隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

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「起きろ!起きろガキ!」

「うーん…後10分…」

「この状況で欲張るな!」

痛っ

「なんで叩くのさ…一応怪我人なんだけど」

「本気で叩いてないし、そもそも怪我は治ってるだろ、ほら、早く来ないと朝飯は無いぞ」

「わかったよ…あれ?」

 

俺とユリディスがオラインの事務所を借りて『アレクサンドリア図書館の目録』探しを手伝うことになってから一夜明けた

「何で、怪我が、治ってるのさ」

「口にパンを詰め込みながら喋っちゃダメ、もっとお行儀よくしないと」

「はーい…で、何でか教えてくれる?」

昨日はずっと興奮しっぱなしで忘れてたけどそもそもチンピラから逃げる時に足の骨が一回折れてたし、ライトにそこを追撃されたし、何ならモヒカンに蹴られてもう一回足が折れたはずなんだけど

「チンピラから函と一緒に盗ってきた薬で一瞬で治ったり、今起きたら治ってたり、どういうこと?」

「薬は隠秘科学(オカルティエンス)とよくあるバイオテクノロジーの組み合わせ、起きて治ってるのは隠秘科学(オカルティエンス)による身体へのアプローチだな、後者はテレビゲームの回復エリアだと思えばいい。」

「そんな便利な薬があるならいくら俺たちでも知ってると思うんだけど…」

隠秘科学(オカルティエンス)と一口に言ったが観測だけじゃなくて異界を介して製造されるんだ、『危険な冒険を果たして手に入れた貴重な霊薬』って証明が必要なのさ、厳密に言えばお前が使った薬は霊薬をバイオテクノロジーで模倣したものだがそれでもどえらい生産コストが掛かってる、お前が使った一回分が俺の一年間の給料でギリ買えないぐらいが市場の適正価格だな」

「とんでもない値段じゃん…いやでも、確か山ほど置いてあったけど」

「なるほど、俺が思うにそれは今後の調査のヒントになるだろう」

 

「というわけなんだが、カゴちゃんはどう思う?」

『お手柄ですよ〜『戦いの旗』がどうやって目録の奪い合いに参加できるだけの資金を手に入れたのかはこっちのデータにもなくて〜ギャング組織の関係調査が行き詰まってたんです〜』

「たぶんだけど横流し品か何かを薄めて売ってるんだと思う、入れ物だけ正規品と同じで中身は薄めてるとか」

金目当てで盗みに入った俺が思うのもなんだけど、あいつらかなり洒落にならないことしてるんじゃないかな、もう殺人も拷問もしてたし今更ってことか…

「あの手のチンピラらしい姑息なシノギだな、そしてオルフェ達が忍び込んだ場所はここ、市場の外れにある倉庫だ」

それはスラムからかなり離れた位置にある倉庫で、俺たちが働いていた店からちょうど真反対の場所だ

「アレクサンドリアに来て日の浅いあいつらには貴重品や顧客データを分散するだけの余裕や伝手が無い、俺とユリディスが忍び込んで1日で撤退が終わるとは思えない、ここを調べればどうやって目録を手に入れたのかわかると思う」

「他のチームの到着や営業一課の帰還には時間がかかるしそれを待ってたら逃げられる、そうなれば俺のボーナスはパーだな」

「ライトさんのボーナスはともかく…私たちが忍び込んだり仲間が捕まったりで警戒されてると思うんですけど、カゴちゃんとライトさんだけで突破できるんですか?」

「それを可能にするのが『カリオペー』ってわけだ、オルフェの同意さえあれば俺たちはすぐにでもこの倉庫に忍び込める」

『モヒカンの人をある程度尋問したおかげで〜残りのメンバーで戦えそうなのが一人二人なのはわかってますし〜入れさえすれば私とライトさんで余裕ですね〜』

「そういうことだ、オルフェ頼んだ」

「『フォークロア観測函、起動』『『神統記、ムーサ、カリオペー』観測開始』ここにライトとカゴちゃんを移動してくれ」

『無理ね』

「うん…うん???」

『第一に、所有者であるオルフェを除いての機能使用はできないの、観測強度が足りないもの』

「ああ…」

計画がいきなり破綻した、最悪だ

『第二に、そこには私以外のムーサがいるみたいね、機能の干渉は破損を招くから、直接移動するのはできないわ』

「他の目録の位置がわかるのか?」

『大まかに、今みたいに移動できるか試してみればすぐにでも』

「なるほど、今後の調査がさらに楽になった、不幸中の幸いだな」

「いやでも、どうするんだよ、そもそも忍び込めないよこれじゃ」

「そこはほら、簡単な話だ」

『そうですね〜』

まさか…

『「正面突破で」す〜』

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