隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
「で!そこの男の子!こっちで買われる気はない?イギリスでなら二割増しで買われるはずよ!」
「えっ。」
「話が早すぎるよ、偶然見つけたイベントに前のめりにならないで。」
ラッキーとカースの間で意見が分かれているようだ、それは戯れあいのようだが、当事者にとっては深刻であった。
「え〜!私のおかげなのに〜!」
「「勝手に決めるな!」」
「うわ被った、最悪…!」
「意見が合ったな小娘?」
「貴方のは人の人権と進退を勝手に決めるなって意味じゃないわよね。」
「当然違う、そんなものはドブにでも捨てておけ。」
「オッケー、話にならない。」
一方、ヨシノと怪人は一触即発の状態であった。
このままいけば彼らは二秒後には殺しあうであろうことをジュウロウは察する。
「ヨシわかった、一旦話を整理しよう!まず、ウチのメンバーがお宅の商売に首を突っ込んだことは謝る!」
「ふん…」
「社長!」
「その上で!今後どうするべきかはアイ君を中心とした話し合いで決めるべきだ。聞けばそっちも強盗だの誘拐だのでアイ君とのコネクションを手に入れたそうじゃないか、そんな手荒な手法では無理があるのもわかっているだろう。警察が来なくても自警団やオラインとの問題になる。」
「…」
「だから、今日のところは一旦お開きでいいんじゃないかと!こんな街中の真っ昼間で戦うのは全員に不利益だろう?」
「…」
「明日!いやなんなら夕方でもいい!改めて話し合おう!」
「…」
ジュウロウの額には緊張から汗が滲んでいた。
そもそも彼はアイから利益を得るよりも、いつもの日常に帰還する方が重要だと認識していた。
アイで利益を得られるならそれは確かに最上のアガリだが、そうでなくても構わないと。どこかに押し付けてそれで終わりでもいいと思っていた。
しかし怪物がビルに攻撃した時点で話は変わった。
『軽蔑』は確実に本物ではない、しかし由縁のない地でこれほどまでに暴れられるというのは、彼らの後ろ盾が並大抵ではない事を意味している。
そんな相手に『商品』をタダで渡すなど、それこそこの後の抗争やら何やらでろくでもない事案が勃発するのが目に見えている、最悪の場合は因縁をつけられ海外で殺される可能性すらある。
戦闘に持ち込むには自分では弱すぎるし、ヨシノは何故か普段よりも遥かに緊張していた。
故に、ここで少しでも時間を稼ぎ、オラインや警察の介入によって話をなあなあにするのがベストだと判断したのだ。幸いにもイギリスからの乱入者によって怪物はしばし沈黙していた、チャンスは今しかなかった。
「お頭!」「お頭!」「リーダー!」
「…断る!話し合いなどいらん!『ゾンビ』、そいつらを殺せ!」
交渉は決裂した。
「くっ、ダメか…」
「最高だぜ!」「血だ!」「ぶっ壊してやる!」
「ふざけるなっ『支流』!」
ヨシノの投げたペットボトルが炸裂し、中の水が怪物達に襲いかかる。
関節を締め上げ、肌を潰し、目や鼻の粘膜を埋め尽くす
怪物達は苦痛に怯み、何人かはそのまま歩みを止めたかと思われたが
「ふんっ、今更こんな小細工は効かん!『ゾンビ』、痛みなどいいから行け!」
怪人の命令を聞いた途端、怪物達は直前まで怯んでいたのが嘘だったかの様に、声も、息もなく走ってくる
「なっ!」
怪物達が三人に飛び掛かってきたその時
「あらよっと!」
金髪の少女、ラッキーがキーホルダーのついたバッグを振り回し、怪物達を薙ぎ倒す
「ねえオジサン?私たちを戦力として雇ってくれない?」
「時間あたり何円!?いやポンドか!?」
「事務所的には米ドルでしてくれた方がありがたいですね、細かい料金は後でも…」
「よし、頼んだ、契約はざっと三時間だ!」
「オッケー!じゃあ行こう!」
「いくって、どこに?」
「そりゃ無論勿論、逃げれる場所!これの許可取れて本当にラッキー!
『
その瞬間、三人と二人は『下』に落ちた。