隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
1皿目
前回までのあらすじ
徳島のアワブンラク隠秘事務所のヨシノとジュウロウは偶然にも超能力者アイを保護し、その結果アイを付け狙う犯罪組織『軽蔑』の追跡にあう。軽蔑から逃れる為に土壇場でカタシロ呪術事務所と契約し難を逃れるも、気がつけば彼等は『異界駅』に迷い込む。
オライン日本支社営業三課の『狐火』率いる合同チームは超能力者の情報を追って徳島に降り立つも、超能力者を追う軽蔑と異界駅に目をつけ討伐/捕獲を目論んでいた。
アワブンラク隠秘事務所とカタシロ呪術事務所は異界から脱出できるのか?オラインは成果を持ち帰れるのか?
『何をしているのです?』
少女のような鬼、マガツが獣の皮を被った男、フレデリックへ問いかける。
「日記ですよ、こうやって強烈な内容で記録しておくとたとえ記録を紛失しても強烈さで記憶の方に残るからね。まさしくスポンサー様の気に入る合理的ってやつだ。」
『…この撮影、収拾をつける気がありますか?』
「スポンサー様、僕ができないことにトライしたのは基本ないのさ、全ての撮影は成功したんだ、僕こそ不可能を可能にできる最高の作家と言ってもいい。」
『不可能を可能にできる、可能にできた、故の
「竜王様はともかく僕なんかそんなに大層なものじゃないさ、そもそもオラインなんかにはタイフーンを含めて何人も歴史や伝説の判例を破った強者がいるって話だからね、それに比べたら僕の…」
『『
「おや?見ていないと思っていたのだけど。」
『貴方がお勧めした最近の作品は見ていませんが、あえてお勧めから外したこれにも高い評価がついていました。』
「流行り物の二次創作を僕の経歴だと誇るのも馬鹿馬鹿しいだろう?そもそも友人との合作でもあるし、僕だけでアレを超えれたら自信を持って推薦できるんだけどね。悔しいことにあれが最高傑作だよ…アレだけがフィクションなんだが、逆に、僕がドキュメンタリーにこだわる理由、わかるかい?」
『わかる気がありませんが、なんです?』
「『1999年以降の地球において、真の意味での歴史的真実なんてものは存在しない』という極一部の狂った
『文脈が理解できませんが。』
「本物と偽物に区別がないこの時代、ドキュメンタリーという謳い文句に意味なんて無いのかもしれない、だけど怪物を真実たらしめるのは人間の苦痛で、それが本物ならそれに越したことはない、というかそうだと嬉しい!」
『つまり?』
「ドキュメンタリーだと嬉しいからわざわざドキュメンタリーを撮ってるのさ!単なる願望だね!」
『聞く意味のない話でしたね。』
「残念!じゃあバランスを取るために訊くけど、スポンサー様は何のために僕たちを集めて世界に喧嘩を売る気なんだい?」
『それが生まれてきた理由だから、と言ったら?』
「…へえ、実はメアリーといい酒が飲めるんじゃないか?スポンサー様の見た目だと表の倫理機構に怒られそうだけど。」
『お断りですね、そもそも一人で飲む方が楽しいですよ、それと見た目はどうとでもなります…おや?』
「どうした?」
『せっかく招待したあの精霊ですが脱出経路を探しているようです、駅の構内に川を引くなんて、非合理という概念がないのでしょうか?』
「ふむ、逃げ道を用意するのかい?」
『せっかくですし、それなりに苦しんでからそうしてあげましょう、それと軽蔑へのチャンスもこれが最後という事で…ね?』
少女の目線の先には、頭を地面につけ全身から滝のような汗を流すヘルメットの怪人が居た。
「す、すす、スポンサー様!なにとぞ、なにとぞ御慈悲を!」
『うるさい。』
少女が怪人の右腕を蹴ると、メキメキと音を立てて折れる。
「ヒイッ!」
『子供一人も満足に拐えない貴方に慈悲を与える理由?出し惜しみするあまり試作品を活かせない貴方に金を払う必要?オラインの三課四課ごときの真の実力すら引き出せない貴方を助けてあげる意味?何もありませんよね。』
「しかし、しかし!」
『言い訳は結構、次失敗すれば殺処分です、返答は要りません…ああでも、殺したら巻き戻されるし…そうですね、では少しだけおもちゃをあげます。監督、持ってるでしょう?』
「試作品のことかい?」
『違います、『人狼血清』です』
「うーん、今使えそうなのは…そういえば君達って『ゾンビ』なんだったね?」
「は、はい…!」
「じゃあ外なる神様からもらったこれにしようか、どうぞ。」
フレデリックがポケットから取り出した小瓶をマガツへ投げ渡す。
『効果は?』
「『
『それだけわかれば十分です、では分かりましたね?』
「しかしそれでは…」
どうせ死ぬ、といいかけたところでマガツの小さな手が怪人の口を塞ぐ
『黙って、行ってらっしゃい。』