隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
『そこの壁を壊せ、そしたら水が出て流れが掴める。』
「はいっと…本当に出たわね。」
カースが金槌で壁を殴ると、そこから水が出てきた。
「おー、操作可能な液体の認識までできるんだ。」
『普通出来るだろ、自分の体みたいなもんだぞ。』
「いやー、私の『幸運』はそんなにわかりやすいもんでもないし…」
「そもそも観測ツールを通して物質を操作しても体の延長とはならない気がするけど。」
「えっ」
ヨシノは物理法則を無視して流れていく水に従いながら驚く。
「そのアプリは例外みたいですね、なんでもありのオライン製品ってのも困りごとな気がしてきたわ…」
「そもそも汎用じゃないよねそれ、どうして使えるようになったか教えて!」
「こら、また深入りしようとして…」
「四国さんが事務所で働くことになった時に、オラインの担当者の人が
「━━━━なるほど、君が持つべき隠秘があるらしい。」
と四国さんに言って、二束三文でいいから契約してくれって頼んできたんですよ。」
いまだに不思議なんだという顔をしながらジュウロウが説明する。
「なにそれ…」
「わかったわ、私の『聖骸布』と一緒ね!」
「…隠秘アプリによる属性の制御?」
「そうそう!よく覚えてるね呪「カースね」カースチャン。」
「…私の中のサブロウが勝手に暴れない為だって話してくれました、誰にも見せたことが無いのにいきなり気づかれたのがかなり怖かったですけど。」
「オラインの人ってそういうところあるよね、私も従姉妹がオラインで働いてるんだけど全然話したことなかったのに急に「ちょっとちょっと、また話を奪って!」あ、ごめん。」
『あいつらは
妙なことを言うサブロウに、全員が怪訝な顔をする。
「じゃあ今すぐ助けを呼んだら来てくれたりするのかしら。」
『まさか!金が絡まないのに助けてくれたりはしないさ。』
「お金かあ…うちらも金欠に困る日が…」
「あんたは次の給与の時点で困りそうだけどね…」
そうやって彼らが歩いていると、大きく開けた空間に出る
「ここは…廃村?」
「意味不明ね、さっきまで地下鉄だったのに…四国さん?」
ヨシノが青い顔をして立ち尽くす
「どうして…なんで…」
『おい!気絶しようとするな!せっかく変化が見えてきたのに!』黙って!あんたになにがわかるの!」わかんねえよ!人間じゃないし!俺だって記憶は歯抜けさ!』私もそうよ!」
ヨシノとサブロウが取り乱していると
「無様だな、小娘!」
「あんたは…!」
「さっきの怪人!」
ヘルメットの怪人が再び姿を表した。
「ふん、私には『盲信』という称号がある!そうやって呼んでもらおうか!」
「いーや違うね!軽蔑はもうとっくの昔に解散したんでしょ、坂東さんがさっき世間話の流れで言ってたよ!」
「…勝手なことを!我らは何度でも蘇る!神の加護がある我らならばな!」
『「違う」な』
「小娘、なんだ急に」
「確かにあそこには神がいた、悍ましく、冷たい、私たちをなんとも思ってないような神が…」
『(失敗)』
「でもそれはあんたの言うような優しい神様じゃない。」
『(破棄)』
「あんたと同じ格好をした奴すら何度も殺されてた。」
『(修正)』
「そしてあいつらは決まってこう言うの。」
『おお神よ、これが罰なのですか!?』
「あいつらにとって生きるのは加護じゃない、罰だった、あんたの認識は間違ってる、あんたは軽蔑なんかじゃない、盲信なんかじゃない!」
「…あの場所に生き残りが居たのか、調査が甘かったようだな。」
「偽物!人の褌で調子に乗るのは楽しい!?こっちはトラウマほじくり返されて最低の気分よ!」俺も気分が悪いな!』珍しく意見があったわね!」
妙にハイテンションになっているヨシノとサブロウは観測函を取り出す。
「ふん…今更だ、貴様らではなにもできんよ!」
怪人の後ろからゾロゾロと、怪物達が現れる。
「ひゃあ、めっちゃいるじゃん、どうしよカースちゃん!」
「…仕事を引き受けた以上は戦うしかないわ。」
「僕も!「バカ!、私らは隠れるよ!私なんて戦闘は不得手なんだし、アイくんは体力が足りてないだろう!」
アイはジュウロウに引きずられながら、離れていく。
「「「「フォークロア観測函、起動」」」」
「『劣化神話、八岐大蛇』!」
「『ゾンビ』!」
「『聖骸布』!」
「『丑の刻参り』」
「「「「観測開始」」」」