隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

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「さっきの話では契約は三時間だったけど、実は今って時間の確認すらままならないんだよね、異界駅に入ってから時計が無茶苦茶になってる。」

 

「なので当面の目標はこの異界からの脱出、その後はアイさんを追ってくる自称軽蔑の対応、最終的には警察との接触、それでいいですね?」

 

「頼みます!」

 

「ふふふ、ではこの異界を乗り切る秘密の観測対象を…」

 

「今度は何?」

 

「ジャジャーン!『ダウジングロッド』!」

 

ラッキーはバッグの中から、二本のL字型の金属棒を取り出した。

 

「…」

 

「ちょっと、無反応はやめてよカースチャン…!」

 

「流石にそこまで微妙なものを持ってくるとは思ってなかった…」

 

「私の『幸運』は理解してるでしょ!これ単体でも一割の確率で成功するんだから!」

 

「九割失敗してるじゃないの。」

 

「まあ他の観測対象があるから成功率は五割ぐらいかな。」

 

「それでも五割じゃない。」

 

「だけど今使えるのがこれぐらいなんだよね、もう一回『兎の足』を使ってみてもいいけど今使ったらたぶん1%ぐらいの確率で死ぬし…数撃てる分だけロッドの方がいいと思うのよ!」

 

「…とりあえず試してみて。」

 

「りょーかい!」

 

ラッキーがロッドを構えるが…

 

「あれ?あれれ?」

 

「四国さんに向けてどうするのよ。」

 

「いや、ちゃんと観測函は起動してるし使い方も合ってると思うんだけど…うん、間違ってるところはどこもない、つまり四国さんが解決策ってことになるかな。」

 

「私がここから出る方法…」

 

「何か思いついてます?」

 

「一個だけ、本当に一個だけ思い浮かぶのがあって、なるべくやりたくは…いえ、やります!」

 

「命の危険とかあるならダウジングやりなおすよ?」

 

「そういうのではないので、大丈夫!」

 


 

「じゃあ今から試すので、ちょっと離れててください。」

 

ヨシノが観測函を持ち、深呼吸をする。

 

「フォークロア観測函、起動」

『劣化神話、八岐大蛇』観測開始」

 

「抑制緩和。民話、承認、活性━━━━『吉野川/四国三郎』

 

宣言を終えると、ヨシノの左腕が濁った『川』に変化した。

 

「これは…」

 

「すごい!身体の環境化、いや概念喚起からの存在置換?私のコレクションでもここまでできないけど何使ってるの?」

 

「ちょっと、だま『黙れ!」え?」

 

「私の口で勝手に喋るな!『お前が体を開け渡さないからだろう「誰があんたに好き好んで体をあけ渡すのよ!?『じゃあさっさと俺の体を用意しろ!「そんなお金あるわけないでしょ!『じゃあ体をもっと貸せ!お前の肉体は澱んでいて楽しくない!「何よその言い分!?」

 

ヨシノは自分?の発言と口論していた。

 

「なるほど!」

 

「何がなるほどなのよ、どうみてもおかしくなってるけど。」

 

「特殊な人格、あるいは四国さんの肉体に間借りする別の精神があの環境置換を成立させてるのよ、人格が交代することを条件に普段使いできない隠秘を起動できるってこと。」

 

「ラッキーさんはお若いのによくご存知ですね、私は四国さんを雇うまでこういう理屈にはさっぱりでしたが。」

 

ジュウロウは素直に感心していたが

 

「ふふふ、もっと褒めてくれてもいいんですよ。」

 

「…貴女って『幸運』以外にそこまで詳しかった?」

 

カースは疑っていた

 

「ここに来る直前、勉強するためにオラインの汎用隠秘アプリとそれに関する解説データをまとめてサブスクしたの!こんなにすぐに役立つなんてラッキー!」

 

「なるほど、貴女が今手元で操作した端末にそれがダウンロードされてるわけね…」

 

「そう!ここに来る前に経費で契約した!」

 

満面の笑顔でラッキーはピースした。

 

「それが経費で落ちるかは今回の成果次第だと思うけど。」

 

「えっ…」

 

ラッキーの顔がみるみる青ざめていく。

 

「その方は協力してくれそうですか?」

 

『その方とはなんだ、俺には三郎(サブロウ)って名前がある!「だから勝手に喋んないでって!」

 

「サブロウさん、私たちがここから出るのに協力できますか?」

 

『できる。「あんたにしてはやけに素直ね『俺だってこんな薄気味悪い怪物の腹の中には居たくない、こんなのは10年前のあそこだけで十分だ「二度とその話しないで!『はいはい』

 

「…それで、どういう手立てがあるんでしょうか。」

 

『俺が流れを操作して空間を把握するのがまず条件だが、異界をマッピングして、上手く行けばそのまま脱出できる。』

 

「こういう異界は把握されないことを条件に自立してる部分があるからね!マッピングされないために異界の自己保存能力が追い出してくれるかも!」

 

「それも解説データの受け売りよね。」

 

「うん、今日はマジでラッキー!まだ今日なのかわかんないけど!」

 

「では早く行動しましょう、このノリが続くと私たちが溶け出します…」

 

すこし呆れながら、カースは行動方針を告げた。

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