隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
二一〇二年十二月□□日
場所はイングランド南東部
冥界へ向かう船を前に、死屍累々と化した広場で私と…
『『『グルルルアア!!!』』』
「『銃』」
数えきれない程の悪竜が戦っていた。
「うるさい、まったく、躾がなってないですね。」
「御宅がそんなに威圧するからだろ、ちょっとは加減してくれよ。」
悪竜の中心に立つのは、返り血で汚れた化学防護服を着た男。
「加減を求めるなら、そもそも帰ってくれませんか?」
「断る。」
「はあ最悪です、『剣』」
つぶやくと同時に左手で『剣』を男に投擲する。
「
男が短刀を『剣』に向けると投擲した『剣』は投げた向きのまま、私へ向かって飛んでくる。
当然、私はそれを左手で掴み、集まってきた数だけは多い悪竜を勢いのままに薙ぐ。
「…この流れもこれで何度目だ?いい加減、お互いに手札を切るべきだと思うが。」
「お断りです、
こうやって話している合間にも、悪竜が湧いては私へ向かってくる、そして一撃で死んでいく、竜といえど量産品はこの程度…本当に厄介なのはこの男。
「ちっ…副社長が帰ってくるまでになんかしらの成果を出さねえと『竜殺し』としては困るんだよ。」
「そちらの社内政治に巻き込まないでもらいたいですね、こっちも困ってるんですから。」
「…もういい、こっちから行かせてもらう!」
男の、『アスカロン』の雰囲気が変わる。
「
「
男の防護服が騎士甲冑に変わり、即座に振り下ろされた
「っ!」
「はっ!この程度じゃやっぱり『フェイルノート』の首は無理か!」
『剣』の刀身で斬撃を受けてしまった、左手は無事だが…
「だが、頼みの綱の『
その通り、今の攻撃で折れてしまった、これで『剣』はしばらく使えない…
「はあ…あんまり使いたくないんですが…」
「なんだ、まだ切れる手札があるのか?だが…もう終わりだ!悪竜ども、食い散らかせ!」
先ほどまで多少萎縮していたはずの悪竜達は彼の一言で再び熱り立ち殺意と恐怖を抱えながら向かってくる、彼がほぼ全ての竜に対して絶対的な上位者であるからこそできる脅迫にも似た命令だ。
「小枝、悪意、魔性、
━━━━
それは私がなるべくなら使いたくない
『銃』を地面に向けて構える、銃弾に設定したあらゆる幽霊化を専用設定に変更する、慣れきった作業の延長だ、0.3秒で済む。
「『
銃弾が飛ぶ、どこまでも飛ぶ、これに関してはそう設定しているからそうなる。
着弾の瞬間、空気が、物質が、空間が、世界が
ひっきりなしに入れ替わる。
「…っ!ぐっ、なんだ、この!頭が!」
銃弾が地面を抉る、抉る、何もかもを貫通して今頃地の底だ。
「霊界と現世がひっきりなしに入れ替わるんです、しばらくの間これが続きますから、耐えてくださいね。」
「ふっ、ざけんな!行け悪竜ども!」
彼はなんとか立ち上がり、殺意のこもった目を私に向ける。
とんでもない頭痛と眩暈に襲われているだろうにまだ戦う気があるとは、流石にファフニールの課長クラス、これだけでは終わらないか。
「私に触れない方がいいですよ!」
向かってきた悪竜の一匹を軽く右足で蹴る、瞬間
悪竜の翼が、頭が、足が、捻じ切れ、弾け飛び、そして死んだ
「はっ、バケモンが、よ…」
「貴方達に言われたくはないですね、もう聞こえてないみたいですが。」
気絶してしまった、彼の本来のアプリ構成が対人向きではないのに私と戦おうとしたようだし、向こうにも色々事情があるのは本当らしい。
「はあ…ルシールが帰ってこなくて暇だと思ったら、アリスのせいで面倒ごとが増えてばかりです、あの船を爆破してしまうのも手だと思うんですけどね…」