隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
先ほどまで怪人だったものは、醜悪な肉塊がかろうじて人形を保っているだけの怪物となっていた
「こういうの霊界で何回か見たことあっ━━━━
怪物の伸びた腕がラッキーを弾き飛ばす
「あいつ、って私も━━━━
カースも同じ方向に蹴り飛ばされ、そのまま廃屋に突っ込んでいった
「二人とも!!」
『グるルるル!!!」
怪物は次なる目標としてヨシノへ向かって走る。
「ちょっと!気絶しないで、この!起きなさい!」
何とか受け身を取ったカースは廃屋の中でラッキーを起こそうとしていた。
「うえっ、ちょっ痛い、たぶん肋骨が、何本か逝ってるから…」
「よかった、まだ生きてるわね…」
「あれ、たぶん、正面からは厳しい、よ、ゴエッ、口の中血の味がする…」
「喋らないで、私が何とか逃げる方法を「あ、そうだ!」言った側から…」
「ちょっと、博打ではあるんだけど…」
「この、ふざけんな!』
殴る、蹴る
単純な暴力のみを繰り出す怪物であったが、ヨシノは追い詰められていた。
サブロウとの合一により身体能力は向上していたが、そもそも体格に随分と差がある。
それに加えて唯一の強みである遠距離攻撃を可能にする液体が距離的に使えない。
『はあ、はあ…今だけでいいからもっと強くなる方法ない!?」俺に主導権を渡せ!』気に入らないけど!?」死ぬよりはマシだろ!』それもそうね!」
極限環境に追い込まれたことによりヨシノの精神は疲弊し、半ば感情が麻痺していた。
『『八岐大蛇』『支流』!』
『グウ!?』
突如、怪物の背後から赤い水流、いや濁流が押し寄せ、怪物の体に穴を開ける。
『ははは見たか!川がどれだけ人を食い殺してきたと思ってる!俺にかかれば血も操作できるんだ!』めちゃくちゃしんどいけどね!?」あと二回やったら失血死だなははは!』
二人の精神は完全に暴走していた。
『グルル…グアア!』
怪物が咆哮をあげ、その瞬間
『血が操作できねえ!?』何やってるのよ!?」あっちに主導権を奪われてるんだよ!』
血の濁流は弱まり、ただの血溜まりに戻ってしまった。
「血液操作は組み込んだ
フレデリックがやたら得意げに解説する。
「なにそれ!?グールって言ってたじゃない、インチキ!』
ヨシノの叫びも虚しく、怪物は立っていた。
『監督、そろそろ時間です』
「時間制限とかあったのかい?」
『異界そのもののルールとして設定している十二時間ですよ。』
「ああ、そんなのもあったね。」
『向こうの二人も逃げた方もただ生きているだけで動きがありません、あきらめたわけではないようですが…真面目に付き合う気が無いなら殺処分が妥当でしょう。』
「うーん?まだまだ披露してないギミックがいっぱいあるんだけど…」
『グルウルるる!!』
唐突に怪物が血反吐を吐く
「あらら…もう持たなそうだし、しょうがないか『
「ちょっと待ったあ!」
ジュウロウが、怪物とヨシノの間に立った。
「…何かと思えばさっき逃げた社長君じゃないか、君みたいないるだけのモブには興味が無いんだよ、画面のバランスが取れなくなるから消えてくれないか。」
「私も、戦うぞ!」
「君の手持ちは把握してないけど、勝てるようなもんでもないだろ?死に方を選べるならその方がマシだと」
『監督』
「なんだい、今ちょっとイラついて」
『私たちが逃げるべき可能性が浮上しています。』
「理由は?」
『正体不明の巨大物体が異界に衝突しました、あと十秒で私たちの頭上に落下します。』
「早く言ってくれないかなそういうの!!!」
その瞬間、轟音と共に
空から、いや天井から
『船』が落ちてきた