊長から詰められても庇うつもりはないぞ」

 

「助かるわ〜折角来たんやし朱々ちゃんの顔見ときたかったんや。それに―――」

 

後ろを振り向き、日万凛の頭を優しく撫でる

 

「聞いたで、交流戦で八千穂に勝ったんやって?メッチャ強なったやん!」

 

「兄さん…!」

 

日々輝も6番組と7番組の間であった交流戦の話は聞いていた。日万凛の実力も弱いわけではないが、それ以上に八千穂から一勝をもぎ取ったという事実は大金星に他ならない。

 

「…でも、私だけの力じゃない。組長や優希のおかげで―――「それでもや」!」

 

「日万凛が京香ちゃんや優希クンの手助けをハンデとか思っとっても、家出る前じゃ飛車角落ちでも勝てるか怪しい相手に真っ向から勝ったんやろ?もっと自信持てや。」

 

「…はい!」

 

日々輝自身、交流戦の結果は予想外のものだった

日万凛の潜在能力は何れ八千穂をも上回るとは感じてはいた。しかし、ここまで早い段階で拮抗するとは思ってもみなかった。

 

「よっしゃ!そうと決まれば京香ちゃん、祝勝会やろや!鍋パや鍋パ!」

 

「そう言えばやってなかったな…分かった。優希、帰ったら買い出しを頼めるか?」

 

「分かりました!」

 

そうして四人は醜鬼の死骸の山を背に、その場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ…極楽…」

 

「凝ってんねぇ〜お客さん」

 

そんな醜鬼殲滅後、正式に宿泊の連絡を取った日々輝は別件から寮に帰ってきていた朱々の部屋にいた

 

「最近はユッキーにもやってもらってたけど、やっぱ日々輝さんのほうが上手いなぁ…」

 

「へぇ、家事からマッサージまで何でもござれってあの子メッチャ器用やな。」

 

そんな日々輝は玉体革命(パラダイムシフト)によって巨大化していた朱々にマッサージをしていた。

 

「いやでも日々輝さんも大概だよ…技術(ソレ)

 

「戦闘だけに使うやなんて勿体ないやろ?」

 

日々輝が今やっているのは言うならば『鎧通し』による施術である。

 

空を駆ける神業同様の面を捉える技術を用いて、身体のより深部に衝撃を送り届ける技法を東の技術(マッサージ)による整体技術に落とし込む事で、疲労や筋肉の無駄な強張り、肩凝りを解消する事が出来る。

 

「何て技術の無駄遣い…」

 

「お?じゃあ辞めとくか?」

 

「あーごめんなさい!やってやって!」

 

「わーっとるからチョイと力抜け!」

 

三姉妹の末っ子である朱々と四人の妹の長男である日々輝。この二人の距離感は7番組の中でもかなり近い物があった。

 

「にしても、残念やったな交流戦」

 

「うっ…結構気にしてるから辞めてよ」

 

「話は聞いとる、サハラちゃんの怒れる羊(クレイジーシープ)やろ?アレは初見殺しやもんな…俺も一撃貰ったかんな」

 

「…え、日々輝さんに()()()()?」

 

日々輝の話に朱々も驚愕する

日々輝の最も恐ろしい点は超感覚による異常な回避性能

 

耐久力は身体能力故に比較的低いが、そもそも当たらない。直撃なんて夢のまた夢でしかなく、少なくとも、平の隊員の攻撃なんてそもそも当たりすらしない。

 

「言うても頬へのカス当たりやけど」

 

「いや…十分凄いけど―――って何のフォローにもなってないよ!?」

 

「まあまあ、あんまりクヨクヨすんなって事や」

 

「…そんなの分かってるもん。」

 

フォローにならない日々輝のフォローを受け入れつつ、ムスッとした表情をした朱々見た日々輝はそれだけで察した。

 

「もしや、惚れとる(優希)の前でかっこ悪い姿見せたんが引きずっとんのか?」

 

「なぁ!?ち、ちが…!?」

 

カマかけ半分、推測半分

ある意味賭けに近い心理戦の末、日々輝は見事勝利した。

 

「…その反応はマジやん」

 

「いや、違っ!?その…」

 

「あー…んじゃ俺、京香ちゃんに今日の報告書の事聞いてくるわ」

 

「ちょっ!?」

 

流石にここまでドンピシャとは思わず、気まずい空気が流れた事を察し、その場を後にする。朱々は玉体革命の影響で扉を抜けられない為、日々輝の逃亡を許してしまう。

 

(にしても大穴やったなぁ、てっきり京香ちゃんがその枠かと…これ日万凛は大丈夫なんか?)

