隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
『あんたらの保護者役だよ、挨拶しな。』
「初めまして、形代摂理の孫のジュリ・W・カタシロです。」
「その友人のルシール・E・グレイです!」
友人…まあ友人か、お互いのことはまだよく知らないけど、今のところクラスメイト以外の呼び方は友人しかなさそうだし。
「まあ!セツリ先生のお孫さんだなんて、先生には昔からお世話になっておりまして、亡くなられたとアイリさんから聞いてそれはもうショックでした、心よりお悔やみ申し上げます。」
「えっと…そう言ってくれるなら祖母も悲しくは…えっと…」
『そういう時は『ありがとうございます』だけでもいいんだよ呪理、というか葬式でこういうのはやらなかったかい。』
「父さんに任せっきりだったから…」
う、自分の社会性のなさが嫌になってくる。
『さ、後は呪理にもなんかツールが無いとね。』
おばさまが腕を振ると、今度は棚の中からスマホやらライトやらライターやらが出てきて山のように積み上がっていく。
「私はいいよ、戦いとか苦手だし逃げるだけで…」
『何言ってるんだい、観測ツールは単なる護身用の道具じゃないよ!モノ探し、ヒト探し、呪いの視覚化、呪詛返し、情報分析、そして今言った逃走、目的に合わせてツールとアプリを設定し、無理のない範囲で手数を確保するのが一流の
「どうなのルシール。」
「これに関してはマジだよ、観測函で出来る事は戦いやモノ探しに限らないし、アプリは色々持ってる方が便利だよ、うちのおじさんとかすっごい数のアプリ入れてたもん。」
「私も同意しますね、アプリは主目的に一つと補助に一つ、そしていざという時の為にもう一つというのが個人的なベストかと。」
コリーさんは親指、人差し指、中指を立てて三つをアピールしていた。
「うーん、おばさまはメインに何待てばいいと思う?」
『まずは戦闘と護身用だよ、探し物は時間をかければ見つかる方だけどもし拾ってるのが危険なやつだったら対抗策は必須だからね。あんたぐらいの年頃の女の子は多少警戒しすぎぐらいがベストだから…よし、これで行こう。』
おばさまがツールの山の中から出してきたのは、金槌と古いデザインの板状スマホだった。
『ツールそのものはなんでもいいが、それで使うアプリには相応しい観測対象が必要だからね、その点この金槌は実際にセツリが何度か使って人を呪った実績があるから信用できるわけだ。』
「曰く付きの品だ…」
『オライン公式から買うよりは安く済むんだからとやかく言うんじゃないよ。後は服装だねセツリのお下がりの仕事着をあげよう』
そう言っておばさまは山の底から一枚のブレザーを持ってきた。
「見た感じ普通のブレザーだけど。」
『セツリがめちゃくちゃに呪いをかけたとっておきのやつさ、かれこれ60年は使ってる本物だよ。呪いのおかげでカビも細菌も死ぬからカビないし腐らない、おまけに無関係の人間が着ると凄まじい呪いが降りかかるから防犯もバッチリ。』
「事故が怖いわね…」