隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
「ここは…あ、そうか逃げて…」
アイが目覚めた時、オフィスの時計は午前六時半を指していた。
「おはよう、よく眠れたかい?」
アイがしばらくぼんやりとしていると、ジュウロウが扉を開けて声をかけてくる。
「はい、おかげさまで…急に眠ってしまってすみません。」
「緊張が解けたようでよかったよ、四国さんを呼んで今後の相談をしようか。」
「はい…え、もういるんですか?」
「居るよ、夜中は交互に寝たよ、そもそも彼女と僕は泊まりで仕事する事も多くてね、家に帰らなくてもそんなに困らないのさ…ごめん嘘、泊まりなんかやると本当は僕は奥さんに怒られるし、四国さんのご両親からは心配の声が来る。」
「あはは…すみません。」
「いいっていいって、若者がそんな弱気な顔ばっかりしないの、こっちまで申し訳なくなってくる。」
「…おはようございます、お二人とももう起きてたんですね?」
少し顔色の悪い状態で、ヨシノが入ってきた
「おはよう、ってどうしたの四国さん、具合の悪そうな。」
「…なんだか嫌な夢を見た気がします、内容は思い出せないんですが。」
「昨日の戦いが尾を引いて?」
「いや、あんなのは戦いですらないし、普段は悪夢とか見ないんだけどな、でも既視感が…まあ、いいです、それよりも。」
「オラインだね、アイ君が寝てすぐに連絡したから昼過ぎには来るさ。」
「ねえ…どう思う?」
「どうとは?」
とあるホテルの一室、ツルギとレンは神妙な面持ちで会話を
「それは「だから私はこれ以上知らないんですって!信じてください!」
「本当か?本当はあのヘルメットの男とまだ何か繋がりがあるんじゃないのか?そこの男が所属してた珍走団はこの辺りで問題になってるって情報にあるぞ。」
「だから知りませんって!」
「うるさい!尋問は後でもできるんだから後でやりな新人君!」
「はい!」
会話どころでは無かった、二人で寝るためだけの部屋に五人が詰め込まれているのはさまざまな観点で致命的であった。
ツルギの手持ちに防音・遮光用の『端境結界』が入っていなければ通報されていただろう。
「はあ…アワブンラク事務所だよ、資料を見たけどここはおかしい。」
レンとツルギがそれぞれの端末を覗き込む、そこにはアワブンラク事務所に所属する
━━━━ある一人を除いて
「前任担当者が二課の、よりにもよって
「俺の権限では理由が開示されん、そっちだけの情報で話すな。」
「残念ながら私の権限でも理由が書いてないよ、当然新人君でも同じ。」
「どういう事だ、担当者にすら開示できない理由があるのか?二課長にそこまでの権限はないはずだが。」
「それこそ一課とか国とか、より上からの情報封鎖じゃないかと睨んでるよ、三課以下は蚊帳の外ってわけだね…
「言うほど無礼か?」
「とにかく!軽蔑っぽい奴らが取り逃してしまった超能力者が青髪に犬耳で17歳の男性だってのはわかったんだから、それを注意しながら聞き込みに
『コンコン♪コンコン♪』
ツルギの社用端末から、デフォルトの効果音を組み合わせた狐の鳴き声らしき着信音が鳴り響く。
「…そのアワブンラク事務所から二課へ連絡?なになに…『自らを誘拐されたと主張する少年を拾って』『その少年がたぶん超能力者で』『青い髪に犬耳という特徴』…。」
「もしかして件の超能力者でしょうか、僕たちラッキーですね!」
「…」「…」「…」
その瞬間、タロウと気絶したままの珍走団の男を除いた三人の脳内に同じ言葉が浮かんだ
『『『怪しい、出来すぎている』』』
「急いだ方がいいかもしれない、これが真であれ偽であれ、展開が急すぎる。」
「一応分身を送って見張らせる、何か問題があればすぐにわかる。」
「よし、新人君、尋問は本当にもういい、とりあえず仮眠を取ろう、今寝ないと次の行動に支障が出るよ。」
「はい!」