隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

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「ただいま戻りました…って二人は何やってるんですか?」

「お、戻ってきたかユリディス、元々は次見る映画を探してたんだがオルフェが荷物整理を手伝えとうるさくてな、こういうのにちょうどいいオカルトが無いか検索してたんだ」

「そしてあーでもないこーでもないとやって片付けが進まないっていうね…」

まさかアプリをグダグダ探すだけで二時間潰れるとは…

「『座敷童』とかはそもそも起動しなくてな、俺が居るだけでは流石にここが座敷になったりはしないか」

「そもそも出典じゃない国でつかえるんですか?家電リサイクルのおじさんが使えないって言ってたんですけど」

オカルティエンスの専門教育を受けてない俺たちにはその程度の理解しか無い、ただまあチンピラも『バーバヤーガ』使ってたしこっちも使えるんだろうなとは思ったけど。

『ふむ、そこからですか〜』

「あ、カゴちゃん」

『どうもです〜、ライトさん、説明してあげてください〜』

「俺がか?…細かい理論を説明するのは難しいからざっくり言うが、その地域で信じてる人がいないとアプリは起動しない様になってるんだ」

「しない?できないじゃなくて?」

「フォークロア観測函を通して何を見るかという話だ。使用者が証明の為に見ようとしても見れない分を函が肩代わりするわけだが、『使用者』のくくりには観測函の存在する地域そのものも代入されることがあるんだ、他者への影響力とかそういう基準でな」

「その地域で信じられていない、つまり見えないし見ようとされないものは当然その分も見なきゃならない観測函への負荷も大きくなる。負荷を防ぐ為には観測強度を上げなきゃならんが、観測強度を上げすぎると観測対象が一人歩きしたり観測函の電力消費量が増えたり最悪の場合だと観測函そのものの耐久性能次第で壊れたりする」

「そういう事故を防ぐための安全機能として低品質あるいは廉価版の観測函には観測強度を上げれない様な鍵がかかってるんだ」

「…さっきのチンピラもライトもエジプト要素の欠片も無いやつ使ってるじゃん、よく壊れないね」

「俺のは低品質でも廉価版でもなくオラインの業務の為に調整された専用ツールだぞ、杖の方は観測の共有じゃなくて証明の押し付けを主題にした『投影鏡』だしな」

「それに観測強度を函側で上げすぎなきゃいいんだ、だから大半のオカルティストは使用するアプリに合わせてコードネームを決めたり、衣装を作ったり、使用するアプリの数をある程度絞ったりしてる、ロールプレイによって使用者側の証明負担を増やしてるわけだな」

『まあ〜ロールプレイのしすぎで実在証明脱落(リアリティドロップアウト)して人じゃなくなるのもしょっちゅうですけどね〜』

「…映画の説明でも言ってたけどそのリアリティドロップアウトって何?」

専門用語は流石にわかんないよ

実在証明脱落(リアリティドロップアウト)は人間あるいはそれ以外の自己主張か自己証明の可能な存在がなんらかの理由で自己証明をしないあるいはできない状態にありそこにいると定義できない事。簡単に言うとオカルトにのめり込んで人間をやめたりオカルトに取り込まれて死ぬ事を言う、あとは珍しい例だが小笠原ジェシカさん達の様に異界に行ってしまう事も含まれる」

『旧新宿駅大迷宮の帰還者の人達のすごいところは長い人だと19年も異界に存在していたのに人間として帰ってきたところです〜他の異界へ落ちたらジェシカさんよりもっと短い半年でも人間性を喪失するのが80%を超えますので〜』

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