隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

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「…帰って来れた?」

「幸いなことに、そうみたいだな」

「よかったあああ…」

オルフェは緊張の糸が切れたのかへたり込んだ、全く油断が多い━━

「チンピラどもは!?」

見れば、気絶していたはずのチンピラたちがちょうど脱出するところだった。

「ボケども!逃げるな!」

「誰が追っ手に逃げるなと言われて止まるかよ!あばよオラインのポンコツども!」

 

「酷い目に遭ったが…この目録さえあれば俺たちの再起は容易い!」

アメリカでやらかした俺たちがオラインや軍から逃げたのがエジプトだった。

アレクサンドリアの警察の目を掻い潜り『エリクサー』の横流しで何とか資金を集め、ようやく再起した俺たちに舞い込んだラッキー!それがこの目録だ、本職の隠秘使い(オカルティスト)には垂涎のそれだと傭兵たちは言っていたがそんなことはどうでもいい、金さえ手に入ればな!

「やがてアメリカへ帰還し、あのババアをぶっ殺しグエっ

おい!急に停車するな!」

見れば先に出発した子分達の車の前にヘリコプターが降りていた、なんだってこんなところに

「ハーイ!この先に『戦いの旗』とかっていう犯罪組織の事務所があるって聞いたんだけど!」

「そんな道ゆく人に聞いても答えられるわけないでしょう、急にヘリを止めたから何かと思いましたよ」

「そう?アタシの勘ではこの人たちが知ってるって出てるんだけど?」

ヘリから降りてきた赤毛の女と金髪の男はそうやってグダグダやっていた、肝心の俺たちを無視してだ

「なんだてめえら、この方を誰だと思ってやがる、ニューヨークの生ける伝説!『戦いの旗』のセト様だぞ━━━

子分の一人がそうやって威嚇したその時、そいつの体は炎に包まれていた

「うわあああ!あっちい、あっちい!!」

「あーらごめんなさい、いきなりで驚いちゃったもんだから、ちょっと『火を吹いちゃった』わ」

ヤバい、これは俺の人生でいちばんの危機だ、あの女はニューヨークで俺たちを追い回したババアすら超える危険人物、いや人か?実在隠秘存在(リアリティフォークロア)じゃなくてか?

「また勘が当たりましたね、そういうインプラントでも入れてるんですか?」

「いーえ?元からこうなのよ、こう」

「おい!車を出せ、相手にしてられない!」

強引に車を走らせ逃げる、俺の栄光はここからなんだ!こんなところでは死ねない!

 

「あららー逃げちゃった、これってもうそういうことよね、そういうこと」

赤毛の女はそう呟いていた、自分の中で納得した感情を吐いているというのが適切だろうか

「そうでしょうね、彼らがエジプト支社の情報にあったブラックマーケットに関する唯一の手がかりでしょう」

金髪の男はそれを肯定し、情報を追加した、とはいえ赤毛の女が情報を考慮している様子はない。

「ねえねえ『…』(認知不可)?ここまできたら、ちょっとぐらい乱暴でもいいんじゃないかしら?」

ヘリコプターに未だ座ったままの老婆に向かって赤毛の女は尋ねる、いや駄々をこねている。

「…殺さないなら、多少の乱暴は許されます、今後は私に質問せずとも大丈夫ですよ」

老婆はその駄々を、わがままを許した、あきらめたのかもしれない。

「本当!ありがとうジェシカさん!よっしゃ!久しぶりに派手にやるよ、派手に!」

赤毛の女の両手、竜の、巨人の、神の口が刻まれた両手が赤熱する

「1日目から派手ってのは勘弁してくれませんかね、あなたが『最強』なのは誰もが知ってるんですから、そんなに主張しなくてもいいんですよエリザベス」

「事後処理が面倒なだけでしょ『ゴエティア』の人!私はやるよ!」

「私にはセラム・ソロモンという名前がある!ゴエティアの人はやめてもらおうか『タイフーン』!」

セラムの声はもうエリザベスには聞こえていなかった。

 

 

 

「『ティフォン/ドラゴンブレス』!!!」

 

その瞬間、アレクサンドリアの結界が一部破損し

『戦いの旗』は全員が全治半年以上の重傷を負うこととなった

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