隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
なんだか壮大な事をマガツが宣言すると会場がざわめきだした。
そんな中真っ先に動いたのは
「『聖槍採光/天逆鉾』!」
ライトだった
『『天沼矛』』
ライトによって突き出された杖は、マガツの背後から現れた黒く角張った物体により防がれる。
「同質の隠秘による防御か。」
『『全てを原始海洋へと再定義して破壊する槍、そういった観測定義で分解されないのはその槍そのもの、であれば…同じ原典を持つこの槍で防げるのも道理でしょう?』』
「マガツが二人…?」
そしてマガツの背後から、マガツと同じ顔、同じツノをした白いワンピースの少女が現れた。
「だろうな、なんで持ってるのかとかなんで増えてるのかは聞かないが。」
『『いいんですか?あなた方が欲しいのは私の身柄と情報でしょう?』』
二人のマガツは同じことを同じタイミングで喋る。
「さっきまではそうだった、宣戦布告って言うならもうお前は捕獲対象じゃない、殺処分の対象だ。」
『『はあ、これだから人間は…私がなんであるかをまるで理解していないようですね?』』
「…例え理解してても、お前に付き合ってやる理由がない。」
『『ならば力づくでも付き合ってもらいましょう、皆が忘れたこの苦痛を、この執念を。』』
二人のマガツが手を挙げると、背後に線路が現れた
「…っ!狐火!ここにいる全員を連れてさっさと逃げろ!」
ライトが何かを察した
『『逃げるだなんてもったいない、あなたたちには証人になってもらわないと。』』
『(提言、停止、中止、戦略の再考察を要求)』
『『棄却、そんな合理はこの瞬間には必要ありません。』』
脳裏に浮かぶ声を彼女達は否定し
「ミソクラスト投影鏡、起動!デウス・エクス・マキナ媒質励起率100%』!破損可能性、考慮、承認!」
『『
そして彼女達の背後から破壊的なエネルギーが溢れ出していることを認識する、認識させられている。ライトは詠唱を済まして、ツルギさんは頑張ってみんなを逃がしているみたいだけど…もう遅いだろう。
私はこれと同質の恐怖を感じたことがある、ルシールと一緒に霊界で詰みかけた、あの時。
自分たちだけではどうしようもない存在と出会った時の感覚だ。
「『
『『『
目も眩むような光がライトから放たれるが、線路からやってきた何かが放った光がそれを打ち消す、何あれ…大砲?
「…列車砲とは!最低のアイデアだな!」
『『太陽神の遺産を貴方程度に食い潰させているオラインに言われたくはありませんね。』』
「ぐっ…お前ら早く逃げろ!」
『『貴方だけで本当に耐え切れるとお思いで?太陽に勝てる人間は現存しないでしょう?』』
「ああ、クソったれ!こっちの反応で遊んでるだろ!」
『『遊んでるつもりはありませんが、まあここまでにしておきましょう、それではいつか私が支配する黄泉の国でまた…
「「そこまでにしてくれる」かな?」
ぶつかって打ち消し合う二つの光の間に、黄金色の金属と白いコンクリートが割って入った。
『『何をするんです、葵。』』
光が消え、割り込んだらしい女性に対してマガツはイラついた声で問いかける。
「なんであーしの幼馴染殺そうとしてんのさ、まだ早いよ。」
『『遅かれ早かれでしょう?敵であるオラインは削っておかないと。』』
「…はあ、最低の気分、イルカルラと意見があったのも気持ち悪いし、私今日はもう帰っていい?」
「おねーさん、今帰ったらオークション参加できないよ?いいのかな?」
黒髪の少女…え、C・イルカルラ?なんでそんな何くわぬ顔でいるの?貴女このオークションの商品よね?
「ちっ…ライト、さっさと立ち上がって、これ以上は助けてあげらんないから。」
「…ありがとう葵、助かった。」
ライトは息も絶え絶えだが、なんとか持ち直したらしい。
「うーん、感動の再会って感じじゃなさそうかな?まあそれでも話進めていい?」
「は?なんであんたが話進めるの?商品は黙って売られてなさいよ。」
「それが今回のオークションの司会はなんと私自身なので話します、わかったかな?」
「…」
半ばパニックになっていた会場の人々に沈黙が訪れる。
「「「???」」」
「私自身で私の適切な所有者を探したい、オークションの運営はここを盛り上げたい、利害の一致、そういうこと。」
「…ほんっとうに…もう!最悪の気分!」
「「www」」
「笑うなフレデリック、ブラム!あんた達いい加減黄金に変えるわよ!」
「…はあ、どうしてこんなことに…?」
「ため息ついてると幸せ逃げちゃうよ?」
「お嬢様のお仲間のせいです!」
マリアの新しいサークルであるらしい終末論議会は、恐ろしくて、緩くて、なんだかとても変な集まりのようだ。