隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

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3皿目

「僕は、どうなるんでしょうか。」

アイが、震える声で質ねる。

「まあいきなり売り払うとかはしないし、そんな事は今時出来ないよ。気まずいだろうけど親戚さんに連絡するか役所に相談に行くか…オラインの人の手を借りるって案もあるな。」

「買われるんじゃ?」

「いやいや、公的な手続きを踏んで自分から実験やらなんやらに参加するのと、オラインに買われる(狩られる)のとではわけが違うよ。」

「そうなんですか…」

 




 

 

 

「あーっ、事務所もぬけの殻じゃん!?どこ行ったんだよ!」

「なんの痕跡もありませんね。」

提携事務所にやってきたオライン三課と四課であったが、そこには誰もいなかった。

「痕跡自体はある、事務所から出るときにかなり慌てていたらしい、ドアの周りの埃が動いている。しかも匂いから察するについ先ほどだ。」

「大家に今メッセージ送ったんだけど、そもそも家賃が払えてなくて色々切羽詰まってたみたいだよ、そんでもってボロ布を被った怪しいやつらが昨日今日と出入りしてたとかなんとか。」

気まずい沈黙が流れる

 

「どうしましょうか、超能力者が居るどころか事務所にさえ人が居ませんが…」

「情報の信頼性がそもそも疑わしいけど…こうなったら探すしかない、超能力者がガセにせよ本当にせよ、私達オラインを無礼(ナメ)るような奴らはきっちり相手しなきゃいけない!」

「無礼や感情に関してはともかく、対処のために捜索するのに関しては同意見だ。」

 

「フォークロア観測函、起動。」

「え、社用のを起動するんですか、人探しにまで?」

「まあな、この方が早い。」

「…よく覚えておけよ新人君。オラインでは業務のためなら他では無茶とされる要請もそれなりに許される、そうでなきゃ一課や二課は全員刑務所だよ。」

 

『ドッペルゲンガー』観測開始」

レンの背後から、レンそのものである人型が浮かびあがる。

一つ、二つ、三つ、四つと人型は増えた。

「いまはこれが限界だ」

「えーっ、これだけ?」

「そもそも支社のオフィスでまだ本体が動いてるのを忘れるなよ。」

「はいはい…じゃ、手分けして探すよ、手間取ったらその分だけ致命的だと思うこと。」

「はい!」

「また後で、か。」

 




 

 

 

「おい!超能力者はどうなってるんだ!?」

中肉中背の壮年の男性が深夜だというのに通信端末に向かって怒鳴っていた。

『それは後程…』

「言い訳は聞き飽きてるんだよこっちも!すぐに連れてくるって言うからわざわざオラインにコンタクトを取ったって言うのに、あんたらが遅れたせいでオラインに渡す商品が手元に無いんだぞ!」

『私達の元にも無いので…』

「はあ?まさか在庫もないの売ろうとしたのか?巫山戯るなよ!よく聞け、次会うと時に商品を持ってこれなかったらその時は「その時は、なんだ?」…」

男の背後には、ボロボロのヘルメットを被ったあの怪人が立っていた。

 

「ひいいっ!」

男は怪人によって引きずられ、気づけば怪物達に取り囲まれていた。

「その時はなんだと聞いているんだが?私達への信用が無いようだな?『軽蔑』だから、まあ当然か?」

「違います違います!知らなかったんですよ貴方達だったなんてそんなまさか…本当に!」

「まあいい、金は?」

「こ、こちらへ…」

男が手元のケースを怪人に渡す

「そこにはウチの全資産で買った暗号通貨が入ってます!それで勘弁してください!」

「ふむ、いいだろう。」

「それで、商品は!?」

 

「…まだだ。」

「えっ」

「部下の失態で少し手間取っていてな、受け渡しまでしばらくかかる。」

「そんな!それは本当に話が違いますよ!オライン相手に嘘はつけません!商品も無いのに呼びつけたとバレたらどうなるか!」

「黙れ、知った事ではない…ふむ、別に契約を反故にしてもいいのではないか?」

「やっちまいましょう!」「そうっすよ!」「久しぶりの血だ!」

「ひいっ」

怪物達が囃し立てる

 

『やめなさい』

怪人の手元の端末から少女の声が発せられる。

「スポンサー様」

『取引は行われるべきです、例えどれだけ見下されるべき愚か者でも。』

「では」

『ただし、その愚物をしばらく口のきけない状態にするぐらいは、合理的でしょう。』

「わかりました。」

 

「というわけだ、お前たち、やっていいぞ。」

無慈悲、無頓着、淡々と処刑宣告が下される。

「そんな、待ってくれ、頼む!」

「久しぶりの!」「血だ!」「この為に生きてんだよな俺たちは!」

 

 

 

「なんだ、結局私が一番乗りか。」

「誰だ!」

男が半殺しにされるか否かというまさにその直前、一人の女性が怪人の背後に立っていた。

 

「別に?無礼者(あんたら)を探してたってだけの…会社員だよ。」

暗闇の中で、オイルライターの妙に明るい炎が、暗い茶髪と金色の獣耳を照らす。

 

「フォークロア観測函、起動」

 

ライターの炎が消えると同時、電灯の光も月の光も消え、暗闇が全員の視界を埋める

 

化物(バケモノ)』観測開始。」

 

再度炎が灯ったそこには、

 

 

 

『私を打ち倒して見せろ!』

 

巨大な四つ足の化物(妖狐)が君臨していた。

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