隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
「えっと、倒した?」
「まだに決まってるだろ、結界からエネルギーを受け取ってるやつはあの程度では死なない。」
「ですね。」
「えぇ…」
『ぐぅぅ、貴様ら…』
シリウスは失った左肩を抑え、結界に膝をつきながらも、その目からは敵意を放っていた。
「うえっ、また吐きそう…なんで…」
「お前さっきからずっと気持ち悪そうだな、俺達は平気なのに。」
「敵意への繊細さですよ!市長さんの邪視でダメージを受けてるんです!」
「なるほど。」
「二人はなんで平気なのさ…」
「「センパイに鍛えてもらった」んですから!」
(どうする、どうすればいい!?)
ここに至ってシリウスの焦りは頂点に到達していた。
増えない死傷者、強く素早く幸運なオラインの尖兵、想定よりも効きの悪い呪い、届くはずの無い結界外からの攻撃。
全ての要素がただ一つの過ちを示していた。
(外なる神の使者!素直に従っていることそのものが怪しいとは思っていたが、ここまで盛大に裏切るとは!いや、それこそが使者の策略か!?)
ニャルラを信用しすぎていた事そのものを悔いたが、後の祭りである。
(こうなれば逃げるか、いや、何処へ、そうだ、『駅』だ!あそこならきっと
(ダメだよ)
え?)
シリウスの脳裏に、突如として
彼の思考はそこで途切れた
「どうして…まさかシリウスがどういう人間か知らないの?」
ニャルラは困惑していた、自分の目論見が何も理解されていない事実に対して。
「━━━━知っているとも、アメリカ出身、ヘルメス新聞の元役員、ヘルメス新聞の倒産後は闇社会の情報通としてダークウェブ上でカルト的な人気を集め、自らの名を冠する宗教団体を使って狡い商売をしていたテロリストだ。」
「違う、それはあのシリウスじゃない、菩薩の到来を利用して日本でテロを起こす様なやつがいきなりクトゥルフ神話に傾倒するなんてのがそもそもおかしいの。」
「━━━━どういう意味だい?まさか彼のフリをした
「あってるけど、それも違う、今言ったとおり一応は人間…何も連続してないだけで。」
「まるで貴女の様ですね。」
ジェシカは、依神ニャルラが突如として日本のオカルティスト業界に現れた、過去の存在しない異常存在である事を把握していた。
「私だって知った時は気味が悪かった、私の知ってる範囲の人間のやる事としては破綻してるって…説明、説明するよ、えっと、何から話せばいいか…そう、そもそも私はあいつに誘拐された!」
「━━━━なんで逃げなかった?」
「誘拐前から一方的に知ってたんだ、日本で無駄にやらかしたバカな奴がいるのは、でも一目見た瞬間から別人、いや厳密には脳か魂に手を入れられて記憶がまともじゃないだけでそれ以外は一緒で…同族の仕業だと思った、無駄によくできた海賊版アプリまで持ってたし。」
「『異界駅』」
「そう、そのアプリの出所を探ってその大元の
「━━━━この時代に今更非実在の都市伝説から変性した
「とにかく、私の知らないところで大規模な勢力が動いてて、シリウスはそれの実験台、本質をすげ替えられておきながら変えられる前と似た行動原理を持つ、不気味な『アナグラム』なんだ、わざわざ夢の中身まで調べたから断言できる。」
「彼に協力する理由になっていないのではなくて?」
「シリウスと一緒にいたら海賊版『異界駅』の情報も掴めるかと思って、儀式を引き延ばす為に死の観測よりも他の隠秘の観測を優先させる暗示を組み込んだりしたんだけど…儀式が爆速で終わってしまってなにも分からず仕舞い…」
「はあ…思ったほどの収穫はありませんでしたね。」
「人の腕を刺しておきながらその言い方はひどいんじゃない?」
「お尋ねものにかける慈悲は最低限ですよ、さて、これから日本支社の二課は…どうしました?」
「━━━━なに、シリウスをそうやって洗脳する手法に心あたりがあってね…究極的には身内の話なんだが。」
「世界危機クラスの話でしょう、情報共有はしておくべきです。」
「━━━━僕が知る限りその隠秘の使用者はたった四人、そのうち三人『
『賢者の石』だよ。」
エイプリルフール、エイプリルフールではなかった!?