隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
「だいぶ人減っちゃったけど…よし、『ルナティック・ルール』!」
イルカルラが宣言すると、床が波打ちだし、さっきこの空間から逃げた人たちが次々と運ばれてきた。
「あら、どうなってるのかしら?」「痛っ…あれ?課長?どうなってるんです?」
「私にもわかりません…床の質感はうちっぱなしのコンクリートのままなのに液状化した上で操作されてる?これは現象の強制、それともまさか法則の狂化?いや、それだけじゃ説明つかないぞ。」
ツルギさんはイルカルラの使うアプリについて考察しているようだった。
「これ愛理サンも使ってた『ポルターガイスト』じゃない?」
「言われてみれば…似てる?でもちょっと違う気もする」
おばさまが事務所で身振り手振りだけで家具を操作しているのに似ている、ような気もする
「『ラッキー』ちゃん、良い着眼点だね、だけど50点かな。」
「…あれ、私名乗ってないよね?」
「私の前では全て筒抜けなんだよ、わかるかな?」
「怖〜」
「…これはアメリカ製のゴーストパンク、噂で聞いたことはあるけど本当に開発に成功してるとは。課長、これ結構まずいよ。」
「お、ようやく正解者かな?察しがいいね邪神のおねーさん。」
ツルギさんの部下の人が正解したらしい、しかしその顔はとても渋かった。
「…これでも結構擬態には気を遣ってるんだけどな、なんでバレるわけ?」
「『地球外の神』っていう肩書きがお互いにあるわけだから、当然かな。」
『(依神ニャルラ、意見具申)』
「…っ!
『(撤退、帰還、逃走)』
「帰れってことだろ?悪いけど会社勤めなんで却下。」
『(理解不能、納得、閉口)』
「なんだか邪神のおねーさんも珍しい出会いがあったみたいだね?」
「…それよりも、ほぼ全員集まったみたいだしさっさと本題に入ったら?そろそろ喧嘩が起きるよ。」
「ふふん、それじゃあ始めようかな!」
何もかもを置いてけぼりにしながら、イルカルラは一人楽しそうに腕を振るう。
「さあさあ、オークションの始まり…と行きたいけどさ。」
気づけば空間に居た人は全員パイプ椅子に座り、空間の中心の床が少し高くなったところにイルカルラが居た。
「ちょうど最後の一組が到着するみたいだし、それまで待っててもらえるかな?」
「一組、見つからないメンツ、なるほど」
ライトは一人納得していた。が
「おい『八咫鏡』どうして『黄金』が生きてるのか説明しろ、後マガツが二人居るのと黒い棒と光はなんだ。」
ツルギさんが乗り出して、ライトと私とルシールを引っ張っていく
「始まるまで時間無いからはやく帰ってきてくれるかな?」
「善処する!」
「『昼夢』が同族って言った声については触れなくていいのか?」
通路にツルギさんが結界を張って、簡易的な防音室が出来た。
「流石に知ってる、アレは邪神という形に収まった暴走兵器だって事、そして昼夢が追いかけてた敵だって事もな。」
「…ならルシールの従姉妹は?」
「彼女はどうみても大した脅威じゃない、後ろに立ってた金髪はかなり強いだろうが、それもお前と私ならなんとでもなるだろ。」
「ならフレデリックとその身内、たぶん『インビンシブル・マスターピース』について…」
「とぼけるなよ、黄金が、葵がどうして生きてるのかって聞いてるんだ。」
「知らねえよ…俺だってわりと混乱してるんだ。」
「じゃあマガツが二人居る理由は?」
「思い当たる節はあるが微妙だ、ただあの槍で確定した様なもんだが…」
「説明しろ、あいつらの扱いにミスれば世界の危機なのは
「え、関係ないの?」
「関係ない、保安上という理由で君達を巻き込んだのはそもそもコイツだ。」
「…三年前、日本とドイツの戦争が開戦しかけたのは知ってるよな?」
「アマテラスがババアプラスになっていつのまにか無くなった話題だな。」
「実際の所開戦はほぼ決定してたが、開戦する為の全ての動きが巻き戻されて開戦出来なくなったんだよ。」
「なんでそれをお前が憶えているんだ。」
「…俺の隠秘が、厳密には特異点が、開戦理由の一つであるアマテラス粒子砲の設計と近似したから…情報漏洩を防ぐ名目で俺は日本政府の監視下に置かれてたんだよ。」
「…マガツの正体、わかってるんだろ、お前。」
「当然、アイツは単なる異界駅の擬人化なんかじゃない、鬼神、忌子…停止されたはずの国家管理AI、アマテラスから産まれたマガツヒだ。天沼矛なんて馬鹿げた隠秘を使えるのも、馬鹿みたいな観測リソースを消費するアプリが使えるのも、もはやこの世界に存在しないはずのアマテラス粒子砲を使えるのも、何もかも説明がつく!」