 

廊下を歩き、京香の元へと向かいつつ思考を巡らせる。可愛い後輩がまさかギャルゲーの主人公枠にいたとは思いもよらぬ話だった。

 

(…恋か)

 

恋愛、妹を守る力を得るため冥加りうのもとで剣技を鍛え続けてきたが故に、自分には関係ない話だと思っていた。

 

そう思っていた。

 

『なぁ夢ちゃん、俺の何処が悪いんや…?』

 

『お前本気で言ってるのか…?何処の世界に自己評価底辺の男と付き合いたい女がいるんだ。』

 

『えぇ…じゃあ自己評価と実力が釣り合えばええんか?』

 

『いや、お前みたいなシスコンは無理だ。』

 

『そんな…!?』

 

『ただ、まぁ…そうだな。お前が最高に良い男になったら考えてやるよ。

 

『…言うたな?言質取ったでな!?』

 

「フーッ…切り替えろ切り替えろ、終わったことやん」

 

自身の人生の中でも僅かな青い春と苦い記憶

ポケットの中にあるジッポライターを触りながら部屋の扉を開ける。

 

「京香ちゃん、今日の報告書は7番組か9番組どっちに―――

 

刹那、そこから先の言葉は出てこなかった

何故ならば―――

 

「ひ、日々輝さん!?」

 

「あ、兄弟子!?違う!これには訳が―――」

 

上半身ブラ丸出しの京香が椅子に座った優希に思いっきりキス*1をしていたからだ。

 

あまりの光景に情報が完結しない(宇宙猫状態)が、辛うじて意識を飛ばさずにいた日々輝が取った行動は…

 

―――邪魔したから帰るわ…」

 

自身の手で開けた扉をそっと閉めることだった

そうして、2人のいる部屋を後にする。

 

そうだ何も無かったのだ、だから大急ぎでここから離脱しよう。

 

その考えは背後からのけたたましい音によってかき消された。

 

「兄弟子ぃぃぃ!!待てぇぇぇぇ!!」

 

「分かっとる、御赤飯炊いとくか―――って何でお前刀持っとんねん!!?

 

大慌てで追いかけてきたのか、髪はボサついており、ボタンも一つズレていた。

 

問題なのは右手の刀、涙目で顔を赤くしながらも先程の醜鬼との戦いと劣らぬ技量で切りかかってくる。

 

「待て待て待て!訳語んのに何で刀がって危なぁ!?」

 

「忘れろ!記憶の底から消えろぉ!!」

 

「そうゆうんは殴打系でやる奴やろ!?何処の世界に刀でやる奴がおんねん!」

 

常人では目視すら不可能な領域で斬撃を繰り出し続ける。日万凛の時とは訳が違い、涼しい顔ではなくかなりの焦り顔。

 

「日々輝さん待って!ユッキーには―――って何この状況!?」

 

「え、兄さん?!組長?!2人とも何してるんですか!?」

 

「朱々ちゃん!日万凛!助けてくれ!京香ちゃんが優希クンとの濡れ場を見られてご乱心―――」

 

「乱れ山桜ァ!!」

 

「危ねえ死ぬうぅぅ!!?お前ソレ人に使ったらアカンタイプの奴やろ!」

 

―――この後メッチャ説明して、何とか誤解は解けた

 

*1
ディープな方





東 日々輝
一人だけ無双ゲーみたいな感じになった人
見えてる世界と持ちえるパワーが規格外クラスになってる。どこぞの始まりの剣士並みの剣才があるが、発展途上なのと世界観や作中の破壊描写的に最強にはなれていない。失恋済みで未だに引きずってる人

東 日万凛
何回か一緒に戦ってるし、化け物っぷりは知ってるけどそれはそれとしてやっぱおかしいと思ってる人。交流戦の結果を褒められて嬉しい。組長とお兄ちゃんがガチの殺し合い()しててワロエナイ

羽前 京香
兄弟子の言ってる事は理屈としては理解出来るがそれはそれとしておかしいと思っている人。お兄ちゃんのヤバさは多分7番組の中で一番分かってる。兄弟子カウンセリングにより原作より公私を分けられるようになった。優希への褒美の最中を見られ、大パニック状態。お兄ちゃんじゃなかったらヤバかった。

和倉 優希
お兄ちゃんが強過ぎてある意味分からされた人。今回ほぼヤムチャ状態になってた。お兄ちゃんを特殊能力持ちのアンドロイドとか人型醜鬼の類だと思い始めた。組長の暴走には何も出来そうになかったので離れた所から観戦中。

駿河 朱々
お兄ちゃんの事を何となくだがヤバい存在だと思い始めている人。一般家庭の出のため、7番組の中では一般家庭の兄妹みたいな関係になってる。何回か共闘しているためヤバさは理解済み、それはそれとして変な力の使い方してる事にはやや引き気味。口封じしようとしたら何かヤバい状況に遭遇した。


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