隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
とあるホテルの一室に、朝の日差しが差し込んでいる。
「すごかったね…」
「そうだな…」
「見てよ、シーツが血まみれだもん。」
「僕の血だけどね。」
「わたしの服とかもびしゃびしゃだもん。」
「僕の血だけどね!?あれか、もしかして君って下ネタとか好きなタイプかい?」
「え〜、そんなに好きでもないよ、フレデリックのノリがいいから言ってるだけ〜」
「まったく…」
「…ねえね、これって火遊びなんでしょ?じゃあほんとにシちゃう?」
「君なあ、役者と監督の関係にそういうのは無いんだよ。」
「じゃあ恋人なら?」
「まだ恋人じゃないだろ、せめて友人から始めさせてくれ。」
「思ったよりも難し〜…ますます貴方の事が気になって来たかも、じゃあ早速友達としてエッチを
ドンドン!
…誰?ホテルの人がこんな朝から来るわけないし…」
ドオン!!
扉が吹き飛んで誰かが入ってきた!?ってアレは…
「見つけましたよお嬢様…!今日という今日はただじゃおきません…ってお嬢様!?誰ですその男は!?そしてその血だらけのシーツはなんです!?まさか…!?」
セミロングの金髪に鮮血を思わせる赤い瞳の女性が捲し立てながら近づいてくる。
「なんだ、ケイトか…」
「なんだとはなんですか!私をどう思ってるんですか!?」
「えーケイト女史、でいいのかな?落ち着いてくれると嬉しいんだが。」
「ちょっと黙っててもらえますか!私はお嬢様と話す必要がありますので!」
「…じゃあマリア、彼女は誰で君の何なんだい。」
「私の親戚でパパの部下で口うるさいボディーガード、ケイト・
「それに加えて貴女の弁護士でもあるのを忘れましたか?貴女が行く先々で起こしたトラブルをなんとか解決してきたという事実もありますよ!」
「パパからもらった金で黙らせてただけじゃん。」
「それでどうにもならないときは戦ったりもしました!ナチュラルに私の実績を過小評価するのをやめてくださいね。」
「はいはい…」
「はいは一回です!」
「はーい…」
「…この人は本当に!」
「グレイ…わかったよマリア、君はグレイ家、それも本家の人間だな?」
「お、大正解だよフレデリック。」
まあ苗字もお金持ちなのもわかってるしそりゃわかるよね。
「私のパパはロバート、ロバート・
「なるほどね。」
「グレイ家を暗黒金持ちなどという胡乱な概念でまとめるのはおやめくださいお嬢様!」
「はーい…それでこのケイトは分家の端っこからパパに引き抜かれた変人なの、給料が欲しいからってボディーガードに加えて弁護士を兼任してるんだよ、すごい執念だよね。」
「人間は必要に迫られればなんでもできるものです、お嬢様も時がくればわかります…さてお嬢様。」
「ん?」
「そろそろ帰りますよ、こんな怪しい場所で寝ている場合ではありません。」
「えー、どうせ社交の勉強だのお見合いだのでしょ?私この人と付き合うから断る。」
「はあ!?」
「…友人からという話ではなかったかな?」
「じゃあ友人関係だけど先んじて既成事実を、ね!」
既成事実!これさえあればなんとかなるってネットに書いてあった!
「流石に最低ですよお嬢様…御託はいいから帰りますよ。」
「ちょっと待ってくれないかケイト女史。」
「なんです、貴方がどこの誰かは知りませんがお嬢様にはやるべきことが…」
「僕も彼女に用があるんだ、僕の映画の主演女優って言うね。」
「…映画?」
「そうだとも、よければ君も参加するかい?」
「ふざけないでください、というか貴方は誰なんですか。」
「『フレデリック』と呼んでくれればいいさ。」
「…なるほど、お嬢様、少し離れててください。」
「なんで?」
「戦いに巻き込んで怪我をさせてはなりませんので!『マンイーター』!」
その時、足元の床を突き破って、黒い薔薇がフレデリックを貫いた。
「へえ、なかなかやるね?」
「やっぱりこの程度では死なないか…」
いつの間にかケイトの手には黒くてトゲトゲした槍が握られていて、端から伸びた蔦は床を貫通していた。
「まあ死なないなら都合がいい、このまま捕まえて仲間の居場所を吐かせた後に研究所送りにしてやる。」
「自己紹介は不要、そして君が望んでるのは僕じゃなくて僕の仲間か。」
「この場で情報を吐くならそれなりの待遇を約束してやる。」
ケイトがフレデリックの首を締め上げる
「ちょっと!?私の恋び…じゃなくて友達に何してんの!?」
「お嬢様、こいつはお父上の事業に何度となく迷惑をかけてきた、さながらグレイ家の敵です。そしてこいつの仲間は私を含めた全ての吸血鬼に迷惑をかけてきた、つまりそいつは世界の敵です。」
「世界とかどーでもいいからフレデリックを離してよ!」
「私にはどうでも良くありませんが!?」
「…このまま捕まるのは僕的には困るんだよね、なんせ
僕には予定があるからね。」
あれ?ここどこ?電車?地下鉄?今の今までホテルに居たよね?
「お嬢様、これはあきらかな異常です、私の側を離れないでください。」
『フレデリック、どういう事か説明できますか?』
小さい女の子?ツノが生えてる、オシャレかな?
「スポンサー様、こっちこそ説明が欲しいかな、まさか半日も待たされるなんて思わなかったよ。」
『『黄金』が油断した結果です、最低限の対処は終わりましたが相変わらず月の石は手に入らず…それで、そちらの二人は?』
「僕が女優としてスカウトしたマリアと、そのボディーガードのケイト女史だ。」
『まさか、彼女たちを議会に加えろと?』
「それは今後の成果次第かな、君が気に入らないと言うのであれば僕だけでやるが。」
『…いいでしょう、私も新しい視点が必要だと思っていたところです。』
「それはよかった、彼女らはアメリカ有数の富豪であるグレイ家の人間でもあるし、何かしらのコネクションが手に入るかもしれないね?」
「ふうむ、私にはそうは思えませんがな。」
「うわっ!?」
誰このおっさん、顔近いんだけど!
「ブラム…!」
「ブラム、ケイト女史は君の知り合いかい?」
「いいや、全然これっぽっちも知りませんが。」
「世界中の吸血種の『敵』であるお前のことを知らないわけがないだろう!」
「ふむ、『敵』とは人聞きの悪いことをおっしゃる、私は私なりに吸血種の未来を慮っているのに。」
「このクソ野郎!」
『はあ…喧嘩は他所でやってくれますか、それは議会にとって無駄ですからね。』
「議会…議会って?」
『私たちの集まりの名です、
「それって世界の終末が目的だったりする?たまにパパも考え込んでたけど。」
『それは参加者によってまちまちですね、私たちに共通する目標はただ一つ…
オラクル&インサニティ・カンパニーを滅ぼすことです。』
記念すべき100話目がこんな内容でいいのか?