隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
1皿目
俺たちはバステトの加護…いや『『カゴちゃん』と呼んでください〜』と言っていたからカゴちゃんだ、うん。カゴちゃんに案内されるままにオラクル&インサニティー・カンパニーエジプト支社の事務所に来ていた、普段使っていない場所で最低限の設備しかないらしいがそれでも整理整頓がされていて綺麗な場所だ。
『なんでそんなに馴染んでるんですか???』『迷宮攻略は経済に浸透しています、もし迷物を集めるのをやめたら私達は死ぬでしょうね』『立ってくださいよ!貴方は故郷に帰るんでしょう!?』『じゃあ私からも言わせてください…ただいま!』『遅すぎたよりも早すぎたかもですね、ちょっと反省するところもあります…でも、あの時間を悔やんではいませんから』
「ふふふ、何度見ても『ただいま、シンジュク』は面白いな」
…なんだコイツ
「いやしかし、本職は流石の演技力だ、現代日本が誇る名女優と言っていいだろう」
「ライト、馴染みすぎだしリラックスしすぎだよ!ついてそうそう完全にリラックスして映画を観てるとは思わなかった!こっちは長時間説明したり荷物整理とかしてるのに!」
俺とユリディスが交代でエジプト支社の人達に事情を説明してる間コイツは映画を見ていたらしい
「おいおい騒がしいなオルフェ、今ちょうどエピローグが終わって余韻に浸ってるところだったのに」
コイツ…
「ちょっと気が緩みすぎじゃない?世界の危機なんだろ?」
「そんな事言っても俺達オラインの社員は正義の味方とか軍隊や警察ってわけじゃないからな、富と保身が第一さ、世界の危機の前ならとりあえずお気に入りの映画を見直すだろ」
そんな殊勝な…いや、絶対そこまで真面目な意図無いなコイツ…
「はあ、まあいいよ、それよりこの映画は何さ」
「これは2025年に日本の新宿に現れ、2030年に地球上から突如消滅し、2049年に地球上に帰還した旧新宿大迷宮に関する『実話を元にした創作』ってやつだ」
「今作の主人公は2048年当時異界に存在した旧新宿駅大迷宮改めニューシンジュクシティに
パッケージまで取り出してなんかあらすじ解説しだした
「なぜ帰ってこなかったんだ?」
「向こう側で家庭が出来たらしい、映画本編とパンフレットに書いてあった以外の事は俺も知らん、女子大生の方の役者じゃなくて本人と会って話した事はあるがそこを聞くのは物語的にも本人達にも無礼だと思ったしな…ちなみに会ってみた感想としては物語の百倍はタフな婆さんだった、若い頃の写真は映画にそっくりだし当時の映像でもこの映画と同じテンションなんだがな、時間が有れば人も変わる、精神性は一緒なんだとも思ったが」
「めちゃくちゃ話すじゃん、古風なオタクにも程があるよ」
「ふん、俺は俺のオタク精神を誇りに思ってるよ…お、エンドロールが終わるぞ」
『特別協力、小笠原ジェシカ(本人役)およびオラクル&インサニティー・カンパニー日本支社の皆様』
『制作、オラクル&インサニティー・カンパニー』
「…」
「いやあ、名作だったな!」
「自分のところでつくってるんじゃん!」
「そうだが?というかジェシカさんは本社の重役さ、まだ現場を退く気は無いんだとさ、普通の人間の76歳はウチでも定年なのによくやるもんだよ本当に」