隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

40 / 44
10皿目

「違う、違う、断じて違う…!」

『認めぬなら、もういい。』

目に見えて動揺しているライトをよそにシリウスは再び手を振り上げる。

『もうじき神体が完成する、私に与えられたこの『輝くトラペゾヘドロン』さえあれば我が神はこの偽りの平和を破壊し、世界の真実を与えてくださるだろう!』

高らかに宣言する男の左手には黒い函が握られていた。

 

(混沌、闇、雷霆、神罰、台風、安全、不死)

 

「ん…?『輝くトラペゾヘドロン』…?あ!!!」

『…?』

「…え、なにどうしたのライト」

「なんだ、そういう事か、それならそんなに難しくないな…」

「怖い怖いちゃんと説明して。」

 

「そうだな…それは、こうするんだよ神話破壊者(ミソクラスト)』強制照射!

『ぐう、小癪な…だが…効かぬ!』

ライトの放った神話破壊者(ミソクラスト)は確かにシリウスにダメージを与えたが、致命傷とはなっていなかった。

『貴様の使用するアプリがこの結界内の全てに効くことなど当然把握している、対策は完璧だ!』

「それは…どうかな?」

『なにを…

 

 

 

♪♪♪

 

む?なんだこの気味の悪い音は』

 

「『聖剣再考/エクスカリバー』!」

「『ティフォン/ドラゴンブレス』!」

 

足元の結界を突き破り、『神剣』と『タイフーン』が現れる。

「気味の悪い音とは失礼ですね!」

神性の聖剣使い、山田ソフィー。

「山田さん、来てくれたのか!」

「センパイに呼ばれまして、助けに来ましたよ!」

「思ってたよりもピンチみたいだね、ライト!」

嵐の竜殺し、エリザベス・ロッシ。

「エリザベス!遅いぞ!」

「遅いとはなによ、そっちこそ"この程度"の相手に手こずっちゃったりして。」

『この程度とはなんだ!いや、それよりもどうやってここまで来た、海抜五万メートルだぞ!』

「私は結界の端から物理制御を書き換えて、こう!エレベーターにして登ってきました!」

「普通に空飛んできたけど、それが?」

「???」

聖剣を掴んで振り回すソフィーと、飛行ツールの一切を持たないにもかかわらず飛行を明言するエリザベスに対してオルフェは眩暈を感じていた。

『…エリザベス、そうか貴様がギリシャの最強!偽の平和の代名詞!』

「流石に褒められてるわけじゃなさそうね?」

『誰が敵を褒めるかっ『イカヅチ』『セト』!

殺意の込められた雷光がエリザベスへ激突する、が

 

「うわっ!?ちゃんと熱いなんて久しぶりね。」

『…!?!?!?』

エリザベスにはまるで効いていなかった。コーヒーが熱かったから驚いた、その程度のダメージである。

「雷神の攻撃なら『ティフォン』のガワを着てる私に効くって選出なんだろうけど…まあこれで私を殺すには無常の果実が何個あっても足りないわね。」

「この失礼な人から観測函さえ取り上げれば私達の勝利ですよ!」

「なるほど、じゃあ「武器をくれ山田さん。」ちょっと、被せないでよ!」

「あー、もしかしてまた投影鏡を壊しちゃったんですか?でもエリザベスさんもいますし…」

「そうよそうよ、私に任せちゃえばいいのに。」

「そうはいかない、これでも俺はそれなりにキレている。さっき投影鏡を壊したのも普通に殺す気だった。」

「私情で会社支給のツールを壊さないでください!」

「もちろんもう殺意は無い、それよりもマシな解決策を提示できる。まああっちが聞いてくれなさそうだが。」

『何をぬけぬけと!たとえ私が貴様らを殺せずとも、貴様らも私も殺せん、私を殺せば観測函の制御は放棄されアレクサンドリアどころかエジプトが終わりだ!我が神もあと数十分で降臨する!』

「とんでもないこと言ってる、市長のくせに街を人質にするなよ!」

『黙れ少年、真理を知らぬ幼子にこの理想の価値はわかるまい!』

「出来の悪い命乞いだな、そもそもお前を殺す前にアレクサンドリアの結界と下の出来損ないの邪神を壊せばそれでエジプトも世界もいつもと同じ日常だ。」

『結界も神も貴様らではどうにもなるまい!』

「…シリウス、お前には明確なミスがある、それもめちゃくちゃ致命的なミスだ。」

『なんだ、挑発か?』

「違う、違う、そもそもの話として

 

 

 

どうして外から攻撃が飛んでこないと思ってるんだ?」

 

轟音と共にシリウスの左肩が弾け飛ぶ

『ぐああああ!』

 

「…とんでもない精密射撃だな、これがギリシャ開発課の実力か。」

「すごいでしょ!」

「そうだな、そしてそれが。」

『ケラウノス』、ウチの秘密兵器ってやつね。」

エリザベスの右手には漆黒の槍が握られていた。

『ケラウノス!?馬鹿な、ギリシャからここまで届くわけがない!どれだけ距離があると思ってる!』

「現代兵器の射程を馬鹿にしすぎじゃない?このぐらい余裕で届くわ、射撃目標が『ティフォン』なんだから尚更ね。』

「『啓示』で伝えられた時はどういう事かと思いましたけど、そういう事でしたか!」

エリザベスは自らを目標として攻撃させ、その射線にシリウスを置いたのだ。自分がケラウノスを回収できなければ余波で被害が拡大するようなリスクがあったので、地上ではなく上空にシリウスがいる事を確認した末の選択である。

「エリザベス、武器を回収したなら早いところ降りた方がいい、邪神がそろそろ暴れだす。」

「結界は?」

「まだ壊さない方がいい、今壊すと後処理に困る。」

「はいはい、じゃあ市長は日本支社とオルフェにお任せするわ、あとでね!(ア・ドーポ!)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。