突然だが、ミレニアムでの私の立ち位置を改めて整理しようと思う。
ミレニアムサイエンススクールの2年生
所属はセミナーではあるが役職は無い、基本的にユウカやノアの補佐や部活視察などをしている。
元々は保安部に居たのだが、リオ会長により2年生になると同時にセミナーに所属する事になった。
普段ならセミナーの仕事か自主鍛錬をする所なのだが…………
「あぁもう!!なんなのこの忙しさ!?」
「まあまあ、ユウカちゃん落ち着いて」
「あ、はいこちらセミナーのリラです……はい、え?………風力発電がシャットダウン?すぐにエンジニア部から人員を…え、変な機能を追加するからやめて欲しいと?……セミナーの方から正式な依頼をするので大丈夫かと、はいそれでは」
「待って、風力発電がシャットダウンしたの!?なんで!?」
「うーん、今の所分からない…というか此処最近酷く無い?」
セミナーのテーブルには積み上げられた紙とパソコンに溜まりに溜まった連絡の数は999+と書いてある
細々とした問題とセミナーとして通常業務にスケバンやヘルメット団などの不良生徒による被害、そしてそれに伴って恐らく盗まれたであろう発明品や武器がブラックマーケットに流されている。
「こうなっなら連邦生徒会に行って責任を取らせてくるわ!……この書類を片付けたらね」
「責任もあるかもだけど、ミレニアムで起きてる問題の報告も必要だし……でもユウカちゃん1人で行く気?」
「不良生徒の被害が多くなってるから私と一緒に、って電話…はいこちらセミナーの「リラ!!リラでしょ!?お願い!!一時的にでいいから保安部に戻ってきてぇ!!!!!」………」
こんな電話越しに情け無い声で私を呼ぶ彼女は保安部の先輩だ、スピーカーにしなくてもよく響く彼女の声は保安部の内情を表していた。
「先輩、落ち着いて話を「不良生徒達がたくさん来ててぇ!!ミレニアムのいろんな所で問題起こしてるのぉ!!!人手が足りないよぉぉ!!ひっぐ、C&Cに依頼しようとしたら忙しいみたいで来れなくてぇ!!リラぁ!!助けてぇ!!!!」
うん、今頃彼女のスマホは涙と鼻水で濡れている事だろう……前に防水仕様にしてもらってたっけ………いや、それどころじゃないな
「ごめんユウカにノア、一緒に連邦生徒会に行けないところかセミナーの仕事もあまり手伝えないかも………」
「大丈夫、元々私1人でいくつもりだったし…それにすぐに戻るわ」
「私も大丈夫よでも……早く戻ってくれると嬉しいかな」
「ありがとう2人とも……このお礼はいつか精神的に返すから」
此処に来て良かった…あの場所よりも、ずっと暖かい
とりあえずすぐに終わる書類と連絡をある程度片付けてから保安部の先輩の元に向かった。
「うえぇぇん!!!リラぁ!!リラぁ!!!!」
「ハイハイ、とりあえずそんな顔で近づかないでください」
「ひどい!リラが冷たいよぉぉ!!わぷっ!?」
涙と鼻水……いや、よく見たら銃弾を受けて制服に傷も付いていた先輩の顔にハンカチを投げ落ち着かせてもらう。
こんな情け無い姿たが、怪我一つ無いのを見るとやはり保安部として優秀なのだろう…………まあ、多分
「それで先輩、他の部員の展開と敵の配置はどうなっていますか?」
「ちーーん!……6人1組になって今、7グループでそれぞれ動いてる……でも不良生徒達が多くて向かったらもう居ない所もあって………」
「つまり、敵の場所も多くてあまり把握出来てないって事ですね?………了解ですとりあえず私は単独で行動します」
「えっ、一緒に来てくれるんじゃ無いの?」
悲しそうな目で見てくる先輩を無視し私はインカムとスマホを取り出しとある人物に電話をかけた
『……はい、何リラ……』
「ごめんねハレ、少し手伝ってもらえる?」
『うーん、いいけど何かあったの?』
「うん、不良達がミレニアムの色んなところで問題起こしててね、セミナーとして許可するからミレニアム内の監視カメラをハッキングして不良生徒達の居場所を割り出して欲しいんだ」
『うん、任せて…………よし、今監視カメラに映ってるヘルメット団とスケバンの情報をスマホに送ったよ、後なんか私のドローンがリラをサポートしてくれるみたい』
その瞬間スマホのマップアプリが起動し赤いマークが複数表示された。
流石ヴェリタスのホワイトハッカー、仕事が早い
「ドローンまで…ありがとう、今度掃除と料理持って行くからね…あんまりエナドリ飲みすぎないでよ」
『それは無理だね、でもありがと』
