隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
平穏…午前に比べて平穏すぎる…眠たい…
唐突に祖母のことを聞いてきたルシールは、意外にもその後は静かに授業を受けていた。
特に絡んでくることもなく、気づけば放課後、夕方である。
夕方の教室には私以外誰もおらず、夕日だけが差し込んでいた。
「なんだったのかしら、あれ…」
彼女がどうして絡んできたのか、何も思い当たるところが無い。
おばあちゃんの知り合い?同業者?そもそも仕事何してたっけ?
私が知ってることと言えば誕生日と名前と家と…
「よく考えたら私おばあちゃんのこと何も知らないな。」
「何を知らないって?」
「うわっ、びっくりした、って貴女は。」
ルシール、私の今日最大のイベントの当事者。
やたらキラキラとした笑顔を浮かべながら、彼女は私の背後に立っていた。
「やっほー、朝も今もいきなりでごめんね。」
「いや、それはいいけど。何の用?」
「朝の謝罪と、あらためてセツリさんの話が聞きたくて。」
「なんでうちのおばあちゃんにそんなに興味があるの?」
「なんでって…そりゃ考古学者、トレジャーハンター、聖遺物ブローカー界の重鎮として恐れられ、イギリス中の
「待って待って。」
考古学者?トレジャーハンター?重鎮?
「何も聞いたことのない話なんだけど。私の知る祖母は家に行くたびにお茶とお小遣いをくれた普通のおばあちゃんなの。」
「…あれえ?おっかしいな、うちの親戚が言うには関係者を見つけたらこの本に書いてあること言えばなんとかなるって…」
彼女がバッグから取り出したのはボロボロの雑誌だった
「それ50年も前の本じゃない?2052って書いてあるわよ。」
「…あ、もしかしたら人を間違えたかも!あはは…ごめんね!」
そんな苦笑いする顔を見るとこっちが何か悪いことをしたみたいな気分になるじゃない。
「貴女はどうして私の祖母…かどうかはわからないけど、カタシロ・セツリについて知りたいの?」
「私は隠秘使いにならなきゃいけないから。」
「進路の話?」
「まっさかあ、今時隠秘使いって言っても色々あるし調査票とか送り返されちゃうよ、私が言いたいのは…もっと強くなりたいって事。」
「強く、ねえ。」
確かに祖母に弱い人という印象は無かったし、ルシールの持っている雑誌で紹介される人も読んでみた限りではずいぶん腕っぷしが立つようだけど。
「困らせてごめんね、今日はもう帰るよ。」
そうやって荷物をまとめる彼女の目はとても寂しそうに見えた
…なんでわかるのか?自分でも意味不明、だけど
こうなったらしょうがない
「人違いかどうかは知らないけど、おばあちゃんの家ならすぐそこだから、案内してあげる。」
私はルシールに手を差し伸べることにした。
「え、いいの?」
「いいわよそのくらい、でも鍵持ってないから入るのは無理よ、タイミングが合えば父さんがいるかもだから、そしたら話も聞けるでしょ。」
「あれ?電話番号とか知らないの?」
「かけても出ないのよ、あの人。」