隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

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散々荒らしまわってチンピラも全員制圧したのにリーダー格らしいやつが出てこない、まさか『神明裁判』で気絶したのか?わざわざ起こすのも面倒だが、やるしかないか

『あれ〜?珍しいもの〜持ってますね〜』

「言うほど珍しいか?とにかくカゴちゃん、周囲の警戒頼んだ」

「フォークロア観測函、起動」「『フギンとムニン』観測開始」

『フギンとムニン』は式神の操作と情報収集に特化したアプリケーション、効果としては透視や千里眼を可能にしつつワタリガラス型の式神も操作できる、しかし俺はそこまで使い倒しているわけではないので今回式神は無い。

『八咫烏』と違うのは見えている情報の仕分けよりも見えていない情報を探し当てるのに注目しているところだ。

「目隠し?」

「『フギンとムニン』はオーディンの代わりに物事を見るカラスだからな、俺の目が見えてると不都合なのさ」

シャーマニズムを起点としたオーディンの代行者達は神託(オラクル)狂気(インサニティ)の両面に触れた隠秘(オカルト)だ、だからこそ使用ルールは注意しなくてはならない

「インターネットが無法になるよりもずっと前、オーディンのコスプレをしてまでこれを使い倒してたジャーナリストがいたらしいがそいつの末路は酷かったと聞く、『神の怒りに触れた』つまりは実在証明脱落(リアリティドロップアウト)で死んだのさ』

『神話をベースにしたアプリは〜通常ライセンスだとどこででも使えるわけじゃないですから〜観測強度を上げる為に無茶をしたんでしょうね〜』

「なのでオライン公式のアプリで『観測強度をオライン公式安全基準より上げようとする』事は全て用途外使用扱いで自己責任になると明記されている」

カゴちゃんが珍しいと言ったのはこれだろう、わざわざ自分の所属と違う地域の隠秘(オカルト)を常に所持してるのは観測リソースの無駄遣いになりがちだしな。

「まあ『八咫烏』だけだと容量もリソースも余ってるしな、探索は不得意だからそれなりに重宝してるよ━━━あ、見つけた」

そう言いながら俺は足元にあった薬のケースを倉庫の端のチンピラに投げつける。

「いっ、この、よくもやってくれたなオラインの犬ども…」

ボスのくせに気絶したふりとは、プライドとか無いのだろうか?

「犬は違うんじゃないか?『フギンとムニン』はカラスだし、カゴちゃんはネコかライオンだし」

「そういう意味じゃ無いと思うよ」

「ツッコミありがとう、じゃ、そういう事で」

蓋を開けてみれば呆気なかったな

 

「クソ、こんなところで━━━」

その時チンピラのボス(事前調査ではたしかセトと書いてあった、傲慢な名付けだ)が足元に落ちていたフォークロア観測函を拾って起動した、何が出てきても対処出来るラインだと俺もカゴちゃんも思っていたが実際は

「『異界駅』観測開始!」

想定の範囲に無い隠秘(オカルト)だった

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