隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
「『魔女狩り』!」
ライトがキルケーとカリブディスに向かって投影鏡を振るう。物理的に当たるわけも無い距離だが、『魔女』であるという理屈さえ有れば『魔女狩り』は当たらずとも確実にダメージを与える、見た目がパントマイムもどきでも。
「…ちっ、流石に無理か!」
何も起きなかった、当然である。『キルケー』は確かに魔女の概念に属する存在の名だが、それに類する
「お前、どこかで見覚えがあると思ったがアレだな、オライン日本支社の『八咫鏡』だな、なんでもかんでも壊していく危険人物!」
「ご名答!」
そんな受け答えをしている間にもライトの背後では気絶していた無名警備の戦士達が立ちあがろうとしていた。
「フォークロア観測函、起動」「『ガープ、逆啓発』観測開始」
セラムがアプリを使用した瞬間、立ち上がりつつあった戦士達は再び倒れ込む。
「あまり長くは持ちませんよ!ちゃっちゃっと回収してください!」「キルケー!脱出しろ!」
ほぼ同時に目標を宣言する
「「わかった!」」
キルケーが観測函を持って駆け出し、それをライトが追いかけていく
「さてさて…私達はどうする?」
「どうするって…頑張るしか…ない?」
エリザベスとオルフェの前にはスキュラが立っていた
「貴女は『タイフーン』、其方は現状唯一の参加者といったところでしょうか?」
「私ってやっぱり有名人よね〜みんな私の事一番に喋るんだから」
「当然でしょう、地中海で最も警戒すべきオラインの戦闘員、現代に存在する数少ない竜殺し、オラインに数えられないほどいる隠秘混じりの中でも屈指の異常者」
「褒め言葉として受け取っておくわ!」
「褒めたつもりはありませんが…貴女の相手はワタクシよりもカリブディスの方が適任でしょう、『アテナ』カリブディスの拘束解除申請を、それとワタクシの装備を起動します」
『カリブディスは兎も角アンタまで?そうまでする意味ある?』
スキュラの通信機から荒っぽい口調の合成音声が漏れる。
「寝転がっている同僚達と客人を回収しなければなりませんからね」
「あれ?この人達回収してくれるの?よかった〜ここまで派手に散らかした後片付けをセラムに頼むにはちょっと気が引けてたんだよね」
「ようやく名前で呼んでくれましたねエリザベス!今になって、ようやく!喜びよりも呆れの方が強いですよ!」
エリザベスとセラムは戯れているが、二人とも表情は笑っていない。
「どうせアイギスも壊れてるんだ、お返しとしてとことんやってやるよ『タイフーン』」
カリブディスはエリザベス達の方を向いて
「拘束解除。
呟く。
多少の時間は前後するがそれは
即ち、自分から怪物になる儀式である。
彼女の肉体はもとより人間のそれをある種の異界と置換したもの、常に現実から『ズレた』その体は多少の自己暗示によっていとも簡単に変質する。
今回の場合はシンプルに。
「海が溢れだした!」
『今更逃げられないぞギリシャ最強!』
「そうこなくっちゃ!!!」
『カリブディス』の肉体が本当の海として、際限なく拡大し、全てを飲み込む。