そう言って電話を切った……前に片付けたエナドリ缶タワーが再建されてそうだが今はそれどころじゃ無いだろう。
耳につけたインカムからはハレが作ったドローン…と言うよりもAIが接続し始めていた。
『こんにちは瞳鷹様…主人である小鈎 ハレ様の健康管理をしていただきありがとうございます、その為今日は僭越ながら私が瞳鷹様のサポートを致します」
「いや、時々だけどね…先輩、保安部の部隊のGPSデータをこのスマホに」
「え、本当に1人でいくの?」
「私はよくても今の保安部のメンバーとの連携は難しいですよ…武器が武器ですからそれに」
そう答えながら私は畳んであったリカーブボウを展開し矢筒と弓を接続し戦闘準備を済ませていく
「元保安部、新人ダブルエースの片割れですよ?」
先輩の心配する声を尻目に私はハレのAIのナビゲートに従いながら走り始めた。
ちょっと走ったレベルなのに銃声が聞こえ始めていた。
物陰に隠れチラっと見てみればそこに居たのはヘルメット団だった……どうやらミレニアム内にある電化製品の店を襲撃し盗んでいる様だった。
近くには軽トラが止まっており荷台には乱雑に乗せられた盗品が積み上げられていた。
早速矢を取り出し軽トラのタイヤ目掛けて矢を放った
「うん?なんの音ッ!?」
運転席の窓から顔を出した瞬間眉間に矢を放つ、矢を受けた不良はガクッと頭を外に出して気絶していた。
『店内には4名の敵がおります、まだ瞳鷹様には気づいていない様です』
「了解、保安部にこの地点に不良達を連行する様に連絡をもうしておいて」
次の矢を取り出しながら駆け足で不良達のいる店内に突入した
ドアを開けた前辺りに1、右奥2、後は…網棚の奥か……手に持っている矢をドア近くにいた不良の溝辺りに突き刺した。
刺した矢からは電流が流れ出しギャッ!という声を上げ痙攣しながら倒れた
「テメェ!!よくもうちの仲間を!!」
「な、何あの武器!?」
右奥にある2人は手に持っている盗品を放し銃で撃とうとしていたが、私の方が断然早く2本矢を取り出し同時には放つ
放たれた矢は2人の眉間にヒットし仰向けに倒れた。
「チッ!これでもくらえ!!!」
網棚の奥に居た不良が私に向けて棚を蹴り倒していた。
ガラガラとかけられていたドライヤーなどの商品が落ちはじめる中、私は飛び上がり棚を踏み台にして弓を直接最後の1人の肩辺りにぶつけた。
「少し痛いよ?」
鈍い音と共にフラフラとした瞬間そのヘルメットごと弓でフルスイングをかました。
弓で殴られたヘルメット団は軽く一回転し糸が切れた様に倒れた。
「よし、次は?」
『此処から左に200mいった大通りにて不良グループの抗争があります』
「了解、数は?」
『7名と5、いや今6と4の合計10人が暴れています』
「本当なら漁夫の利が1番なんだけど…これ以上周りに被害を出せないからすぐに制圧しないと」
その後、どっちが獲物を取るかで揉めていた2つのスケバングループを制圧した後カツアゲや陣取りをしていた不良達を制圧、無力化をしていき……終わったのは夕日がビルに隠れ街灯が光りはじめる頃だった。
この日、なぜ不良達が多かったのか………それは連邦生徒会の近くにある外郭地区にて矯正局を脱走した七囚人の1人【災厄の狐】 狐坂 ワカモが扇動した不良グループが騒ぎを起こしていた事が原因だった。
捕まえた不良達によると、ワカモから声をかけられたらしいが逆にそこが問題が起きて警備の目がそっち行ったところを他自治区に襲撃するという考えに至った不良達が今回問題を起こしていた。
ちなみにこれはユウカから聞いた話たが、どうやら連邦生徒会長が失踪しており、これらの問題が起きていたらしい。
そして連邦生徒会長が失踪する前に立ち上げていた連邦捜査部S.C.H.A.L.Eが本格的に発足したみたいだ。
それまでは多少疲れていた事もあり軽く聞いていたが、とあるユウカの一言でそれは変わった。
「それでね、そのシャーレに先生として大人の人が就任しててね!先生の指示で戦闘をしたらいつもより戦いやすくて弾丸の消費も少なかったのよ!」
大人…………その一言で私の疲れ緩んでいた体と心は一気に緊張が走り軽く力が入っていた。
大人、私たち子供を物の様に扱い使えなければ容易に捨てて使えれば使えなくなるまで使う……そんな存在
腰にある古傷がズキズキと痛み出す…もう無いはずなのに、あの時、見せしめとしてちぎられた羽があるかの様に痛み出していた。
それでも、ユウカにバレない様に…私はその話を満足するまで聞いていた。