隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
「お、愛クンに吉野サンも来たんだね、今日はよろしく!」
「はい、だいぶ遅れてすみません、今日はよろしくお願いします!」
「ラッキーさんにカースさん、先日はお世話になりました。お二人が居なかったら私達死んでたでしょうから…」
「いや、私達大した事はなんにも…」
「…カースさん、なんだか雰囲気変わりました?」
「ああ、カースチャンのよそ行きの仮面はもう剥がれきってるからね!」
「ちょっと、余計な事言わないで…!」
私とルシールがグダついていると、ツルギさんが口を開く。
「アワブンラク事務所…見当たらないとは思ってましたが、何処にいたんですか?」
「お恥ずかしい事に道に迷い、いざ辿り着いたと思ったらアイ君と逸れ、合流したと思ったら道が動き出すわでもうてんやわんやでして…もうオークション始まってますよね?」
「…色々トラブルがあって遅れていますからまだ始まってませんよ、まあそれもだいたい片付いていて、最後の参加者をわざわざ待っていたところです。」
「こりゃ大変だ、急がないと!」
「本当にごめんなさい!」
「まあ道が動いたのはその運営のせいだからな、むしろ文句言ってもいいぐらいじゃないか。」
「おい八咫鏡!これ以上事態がややこしくなると私の頭が破裂するからそれやるなよ!絶対だぞ!」
「お、最後の参加者がようやく辿り着いたかな!アイ君こっちだよ〜!」
「あれ?ルイさん?」
「如何にも!」
アイ君とイルカルラは何故か顔見知りのようだった、どうして?
「アイ君、君はなんで顔見知りみたいになってるんだ?私にわかるように説明してくれ」
「さっき道案内してもらったんですよ、いつのまにか逸れてしまったんですけど…」
「…おい八咫鏡、C・イルカルラに関するデータをアワブンラク事務所に見せなかったのか?」
「あ〜…確か物理的に資料を送ったはずだが…」
「もしかして行き違いになりましたかね…?」
「そういえば最終確認をし損ねていた様な気がするな、うん、すまん。」
「これは支社長に報告しておく、来月の給料を楽しみにしておけ。」
ツルギさんの顔には怒りが滲み出ていた。
「わかった…」
「えっと、イルカルラっていうのは…」
「私の名前みたいにみんな言うけど、それはプロジェクトのコードネームなんだよね!私の名前は
『それで、私達はさっさと貴女と月の石を買いたいんですが?」
マガツが少しイラついたような口ぶりで催促する。議会の面々は待たされている事に不満な様でどこか落ち着きがない。
「まあそう焦らないでよ、これから一応最後の説明があるから。」
そう言ってイルカルラ…じゃなくてルイは、部屋の中央の少し高い舞台の上に立つ。
「今日のメインイベントである私のオークションだけどさあ、みんなこう思ってるんじゃないかな?『どうせオラインが買うんだろうな』って。」
会場の一部から「そりゃそうだろ…」とか「今更何を言ってるんだ」みたいな声が聞こえてくる。
「でもそんな決まりきったイベントなんてさ、つまらないもんじゃないかな?工夫が必要だとみんな思わないかな?」
「…じゃあルイはどうするつもりなの?」
ルシールが右手を上げて質問していた。
「当然工夫する!具体的には…」
「…」
『…』
会場の全てがルイの次の発言に注目する。
「バトルロイヤル!」
…
…
…
「何を言ってるのアンタ…」
黄金はドン引きという態度を隠そうともしていなかったが…正直同意したい。
「何って、地球上で最もありふれた手段、つまり暴力だよね!」
会場のざわめきを前にしてもルイは満面の笑みを浮かべている…
『さっきまで工夫とか言っていたのに工夫のくの字も無いのでは?非合理的過ぎて拒否したいですね。』
『(理解不能、納得、両立)』
『シンプルでわかりやすいではないか!
「え〜殴るのはともかく戦うのは好きじゃないんだけどな〜」
「お嬢様、何かを殴るだけで問題が解決するなどという話は基本ありません!」
議会の方でも意見が割れて…いやマリアはちょっとマイペース過ぎないかしら。
「拒否権は無いかな!私が欲しいなら戦って勝ち取る事!それが私からの『難題』だよ!」
「ちょっと待って!流石にルールとかはあるよね!?」
「もちろん!期間は日付が十九日に変わってから十二月二十四日二十三時五十九分まで!そこまでに私が指定したミッションを最も多くこなしたチームが私を手に入れる!ただし、お互いへの妨害はなんでもあり!開始してから死んだり第二都市から出たりすると問答無用で脱落です!ほかの細かいルールとか脱落とかミッションの通知はオークションに参加する為に使ったメールアドレスとかでやるから、その辺確認よろしく!」
「はあ!?あーし達にクリスマスまでバトルしろっての!?」
「もちろん!私が欲しいならおねーさん達にはその程度は我慢して欲しいかな!」
「ははは!実に愉快な形でバランスを取るんだね、あまり乗り気じゃなかったが、面白いものが見れそうだ。マリア!早速準備しようか!」
「フレデリックがそう言うなら頑張ろ〜っと!ケイトも付き合ってよね!」
「こんなの、お父上にどう報告すれば…」
「パパへの報告なんか後でいいよ、じゃあルシール!次会う時は殺しちゃうかもだから、逃げるのを勧めとくね〜!」
物騒なことを言いながら、マリア達は異界へと消えていく。
『…では私達も行きましょうか、第二都市から出ると脱落するのはバトルロイヤル開始後という認識であっていますね?』
「それであってるよ、というかやる気なんだね鬼のおねーさんは。」
『別に、必要ならこの程度付き合いますよ、それでは皆さま、また後程。』
『(監視者、巨人、処理、結論、疑問)』
『ふん、こいつにもこの体にももう興味はない、捨て置く。』
ネフィリムを地面に置いたと思えばアルゴスが倒れ込み、それを確認してからマガツ達は異界へと消えていく
「…黄金、さっきの話だが。」
「ライト、どうする気?」
「色々考えたが、断る。お前が自分から詳細を話せない様な巨大な事情に俺達だけで首を突っ込むわけにはいかない。」
「ふーん…まあいいよ、じゃあ次に会う時は敵だから、せいぜい覚悟しといてね…それと。」
「どうした。」
「その杖、本当に使ってるんだ。」
「遺言に書いたのはお前だろう?」
「…まあね。」
黄金とまた、異界へと消えていく。
「じゃあ商品ならぬ景品になった私は特等席で見届けるかな、またね〜」
気づけばルイの背後には無名警備の警備員達が集まり、彼女はそれに囲まれて会場を後にしていった。
騒がしかった会場には気づけば私達だけが居た。
「よし、作戦会議と、ダメ元だが援軍を呼ぶぞ。」
「援軍って、ソフィーは休暇だろ、どうせ二課長はどこかほっつき歩いてんだろうし。」
「援軍はダメ元と言っただろう、それに呼ぶのは山田さんでもセンパイでもない。最優先事項としてマガツをなんとかするのが重要だ、アレは俺と二課ではどうしようもないし、バックアップに回ってる四課を含めても無理だ。」
「じゃあ誰を呼ぶの?まさかエレノア?」
「明日までにイギリスから来れるわけないでしょ…」
「エレノアなら出来そうじゃない?」
「それはそうだけど…!」
「違うが、ある意味惜しい。」
ライトは間を置いて、その名を告げる
「日本支社営業一課の力を借りる。」